« 「第三百七十五話」 | トップページ | 「第三百七十七話」 »

2013年8月28日 (水)

「第三百七十六話」

 散歩中、人気のない裏路地を歩いていると、優しそうな目をした大型犬が僕を見ていた。大型犬好きの僕としては、いてもたってもいられなくなり、大型犬が寝そべっている家の門まで近寄り、下顎部分を撫でようと手を出した。
「ガブリ!」
「ん?ガブリ?」
ガブリって?噛まれたって事なんでしょうか?物凄く痛いから噛まれたのでしょう。でも何だ?この物凄い違和感は何なんだ?優しそうな目をした大型犬は、絶対に噛み付かないと言う僕の持論を覆されたと言う違和感とはまた違う違和感。これは何なんだ?
「物凄く痛い!けど物凄くくすぐったい!」
そう!僕の顔の真横に大型犬の顔がある!この違和感だよ!これは一体?どうしよう?物凄く恐いけど解明するか?顔を横に向けて違和感を解明してみるか?ここまで来るとだいたい検討はついてるけど、解明してみるか?
「有り得ないだろ!」
何でガブリで僕は大型犬に右肩まで噛み付かれちゃってんだよ!
「ウウウ!」
「ウウウ!って、おい!敵意丸出しでウウウ!って、ちょっと待てよ!どんな状況だよ!おかしいだろ!過剰だろ!普通の大型犬なら下顎を撫でようとした右手だけ噛み付くだろ!」
「ウウウ!」
「ウウウ!じゃない!」
1つの違和感を解明すると、また新たな違和感が生まれるとはよく言ったもので、このお尻に物凄い違和感は何だ?
「シャアアア!」
「異常にも程ってもんがあるだろ!」
両前足が根元まで突き刺さるぐらい爪を立てて飛び付くって!そんなダーツ的な猫がいますか?突き刺し過ぎて顔がお尻で横に向いちゃってんじゃないか!
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「お前らなぁ!人気のない裏路地で何をしてくれてんだよ!動物好きの僕に何してくれてんだよ!誰が得すんだよ!全員物凄く痛いだけだろうがこの状況!」
待てよ?この状況、こうも考えられるぞ?大型犬と猫が闘おうとしていたその丁度間に僕が奇跡的に入ってしまった。つまりは、大型犬も猫も僕を攻撃しようとしたんじゃなく、互いを攻撃しようとした。
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「巻き込まれた!?」

僕と言う国があり、それを挟んで大型犬と言う国と猫と言う国が戦争をおっぱじめたって事か!
「バサバサバサ!」
だったら、この頭の上の違和感は何なんだ?明らかに物凄い痛みと共に感じられる鳥の存在は一体何なんだ?解明するか?解明してみるか?
「バサバサバサ!」
「そりゃあ!バサバサバサするわい!」
十字路にあるミラーで頭の違和感を解明したとこ、カラスが勢い余って顔ごと頭に突き刺さってました。
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「・・・・・・・・・。」
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「・・・・・・・・・。」
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「・・・・・・・・・。」
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「助けてーっ!!」
と、これはもう助けを呼ばないとと思った僕は大きな声で助けを求めたが、散歩するには快適過ぎる人気のない裏路地が、仇となった。ウウウとシャアアアとバサバサバサと助けてだけが、静けさの中に全く風流感なく響くだけだった。
「何した?僕が何をした?こんな状況になるぐらいな悪い事を僕がしたか?」
実際には、こんな状況になるぐらいな悪い事を僕はしてない。そう、人はよく不幸に見舞われると、己の悪行を比較に用いるが、不幸と悪行に関連性はない!善行だけをしながら生きたとこで、肝心な時に目覚まし時計が壊れるし、クレパスに落ちる。そう僕の身に起きてるこれは、単なる不幸。物凄い不幸!
「ウウウ!」
「ウウウじゃない!」
「シャアアア!」
「シャアアアじゃない!」
「バサバサバサ!」
「バサバサバサじゃない!」
「ハハハハハ!」
「ハハハハハじゃない!って、ハハハハハって、なに!ハハハハハと同時に走る背中の物凄い痛みは、なに!」
ハハハハハのする方に僕が顔を向けると、おじいさんが両手で杖を持って僕の背中を有り得ない力加減で殴りながら、有り得ないぐらい大笑いしていた。笑って人の背中を叩くような?この滑稽な僕の姿を目にして、おかしくっておかしくって、もう勘弁してくれ的な?にしてはの力加減だろ!おじいさんの両腕取れかけてんだろ!両肩から血が噴き出してんじゃないか!
「ハハハハハ!」
「ちょっと!おじいさん!大笑いしてないで!助けて下さいよ!」
「ハハハハハ!」
「おじいさん!」
「ハハハハハ!」
「おじいさんって!」
「ハハハハハ!」
って、ダメだコイツ。完全にこの歯車の一部だ。
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「ハハハハハ!」
「ザアアアアアア!」
遂に豪雨まで、トホホだな。これをトホホと言わずして、何をトホホと言うんだ。
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「ハハハハハ!」
「ザアアアアアア!」
「・・・・・・・・・。」
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「ハハハハハ!」
「ザアアアアアア!」
「・・・・・・・・・。」
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「ハハハハハ!」
「ザアアアアアア!」
「・・・・・・・・・。」
いよいよあれか?僕、死ぬか?僕だけじゃなく、ここにいる全員、死ぬか?
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「ハハハハハ!」
「ザアアアアアア!」
「・・・・・・・・・。」
「大丈夫ですか?」
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「ハハハハハ!」
「ザアアアアアア!」
「・・・・・・・・・。」
「あのう?」
「ウウウ!」
「シャアアア!」
「バサバサバサ!」
「ハハハハハ!」
「ザアアアアアア!」
「・・・・・・・・・。」
「大丈夫ですか?」
そこには、自分はずぶ濡れで、僕に傘を差す物凄く素敵な若い女性が立っていた。
「ええ、大丈夫です。」

第三百七十六話
「今からアナタを愛します」

|

« 「第三百七十五話」 | トップページ | 「第三百七十七話」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/121942/53064947

この記事へのトラックバック一覧です: 「第三百七十六話」:

« 「第三百七十五話」 | トップページ | 「第三百七十七話」 »