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2013年1月

2013年1月 2日 (水)

「第三百四十二話」

「閉じ込められるとはなぁ。」
「ぶ、部長?」
「これ、外の人間は、ちゃんと私達が閉じ込められてるって気付いてるんだろうなぁ?まあ、電気が点いてるだけましか。」
「ぶ、部長?それ、何かの冗談ですか?」
「冗談?何がだ?いやいや、これで停電だったら最悪だぞ?」
「じゃなくて!」
「ん?」
「何か、逆に朝の出勤時間にこうして二人でエレベーターの中に閉じ込められて良かったですよ。」
「おいおい、私はそんな趣味ないぞ?」
「じゃなくて!その、カツラです。冗談みたいなカツラの事ですよ。」
「はい?」
「一緒に閉じ込められたのが僕で良かったですよ。」
「何を言ってるんだキミは?カツラなんて私は被ってなどいないぞ?」
「被ってないって、いやだって、どっからどう見てもその冗談みたいなヤツ、カツラですよね?」
「冗談みたいって何だ。世の中に冗談みたいなカツラってのがあるのか?」
「部長のそれですよ。」
「人の頭を指差すんじゃないよ!」
「頭じゃなくて、冗談みたいなカツラを指差したんです。」
「あのなぁ?いいか?冗談みたいなカツラじゃなくてだなぁ?私は今日からこうした斬新なヘアースタイルにしただけだよ。」
「部長。」
「何だ。」
「部長は、意味を被り違えてます。」
「履き違えてるだろ?何だ。何を履き違えてると言うんだ?」
「冗談みたいなカツラって意味をです。いいですか?見た目はあくまで普通なんです。部長のその冗談みたいなカツラは。」
「じゃあ、何で冗談みたいなカツラって言うんだよ。ってそもそもカツラではない!」
「僕が言いたいのはです。昨日までツルッパゲの人が堂々と斬新なヘアースタイルとか言って、翌日カツラを被って来ちゃう事の事ですよ。」
「それがあれか?冗談みたいなカツラって言いたいのか?」
「まあ、斬新なヘアースタイルと言ったのは部長ですけど。」
「なるほど。キミの意見も一理あるな。」
「いや、全てでしょ!」
「若いなぁ。若い。非常に若いよ。だから、若さ故にあんな冗談みたいな彼女と付き合ってしまうんだろうな。」
「はい?」
「ほら、この前の休日に、ばったり会ったろ?私の家族とキミとその冗談みたいな彼女とが。」
「ああ、あのレストランで!っていやいやいや、冗談みたいな彼女ってなんですか?」
「だってキミ、あれは冗談なんだろ?」
「冗談って何なんですか?僕は、彼女と真剣にお付き合いしてますよ?結婚を前提に!」
「笑ってもいんだよな?」
「ダメですよ。笑うタイミングなんてどこにもなかったでしょ!ああ、あれですか?僕みたいな若いヤツが結婚を前提に付き合うなんて、冗談だろ?って意味ですか?でも部長?お言葉ですが、僕ももう30過ぎですし、仕事だって期待以上の結果を残してます。結婚したって何の問題もないと思いますが?」
「いやいや、そう言う意味じゃないんだよ。キミが結婚するなら、それは私も大歓迎だよ。」
「ありがとうございます。その時には、部長には是非とも仲人をお願いします。」
「ああ、喜んで引き受けるよ。だが、まだそんな相手がいないじゃないか。」
「いますよ!この前、見たじゃないですか!」
「おい、キミ、マジか?」
「マジですよ。」
「結婚式を笑いの渦に巻き込むつもりか?いやそれ以前に、結婚だけは冗談でするべきではないぞ!」
「誰が冗談で結婚するんですか!えっ?何なんですか?部長は、僕の彼女がブサイクだって言いたいんですか?」
「そんな事は言ってないだろ?冗談みたいな彼女だと言ってるだけだ。」
「同じ事でしょ!」
「いや違う。キミは、人々を笑顔にしたい。笑顔にして人々を幸福にしたい。この国を!いやこの世界全てを笑顔にして平和にしたい!だから、自分を犠牲にして冗談みたいな彼女と付き合っているんだろ?」
「部長?」
「ん?」
「拝むのやめてくれませんか?聖人ですか僕は!誰がそんな慈善事業してるって言うんですか!僕は彼女を心から愛してるんです!」
「・・・・・・・・・ぷっ!」
「今笑いましたよね?」
「笑ってませんよ。」
「ぷっ!って聞こえましたよ?」
「オ、オナラか何かじゃないか?」
「何かって、何で自分のオナラが分からないんですか!いいですか?部長!他人から見たら、もしかしたら冗談みたいな彼女かもしれません!でも僕にはこの地球上で一番大切な人なんです!」
「そうか。それは悪い事を言ってしまったな。本当にすまない。」
「いや、部長。何も泣かないでも!?」
「本当に申し訳ない!」
「だから拝むなっての!てか、その涙も笑いを堪えての涙だろー!だいたいそんな冗談みたいなカツラで仲人されたら、それこそ結婚式がぶち壊しですよ!」
「カツラじゃないと言ってるだろ!」
「昨日までツルッパゲの人が今日フサフサだったらそれはどう考えても辿り着く答えはカツラでしょ!」
「一日でこんなに生えてきたのかもしれないだろ!!」
「んな訳ないでしょ!」
「ある!」
「じゃあ!引っ張らさせて下さいよ!」
「ダメ!」
「やっぱカツラなんじゃないですか!」
「違う!ヘアースタイルが乱れるからだ!」
「カツラ取れちゃうからでしょ!」
「違う!朝起きたら生えてた!」
「だったらだったで、気持ち悪いですよ!」
「でも仕方無い!」
「引っ張らさせて下さいよ!」
「嫌だ!」
「地毛ならいいじゃないですか!」
「キミに引っ張られるのが嫌なんだ!ここに誰かキミ以外の人を連れて来て引っ張らせるならいい!」
「無理でしょ!閉じ込められてるんですから!なら、後で僕以外の人に引っ張らさせますよ!」
「今じゃなきゃ引っ張らせない!」
「子供ですか!」
「ブス!」
「いや、何なんですか急にブスって!てか、ブスって言ってんじゃないですか!」
「言ってない!」
「いやいや、言いましたよ!」
「言ってない!ブス!」
「また言った!」
「言ってない!」
「カツラ!」
「ブス!」
「カツラ!」
「ブス!」
「カ」
「ブス!」
「完全に言いましたよね?」
「知らない!」
「知らないって何なんですか知らないって!カツラ!」
「ブス!」
「ほら!」
「言ってない!」
「カツラ!」
「ブス!」
「ほら!!」
「言ってない!」
「カツラ!」
「化け物!」
「ば、化け物!?」
「言ってない!」

