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2012年10月31日 (水)

「第三百三十三話」

「辛ーっ!おい!」
「なに?」
「俺の唇、メチャクチャに腫れ上がってないか?」
「大丈夫よ。それは、そう言う感覚にアナタが襲われてるだけだから、それに私だってメチャクチャに唇が腫れ上がってる様な感覚に今、襲われてるわ。アナタだけじゃないから大丈夫。」
「腫れ上がってると言うか、むしろ今となっては唇が取れてんじゃないかとすら思ってるよ。」
「だからそれは、全て感覚に襲われてるだけだって!大丈夫!アナタの唇は、腫れ上がってもなければ、取れてもないから!」
「しかしお前、二人を襲うこの感覚!?なんちゅう辛い物を食べさせるんだよ。いくら俺とお前が大の辛い物好きだって言っても、限度ってもんがあるだろ!しかも、晩飯のどの食い物よりも先に食ってみろって!これ、しばらく他の食べ物食えないぞ?今なら舌にピアスを何個でもあけれそうだよ!」
「あけちゃえば?」
「あけちゃわない!きっかけが百済な過ぎる!」
「切っちゃえば?」
「切っちゃわない!って俺は別に舌になにかをしたいって訳じゃないんだよ!切っちゃえばってなんなんだよ、だいたい!それぐらい辛過ぎて舌が麻痺してるって話だろ?そこを広げなくていんだよ。この九割以上、晩飯が残ってる今の空間をどうすんだよ。」
「ごめんね。アタシだってこれほど辛い物だなんて思わなかったのよ。でもこの感覚が治るまで、確かに暇ね。」
「暇?いや別に暇とは言ってないよ。」
「そうだ!しりとりでもしよっか!」
「はあ?」
「だから、しりとり!ねっ?いいじゃん暇なんだからさ。じゃあ、アタシからいくよ!りんご!」
「いやだから、暇とかって話じゃないんだよ。ご?ごりら。」

「ペペロンチーノ!」
「野バラ。」
「モミアゲ!」
「ゲーム。ってなんなんだよ!ルール!しりとりのルールどこいった!俺だけ優等生にしりとりしてバカみたいじゃないか!」
「カニ!」
「いやどんな変則的なしりとりなんだよ!地元ルールか?」
「カニ!」
「なんなんだよ!お前は、しりとり界のジャンヌダルクかよ!革命起こし過ぎだよ!」
「カニ!」
「いやもうカニいいよ!終わりだこんなしりとりは!」
「カニ!」
「はあ?しりとりの途中で急にカニが食いたくなった欲望をおさえられなくなって事か?」
「違うわよ!だいたいしりとりなんかしてないわよ!」

「したろ!せめて最初のりんご!の時はしたろ!いやいやいや、しろよ!お前が言い出しっぺだろ!」
「カニ!」
「だから、カニ!ってなんなんだよ!」
「カニがハサミでアナタの鼻を今にも挟もうとしてるのよ!」
「気付くわい!カニがハサミで俺の鼻を今にも挟もうとしてるなら気付くよ!顔面の感覚は辛さでどうにかなってないから!どんなウソ付いてんだよ!」
「あはは!」
「無邪気に笑えばなんでもかんでもその場の空気をガラリと変えられると思うなよ?次の展開へ行けると思うなよ?」
「グヘヘヘへ!!」
「悪魔かよ!こえーよ!」
「悪魔と言えば今日ね!タイムセールでお肉が激安だったから買い物に行ったの。でもね、途中で川で溺れてたババアを助けてたら、タイムセールの時間を過ぎちゃったの。もう!ババアなんか助けなきゃよかったわよ!」
「悪魔関係ねぇし!あと、イロイロと言いたい事はあるけど、一つだけ。ババアって呼ぶのやめなさい。」
「アナタ、勘違いしてるわ。」
「勘違い?」
「お婆さんの事をアタシがババアって、わざと口悪く言ってると思ってるでしょ?」
「それしかないだろ。」
「違うの。その川で溺れてたお婆さんが自分で溺れながら、ババアを助けとくれー!ババアを助けとくれー!って叫んでたの!で、次いでに言わしてもらうと、タイムセールの店に行くまでの道のりに川なんてないの!」
「こえーよ!イロイロとこえーよ!なんなんだよその体験談!」
「って、アタシがタイムセールで肉を買って店から出て来ると、目の前の悪魔がそう言ってたのよ。」
「まさかの悪魔の体験談だった!?っていや、百歩譲って、ババアの話が本当だとしても、悪魔じゃないだろ?それを語ってたのは?」
「悪魔よ。うん、あれは悪魔。確実に。」
「どうして悪魔って言い切れんだよ!」
「だって、見るからに悪魔だったからよ。」
「見るからに悪魔ってなんだよ。だいたい、悪魔が実際に居たとしてもだぞ?絵や映画で目にする所謂な悪魔は、人間が創った想像だろ?」
「じゃあ、ちょっと待ってよ。肉を買いそびれた悪魔の絵を書くから!」
「肉を買いそびれた悪魔ってなんなんだよ。凄く庶民的な悪魔だな。タイムセールで肉を買おうとするなんて、物凄く家計をやりくりしてる悪魔なんだな。」
「こんな感じ!」
「虫歯菌だ!それは所謂な虫歯菌だ!子供の頃から我々の頭の中に刷り込まれて来た虫歯菌だ!」
「ああ、言われてみればそうね。じゃあ、アタシが店の外で会ったねは、悪魔じゃなくて、虫歯菌か!」
「いや、単なる変な人だろ?」
「でもその人から、この辛い物をいただいたのよ。」
「変な人から変な物をいただくなよ!」
「地元の特産物なんですって、特産物と聞いたらいただかない訳にはいかないでしょ?」
「いやその感覚は分からない。」

「で、アタシも代わりに肉をあげたの。」
「物々交換って言うんだよ!で?変な人と交換したこの地元の特産物ってなんなんだよ。」
「なんて言ってたかなぁ?カニだったかなぁ?」

「カニにではない!絶対に!」
「あっ!思い出しそう!」
「思い出してから、あっ!って言ってくれ。何と無くそれが、この世界のルールだから。」
「じゃあ、思い出した!」
「どこまで革命家なんだ、お前は!で?なんて言うんだ?この二度と口にはしないだろう食べ物は?」

第三百三十三話
「ちょこれーと」

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