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2013年1月 9日 (水)

「第三百四十三話」

「謎だ。」
「謎ですね。」
「なぜ、犬もいないのに、家中に犬のフンが存在しているの、か。」
「謎ですね。」
「謎だな。」

第三百四十三話
「犬のフン課」

「警部、こう言う仮説は、どうでしょう?」
「うむ。」
「家主は、犬を飼っていない。ましてや、どこからか犬が侵入した形跡も見受けられない。」
「うむ。」
「だとしたら、考えられる可能性としたら?」
「うむ。」
「犬のフンが、この家に瞬間移動して来た。」
「・・・・・・いや何なんだよその仮説は!」
「ダメですか?」
「ダメですかも何もだよ。瞬間移動って、それは何なんだよ。」
「ですから、特定の犬種の肛門とこの家との空間が何らかの、そう例えば時空の歪みなどにより、偶然繋がってしまったんですよ!」
「マジか!キミ、マジで言ってんのか!」
「しかしですよ?だとしたら瞬間移動以外で、他にこれをどう説明出来ます?」
「あのなぁ?まずだぞ?瞬間移動って現象が説明出来てないだろ?」
「まあ、確かに特定の犬種の肛門とこの家との空間が時空の歪みによって繋がったと言う考え方は、或いは飛躍し過ぎたのかもしれません。なら、この仮説は、どうでしょう?」
「大丈夫なやつか?」
「これは、嫌がらせです。」
「なるほどな!家主の事を良く思っていない者の犯行って訳だな。ん?だが、やはりそれでもその犯人は、どうやってこの家に侵入したかの謎は、謎のままだぞ?」
「瞬間移動装置を使ったんですよ!」
「瞬間移動装置!?」
「瞬間移動装置!」
「ん?何、瞬間移動装置って?」
「知らないんですか?瞬間移動装置!」
「知らないよ。瞬間移動装置。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・その瞬間移動装置に犬のフンを置き、この家に転送したんですよ!」
「おい、なあ?私とキミとの近年希にみるこの温度差を感じろよ。いいか?瞬間移動装置とか、ありもしないそんな未知なモノで事件を片付けられる訳がないだろ?」
「ちょっと待って下さい。」
「何だ!」
「瞬間移動装置が存在しないって、どうして断言出来るんですか?」
「あるのか!?瞬間移動装置!?」
「ないんですか?瞬間移動装置!」
「私が聞いてるんだ!」
「僕も聞いてるんです!」
「ないだろ!」
「あるかもしれないじゃないですか!」
「だからな?そう言う未知なモノで事件を片付けるのは簡単だよ。誰にも証明出来ない。誰にも否定出来ない。だが、それじゃあ、とどのつまり何も解決した事にはならないだろ?この犬のフンは宇宙人の仕業だとか言ってるのも同じだろ?」
「宇宙人は、こんな事しませんよ。って、警部はまさか宇宙人を信じてるんですか?」
「別に信じてる訳じゃないが、存在しててもおかしくはないんじゃないかぐらいは思ってるよ。」
「それですよ!」
「どれですか?」
「宇宙人は、信じてないけど、もしかしたら存在しててもおかしくない。なら瞬間移動装置だって考えは同じではないでしょうか?もしかしたら、どこかの博士が発明しているかも?」
「いやいやいや、具体的過ぎるだろ、キミの瞬間移動装置の話は?博士とか出て来ちゃってるじゃないか。」
「じゃあ、警部も○○星人とか言えばいいじゃないですか。」
「いやまずその次元でキミと犬のフンについて争ってないから。じゃあ何か?その博士が家主に嫌がらせをしてるって言うのか?」
「いや、その博士が直接しているか、博士から瞬間移動装置を強奪した何者かがしているのか、それは分かりませんよ。ただ一つ分かっているのは、瞬間移動装置がこの世にあるかもしれないって事です。」
「博士から強奪とか、仮説を仮説でどんどん膨らませないでくれよ。だいたい、何か瞬間移動装置の有無が主体になってきてないか?」
「この現場がそれを証明しているじゃないですか!」
「待て待て待て!もしかしたら、まだ我々が発見出来てない犬の侵入経路があるかもしれないだろ?」
「こんなに捜してもないんですよ?犬は、家には侵入していません!」
「それはそうだが、犬のフン課の我々二人が、ちょろっと捜した程度だろ?専門家が捜したら見付かるかもしれないじゃないか。」
「しかし!だとしても!現段階では瞬間移動と言う仮説が濃厚です!」
「現段階の仮説なら、無限大な想像力でどんな仮説でもさじ加減だろ!」
「警部!悠長に犬のフンなんか片付けていないで真面目に聞いて下さい!そんな事をしている間にも犯人は、別の家に犬のフンを転送しているかもしれないんですよ!」
「仕事だからだ!犬のフンを片付ける!これが犬のフン課の仕事だからだ!だからこうして真面目に犬のフンを片付けてるんだ!侵入経路や犯人捜査や現場検証は、その専門に任せとけばいんだよ!暢気に探偵気取りしてないで、キミもさっさと犬のフンを片付けろ!」
「・・・・・・はい。」
「ったく!今日はまだまだ、片付けなきゃならない犬のフンがあるんだぞ!」
「すいません・・・・・・。」
「分かったなら手を動かす。」
「はい・・・・・・でも警部?」
「ん?」
「犬のフン課って、何なんですか?」
「知らんよ!」

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