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2012年10月10日 (水)

「第三百三十話」

これはボタンです。

独りぼっちのボクが創った、これはボタンです。

淋しがり屋のボクが創った、これはボタンです。

少しだけ世の中を蔑み、少しだけ世の中を羨ましいと思っているボクが創った、これはボタンです。

押したら或いは、地球が滅亡するかもしれない、これはボタンです。

押したら或いは、待望の世界平和が訪れるかもしれない、これはボタンです。

でも

押しても何も起こらないかもしれない、これはボタンです。

部屋の隅っこで、誰もいない部屋の隅っこで、誰に見付かる訳でもないのに、誰かが見付けてくれる訳でもなく、創ったボタンです。

黒いボタンです。

闇の中で、暗闇の中で創っていたからなのか?

それとも

ボクの心のイロなのか?黒いボタンです。

もしかしたら

こんなボクにだけそう見えるのかもしれない、黒いボタンです。

眠る前に押せばいいのか?目覚めてから押せばいいのか?

それとも

この地球が終わった後にでも押せばいいのか?これは黒いボタンです。

だから

にらめっこです。

どれぐらいの時間が経過しているのか?時計が無いので分かりません。上げた右腕の感覚は、もうありません。ボクはボタンと、ずっとにらめっこです。

結果をおそれて、タイミングを見失っているのか?タイミングに惑わされて、結果に緊張しているのか?ボクはボタンと、ずっとにらめっこです。

料理だってワインだって用意したし、部屋の掃除だってしたのに、料理は冷めてワインは酸化してしまい、部屋もまた汚れてしまうぐらい、ボクはボタンと、ずっとにらめっこです。

このままボクは、死んでしまうのか?ボタンを押さずにボクは、死んでしまうのか?

右腕を上げたまま、ボタンとにらめっこしたままボクは、死んでしまうのか?

嫌だ!

イヤだ!

いやだ!

「ポチ。」

そんなのは

厭だ!!

友達が出来る黒いボタンをボクは、押しました。

第三百三十話
「これはボタンです。」

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