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2013年12月

2013年12月 4日 (水)

「第三百九十話」

「確か、この辺だったか?」
「ん?」
「丁度、この大きな木の裏側の根元だ。」
「懐かしいな。この大きな木。」
僕は今、友人と懐かしい匂いがする神社に来ていた。何一つ当時と変わらない場所。ここに今、変わったものがあるんだとするならそれは、僕らなんだろう。
「よし!じゃあ、やるか!」
「はい?やるって、何を?」
「ここに来てやるって言ったら一つしかないだろ?俺達が、お互いに宛てて書いた20年後の手紙を掘り起こすんだよ!」
「はあ?」
「さすがにもう、目印は無くなってるみたいだな。まあ、この辺を掘ってれば、そのうち見付かるだろ!行くぞ!」
「ちょっと待った!」
「何だよ。」
「何してんだよ。」
「だから、20年後の手紙を掘り起こすって言ってんだろ?行くぞ!」
「ちょっと待った!」
「何だよ!」
「何してんだよ!」
「お前なぁ?掘り起こさなきゃ!20年後の手紙が読めないだろ?あれか!書いた内容を思い出して、ビビってんのか?」
「いや別にビビってないよ。」
「あれだろ?何だか、むず痒くなるような内容なんだろ?その気持ちは分かる!俺だってそうさ!でも、掘り起こさない事には何も始まらない!20年後の手紙を20年後に読まなきゃ、書いた意味が無い!」
「その通りだよ!」
「だろ!行くぞ!」
「だろ!行くぞ!じゃないよ!」
「何なんだよ!」
「18年だろ!まだ20年後の手紙を埋めてから18年だろ!20年後の手紙は20年後に読まないと、書いた意味が無いんだよな?だったら何で今なんだよ!何で18年後の今なんだよ!」
「20年も18年も同じようなもんだろ?」
「違うだろ!20年と18年は、全然違うだろ!何で同じなんだよ!2年だぞ!2年も違うんだぞ!」
「メダカで言ったらな。」
「僕らで言ってもだよ!いやそもそもメダカで言ったらってなんだよ!」
「ごめん。じゃあ、行くぞ!」
「行かないよ!行かないだろ!20年後の手紙を18年後に掘り起こすなんて絶対ダメだろ!47歳の自分らに申し訳ないだろ!」
「でも考えてもみろよ。45歳の今の方が、何かキリが良くないか?」
「いやキリとか、そう言う問題でねじ曲げていい事じゃないだろ!だったら何で25の時に提案しなかったんだよ!」
「その当時は、25より27の方が、カッコいいと思ったからさ。でも、45になってさ。47より45の方がカッコいいと思った訳だな。よし!行くぞ!」
「行かないよ!行かないんだよ!絶対に行かせる訳がない!と言うか、どんな理由だよ!あと、2年だよ?待とうよ!18年も待ったんだから、2年なんてあっという間だよ。」
「いや、2年は長いぜ?2年を侮っちゃいけねぇよ?」
「誰だよ!と言うか、その2年を侮ってんのは、お前だからな!」
「じゃあ、分かった!25の時に書いて埋めた体でどうよ!」
「よくもそんな記憶をねじ曲げる提案を持ち掛けて来れたな。了解すると思ってんのか?」
「帰りにジュースおごってやるからさ!」
「僕は、たかだかジュース一本で2年を無い事にするのか?18年も待ったのにか?」
