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2013年5月 8日 (水)

「第三百六十話」

「問題なのは!問題な事が問題にされていないって問題です!」
「問題問題問題問題ってキミねぇ!こっちは訳が分からないよ!」
「それも所謂な問題です!」
「何だキミは?問題博士か?」
「博士ではありません!」
「いやそれ分かってこっちも言ってるから。」
「問題管理局問題課の新人です!」
「はあ?」

第三百六十話
「問題管理局問題課の新人」

私は、美しい滝が見れる場所から数分の距離に佇む宿にいた。すると女子が、そうスーツ姿の女子が入って来た。302の私の部屋に入って来て、ズカズカと窓から夜の景観を愛でている私の目の前へとやって来て、目の前の椅子に座るなり、いきなり私を問題だらけにした。
「あのねぇ?キミねぇ?私はだねぇ?」
「夕食を食べ、2回目の温泉に入り、部屋で夜の風景を楽しんでいる。」
「そうだよ。」
「それは問題ではありません。」
「あそう。じゃあ何がそんなに問題なの?と言うか、問題管理局問題課って何なの?」
「そこを問題としているんですか?」
「いやまあ、聞いた事ないし、気になるし。」
「問題管理局とは、問題となる事象や出来事が問題となる前に迅速にその問題を未然に解決する機関です。因みにアタシが配属された問題課の他にも大問題課、難問題課、超難問題課、黒問題課などが存在します。」
「こくもんだいか?・・・・・・ならキミが追ってる問題は、問題管理局の中では比較的イージーな問題って事か。」
「簡単な問題なんて存在しない!!」
「えっ!?」
「問題は難しくなる事はあっても!問題である以上!すでに全ての問題がある一定の簡単値を越えてしまっているんです!」
「・・・・・・・・・すまない。何かよく分からないけど、とにかく申し訳ない。迂闊な事を口にしてしまった。」
「いえ、アタシも何も知らないクエスチョンに対して少し興奮してしまい、申し訳ありません
。」
「ん?クエスチョン?えクエスチョンって、私の事かな?」
「はい。」
「キミは、キミの世界で当たり前の事が、全ての世界で共通すると勘違いしてないか?なあ?」
「何か問題でも?」
「問題だよ。それは問題だよ。だってそうだろ?まるで話が通じないのだから。こうして今みたいに?」
「そうですか。では、これから対象クエスチョンのアンサー化を行います。」
「はあ?そうですかってキミねぇ?ん?何?それとも問題管理局の人は、みんなそんな感じなのか?」
「違います。」
「だったら、直した方がいんじゃないかなぁ?」
「明日、貴方は死にます。」
「はあ???死ぬって!死ぬってなんなんだよ!こんな元気な男が死なないでしょ!それに明日は!チェックアウトしたら、滝を見に行くんだ!」
「おそらくその願いは叶いません。」
「叶わない?」
「そうです。」
「何で、何で叶わないんだ?」
「ご自身でも分かっているのではありませんか?答えは実にイージーです。」
「わ、私は滝を見る前に死ぬのか?」
「ピンポーン!」
「人の死を・・・・・・人の死をそんな明るく表現して、果たして良いのだろうか!それこそ問題だろ?」
「アンサー化とはつまり、問題を答えへと導く作業です。それはつまり、問題を解決すると言う事です。」
「それは所謂、私が死ななくてすむって事か?それは所謂、私が滝を見れると言う事か?だったら早く薬を出してくれよ!」
「薬?薬ってなんですか?」
「だって私は、あれだろ?心臓麻痺とかで急死するんだろ?朝になって目覚めないとかって事なんだろ?」
「心臓麻痺でこれから死ぬ人のその問題を片っ端から解決していたら、問題管理局が機能しません。年間、何人の人が突然死しているかご存知ですか?」
「じゃあ、私は?まさか誰かに殺されるのか?」
「随分と飲み込みが遅いですね。問題ですよ。」
「飲み込みが遅いとか、問題管理局自体が初耳だし、突然貴方は明日死ぬって言われるし、飲み込みで言うなら早い方だと思いますよ?で、私は一体誰に殺されるんですか?」
「奥さんに、ですよ。飲み込めてないじゃありませんか。」
「妻に!?」
「はい。貴方は明日、奥さんに殺されます。」
「何で!?何で妻に殺されなきゃならないんだ!」
「そこ、問題にしますか?」
「この現状で、そこ問題にしない人間いないと思いますよ?」
「奥さんがなぜ、貴方を殺そうとしているのか?それは分かりません。」
「分からない!?」
「はい。」
「分からない?分からないのに、私が明日、チェックアウトしてから滝を目にするまでの間に、妻に殺されるのは分かるのか!?」
「問題管理局ですから。」
「いや意味が分からない。そう言えば全てが解決すると思うなよ!」
「初めから理解していただこうとは考えていません。それでは、アタシはこれで失礼します。」
「はあ!?」
「はい?」
「失礼しますと言うのは、とりあえず今日のところは話はこの辺にして、また翌朝的な?」
「違います。」
「なら、もう仕事が終わったから管理局に帰る的な?」
「正解です。」
「何が?」
「何が?って何ですか?」
「いやだから、何がどうなって、キミの中で一仕事終えたのかなぁ?」
「温泉に入ってから帰った方がいいですか?」
「そうじゃなくて!」
「滝、見てから帰った方がいいですか?」
「そうじゃないよ!」
「なら、このまま帰っても問題はありませんよね?」
「あるよ!ありまくりでしょ!だいたい、だいたいどの段階で仕事が終わったの!それとも既に妻を説得してくれたって事なのか?私を殺さないように!」
「では、お話します。」
「助かります。」
「さっきも言いましたが、夫婦間に何があったのかをアタシが知らないって事は、そこから導き出されるアンサーは、アタシが奥さんを説得した訳ではないと言う事になりますよね?」
「確かに。」
「さて、貴方の中で問題となりつつある問題でもない問題の方ですが、アタシの仕事は貴方に明日、滝を見る前に奥さんに殺されると伝えた段階で終了しています。因みに、アタシ達は貴方が滝を見るまで奥さんにトラブルを仕掛けて足止めをします。」
「なるほど。ってちょっと待て!それじゃあ、私は結局!?」
「はい。おそらく奥さんに殺されます。」
「ふざけてんのか!何が問題管理局だ!何がアンサー化だ!何なんだ!何なんだよキミは!」
「問題管理局問題課の新人です。」
「はあ!!」
「問題なのは、貴方が奥さんに殺されるか殺されないかではありません。貴方があの時間に滝を目にするかしないかです。」
「どう言う意味なんだ?」
「貴方が滝を見ないで死ぬ事は、この地球にとって問題だと言う事です。」
「地球にとって?」
「問題管理局とは、そう言う機関なんです。」
「はあ?いやいやいやいや!まったく意味が分からない!答えになってない!地球防衛的なか!私が滝を見ないで妻に殺される事が一体地球にどんな危機を及ぼすんだ!」
「まあ、その辺はあれです。」
「あれ?」
「トップシークレットって感じです。」
「はあ?」
「では、くれぐれも滝を見る前に奥さんに殺されないで下さい。失礼します。」
「失礼しますって、私のこの心の中のモヤモヤは解決されないのか!」
「そう言う個人的な問題は、問題管理局の管轄外ですので、それではおやすみなさい。」
「お、おい!!」
「あ、そうだ。」
「ん?何だ?」
「頑張れば殺されないかもしれませんので、頑張って下さい。」
「果たしてこれは、頑張ってどうにかなる問題なのか?」
「失礼しました。」

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