第三百四十二話
「エレベーターの外はパンデミック」

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2013年1月 9日 (水)

「第三百四十三話」

「謎だ。」
「謎ですね。」
「なぜ、犬もいないのに、家中に犬のフンが存在しているの、か。」
「謎ですね。」
「謎だな。」

第三百四十三話
「犬のフン課」

「警部、こう言う仮説は、どうでしょう?」
「うむ。」
「家主は、犬を飼っていない。ましてや、どこからか犬が侵入した形跡も見受けられない。」
「うむ。」
「だとしたら、考えられる可能性としたら?」
「うむ。」
「犬のフンが、この家に瞬間移動して来た。」
「・・・・・・いや何なんだよその仮説は!」
「ダメですか?」
「ダメですかも何もだよ。瞬間移動って、それは何なんだよ。」
「ですから、特定の犬種の肛門とこの家との空間が何らかの、そう例えば時空の歪みなどにより、偶然繋がってしまったんですよ!」
「マジか!キミ、マジで言ってんのか!」
「しかしですよ?だとしたら瞬間移動以外で、他にこれをどう説明出来ます?」
「あのなぁ?まずだぞ?瞬間移動って現象が説明出来てないだろ?」
「まあ、確かに特定の犬種の肛門とこの家との空間が時空の歪みによって繋がったと言う考え方は、或いは飛躍し過ぎたのかもしれません。なら、この仮説は、どうでしょう?」
「大丈夫なやつか?」
「これは、嫌がらせです。」
「なるほどな!家主の事を良く思っていない者の犯行って訳だな。ん?だが、やはりそれでもその犯人は、どうやってこの家に侵入したかの謎は、謎のままだぞ?」
「瞬間移動装置を使ったんですよ!」
「瞬間移動装置!?」
「瞬間移動装置!」
「ん?何、瞬間移動装置って?」
「知らないんですか?瞬間移動装置!」
「知らないよ。瞬間移動装置。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・その瞬間移動装置に犬のフンを置き、この家に転送したんですよ!」
「おい、なあ?私とキミとの近年希にみるこの温度差を感じろよ。いいか?瞬間移動装置とか、ありもしないそんな未知なモノで事件を片付けられる訳がないだろ?」
「ちょっと待って下さい。」
「何だ!」
「瞬間移動装置が存在しないって、どうして断言出来るんですか?」
「あるのか!?瞬間移動装置!?」
「ないんですか?瞬間移動装置!」
「私が聞いてるんだ!」
「僕も聞いてるんです!」
「ないだろ!」
「あるかもしれないじゃないですか!」
「だからな?そう言う未知なモノで事件を片付けるのは簡単だよ。誰にも証明出来ない。誰にも否定出来ない。だが、それじゃあ、とどのつまり何も解決した事にはならないだろ?この犬のフンは宇宙人の仕業だとか言ってるのも同じだろ?」
「宇宙人は、こんな事しませんよ。って、警部はまさか宇宙人を信じてるんですか?」
「別に信じてる訳じゃないが、存在しててもおかしくはないんじゃないかぐらいは思ってるよ。」
「それですよ!」
「どれですか?」
「宇宙人は、信じてないけど、もしかしたら存在しててもおかしくない。なら瞬間移動装置だって考えは同じではないでしょうか?もしかしたら、どこかの博士が発明しているかも?」
「いやいやいや、具体的過ぎるだろ、キミの瞬間移動装置の話は?博士とか出て来ちゃってるじゃないか。」
「じゃあ、警部も○○星人とか言えばいいじゃないですか。」
「いやまずその次元でキミと犬のフンについて争ってないから。じゃあ何か?その博士が家主に嫌がらせをしてるって言うのか?」
「いや、その博士が直接しているか、博士から瞬間移動装置を強奪した何者かがしているのか、それは分かりませんよ。ただ一つ分かっているのは、瞬間移動装置がこの世にあるかもしれないって事です。」
「博士から強奪とか、仮説を仮説でどんどん膨らませないでくれよ。だいたい、何か瞬間移動装置の有無が主体になってきてないか?」
「この現場がそれを証明しているじゃないですか!」
「待て待て待て!もしかしたら、まだ我々が発見出来てない犬の侵入経路があるかもしれないだろ?」
「こんなに捜してもないんですよ?犬は、家には侵入していません!」
「それはそうだが、犬のフン課の我々二人が、ちょろっと捜した程度だろ?専門家が捜したら見付かるかもしれないじゃないか。」
「しかし!だとしても!現段階では瞬間移動と言う仮説が濃厚です!」
「現段階の仮説なら、無限大な想像力でどんな仮説でもさじ加減だろ!」
「警部!悠長に犬のフンなんか片付けていないで真面目に聞いて下さい!そんな事をしている間にも犯人は、別の家に犬のフンを転送しているかもしれないんですよ!」
「仕事だからだ!犬のフンを片付ける!これが犬のフン課の仕事だからだ!だからこうして真面目に犬のフンを片付けてるんだ!侵入経路や犯人捜査や現場検証は、その専門に任せとけばいんだよ!暢気に探偵気取りしてないで、キミもさっさと犬のフンを片付けろ!」
「・・・・・・はい。」
「ったく!今日はまだまだ、片付けなきゃならない犬のフンがあるんだぞ!」
「すいません・・・・・・。」
「分かったなら手を動かす。」
「はい・・・・・・でも警部?」
「ん?」
「犬のフン課って、何なんですか?」
「知らんよ!」

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2013年1月16日 (水)

