« 「第三百八十話」 | トップページ | 「第三百八十二話」 »

2013年10月 2日 (水)

「第三百八十一話」

「犯人は左利きです!」
「急に何ですか!?」
「奥さん。犯人は、左利きなんですよ!」
「犯人って何の事ですか?」
「左利きなんです!」
「と言うか貴方、誰ですか?真っ昼間に他人の家に何なんですか?犯罪者ですか?何らかの犯罪者ですか?犯罪を犯そうとしている者ですか?」
「私は!犯罪を犯そうとしている者ではない!!」
「・・・・・・・・・顔が近い。」
「私は!犯人は左利きです!と言う者だ!」
「はあ?」
「はあ!」
「いや何でブチギレてんですか?」
「犯人が左利きだからですよ!犯人が左利きだから私はこうもブチギレてるんですよ!分かるでしょ!」
「分からないわよ!何なの?この異次元空間!アタシは何に巻き込まれたの!」
「ビスケットありますか?」
「ビスケット?あるけど、ビスケットが何なの?」
「ビスケット食べながら、ゆっくり話をしましょう!」
「出てけ!」
「出て行かない!」
「何でだ!」
「犯人が左利きだからです!」
「いやそれマジで何なの?何かを打ち消すだけの特別な効力を持った言葉じゃないから!その言葉で振り出しに戻る的な空気やめてくれない?」
「やめない!」
「はあ?」
「はあ!」
「だから何でブチギレなのよ!おかしいでしょ!」
「犯人が左利きなのにですか!?」
「何なの?何でそんな驚愕なの?犯人って何!マズ犯人って何!犯人は何なの!左利きだから何だってのよ!」
「はじめまして。」
「このタイミングで深々と挨拶っておかしいでしょ!」
「あまりにも犯人が左利きだったもんで、ついつい挨拶を忘れてました。私とした事が大変申し訳ない!」
「はあ?」
「はあ!」
「だから何で顔近付けてブチギレなのよ!それが今、謝った人が取る態度なの!」
「ビスケットまだですか?」
「出さないわよ!何でビスケット食べながら貴方と会話しなきゃならないのよ!」
「犯人が左利きだからですよ!」
「あのさ!犯人、犯人って、何の犯人だかさっぱり言わないし、自分が何者なのか言わないし、とにかく不法侵入だし!」
「だから、私は犯人は左利きです!と言う者だと説明したじゃありませんか!」
「そんな曖昧な説明が説明になるんだったら!世の中の取扱い説明書はこんなにも分厚くなってないわよ!」
「同感です!」
「いや、これは何の握手?」
「犯人が左利きの握手です!」
「取説分厚い同感握手じゃないのかよ!」
「はあ!」
「病気か!異常な程にブチギレる病気か!」
「ビスケットがまだ出て来ないからでしょ!」
「いやもうビスケットは永遠に出て来ないもんだと悟れよ!」
「奥さん?」
「はい?」
「小じわが!?」
「見た事ないのか!指差しての驚愕とかレディに対して失礼だからな!そして、直ちにこの家から出て行け!」
「犯人が左利きだって事は分かるんですが、肝心の出口が分からないんですよ。」
「大豪邸か!巨大迷路か!こっから玄関が見えるだろ!」
「こうは考えられないでしょうか?」
「考えられない。」
「例えば、このリビングから見えるあの玄関。」
「考えられないって言ってんのに、何で進めるの?会話をさ!」
「壁に描かれたトリックアートかもしれない。」
「あのさ?二人で閉じ込められたんなら可能性はゼロじゃないけど、この家の住人が玄関だって言ってんだから玄関に決まってるでしょ!」
「なるほど。ところで奥さん?」
「いや、出て行かないのかよ!何のなるほどだよ!何を納得したんだよ!・・・・・・何っ!」
「マフィンはまだ、焼き上がりませんか?」
「作った事ないよ!いいから玄関の存在を認識したんなら、出て行ってよ!」
「私は夫婦喧嘩の末の夫か!」
「はあ?」
「はあ!」
「いやいやいや、何で陽気につっこんだりしてんの?何で次の瞬間ブチギレてんの?」
「犯人が左利きだからですよ!」
「いや、左利きだからって理由がオールマイティーに効力を発揮するなら!犯人が左利きだから出て行けよ!」
「それは無理!」
「何でだ!」
「犯人が左利きだからですよ!」
「あのさ?」
「犯人は、貴女だーっ!!」
「・・・・・・・・・何?急に大声で、何なの?」
「人は私を犯罪予報士と呼ぶ。」
「犯罪予報士?」
「犯罪が起こりそうな場所を独自の計算式に基づき割り出し、未然に犯行を阻止する!それが偉大なる犯罪予報士!」
「いや別に服にサインしてくれとかお願いしてないし!と言うか、そんな事が可能なの?」
「可能なんです!つまりですよ?ここに私が居ると言う事はですよ?奥さん!貴女が旦那さんを殺害するのを未然に防ぎに来たって事ですよ!それは、貴女を殺人犯にしたくないからですよ!それを何ですか!ビスケットもマフィンも出さずに追い返そう追い返そうとばかりして!」
「アタシが夫を?」
「そうです!犯人は左利きです!」
「はあ?」
「はあ!」
「はあ!」
「はあ!ここまで言ってもまだ理解出来ないとか、有り得ないでしょ!奥さん!」
「アタシ、右利きですけど?」
「はあ!」
「いや、理不尽にブチギレ過ぎでしょ!右利きよ!アタシは右利き!左利きじゃない!」
「バカな!?青い屋根の家の奥さんなのに右利き!?そんなはずはない!私の犯罪予報は100%のはず!」
「青い屋根?赤よ!家の屋根の色は、赤!青い屋根の家は、隣よ!」
「はあ!」
「逆ギレかよ!」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「とりあえずビスケットでも食べながら話でもしましょうか。」
「何でそうなる!」

第三百八十一話
「赤い屋根の家にて」

|

« 「第三百八十話」 | トップページ | 「第三百八十二話」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/121942/53468976

この記事へのトラックバック一覧です: 「第三百八十一話」:

« 「第三百八十話」 | トップページ | 「第三百八十二話」 »