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2013年11月13日 (水)

「第三百八十七話」

「ありがとうございました!」
開店から30分。今のお客さんで、今日仕入れて来た白は、売り切れた。そして1つ、いつもの白が残った。
「すいません!」
間も無くして、物凄い勢いで、青年が店に飛び込んで来た。
「はい。」
「し、白下さい!」
「はい。」
「赤い白下さい!」
「赤い白は、売り切れました。」
「青い白は!」
「青い白も売り切れました。」
「黒い白も売り切れですか!」
「すいません。」
「そうですか。」
「でも、1つだけ残ってますよ。」
「本当ですか!それ下さい!その白下さい!」
「これです。」
「こ、これは?」
「純白の白です。」
物凄い勢いで店に飛び込んで来た青年は、肩を落として、また来ます、と言葉を残して、店を出て行った。開店から30分。ここから白屋の長い1日が始まる。店を始めて10年。私はいまだに、この純白の白を売った事がない。

第三百八十七話
「白屋」

「すいません。」
「はい。」
「その純白の白下さい!」
「えっ!?」
売れた。

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