「第三百四十四話」

 僕は今、太陽の上を歩いています。思った程、熱くないです。僕が何れぐらい熱いと思っていたかですか?たぶん、歩く事も出来ずに、一瞬で跡形も無く燃え尽きると思っていました。でも、僕は燃え尽きるどころか、太陽の上を歩いている。どんな名画も目との距離を近付ければ近付ける程に、子供が画用紙に書いた落書きと区別がつかなくなる。そんな感じでしょうか?あまりにも太陽に近付き過ぎた僕は、熱さが分からなくなってしまったのかもしれません。だから、思った程、眩しくもなければ、思った程、赤くもないんです。むしろ、青いぐらいなんです。
「地球から来たのか?」
太陽をしばらく歩いていると、太陽人と出逢いました。身体は人間と同じで、顔は太陽を人間サイズにしたモノです。まあ、僕が出逢った太陽人は、人間に例えるなら、70歳ぐらいのお爺さんってとこでしょうか。僕は、その太陽人の家に招かれました。断る理由が無かったので、お邪魔する事にしました。
「お邪魔します。」
「ソファーに掛けてくれ。」
家や家具は、やっぱり太陽をそんな感じにしたモノでした。太陽のソファーに座り、太陽のご飯を食べ、太陽のジュースを飲みました。僕は、太陽人のお爺さんに、この辺でどこか楽しめる所はないかを聞きました。
「地球人一枚。」
僕は、太陽の映画館で太陽の映画を観た。
「地球人一枚。」
太陽の美術館で太陽のアートを堪能した。
「地球人一枚。」
太陽の牧場で太陽の太陽搾りも体験した。
「地球人一枚。」
太陽の遊園地で太陽のジェットコースターや太陽のメリーゴーランドや太陽のお化け屋敷で、おもいっきり楽しんだ。
「地球人一枚。」
太陽の太陽遺産で太陽の歴史を学んだ。
「地球人一枚。」
太陽の伝統工芸で思い出作りをした。そんなこんなで、あっという間に僕の夏休みが過ぎて言った。

第三百四十四話
「絵日記」

「おい。」
「なに?」
「これはいくらなんでもやり過ぎじゃないか?」
「そう?」
「子供の夏休みの絵日記を親が手伝う話は聞いた事あるよ。ただ、こんなブッ飛んだ内容で大丈夫なのか?いや大丈夫な訳がない!」
「大丈夫でしょ。てか、太陽を歩いただなんて、学校に行ったら、ヒーローよ。きっと、ヒーロー扱いよ。」
「いや、単なる嘘つきでイジメられるんじゃないか?いや、それ以前に先生から面談とかの話が来るんじゃないか?」
「なら、白紙の方が良かった訳?」
「この内容だったら、白紙の方が良かったんじゃないのか?」
「そんな訳ないでしょがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「物凄い勢いで怒るなよ。」
「アナタが突拍子もない事を言うからでしょ!」
「お前に言われたくないよ。もっと何か普通の内容で良かったんじゃないか?田舎に行ったとか、海水浴に行ってスイカ割りしたとか、花火大会を見に行ったとか、山で昆虫を捕まえたてかさ。」
「どれもやってないじゃない!」
「いやこれはもっとやってないじゃないか!」
「アナタ、普通過ぎよ。」
「いいじゃないか普通で!太陽の美術館に行ったとか、太陽の遊園地に行ったとか、太陽の牧場に行ったとかじゃなくて、普通の美術館に行ったとか、普通の遊園地に行ったとか、普通の牧場に行ったでいいじゃないか。」
「で、普通人に出逢う訳?」
「普通人って何だよ!普通人って!」
「それ、面白いの?」
「そもそも夏休みの絵日記って、面白さを求めてるモノじゃないだろ。」
「どうせならここまでやった方がいいのよ。中途半端なウソ程、バレやすいモノなのよ?」
「物凄過ぎるウソだってバレるだろ!何してんだよお前は!」
「暇潰し。」
「暇潰しでやる事なら他にもあるだろ!」
「そうね。こうして、アナタと暇潰ししてるのにも飽きたわね。」
「これも暇潰しにするなよ!って、ふざけてる場合かよ!」
「ふざけてなんてないわよ!とにかく今年の絵日記は、これでいくわ!」
「今年って、来年も書くのか?」
「こうなったら6年間、頑張る!」
「どうなったんだよ!別の次元で何と戦い始めたんだよ!」
「絵日記ー1グランプリはいただきよ!」
「学校行事を勝手に1つ増やすんじゃないよ。」
「来年は泣かすわよ~!あっ、アナタ別に死んでもいいわよね?」
「よくねぇよ!」
「絵日記の中でよ?」
「よくねぇよ!」
「よっしゃああああああああ!!」
「よくねぇからな!!」

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2013年1月23日 (水)

