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2013年10月23日 (水)

「第三百八十四話」

これは、始まりの石。この石は、実に不可思議な石。毎回毎回、目にする度に形や色や大きさを変化させる石。それは、前に目にした時の石と今回目にした時の石とが違う石だからではない。始まりの石は、この世界に1つしか存在しない石。それは、始まりの石に触れてみれば、それが、始まりの石なのか、ただの石なのかが分かる。始まりの石に触れたら最後、不可思議な世界へと誘われ、不可思議な体験をする。その物語がハッピーエンドになるのか、バットエンドになるのかは、誰にも想像出来ない。生きて元の世界へ帰って来られるのか、死んで元の世界へ帰って来るのか、不可思議な世界を永遠とさ迷い続けてしまうのか、それは誰にも想像出来ない。これは、始まりの石。今日もどこかで誰かが唐突に出くわす石。そしてその石は今日もまた、今まさに不可思議な世界へと誘おうと、河川敷で川へ石を投げ込んでいる少年の足元に無造作に普通の石に紛れて潜んでいた。少年が石に触れた瞬間、石を拾ったその瞬間、少年の不可思議な物語が始まる。やはりそれがどんな不可思議な結果になるのか、誰にも想像出来ない。
「チャポン!」
普通の石を投げ込まれた川には、普通の波紋が広がった。そして、少年は足元の石を見下ろした。無数の普通の石の中に1つの始まりの石が紛れた足元を見下ろした。
「・・・・・・・・・
。」
なぜ、少年は河川敷に居たのか?なぜ、少年は川へ石を投げていたのか?なぜ、少年の足元に始まりの石があるのか?偶然に少年は、この場所へと来たのか?必然と始まりの石に導かれてやって来たのか?想像は膨らむが、真実は始まりの石と同じように、たった1つしか存在しない。
「・・・・・・・・・。」
見るからに普通の石にしか見えない始まりの石の一点を少年は、なぜか見つめていた。グーにしていた右手がゆっくりとパーになると、少年はゆっくりと膝を曲げ、ゆっくりと右手を始まりの石へと伸ばしていく。
「・・・・・・・・・。」
もはや少年には、始まりの石を拾わないと言う選択肢は残されていない。

第三百八十四話
「 拾う
 →拾わない 」

少年は、鼻歌混じりの軽快なスキップで、家へと帰って行った。

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コメント

うん???ちょっとよくわかんなかったです@@

投稿: 水晶 | 2013年10月24日 (木) 21時04分

拾わない選択肢を選ぶと言う、すかし、です。
何か起こりそうで何も起こらなかったと言う話ですね(笑)

コメントありがとうございました。

投稿: PYN | 2013年10月25日 (金) 23時40分

あー 拾わない選択肢を選ぶ主体は少年ではない
ってことなのですね
ご回答ありがとうございます

投稿: 水晶 | 2013年10月26日 (土) 00時53分

そんな感じです。
いえいえ、こちらこそありがとうございました。

水曜日が月に5回あると、1本なんかいつも以上にチャレンジした作品を書きたくなる時があるんです。

投稿: PYN | 2013年10月27日 (日) 23時38分

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