「誰もジュース一本とは、言ってないだろ?」
「本数の問題じゃない!この2年は!どんな大金を積まれようが買収出来ない2年だろ!思い出は金や物には代えられない!そう言うもんだろ!」
「悪かったよ。確かに、お前の言う通りだ。俺、どうかしてたよ。本当にすまない。」
「分かってくれたんなら、それでいいよ。」
「だから今日は、20年後の手紙が、まだちゃんとあるかどうかを確認するだけにしよう!」
「絶対読むよな!それ絶対読むパターンだよな!読まずにはいられなくなるに決まってるだろ!と言うか、お前は口ではそう言ってるけど!20年後の手紙がちゃんと埋まってるか確認するだけとか言ってるけど!そんな気、更々無いだろ!読む気まんまんだろ!」
「俺だけ読むで、お前は確認ってのは?」
「ここに来て、どんな提案だよ!お互いに宛てた20年後の手紙を18年後に掘り起こして、その横で20年後の手紙を読んでる友人を見てる18年後の僕って、どんだけシュールな空間なんだよ!」
「面白いだろ?」
「18年後のお前を喜ばす為に書いた訳じゃないよ!」
「これはどうだ?」
「いや、もはやどんな提案でも却下な雰囲気を察せよな!」
「俺達は、47歳!」
「はあ?」
「2年後の未来から20年後の手紙を読みに来た!ってのはどうよ?」
「いやまず、47の僕らは、47なんだから、わざわざ2年前にタイムトラベルする必要性が無いだろ?堂々と20年後の手紙を47の現在で読める歳なんだから!」
「だから、手紙の内容が同じかどうかを確認しに来たんじゃないか!」
「バカだろ!そんな無意味な事してる僕ら、バカだろ!同じに決まってるだろ!」
「分かんないぜ?行くぞ!」
「ちょいちょい!何しようとしてんの?」
「確認だけど?」
「いや現実的に45なんだから、それ許されないだろ!」
「頼む!そこを何とか!お願いします!」
「物凄い懇願!?いや何?死ぬの?何か病に侵されてんの?余命的な感じで、あと2年生きられないって医者に言われたの?」
「医者には、健康優良児ってお墨付きだ!」
「児ってなんだよ!児って!だったら、2年後に掘り起こせばいいだろ?」
「俺は健康優良児だけど、お前はどうか分からないだろ?明日死ぬかもしれないじゃないか。」
「そんな事を言い出したらキリが無いだろ!誰だっていつ死ぬか分からないんだら!そう言う事態も踏まえた上での20年後の手紙だったんじゃないの?」
「じゃあ!明日、地球が滅亡したら!お前は今のこの状態を後悔しないのか!あいつが言うように、20年後の体で手紙を読んどけば良かったって後悔しないのか!」
「じゃあ!って何だよ!じゃあ!って!どこまで規模を拡大させるつもりだよ!滅亡する訳がないだろ!」
「お気楽なヤツだ!」
「20年後の手紙を書こうって提案して来たヤツに言われたくないね!」
「行くぞ!」
「どんな思考回路してるんだよ!」
「せーの!」
「せーの!じゃないよ!」
「誰が何と言っても俺は今日!20年後の手紙を読むぞーっ!」
「何を宣言してんだよ!絶対ダメだからな!」
「明日ならいいのか?」
「ダメだって!2年後だって言ってるだろ!さあ帰るぞ!」
「帰らない!」
「座り込むとかやめろよな!」
「絶対に帰らない!」
「お前なぁ。」

