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2013年10月16日 (水)

「第三百八十三話」

ー人間なんて、みんな死んじゃえばいいー

第三百八十三話
「地球談」

「何だこれは!」
「スクープですよ!編集長!明日のトップはこれです!」
「ふざけるな!お前がとっておきのネタがあるって言うから任せたら!何だこれは!何なんだこれは!いい大人が何を考えてるんだ!」
「まさか編集長!?このネタをボツにするつもりじゃないですよね!編集長!編集長!!」
「うっさい!!いやもう考える余地すらなく間違いなくボツに決まってるだろ!」
「見損ないましたよ!」
「何!?」
「俺、編集長はもっと尊敬出来るジャーナリストだと思ってましたよ!理不尽な正義に、ペンで戦う!立派なジャーナリズムを心に持つ人だと思ってましたよ!」
「おい。マジか?その迫力マジか?私は、こんな記事をボツにして、そんなに詰め寄られなきゃならないのか?」
「だってそうでしょ!」
「何がだ!」
「地球が!この地球が!我々が暮らす地球と言う天体が!太陽系の惑星の一つの地球が!こんなことを言ってるんですよ!」
「もう、これはジャーナリストとしてとかじゃないだろ。人として何かおかしいだろ。何かが!」
「おかしいのは編集長!アナタだっ!!」
「・・・・・・・・・そんな詰め寄られる事を言っているのか?私は?そんなに鬼気迫られる事をしでかしてるのか?私は?」
「しでかしてますよ。見たくなかったです。編集長のそんな姿。」
「もう意味が不明だ。」
「圧力に屈する編集長の姿を見たくなかったと言う意味ですよ!」
「え何の?何の圧力に?いつ私が屈した?」
「こんな記事を載せたら、上からの圧力は相当なものでしょう。俺だけではなく、編集長の首も飛ぶでしょう。最悪ここも潰されるかもしれません。」
「飛ぶな。」
「しかし!俺は!そんな事で圧力に屈する編集長じゃないと思ってました!自分の地位を守りたいが為に真実から目を背ける編集長なんか見たくなかった!ジャーナリストが圧力に屈して!何がジャーナリストだ!」
「・・・・・・・・・えっ?働き過ぎで病気になった訳じゃないよな?」
「むしろ病気はアナタだっ!編集長っ!アナタはジャーナリズムを失うと言う病に侵されているんだっ!」
「いい加減にしろ!」
「それは編集長の方だ!」
「ジャーナリズム、ジャーナリズムってな!ジャーナリズムを侮辱してんのは!お前の方だろ!」
「俺は俺なりのジャーナリズムを胸に!真実を追い求めてる!確かに俺が追い求めてるのは真実だけで、裁くのは民衆かもしれない!暴いてはならない真実もあるのかもしれない!知らないままの真実の方が幸福なのかもしれない!だけどその真実すら知らずに死んでしまってもいいのだろうか!真実を知り!現実と向き合い!そして立ち向かって行く!それが人だろうが!」
「・・・・・・・・・ウソだろ?何でそんな風に熱くなれるんだ?」
「編集長が真実を覆い隠そうとするからですよ!ええ!結構ですよ!真実を覆い隠したいなら隠せばいい!だけどな!必ず真実は暴かれる!必ず真実は白日の下に晒される!それは今ここで俺が殺されようとも!」
「殺されないよ。」
「絶対に他の誰かが真実に辿り着く!真実は隠せない。隠そうとするから真実が生まれる。そう俺に教えてくれたのは編集長!アナタだ!」
「この・・・・・・・・・何かさっきっからスゲェネタを掴んで来た感で進行してる会話は、何だろうか?」
「スゲェネタでしょうが!我々人類の根底を覆すスゲェネタでしょうが!これ以上のスゲェネタがこの地球上に存在するんですかっ!」
「・・・・・・明日は雨。」
「はい?」
「天気予報によれば、明日は雨らしい。」
「明日が雨?それが何なんですか!ふざけてんのは編集長だろ!」
「明日は雨。これが、お前のネタ以上のネタだ。」
「明日は雨。俺のネタは、そんなネタ以下だってのか!明日は雨以下のネタって、そんなのデマじゃないですか!編集長!」
「デマだろ!いや、デマ以下だ!」
「デマ以下だって!?そんな事を言ってまで俺のスクープを潰したいんですか!そんな事を言ってまで真実を覆い隠したいんですか!」
「地球喋らないだろ?」
「・・・・・・・・・地球喋ります。」
「幼児か!ちょっと間があったじゃん!ちょっと何かを考えてる間があったじゃん!急に小声になってるじゃん!私がジャーナリストを何年やってると思ってるんだ?何年、真実と向き合って来てると思ってるんだ?ウソを見破れない訳がないだろ!そもそもジャーナリストがウソを真実として記事にしてどうする!」
「そんな事を言ったって、地球喋りましたもん。」
「泣きそうじゃん!今にも泣きそうじゃん!急にどした。あのな?ネタが無いなら無いで、それはそれでいいんだよ。むしろその方がいいんだよ。」
「しかし編集長!」
「ウソを真実として記事にしてまで明日を乗り切るつもりはないっ!それが私のジャーナリストとしての信念だ!」
「でもそれじゃあ!」
「ああ、日刊地球は、明日も休刊だ!」
「・・・・・・・・・編集長。」
「これでいい。何だかんだでまだまだ地球は、平和だ。平和を絵に描いた様なもんだ。さあ!恐竜絶滅以来の大スクープを掴みに行くぞ!」
はいっ!!」

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