「第三百四十五話」

 僕は今、太陽の上を歩いています。思った程、熱くないです。僕が何れぐらい熱いと思っていたかですか?たぶん、歩く事も出来ずに、一瞬で跡形も無く燃え尽きると思っていました。でも、僕は燃え尽きるどころか、太陽の上を歩いている。どんな名画も目との距離を近付ければ近付ける程に、子供が画用紙に書いた落書きと区別がつかなくなる。そんな感じでしょうか?あまりにも太陽に近付き過ぎた僕は、熱さが分からなくなってしまったのかもしれません。だから、思った程、眩しくもなければ、思った程、赤くもないんです。むしろ、青いぐらいなんです。
「地球から来たのか?」
太陽をしばらく歩いていると、太陽人と出逢いました。身体は人間と同じで、顔は太陽を人間サイズにしたモノです。まあ、僕が出逢った太陽人は、人間に例えるなら、70歳ぐらいのお爺さんってとこでしょうか。僕は、その太陽人の家に招かれました。断る理由が無かったので、お邪魔する事にしました。
「お邪魔します。」
「ソファーに掛けてくれ。」
家や家具は、やっぱり太陽をそんな感じにしたモノでした。太陽のソファーに座り、太陽のご飯を食べ、太陽のジュースを飲みました。僕は、太陽人のお爺さんに、この辺でどこか楽しめる所はないかを聞きました。
「地球人一枚。」
僕は、太陽の映画館で太陽の映画を観た。
「地球人一枚。」
太陽の美術館で太陽のアートを堪能した。
「地球人一枚。」
太陽の牧場で太陽の太陽搾りも体験した。
「地球人一枚。」
太陽の遊園地で太陽のジェットコースターや太陽のメリーゴーランドや太陽のお化け屋敷で、おもいっきり楽しんだ。
「地球人一枚。」
太陽の太陽遺産で太陽の歴史を学んだ。
「地球人一枚。」
太陽の伝統工芸で思い出作りをした。そんなこんなで、あっという間に僕の夏休みが過ぎて言った。

