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2012年12月26日 (水)

「第三百四十一話」

 ある晴れた日の公園。ショートカットの19歳の少女は、ベンチに腰掛け、1人読書を楽しんでいた。
「アタシ、キャラクターのデザインで一山当てようって目論んでるんですよ。」
「えっ?」
少女が読書に集中していると、いつの間にか同じ歳ぐらいのロングヘアーの少女が隣に座って話し掛けて来ていた。
「アタシ、気付いたんですよ。キャラクターって」
「あ、あのう?」
「はい?」
「どちら様ですか?」
「あ、ああ!ごめんごめん!実はアタシ、キャラクターのデザインで一山当てようって目論んでるんですよ。」
「それはさっき。」
「だよね!」
「私に何か?」
「アタシ、散歩してたんです。そしたら、閃いたんです。」
「閃いた?」
「一山当てるキャラクターを閃いちゃったんですよ!で、丁度ベンチで読書してる同じ歳ぐらいのアナタがいたんで、意見を聞こうと思って、話し掛けちゃいました。」
「そ、そう。」
「もしかして、迷惑だった?」
「・・・・・・・・・。」
「だだだだよね?いきなりこんな話し掛けられたら迷惑だよね?ごめんなさい。帰るね。」
「あ、あのう。」
「うん?」
「待って下さい。私、普通の学生ですし、流行とかも疎いですし、気の利いた意見とかも言えないと思います。でももし話を聞くだけでもいいなら、協力させて下さい。そのう?小さい頃からキャラクターとか好きなんです。」
「いい!全然いい!話を聞いてくれるだけで全然オッケー!」
「良かった。」
「宜しく!」
「こちらこそ。」
「で、どこまで話したっけ?」
「散歩してたら閃いたって。」
「そう!散歩してたら閃いちゃったんだ!キャラクターってさぁ?結構、リアルでは恐かったり嫌われてたりするモノが多いじゃない?」
「恐かったり、嫌われてたり?」
「んー?例えば、クマとかネズミとか、ライオンとかトラとか。」
「ああ、言われてみればそうかも。」
「だからね?そこら辺をキャラクターにしちゃえば、一山当てられるんじゃないかな?って思ったんです。」
「なるほど。でも、その辺はもう、やり尽くされてるんじゃないですか?」
「ふっふっふっ。それがやり尽くされてないんだなぁ?ふっふっふっ。」
「何だろう?オオカミ?」
「違う違う。」
「サメ?」
「全然違う。」
「ゴリラ?」
「う~ん?そう言う所謂なところから引っ張り出して来たんじゃないんですよ。」
「幽霊?」
「違う。」
「宇宙人?」
「ハズレ~。」
「もしかして?」
「もしかして?」
「ゴキブリ!」
「ちが~う!そう言う今までにあるようなもんじゃないんだなぁ?」
「ええ~!もう分からないです。降参です。」
「ふっふっふっ。じゃあ、アタシが閃いたキャラクターを教えちゃいましょう!ふふっ。」
「お願いします。」
「ゲロ!」
「えっ!?」
「ほら!ゲロってさぁ?汚くて、嫌われてるでしょ?しかも、今までキャラクター化されてきたモノよりも!それが遥か上を行く!」
「ちょちょちょ!ちょっと待って!ゲロってその?あのゲロ?嘔吐した時に出て来るゲロの事ですか?」
「そうよ!」
「信じらんない!アナタ、正気なの!?そんなキャラクターで一山当てられる訳がないじゃないですか!」
「ちょっと落ち着いてよ!いい?アタシだって、散歩してる時にこの構想が頭に浮かんだ時は、アタシ頭がどうかしちゃったんじゃないの?って思ったわよ。」
「どうかしちゃったのよ!」
「違う!」
「ゲロをキャラクターにしようとしているんですよ!頭がどうかしちゃってない訳がないじゃないですか!」
「残念だけど、アタシの頭はどうかしちゃってないの。いい?聞いて!キャラクターで一山当てるには、これぐらいやらないとダメなの!」
「何で!ウサギでもネコでもトリでも何でもいいじゃない!何でゲロなの!何でゲロじゃなきゃいけないの!」
「ええ、確かにウサギでもネコでもトリでも何でもいいかもしれない。」
「だったら!」
「でもね?それじゃあ、一攫千金は狙えないの。一山当てれないの。もう既にやり尽くされてしまってるモノに手を出してもダメなのよ。」
「そんな・・・・・・・・・。」
「でねでね!アナタがここで読書してる間に、アタシあっちのベンチに座って描いてたんです。」
「描いてたって、まさか!?そのキャラクターをですか!?」
「そう!ジャーン!ゲロくんです!」
「・・・・・・・・・。」
「どう?」
「どう?って、どうしてこんなにリアルに描くんですか?可愛さとか皆無じゃないですか。」
「いい?人間って生き物はね?綺麗とか可愛いってモノに対して飽きる速度が異常に早いの。でもね?汚いとか恐いモノに対しては、その速度が異常な程に遅いの。」
「そんな事はありませんよ。だって現に可愛いキャラクターは、長年愛されているじゃないですか。」
「確かに。でも、そこにはカラクリがあるの。」
「カラクリ?」
「キャラクターの種類よ!つまり、次から次へと新キャラクターを増やして行くの!そうする事で、人間の飽きる速度の先を行く事が出来る!」
「言われてみれば・・・・・・でもだったら!」
「可愛いキャラクターでそうしろでしょ?」
「はい。」
「だからそんなやり尽くされたとこに手を出しても誰かの真似っこになっちゃうし、生存競争が激しいキャラクターだったら、それこそ無理ね。新参者のキャラクターなんてまるで相手にされない。だからって、アタシもこのままゲロくん一本で行くつもりはないの。」
「良かった。可愛いキャラクターも作るんですね。」
「そりゃそうですよ。ジャーン!」
「何ですか!?このキャラクターは!?」
「ゲロちゃん!いくら汚いキャラクターでもさすがに飽きられちゃうからね。汚いキャラクターで種類豊富!これぞ無敵の方程式よ!因みにゲロちゃんは、女の子らしくスイーツのゲロで描いたの。」
「確かにスイーツですけど、おもいっきりゲロですよね。」
「ジャーン!」
「何ですか!これは!」
「力持ちの石ゲロくん!」
「石のゲロって、そんなの有り得ないじゃないですか!」
「これはキャラクターだよ?有り得ない事が有り得ていいんだって!空を飛ばしたかったら、飛ばしていいし!魔法を使わせたかったら、使わしていい!」
「あと、どれぐらいキャラクターを描いたの?」
「う~ん?虫ゲロくんでしょ?魚ゲロくんでしょ?フレンチゲロさんにイタリアンゲロさん。ゲロおじさんにゲロおばさん。ゲロ犬ゲロ猫ゲロパンダ。」
「そ、そんなに!?」
「ゲロ博士、ゲロ助手、野菜ゲロ、肉ゲロ、ゲロレンジャー、ゲロ大魔王、手下ゲロ、ゲロモンスター、トイレのゲロじぃ、ゲロ探偵、マダムゲロ、ロボゲロ、ゲロ恐竜、ニセゲロ、ゲロゲロ、ゲロゲロゲロ・・・・・・。」
「ちょっともう聞いてるだけで・・・・・・うっ。」
「見る?」
「見ませんよ!!」

第三百四十一話
「と、今日も何処かでこんな会議は行われている」

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