第三百九十話
「そんな手紙は存在しない」

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2013年12月11日 (水)

「第三百九十一話」

 駅のホームで敬礼をしながら、許容範囲を大幅に越えたお客さんを乗せ走り去る電車を見送るボクは、駅員。普段は長閑なこのホームも、朝のラッシュアワーともなれば、戦場と化す。人々は鬼の形相で、我先にと電車を乗り降りする押し合いへし合いが繰り返される。いつ死人が出てもおかしくはない毎日だけど、ボクら駅員がいる限り、そんな事はさせない!お客さんに死んでいただくような真似はさせない!ボクは、全力でこのホームのお客さんを守る!
「え?」

第三百九十一話
「全身トゲトゲの男が満員電車に乗ろうとホームに立ってるよ」

 目を擦った。ボクは、出来るだけ目を擦った。だけど、その全身トゲトゲ男は消えない。消えないと言う事は、それ即ち現実。あんな頭の天辺から爪先までトゲトゲの男が満員電車に乗ったら、大惨事だ!みんな死んじゃう!ジェノサイドさせる訳にはいかないし、全身トゲトゲ男を無下に大量殺人鬼にする訳にはいかない!頑張らないと!ここは頑張らないと!ボクが最期の砦なんだから!とにかく頑張らなきゃ!
「あのう?」
「はい。」
「乗るんですか?」
「はい。」
「次の電車に乗るんですか?」
「はい。」
「お気を付けて。」
「はい。」
よし!サラリーマン風の中年男性での予行練習は、バッチリだ!大丈夫、今の感じで話し掛ければいいんだ!全身トゲトゲ男だって真っ赤な血が流れてる同じ人間なんだ!いきなり鉈で襲い掛かって来る訳がないじゃないか!頑張るんだ!ボクは最期の砦なんだ!
「あああああのう?」
「はい?」
「の、乗るんですか?」
「はい?」
「次の電車に乗るんですか?」
「当たり前だろ?」
「えっ?」
「はあ?」
「いや、全身トゲトゲですよね?」
「全身トゲトゲだな。」
「次の電車に乗るんですか?」
「乗るよ。だから、ここにいるんだろ?」
「ええっ?何で?」
「何が?」
「何で満員電車に乗るのに、全身トゲトゲ?」
「何か問題でも?」
「問題だよ!問題だらけだよ!」
「そうか?でもアンタが言う程、問題だらけでもないっしょ!」
「いや何か、いや何かそうやって笑顔で軽いノリで言われてもだよね!全身トゲトゲの人が、そんな感じで言ってもだよね!」
「何々なに?何でそんな興奮してんの。別にオレが満員電車に乗ったって、アンタが心配するような事なんて起こらないよ。」
「起こるよ!絶対に起こるよ!そのトゲトゲの餌食になって、みんな死んじゃうよ!ジェノサイドだよ!」
「ジェノサイド?いやまあでも、何だかんだで当たらないっしょ!」
「どっからの自信?何調べ?当たるよ!確実に当たるよ!」
「避けるっしょ!」
「避けないよ!満員電車なんだから、避けたって餌食だよ!どんなに体が柔らかい人だって無理だよ!」
「アンタさぁ?」
「何ですか?」
「ワインの原材料って、大概ブドウなんだぜ!」
「はい?何の話でしょうか?」
「ワインの話だよ。しかも赤も白もなんだぜ!」
「知ってますけど!えっ?逆に今まで知らなかったんですか?」
「感動したなぁ。」
「えっ?何にですか?ワインの原材料がブドウだったって事にですか?」
「まだ電車来ないの?」
「ちょっと前の駅でトラブルがあったみたいで遅れてます。」
「トラブル?」
「何か、車両の中に蜂がいたみたいで、今その蜂を追い出してる最中です。」