第三百四十五話
「そして、面談」

「お母さん。」
「ありがとうございます。」
「いや、まだ何も言ってませんし、ましてやそんなお礼の言葉が返って来るような事を言おうとしてませんよ?」
「でも、あれですよね?先生。息子が今年の絵日記ー1グランプリで優勝したって話ですよね?」
「何ですか、そのイベントは!だいたい仮にそのようなイベントが開催されたとしても、この絵日記で優勝出来ませんよ!それどころか、予選にすら僕は出しませんよ!」
「先生!息子を特別扱いしないで下さい!いくら息子が優秀過ぎるからって、そんな特別扱いされたら、息子が、息子が、クラスでイジメられるじゃないですか!」
「物凄い死角からクレーム言ってきますね!お母さん、理解してらっしゃいますか?今日、なぜ学校に呼ばれたのか?」
「絵日記の事で、ですよね?」
「そうです。」
「優勝したんですよね?」
「しないんですよ、優勝!」
「しないんですか、優勝!?しようよ、優勝!」
「だから、存在しないんですよ、この小学校にはそのようなグランプリは!」
「チッ!」
「何で舌打ち?あのですね?お母さん?今日、お母さんに来てもらったのはですね?お母さんに、注意する事があるからなんですよ。」
「お母さん、お母さんって、アタシは、先生のお母さんじゃありません!」
「そんなつもりで呼んでませんよ!なら何て呼んだらいいんですか!」
「マチルダ。」
「何でですか!」
「そこに理由がいりますか?先生、登山家がそこに山があるから登るように、アタシは、そこにマチルダがいるから呼ばれるんです!」
「・・・・・・ご主人、大変でしょ?」
「主人?主人は、来年死にます。」
「えっ!?あっ、すいません。何か事情も知らずに・・・・・・・・・。そんなに重い病気なんですか?」
「いや、病気って訳じゃないんですけどね。来年の絵日記では、主人に死んでもらって、その余命エピソードで、この小学校を涙で水没させてやろうかと!」
「やめて下さい。だいたい、その絵日記について、お母さんに」
「マチルダ!」
「マチルダさんに」
「呼び捨てで構わないわ。」
「・・・・・・マチルダに注意しときたいんです。」
「注意されるような事はありません!」
「書いたでしょ!息子さんの絵日記を完全にマチルダが書いたでしょ!」
「書いてません!」
「!?」
「!?」
「いや、何でマチルダまで驚くんですか!」
「だって先生が驚いたから、負けてたまるか!と思って!」
「争ってませんから、って書きましたよね?」
「こいてません!先生が、こいたんじゃないですか?アタシに擦り付けないで下さい!」
「か、です!この流れで誰が、屁をこいたなんて聞くんですか!息子さんの絵日記を書きましたよね!」
「・・・・・・確かに?確かに書きましたよ?けど先生?・・・けど先生。けど先生!」
「変なアダ名を勝手に思い付かないで下さい。何ですか?だったら、他にもいるんじゃないかって言いたいんですか?確かに、いますよ。代わりに絵日記を書いてる親は、マチルダだけじゃありませんよ。」
「だったら!」
「だったら、どうして自分だけと言いたいんですか?」
「そうよ、マチルダ!何でマチルダだけマチルダに呼び出しされなきゃいけないの!マチルダ、納得いかない!マチルダを呼んでちょうだい!」
「マチルダだらけ!僕までマチルダになっちゃったら、ややこしいったりゃありゃしませんよ!」
「これが全人類マチルダ計画!」
「その計画が遂行されて地球がどうなるんです。」
「マチルダになるわ。」
