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2012年11月21日 (水)

「第三百三十六話」

「アナタ?」
「ん?」
「あの子がね?小学生になったから、犬を飼いたいって言い出したのよ。」
「あの子って?」
「我が娘よ!どっかの子の話をしてどうすんのよ!」
「いやほら、仕事から疲れて帰って来て、飯食ってる最中に知らんあの子の話をされてたらどうしようかと思ってさ。確認だよ確認!確認、大事!あっ、そうだ!ちょっと今のを先輩後輩風にして言ってみてよ!」
「はあ?」
「だから、お前が後輩で俺が先輩って体だよ。」
「何で?」
「何でもだよ。ほら早く早く!」
「せ、先輩、あの子がっスね!小学生になったから、犬を飼いたいって言い出してるんっスよ!」
「じゃあ次は博士と助手って体で!」
「博士!あの子が小学生になったから、犬を飼いたいって言い出してるんですが!」
「医者と看護師!」
「先生!あの子が!あの子が小学生になったから、犬を飼いたいって言い出してます!」
「店長とバイト!」
「コントじゃないんだから!何をしてんのよアタシ達は!てか、アタシだけバカみたいじゃない?ねぇ?そもそも何々と何々なのに、アタシしかやってなくない?」
「犬ねぇ?」
「いやいやいや、急に真面目にならないでよ!」
「別に飼ってもいんじゃないか?犬だろ?何もワニを飼いたいって話でもないんだしさ。」
「でもね、アナタ?その犬の面倒は結局、ほとんどアタシがしなきゃならなくなるのよ?きっと、いや絶対に!」
「でも犬の面倒なら大丈夫だろ?ワニならまだしもさ。犬の面倒ならさ。」
「あの子はちゃんと自分で面倒見るって言ってるけど、結局アタシが餌をあげたり、散歩に連れていかなきゃならないのよ?それにほら、生き物でしょ?万が一って事があるじゃない?」
「死を経験するのも教育だろ?ワニならちょっと、アレだけどさ。」
「そうだけど、何年も飼ってからなら?それは教育になるかもしれないけど、飼ってすぐに死んじゃったら、あの子に悪影響なんじゃないかって、心配なのよ。」
「考え過ぎじゃないか?いや、お前が心配するその気持ちがいけないって訳じゃなくて、ペットの死に対して、例え飼って1ヶ月で死んだとしても、あの子は我々が思ってるより、弱い子じゃないさ。」
「そうかしら?」
「そうだよ。で、確認なんだけどさ。」
「なに?」
「犬を飼いたいって言ったんだよな?」
「そうよ?」
「ワニを飼いたいじゃなくて、犬を飼いたいなんだよな!」
「そう。」
「よーく思い出してみろ?犬か?」
「ええ。」
「本当にワニじゃなくて犬なんだろうな!」
「犬だって!」
「俺イヤだぞ!明日になって聞いてみたら、実はワニでしたなんて話!」
「ワニ、何!何、ワニ!普通に考えてどこの小学生がワニを飼いたいって言い出すのよ!犬に持ち出す比較対照がおかしいでしょ!」
「じゃあ何だ?猫ならいいのか?」
「そうよ。」
「猫はアレルギーだから俺がイヤだ!」
「犬!犬を飼いたいって話なんです!」
「お前もか!」
「あの子がよ!何?アタシも犬が飼いたいって言ったら2匹飼う訳?」
「おいちょっと待てよ!そしたら俺だって俺の犬を飼うぞ!2人だけなんてズルいからな!ああ、そしたらあれだ!3人の犬の中で誰の犬が1番強いのか戦わせよう!負けないぞー!」
「ズルいって、何?ねぇ?バカなの?どうしてそう言う発想になっちゃうのよ!」
「俺、バカなのか?」
「今のところ、残念ながらバカね!」
「今のところって事は、こんなバカな俺にもまだチャンスがあるって事か?」
「まあ、これからの言動次第ではね。」
「そうか。ありがとう!本当にありがとう!俺、頑張るよ!」
「意味不明な両手握手とかしてる暇があるなら、この問題について、どうか真面目に取り組んでくれない?」
「まず、タイムマシーンを作ってみようと思う!そしたら俺がバカじゃないって証明出来るだろ?」
「プラモデルじゃないんだから!そもそもアナタにそんなポテンシャルがあるんだったら、今頃、豪邸で暮らしてるわよ!」
「おいちょっと待て!」
「あ、ごめん。少し言い過ぎた。何も今の暮らしに不満があるって意味じゃないから、勘違いしないでね。」
「俺にはタイムマシーンを作るポテンシャルは無いのか!?」
「知らないわよ!ポテンシャルの話をされたって分かる訳ないじゃない!ポテンシャルなんだから!あるかもしれないし無いかもしれないし!それはタイムマシーンを作ってみないと分からない!それがポテンシャル!で、アナタにタイムマシーンを作るポテンシャルがあるか無いかなんて、別に分からなくてもいい事だから!今は、あの子が犬を飼いたいって言い出したって話をしてるの!それ以外の話なんてしてないの!それ以外の話は、どーだっていいの!」
「今日な。外回りの途中に喫茶店に立ち寄ったんだよ。今まで行った事ない街の今まで行った事ない喫茶店で、誰に会ったと思う?何と、誰にも会わなかったんだよ!いやもちろん、人はたくさんいたよ?でも、知り合いは1人もいなかったんだよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「びっくりだよな!」
「びっくりよ!よく、このタイミングで、そんな話が出来たものね?今まで行った事ない街の今まで行った事ない喫茶店なんだから、今まで会った事もない人だらけに決まってるでしょ!何かあれね?アナタ、恐いわね。」
「恐い?別に牙とか角とか無いけどなぁ?もちろん毒とかも持って無いし。」
「小学生かよ!」
「そう言えば聞いてくれよ!娘がもう小学生なんだよ!いやぁ、子供の成長って早いよなぁ。ついこの間までハイハイしてたかと思ったら、小学生だもんなぁ。」
「知ってる!アタシの娘でもあるから!って、ちょっと待って!」
「何だよ。どうした?」
「ちょ、ちょっと目眩が・・・・・・・・・。」
「だ、大丈夫ですか?」
「な、何なの?犬を飼うか飼わないかって、こんなにも難しいもんなの?こんなにもカロリーを消費するもんなの?」
「その通りです!その通りなんですよ!奥さん!ペットを家庭で飼うと言うのは、こんなにも難しいものなのです!こんなにもカロリーを消費するものなのです!いかがでしたか?無料体験コースの方は?よろしければぜひフィットネスクラブの会員に御入会を!」
「考えとくわ。」

第三百三十六話
「ペットダイエット」

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