「そりゃあ、大変だな。刺されたら朝からブルー確実だな。」
「アナタがどの口で蜂を非難出来るのだろうか!プロレスラーでもそんな全身トゲトゲのコスチュームで入場して来ない姿のアナタがどの口で蜂を非難出来るのだろうか!」
「アンタ、ワインって酒なんだぜ!」
「ワイン、何!ワインがどうしたって言うの!ワインが酒だって、ワインがブドウだって、そう言う事を知らずに大人になるから!だから全身トゲトゲで満員電車に乗れる訳じゃない!」
「あのな?アンタ、さっきっから、一方的にトゲトゲ、トゲトゲって非難するけどな?このトゲトゲが、スポンジのような素材で作られてるとか、考えたりしないのか?」
「えっ?」
「見た目でワインの原材料がブドウだとか、聞いた話でワインが酒なんだとか、それってつまりは、可能性であって、真実ではないよな?ワインを手に取って、ワインを口にして、ワインってもんに触れてみて、初めて可能性が真実に変わる訳だろ?」
「つまりボクは今、可能性だけでアナタと会話してると?」
「そうだよ。」
「つまりボクは今、もしかしてスポンジ的な素材で作られてる100%安全なトゲトゲを凶器だと勘違いして、アナタを非難していると?」
「そうだよ。いいか?考えてもみろよ。常識的にだぞ?マジのトゲトゲで、満員電車に乗り込もうとすると思うか?そんな事が、現実的に有り得ると思うか?」
「・・・・・・・・・確かに。」
「だろ?」
「触っても宜しいですか?」
「勿論だ。」
「では・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「いっっっっったぁぁぁぁぁ!!案の定だよ!予想通りな結果じゃないか!分かってた!こうなる事は薄々分かってたんだよ!なのにボクったら!ああっ!メチャメチャ痛い!!」
「大袈裟だなぁ。」
「大袈裟?これが大袈裟だって言うんですか?手のひらから真っ赤な血が流れ出てるのが大袈裟だって言うんですか?ボクの中にまだ少しでも人を疑う心が残ってて良かったよ!そうじゃなかったら今頃、バーン!ってやって、右手に風穴が開いてたとこだよ!」
『大変お待たせ致しました。間も無く電車がまいります。』
「おっ!」
「おっ!じゃないですよ!そのトゲトゲがマジのトゲトゲだと分かった今!アナタを満員電車に乗せる訳にはいきませんっ!」
『白線の内側まで御下がり下さい。』
「いいか?アンタがオレを満員電車に乗せない理由があるように、オレにも満員電車に乗らなきゃならない理由があるんだ!」
「しかし!どんな理由があったとしても!ボクは全力でアナタの乗車を阻止してみせる!」
「阻止?」
「はいっ!」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・死ぬぞ?」
「死んでも構わない!ボクは、お客さんの安全を守る駅員だ!ボクは、このホームの最期の砦だ!」
『駆け込み乗車はお止め下さい。』
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・負けたよ。」
「えっ?」
「アンタの駅員魂には、負けた。他の交通手段を探してみるよ。面倒掛けてすまなかった。じゃあな。」
「・・・・・・あ、あのう?」
「ん?」
「因みにアナタが満員電車に乗らなきゃならない理由と言うのは?」
『駆け込み乗車はお止め下さい!』
「・・・・・・母が危篤なんだ。」
「乗って!!」