「ちょっと、お母さん!真面目に聞いて下さい!」
「は~い!」
「・・・・・・・・・。」
「ん?何ですか?どうぞ、話を進めて下さい。真面目に聞きますから。」
「じゃあ、白目をまずやめて下さい。」
「アタシが生まれた村では、人の話を真面目に聞く時は白目をするんです!」
「この小学校ではそれは逆効果です!いえ、たぶんその村以外では完全に逆効果です!」
「じゃあ、黒いマジック貸して下さい。」
「そんな事しないで、素直に黒目を出せばいいでしょうが!」
「・・・・・・分かりました。すみません、酋長。掟を破ります。」
「村長でしょ。」
「ウチの村では!村長の上に酋長がいるんです!その上には工場長がいるんです!」
「何ですかその村!仮にそうだとしたら、なぜお母さんは今、酋長に謝ったんですか。」
「酋長が好きだったからです!」
「僕、ご主人の事を尊敬しますよ。」
「ありがとうございます。では。」
「いや、帰ろうとしないで下さい!そんな事を伝える為に、わざわざ来てもらった訳じゃないんですから!」
「はいはい。」
「急に投げやりな態度!?」
「分かりましたよ。息子の絵日記を勝手に書くなって事ですよね?でも先生!これだけは、信じて下さい!」
「何ですか?」
「アタシは、確かに息子の絵日記をガッツリ書きました!けど、アタシは息子が話す夏休みの体験談を書いただけなんです!この体験談をどうやって絵日記にしたらいいのかって悩んでいた息子に、救いの手を差し伸べただけなんです!だってそうでしょ?アタシは!あの子の母親なんですから!」
「よくぞ今の話を僕が信じると思いましたね。」
「信じるも何もアタ」
「息子さんにも確認しました。そしたら、お母さんがやる気まんまんで書くって夏休みの初日に絵日記を取り上げたと言っていました。」
「そんな事があったんですか。いろんな方がいるんですね。」
「貴女の事でしょうが!」
「てへっ!」
「有り得ないリアクションで凌げる程の空気感じゃありませんよ!」
「テヘペロ!」
「だから!」
「ウホッ!」
「何でゴリラ?」
「ウホペロ!」
「いやもう意味が!意味が分かりませんよ、お母さん!この状況分かってるんですか!」
「アタシ、公文書偽造で逮捕されるんですか?」
「されませんよ、逮捕!ただ、今後は息子さんの絵日記を書かないで下さいって注意したいだけです。」
「ラジャー!」
「本当に分かってらっしゃいますか?」
「勿の論ですよ!」
「・・・・・・お願いしますよ。」
「そうだ!来年は、先生が全校生徒を人質に学校に立て籠るでいこう!」
「分かってないじゃないですか!」
「よっしゃああああああああ!!」
「お母さん!!」
「アマンダ、です。」
「マチルダ、だろ!」

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2013年1月30日 (水)

「第三百四十六話」

「おじさん!死なないで!」
「大丈夫だ・・・・・・こんなんじゃ・・・死なないさ。」
「でも・・・こんなに血が・・・。」
「はは・・・ホントだ・・・お前は・・・・・・怪我してないか?」
「僕は大丈夫!」
「そうか・・・そりゃあ・・・良か・・・・・・った・・・・・・。」
「おじさん?ねぇ?おじさん?」
「・・・・・・・・・。」
「おじさんってば!」
「・・・・・・・・・。」
「おじさーーーーーーーーんっ!!!」
青空を舞う札束と風船を目に、サイレンの音の中、死刑囚の男は死に、少年は泣きながらその体を揺すった。

