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2013年1月23日 (水)

「第三百四十五話」

 僕は今、太陽の上を歩いています。思った程、熱くないです。僕が何れぐらい熱いと思っていたかですか?たぶん、歩く事も出来ずに、一瞬で跡形も無く燃え尽きると思っていました。でも、僕は燃え尽きるどころか、太陽の上を歩いている。どんな名画も目との距離を近付ければ近付ける程に、子供が画用紙に書いた落書きと区別がつかなくなる。そんな感じでしょうか?あまりにも太陽に近付き過ぎた僕は、熱さが分からなくなってしまったのかもしれません。だから、思った程、眩しくもなければ、思った程、赤くもないんです。むしろ、青いぐらいなんです。
「地球から来たのか?」
太陽をしばらく歩いていると、太陽人と出逢いました。身体は人間と同じで、顔は太陽を人間サイズにしたモノです。まあ、僕が出逢った太陽人は、人間に例えるなら、70歳ぐらいのお爺さんってとこでしょうか。僕は、その太陽人の家に招かれました。断る理由が無かったので、お邪魔する事にしました。
「お邪魔します。」
「ソファーに掛けてくれ。」
家や家具は、やっぱり太陽をそんな感じにしたモノでした。太陽のソファーに座り、太陽のご飯を食べ、太陽のジュースを飲みました。僕は、太陽人のお爺さんに、この辺でどこか楽しめる所はないかを聞きました。
「地球人一枚。」
僕は、太陽の映画館で太陽の映画を観た。
「地球人一枚。」
太陽の美術館で太陽のアートを堪能した。
「地球人一枚。」
太陽の牧場で太陽の太陽搾りも体験した。
「地球人一枚。」
太陽の遊園地で太陽のジェットコースターや太陽のメリーゴーランドや太陽のお化け屋敷で、おもいっきり楽しんだ。
「地球人一枚。」
太陽の太陽遺産で太陽の歴史を学んだ。
「地球人一枚。」
太陽の伝統工芸で思い出作りをした。そんなこんなで、あっという間に僕の夏休みが過ぎて言った。

