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2013年10月30日 (水)

「第三百八十五話」

「ヒーロー?」
「はい。」
「・・・・・・ヒーロー?」
「はい。」
わしは、ジジイだ。ついさっき、わしは助けられた。道端で不良達にジジイだと言う理不尽な理由で絡まれていたこのジジイを今、目の前にいる普通の青年が救ってくれた。しかし、ジジイは驚いた。なぜなら、ジジイが普通の青年にお礼を言うと、普通の青年は自分はヒーローだと名乗ったからだ。この地球の平和を守るヒーローだと名乗ったからだ。どこにでもいる様な普通の青年がヒーロー?ジジイのピンチを救ってもらいながらも、わしは疑っていた。
「らしくない!何だかジジイには、難しくてそこんとこよくは分からんが、とにかくキミはヒーローらしくない!」
「ですよね。でも、始めたばかりなもので。」
「始めたばかり?」
「はい!」
「いつから?」
「さっきです!ジジイが、不良達に理不尽に絡まれているのを見てです!」
「わし!?キミがヒーローになろうと思ったきっかけは、わし!?」
「博士!」
「いやいやいや、おかしいだろ!絵空事としてのプロローグなら有りかもしれんが、これは現実だ。わしは、そこら辺にいる単なるジジイに過ぎん。博士でも科学者でも何でもない。」
「じゃあ、アダ名って事にしましょう!」
「まあ、アダ名って事ならいいだろう。」
「ありがとうございます!博士!」
「こちらこそ、理不尽に絡まれていたジジイを助けてくれて、本当にありがとう。そうだ!何か物理的なお礼をしなければならないな。」
「いえいえ、お礼だなんて結構です。理不尽に絡まれていたジジイを救う事はヒーローとして当たり前です!」
「そう言われてもそれではジジイ側の気が済まんのだよ。」
「だったら、お願いがあります!」
「ジジイで出来る事なら何でもするぞ。」
「僕は、これからヒーローとして一体どうして行けばいいのでしょうか!」
「ヒーローとして?」
「はい!」
「それをなぜにジジイに?」
「博士なので!」
「アダ名だろ?それは単なるアダ名なはずの契約だろ?」
「アダ名です!でも、博士から意見を聞きたいんです!」
「意見って、こんなジジイの意見を聞くよりも若者やちびっこの意見を聞いた方がいいんじゃないのか?」
「恥ずかしがり屋さんなんで無理です!」
「ヒーローなのにか!?だったら同じ年の友人とかに聞いたらどうだ?」
「友達いないんで無理です!」
「先行き不安なヒーローだな。」
「だから博士!お願いします!僕はヒーローとして、これからどうして行けばいいのでしょうか!」
「そう言われてもな。困ったな。」
「お願いします!」
「分かった分かった!分かったから土下座はやめなさい!ヒーローが土下座とかそこんとこよく分からんが、とにかく何かおかしいから!」
「ありがとうございます!」
「そうだな?ちょっと、さっきジジイに理不尽に絡んで来た不良を退治した時の決め技をやってみてくれるか?」
「パパパパーンチ!」
「何かそこんとこよく分からんけどな。そう言うヒーローの必殺技ってのはもっとこう、何々パーンチ!とか何々の部分に自分の名前なりを入れた方がいんじゃないか?そう、ジジイは思うな。」
「なるほど!でも博士!僕まだヒーローになったばっかりなので、名前がありません!募集中です!」
「募集中って!?存在も知られていないのに募集中って!?別に募集中にせんでも自分で考えたらいんじゃないか?」
「恥ずかしがり屋さんなんで無理です!」
「そこ恥ずかしがり屋さん関係あるのか?そもそも恥ずかしがり屋さんでヒーローが勤まるのか?」
「悪は絶対許しません!」
「分かった分かった。分かったからヒーロー圧やめてくれ。まあ、募集中でも構わんよ。」
「そうだ!」
「何か思い付いたのか!」
「博士が決めて下さいよ!」
「何でそうなるんだ!何でジジイがそんな大事な役回り任せられなきゃならんのだ!」
「何でジジイがそんな大事な役回り任せられなきゃならんのだ画伯、ですか!うん!いい!」
「いやちょっと待っておくれよ。色々だよ。色々と気になるよ。」
「はい、博士。」
「まず、何でジジイがそんな大事な役回り任せられなきゃならんのだ、って名付ける訳がない!で、何でジジイがそんな大事な役回り任せられなきゃならんのだ、のどこがいんだ!何で快諾なんだ!どこにヒーローネームの要素があったんだ!あと、一番は、何でジジイがそんな大事な役回り任せられなきゃならんのだ画伯、って、画伯って、何だ!」
「画家になるのが夢なんです!」
「だったら、その道を突き進みなさい!。」
「でも博士?美大を出て画家になって、画家で食べて行ける人なんて、ほんの一握りの人間だけですよ?」
「かと言って現実世界でヒーローで食ってってるヤツをわしは見た事がない!」
「でもヒーローは人助けが出来ます!」
「あのな?どんな仕事だって、人助けは出来る。画家だって人助けは出来る。それは確かに、こうして理不尽に絡まれていたジジイを救うって事じゃないかもしれん。だが、キミが描く絵を見て、頑張ろう!明日も生きよう!そう思う人間がいるはずだ!その人にしてみれば、そんな絵を描いたキミは、間違いなくヒーローだ。」
「嫌だ!」
「えっ!?」
「僕は!あからさまに人助けがしたいんです!」
「いやちょっと待ってくれよ。その気持ちが芽生えたのは、今さっきジジイが理不尽に絡まれていた時だろ?それ以前は、画家を志していたんだろ?それでいいじゃないか。今まで通り、画家を志しながら、時折見掛けた理不尽を救って行けばいいじゃないか。」
「・・・・・・・・・博士。」
「なっ?それでいいんだよ。あからさまにヒーローなんかしないでいいんだよ。画家の夢を追い掛けた方がいい。大丈夫!わしにとってキミは、立派なヒーローだ!」
「チョチョチョチョープ!って、新必殺技を考えつきました!」
「考えつきました、ってキミね・・・・・・・・・。パパパパーンチ、の次が、チョチョチョチョープって、せめて次は、キキキキーック、だろ。」
「なるほど!さすが博士だ!キキキキーック!か!だったら流れ的に次は、ビビビビーム!ですね!」
「だ、出せるのか!?ビームを!?それを早く言って欲しかった!そうなると話は別だ!」
「出せないです。」
「じゃあ、流れ的に嘘じゃないか!ヒーローが嘘はいかんだろ!」
「だから、とりあえず出るまでは、こう!ビビビビーム!ってのはどうです?」
「頭頭頭頭突ーき!だろ!あと、出るまでって、そこんとこよく分からんが、ヒーローを志したら、どっかのタイミングで勝手にビームが出て来る訳じゃないと思うぞ?って、画家の夢は!?」
「捨てました!」
「拾え!」

第三百八十五話
「ヒーローはじめました」

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