第三百四十六話
「死刑囚と少年」

 時を同じくして、死刑囚が収容されていた刑務所の所長室に、副所長が訪れていた。
「所長。1104の死亡を確認しました。」
「そうか。」
「・・・・・・・・・。」
「ん?どうした?報告は済んだのだろ?」
「・・・・・・・・・はい。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「他に何か報告があるのか?」
「所長。私には間違っているとしか思えません。」
「何の事を言っているのかな?」
「死刑囚に対する死刑執行の方法の事です。」
「さて?それの一体どこの部分が間違っていると言いたいのだ?」
「全部です。」
「全部?」
「3ヶ月間、子供と一緒に行動させる事も、その子供を守り抜いたら刑期が帳消しにされる事もです。」
「・・・・・・副所長。」
「はい。」
「キミは、人間として人生の最期を迎えたいとは思わないか?」
「人間ですよ!死刑囚も!」
「見た目はそうだが、心はそうではない。」
「所長、私は綺麗な作り事の詭弁を聞きたい訳ではないんです。」
「と、言うと?」
「結局のとこ、これは死刑執行なんですよね?」
「そうだ。だが、普通の死刑執行とは違う。彼もまた、人間として死ぬ事が出来た。」
「ですから!私が言いたい事は、そんな事ではありません!3ヶ月間、子供を守り抜いて生き延びた死刑囚が居ない事実の方です!」
「人間とは不思議で、ある状況下に置かれると、情が育まれる。普通の凶悪犯なら、その日に子供を殺して逃亡しようとするだろう。だが、死刑囚ともなれば、話は別だ。事実どうだ?1104は、銀行強盗から身を呈して子供を守った。過去にも色々なカタチで死刑囚は、子供を守った。そして、人間の心を取り戻して死んで逝った。」
「話だけを聞いていれば、実に美談ですよ。」
「世の中は、美談が好きだからな。」
「話を逸らさないで下さい!問題なのは、生き延びた死刑囚が居ないって事なんですよ!所長!」
「・・・・・・・・・。」
「このプログラムには全て筋書きが存在している事が問題なんですよ!」
「・・・・・・今さら何を言い出すのかと思えば、副所長。当然ではないか。」
「えっ?」
「死刑囚なのだから死ぬのは当然ではないか、と言っているのだ。」
「だったら、普通に刑を執行すればいいじゃないですか!」
「普通・・・・・・か。それで、被害者遺族が負った心の傷が癒されるのか?」
「そ、それは・・・・・・・・・。」
「この特別プログラムは、被害者遺族の為に存在している事を忘れない事だ!全てが丸く収まる死刑執行など存在しない!既に壊れてしまった世界に正確な方程式など有り得ないのだ!だが、命の尊厳を守りつつ、止まった時間の針を動かさなければならない!それを最大限にまで考えられたのが、この特別プログラムだ!」
「しかし!子供は!見ず知らずの人間の死を目の当たりにした子供の将来は一体どうなるんですか!」
「立派に育つだろう。」
「そんなの!分からないじゃないですか!」
「そうだな。だが、立派に育って欲しい。自らの命を犠牲に自分の命を守ってくれた死刑囚の為にも、その体験を糧にして、真っ直ぐな人間に育って欲しい。」
「欲しい・・・欲しいって・・・・・・目の前で死んだのは、自分の親なんですよ!!」
「その事実は、お互い知らない。ましてや、死刑囚の方は、自分に子供がいるだなど思ってもいない。いいか?これは特別な条件が揃った上で執行可能な特別プログラムだと言う事を忘れない事だ。さあ、そろそろ仕事に戻ったらどうだ?」
「被害者遺族の為、死刑囚の為、子供の為・・・所長!一体これは、何のプログラムなんですか!誰が得をするんですか!」
「これは、世界平和へと繋がるプログラム。」
「ふざけないで下さい!」
「悪は許さない。だが、悪に対する理不尽で行き過ぎた処罰も許さない。そんなキミの様な正義のジャッジが出来る大人に、あの少年も育ってくれると、我々は信じているのだよ。」
「まさか!?」
「誰が得をするのかではない。誰もが得をする。このプログラムは、そうプログラミングされているのだよ。」
「あの時・・・私を救ってくれた男は・・・死刑囚・・・・・・私の父親・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」

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