第三百四十五話
「そして、面談」

「お母さん。」
「ありがとうございます。」
「いや、まだ何も言ってませんし、ましてやそんなお礼の言葉が返って来るような事を言おうとしてませんよ?」
「でも、あれですよね?先生。息子が今年の絵日記ー1グランプリで優勝したって話ですよね?」
「何ですか、そのイベントは!だいたい仮にそのようなイベントが開催されたとしても、この絵日記で優勝出来ませんよ!それどころか、予選にすら僕は出しませんよ!」
「先生!息子を特別扱いしないで下さい!いくら息子が優秀過ぎるからって、そんな特別扱いされたら、息子が、息子が、クラスでイジメられるじゃないですか!」
「物凄い死角からクレーム言ってきますね!お母さん、理解してらっしゃいますか?今日、なぜ学校に呼ばれたのか?」
「絵日記の事で、ですよね?」
「そうです。」
「優勝したんですよね?」
「しないんですよ、優勝!」
「しないんですか、優勝!?しようよ、優勝!」
「だから、存在しないんですよ、この小学校にはそのようなグランプリは!」
「チッ!」
「何で舌打ち?あのですね?お母さん?今日、お母さんに来てもらったのはですね?お母さんに、注意する事があるからなんですよ。」
「お母さん、お母さんって、アタシは、先生のお母さんじゃありません!」
「そんなつもりで呼んでませんよ!なら何て呼んだらいいんですか!」
「マチルダ。」
「何でですか!」
「そこに理由がいりますか?先生、登山家がそこに山があるから登るように、アタシは、そこにマチルダがいるから呼ばれるんです!」
「・・・・・・ご主人、大変でしょ?」
「主人?主人は、来年死にます。」
「えっ!?あっ、すいません。何か事情も知らずに・・・・・・・・・。そんなに重い病気なんですか?」
「いや、病気って訳じゃないんですけどね。来年の絵日記では、主人に死んでもらって、その余命エピソードで、この小学校を涙で水没させてやろうかと!」
「やめて下さい。だいたい、その絵日記について、お母さんに」
「マチルダ!」
「マチルダさんに」
「呼び捨てで構わないわ。」
「・・・・・・マチルダに注意しときたいんです。」
「注意されるような事はありません!」
「書いたでしょ!息子さんの絵日記を完全にマチルダが書いたでしょ!」
「書いてません!」
「!?」
「!?」
「いや、何でマチルダまで驚くんですか!」
「だって先生が驚いたから、負けてたまるか!と思って!」
「争ってませんから、って書きましたよね?」
「こいてません!先生が、こいたんじゃないですか?アタシに擦り付けないで下さい!」
「か、です!この流れで誰が、屁をこいたなんて聞くんですか!息子さんの絵日記を書きましたよね!」
「・・・・・・確かに?確かに書きましたよ?けど先生?・・・けど先生。けど先生!」
「変なアダ名を勝手に思い付かないで下さい。何ですか?だったら、他にもいるんじゃないかって言いたいんですか?確かに、いますよ。代わりに絵日記を書いてる親は、マチルダだけじゃありませんよ。」
「だったら!」
「だったら、どうして自分だけと言いたいんですか?」
「そうよ、マチルダ!何でマチルダだけマチルダに呼び出しされなきゃいけないの!マチルダ、納得いかない!マチルダを呼んでちょうだい!」
「マチルダだらけ!僕までマチルダになっちゃったら、ややこしいったりゃありゃしませんよ!」
「これが全人類マチルダ計画!」
「その計画が遂行されて地球がどうなるんです。」
「マチルダになるわ。」
「ちょっと、お母さん!真面目に聞いて下さい!」
「は~い!」
「・・・・・・・・・。」
「ん?何ですか?どうぞ、話を進めて下さい。真面目に聞きますから。」
「じゃあ、白目をまずやめて下さい。」
「アタシが生まれた村では、人の話を真面目に聞く時は白目をするんです!」
「この小学校ではそれは逆効果です!いえ、たぶんその村以外では完全に逆効果です!」
「じゃあ、黒いマジック貸して下さい。」
「そんな事しないで、素直に黒目を出せばいいでしょうが!」
「・・・・・・分かりました。すみません、酋長。掟を破ります。」
「村長でしょ。」
「ウチの村では!村長の上に酋長がいるんです!その上には工場長がいるんです!」
「何ですかその村!仮にそうだとしたら、なぜお母さんは今、酋長に謝ったんですか。」
「酋長が好きだったからです!」
「僕、ご主人の事を尊敬しますよ。」
「ありがとうございます。では。」
「いや、帰ろうとしないで下さい!そんな事を伝える為に、わざわざ来てもらった訳じゃないんですから!」
「はいはい。」
「急に投げやりな態度!?」
「分かりましたよ。息子の絵日記を勝手に書くなって事ですよね?でも先生!これだけは、信じて下さい!」
「何ですか?」
「アタシは、確かに息子の絵日記をガッツリ書きました!けど、アタシは息子が話す夏休みの体験談を書いただけなんです!この体験談をどうやって絵日記にしたらいいのかって悩んでいた息子に、救いの手を差し伸べただけなんです!だってそうでしょ?アタシは!あの子の母親なんですから!」
「よくぞ今の話を僕が信じると思いましたね。」
「信じるも何もアタ」
「息子さんにも確認しました。そしたら、お母さんがやる気まんまんで書くって夏休みの初日に絵日記を取り上げたと言っていました。」
「そんな事があったんですか。いろんな方がいるんですね。」
「貴女の事でしょうが!」
「てへっ!」
「有り得ないリアクションで凌げる程の空気感じゃありませんよ!」
「テヘペロ!」
「だから!」
「ウホッ!」
「何でゴリラ?」
「ウホペロ!」
「いやもう意味が!意味が分かりませんよ、お母さん!この状況分かってるんですか!」
「アタシ、公文書偽造で逮捕されるんですか?」
「されませんよ、逮捕!ただ、今後は息子さんの絵日記を書かないで下さいって注意したいだけです。」
「ラジャー!」
「本当に分かってらっしゃいますか?」
「勿の論ですよ!」
「・・・・・・お願いしますよ。」
「そうだ!来年は、先生が全校生徒を人質に学校に立て籠るでいこう!」
「分かってないじゃないですか!」
「よっしゃああああああああ!!」
「お母さん!!」
「アマンダ、です。」
「マチルダ、だろ!」

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