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2013年2月27日 (水)

「第三百五十話」

「何の真似だね!副操縦士!これは一体どう言う事なんだ!」
「・・・・・・・・・機長。」
「早まるな!今ならまだ、この事は私の心の中だけにとどめておく!銃をしまうのだ!」
「申し訳ありません機長。その頼みは、聞く事は出来ません。」
「・・・・・・何が目的だ!ハイジャックか!テロか!」
「違う。」
「違う?」
「違う!目的は機長!貴方だ!」
「わ、私だと!?」
「そうです。」
「私を殺すと言うのか?」
「まあ、簡単に言うならそんなとこです。」
「だったら、何も飛行機を操縦している時でなくても良いではないか!乗客や他の乗員には関係の無い事ではないか!要求はなんだ!金か?」
「金?金なんかじゃありませんよ。金なんて、いりませんよ。」
「なら、何だ!」
「何か、面白い事をやってみせて下さい。」
「何だと!?」
「俺が心の底から笑ったら、命は救われます。タイムリミットは、目的地の滑走路が目視出来るまでです。仮にそれまでに俺を笑わす事が出来なかったら、当機は墜落、乗員乗客全員死亡です。もちろん、この要求を拒否や放棄した時点で、俺は貴方を撃ち殺します。」
「何をバカな事を言っているのだ、副操縦士!そんなふざけた要求を受け入れられる訳がないだろう!そもそも面白い事をしてくれなんて急に言われても、そんな難しい事を、ましてや銃を向けられながら、飛行機を運転して出来る訳がない!」
「機長?」
「何だ!」
「今時、寄り目で笑うとでも?」
「笑わないのか?」
「笑わないでしょ。」
「いやしかし、寄り目だぞ?」
「寄り目ですよ?」
「ちょっと待ってよ、副操縦士!寄り目って言ってもただの寄り目じゃないんだぞ?何かこう、真面目な事を語りつつの寄り目だぞ?」
「踏まえてですよ。それを分かった上で言ってます。」
「あれか!副操縦士の方を振り向き様に既に寄り目だったのが悪かったのか!話ながら徐々に徐々に寄り目にしていけば良かったのか!」
「そう言う問題じゃなくて、やめません?そのもう寄り目についての説明。笑いを説明されればされる程に笑えなくなっちゃいますから。んでもう寄り目しなくていいですから。」
「じゃあ何だ!モノマネとかか!」
「俺を心の底から笑わせられるなら、何でもいいですよ。」
「どう?」
「いやどうって、また寄り目してるだけじゃないですか!」
「違うよ。さっき寄り目してた時の私のモノマネだよ。」
「自分で自分のモノマネしちゃうとか、何なんですか!自分で自分のモノマネしてたら、それは自分でしょ!モノマネの境界線が分からないでしょ!だいたい笑わなかった寄り目をチョイスしたとこで、笑わないでしょ!」
「寄り目がダメとなると、参ったなぁ。」
「いや機長!面白い事をしてくれで、寄り目しか武器が無いんですか?」
「まあ、後は・・・・・・ここに新聞があればなぁ。」
「新聞があったらどうだって言うんですか。」
「新聞を両手で開いて読みながら、その向こうにいる娘さんを下さいと頭を下げる青年に、娘はやらん!と言いつつ、そんなやり取りがあり、最終的には、娘を頼むと言う父親が、新聞を置いた時、寄り目!」
「寄り目ーっ!ほらまた寄り目!いいですか機長!寄り目で俺は笑いません!それはもう絶対にです!だから他の方法を考えて下さい!」
「なら、新聞を置いた時、普通の目!」
「いや、それはもう普通に娘さんを下さい、でしょ!」
「新聞を置いた時、爆破した時みたいになってる!」
「いやまあ、何で1人だけ?って思いますよ。何があったの?とか思いますよ。ちょっと面白いですよ。」
「ほら!」
「ほら、じゃなくて!それを実際に今、ここでやってくれるなら笑ったかもしれませんよ!けど想像だけでは無理です!」
「じゃあ、分かった!右手を左手だと思い込んでる男、やります!」
「はい?」
「なあ?副操縦士?」
「何ですか?」
「人間は、右足があり右目があり右耳があり右肩があり右腕があると言うのに、右手が無いんだ?いっつも左手だ。何をするにも左手だ。右利きなのにだぞ!右利きなのに全てが左手だ!左手でフォークを握り、左手でナイフを握り、左手でステーキを切り、左手でステーキを食べる!左手と左手でハンドルを握り車を運転する!どうして私には右手が無いんだ!!」
「・・・・・・いやシュールと言うか、恐いですよ!何なんですかそのシチュエーション!とてもじゃないけど笑えないですよ!」
「急に鼻の存在に気付く人、はどう?」
「いやちょっと、そのシリーズで心の底から笑う自信が無いです。」
「えっ!?何これ!!」
「やらなくていいですよ。」
「あれ?こんなの昨日、ついてたかなぁ?剃り残し?」
「ヒゲじゃないんですから、ちょっと機長?」
「はっ!病気?まさか、私は病気なのか!?」
「笑いませんよ?」
「鼻病!」
「鼻って言っちゃってるし!」
「鼻って言っちゃった!」
「鼻って言っちゃったじゃないでしょ!こんなんだと、全員死亡は確実ですよ?」
「急に額が割れて血でも出てくればなぁ?」
「いや、それ見て心の底から笑ってたら、俺どーかしてるでしょ!」
「脱出ボタン押してさ。上に飛び出ないで、下に飛び出たら面白くない?」
「いやまあ、面白いですけど、だからそれって想像の話じゃないですか!」
「脱出ボタン押したらさ。ただ単に指が赤くなっただけとか。」
「いたずらされてるだけじゃないですか!」
「脱出ボタン押したらさ。乗員乗客全員がオナラ出ちゃうとか!」
「だったら面白いですよ。って脱出ボタン何なんですか!脱出ボタンネタもういいですよ!」
「脱出ボタン押したらさ。乗員乗客全員が寄り目んなっちゃう!」
「脱出ボタンも寄り目も、もういいんですよ!!真面目に面白い事をして下さい!全員の命がかかってるんですよ!」
「そんな事を言われてもだろ!だったら、今すぐにでもこんな事をやめたらいいだろ!」
「やめられないんですよ!」
「何でだ!さじ加減だろ!」
「これを見て下さい!」
「な、何だその胸についてる複雑な装置は!」
「時限爆弾です。」
「じ、時限爆弾だと!?ならやっぱり副操縦士!貴様!」
「違う!俺はテロリストでも愉快犯でもない!朝、起きたらこうだったんです。」
「何だと!?」
「これは、ゲームなんです。」
「ゲーム!?」
「解除するには、機長が心の底から俺を笑わせる事なんです!」
「犯人は誰なんだ!」
「分かりません!今は犯人が誰だとか目的は何なのかを詮索してる時間は無いんですよ!早く面白い事を!機長!」
「・・・・・・・・・分かった。」
「ってこのタイミングでまた寄り目ーっ!!」

第三百五十話
「C☆C1104型機」

「空路から外れ、消息が不明になっていたC☆C1104型機が、先ほど無事に目的地の空港に到着した模様です。こちらは詳しい情報が入り次第、現地から中継を繋ぎます。続いてものニュースは最近街で話題になっ・・・・・・・・・」

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