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2013年3月13日 (水)

「第三百五十二話」

 ここは、ピザのお店。そのレンガ造りの建物の中で、今日もピザ職人はピザを作る。
「よーし!今日もピザを作るぞーっ!」
若い彼は、新人ピザ職人。誰もが喜ぶ美味しいピザを作る為、日々ピザを作り続けている。
「ちょっとこの写真、見てくれるか?」
彼は、新人ピザ職人の先輩ピザ職人。この店で10年働いている。
「写真ですか?」
「どう思う?」
「どう思うって、女の子が1人写ってますね。」
「その少女は、何してる?」
「ピースサインしてますね。」
「そうか。」
「娘さんですか?」
「いや違う。そうだよな。ピースサインしてるように見えるよな。」
「違うんですか?」
「いや、俺も少女が笑顔でピースサインしてる写真にしか見えないただ!」
「ただ?」
「もしこれが、ピースサインじゃないとしたら?」
「これがピースサインじゃないとしたら、何なんですか?」
「そこだよ!」
「はい?」
「これは、少女が笑顔でピースサインしてる写真かもしれないだが、真逆の写真かもしれない。」
「真逆の写真?って、だいたいこの写真、どうしたんですか?」
「我々に助けを求めてる写真なのかもしれない!」
「我々ってピザ職人にですか?」
「たまたま我々がピザ職人だっただけの話で実は!少女は、何かの組織の何かの陰謀に巻き込まれ、これはその時に撮影された物かもしれない!撮影者の目を欺く為に一見、笑顔でピースサインしてるかのように見えるが実は!違う何かのサインを我々に送ってるのかもしれない例えば!それは少女の居場所であり例えばそれは!これから近い将来、組織が巻き起こす人類存亡の危機である!」
「映画の観過ぎじゃないですか?」
「俺は生地は回すがフィルムを回した事なんてない俺は!生まれてから1度も映画を観た事がない!」
「何でそんな嘘付くんですか?先週、ピザ映画を観に行ったばっかじゃないですか。って、だから何なんですか?この写真?で、先輩にそこまで考えさせるって、一体どんな経緯で手に入れた写真なんですか?」
「少女の背景には何が写ってる?」
「・・・・・・滑り台やブランコ?ですかね?どこかの公園ですかね。」
「ああ、公園だしかし!この辺りの公園じゃないましてや!よく見ろ!背景には誰も写ってない!公園なのにだ!」
「いや、この感じで背景に写りこむ方が難しいですよ。滑り台やブランコって言いましたけど定かではないですし、それにこの感じでこの辺りの公園じゃないって判断するのも難しいですよ。」
「だが俺は判断した。」
「無理矢理ですよね?」
「いいか?お前はまだ若いだから、分からないのかもしれないが人生には、時に無理矢理な判断も必要なんだよ。」
「ちょっと、どうでもいいですけど、ピザ作りません?」
「ピザは作らない!」
「何でですか!?」
「お前、少女の命とピザと一体どっちが大事なんだ!」
「今のところピザですよ。いいですか?例えば先輩がこの写真をそんな雰囲気を醸し出す感じで手に入れたんなら、話は別です。突然、家の玄関の扉の下から封筒が入ってきたとか、大通りを歩いてる途中に誰かにコートのポケットとかに入れられたとか、とにかく経緯が分からない以上は、ピザが1番です!」
「映画の観過ぎじゃないですか?」
「先輩に言われたくないですよ!」
「例えばどうだ?そもそもこの写真に写る笑顔でピースサインしてる少女は関係無い。」
「大丈夫ですか?」
「写真の少女ではなく、写真自体に何らかの仕掛けがあるとしたら?例えば何か特殊なインクで文字が書かれていて特殊なライトを当てると浮かび上がってくるとかそれか!例えばあと数枚集めると見えて来る真実があるとか!」
「もう1度言いますけど、大丈夫ですか?今さっき、映画の観過ぎって言った人の言葉ですか?どうでもいいですから、早く生地作りとかしましょうよ。」
「どうでもいい?」
「そうですよ。そんな訳の分からない写真なんかどうでもいいですから、ピザ作りましょうよ。」
「お前!この地球が消滅したら!そもそも大好きなピザだって作れないんだぞ!」
「話が!話が飛躍し過ぎてもう何が何だか!だいたいその言い方だと写真の謎解けちゃってるじゃないですか!そうだとしたら僕に見せるべき写真じゃないでしょ!何で写真を手に入れた経緯を教えてくれないんですか!」
「この国が宇宙人と密接な関係にあり、友好な状態である為にはつまり!生け贄が必要だったんだ。」
「なぜここに来て話が断定的になるんですか?」
「この写真は政府のある機関に保管されていたそう!政府は裏で宇宙人の誘拐の手助けをしてたんだよしかし!俺が部屋を訪れた時既に!何者かによって機関は壊滅してたんだきっと!どこぞの正義のヒーローか何かの仕業なんだろうけどその結果!巻き起こるのは何だ?友好条約が決裂した宇宙人からの逆襲だ正義を!貫く一方でまた!それは更に大きな危機を生む!」
「ピザ職人の先輩がどの立ち位置でそんな場にいるのかが気になりますけどね。」
「でもな?」
「何ですか?」
「そうは言うけどな?」
「全部、先輩が言ってるんですよ?」
「この写真は単に、笑顔でピースサインしてる少女が写った写真なのかもしれない。」
「だとしたらこれは一体何の時間だったんですか!で、一体何なんですかその写真は!」
ここは、ピザのお店。そのレンガ造りの建物の中で、今日もピザ職人はピザを作る。
「さあ!今日も美味しいピザ!作るぞーっ!」
「ちょっと先輩!」

第三百五十二話
「そこが気になるモッツァレる!」

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