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2013年12月18日 (水)

「第三百九十二話」

「オエッ!はあ!?いきなり何してんすか!?」
「挨拶代わり!」
「いやいやいや、挨拶代わりって!欠伸してる人の口に指を入れるとか何考えてんすか!意味分かんないすよ!てか、誰なんすか!」
「欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「いやもう、挨拶代わりと言うか、主題じゃないすか!はあ?欠伸してる人の口に指を入れるマンって何なんすか!」
「欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「悪なのか正義なのか分からないし、そもそもそれって単なる嫌がらせだし、何なんすか!」
「この世に欠伸がある限り!欠伸をする人がいる限り!その口に指を入れ続ける!欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「いやだから、悪なのか正義なのか分からないし、それは嫌がらせ意外の何でもないし、何なんすか!」
「8万馬力!欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「急に何すか!8万馬力とか急に何すか!欠伸してる人の口に指を入れるって、8万馬力ある人がする事じゃないじゃないすか!」
「科学の申し子!欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「だから急に何すか!科学感ゼロじゃないすか!欠伸してる人の口に指を入れるって、原始的な嫌がらせじゃないすか!」
「メロン大好き!欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「関係無いじゃないすか!何で急に好物言い出したんすか!いや、何か正義のヒーロー的な前口上すけど、何なんすか?」
「パン大好き!」
「好物聞いてないすから!何が大好きだって別にいいっすよ!」
「小麦粉大嫌い!欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「どっちなんすか!だったらパン嫌いじゃないすか!」
「食べるのは嫌いだけど、存在が好き!」
「そう言う角度からパンを見てる人、初めてですよ!」
「6万馬力!欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「2万馬力減ったじゃないすか!いやだから、もう悪なのか正義なのかとか、どうでもいっすよ!何なんすか?そもそも何なんすか?」
「欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「オエッ!ってなるじゃないすか!そんな事したら、オエッ!ってなっちゃうじゃないすか!」
「咳が出る状態なのに平然と喫茶店とかに来ちゃうヤツ大嫌い!欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「何回、自己紹介するんすか!だったら、そいつの口に指を入れたらいいじゃないすか!」
「風邪うつるから嫌!」
「自分も、風邪かもしれないじゃないすか!なのに口に指を入れて来たじゃないすか!」
「風邪なの?」
「風邪じゃないすけど。」
「欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「いや、ピースサインの意味が分からないすよ!少なくともオエッ!ってなったさっきの自分は、平和じゃないすよ!」
「あとあれだよね?自転車のライトが眩し過ぎるヤツとかも嫌いだよね。パッパッ!って点滅させてるヤツは、もっと嫌いだよね。だってさ。自転車のライトって、相手に存在を気付かせればいい訳でしょ?なのに相手の目を眩ませるぐらい強烈な光を放ってどうすんだって!思うよね。むしろあれは、逆に相手の目を瞑らませて存在を隠してるよね。忍の発想だよね。」
「急に何すか!急に流暢に語り出して何なんすか!だから、だったらそいつの口に指を入れればいいじゃないすか!」
「風邪うつるから嫌!」
「何でその危機感を常に持ってる人が!欠伸してる人の口にだけ無防備に指を入れて来るんすか!」
「欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「名乗ればいいってもんじゃないすよ!やっていい事とダメな事があるじゃないすか!」
「くしゃみしてる人の頬っぺたに平手打ちするマン!」
「いや単なる暴力じゃないすか!」
「ゲップした人とダンス踊るマン!」
「何すか!何なんすか!それ!生理現象に対するそれ何なんすか!新しいのいっぱい出て来たけど何なんすか!仲間すか?」
「一匹狼!欠伸してる人の口に指を入れるマン!」
「会話が!会話がもう成立しないじゃないすか!悪でも正義でも何でもない単なる変質者じゃないすか!」
「違うっっっ!!」
「・・・・・・何すか!?急に大声とか何なんすか!?」
「私は、究極のオエッ!を求める者だ!」
「はあ?究極のオエッ!って何すか?」
「究極のオエッ!別名!伝説のオエッ!」
「いや、一切説明になってないすよ?究極のオエッ!が地球を救うとかすか?究極のオエッ!が逆に地球を滅ぼすとかすか?」
「そうなの?」
「適当な作り話だったんじゃないすか!付き合って損した!」
「帰っていい?」
「自由人過ぎるっ!?」

第三百九十二話
「指を噛み切られるかもという恐怖を乗り越えた者」

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2013年12月25日 (水)

「第三百九十三話」

「たっだいま~!ハニ~!」
「お帰りなさいアナタ。」
「たっだいま~!ヘニ~!」
「アナタお帰りなさい!って、何かいつになくテンション高くない?ヘニーって。」
「おいおいおい!そりゃあ!テンションも上がるだろ!上がりっぱなしだろ!」
「っぱなしなんだ。何かいい事でもあった?」
「あったどろこじゃないよ!ありっぱなしだよ!」
「っぱなしなんだ。」
「朝から俺は、この時が来るのをテンション押さえながら必死に今日1日を真顔で過ごしてたんだぞ!」
「いや別に真顔で過ごさなくてもいんじゃない?」
「むしろ俺は、ハニーのテンションにクエスチョンだよ!」
「テンション上がりっぱなしだと、そんな感じになっちゃうの?アタシのテンションって言われても・・・・・・今日は結婚記念日でもないし、誕生日でもないでしょ?あっ、クリスマス!」
「イエス!クリスマス!」
「でも別にクリスマスだよ?今更、そんなにテンション上がらないでしょ。クリスマスなんかに。」
「今年から上げて行こうぜ!まだまだ若い2人なんだからガンガン上げて行こうぜ!」
「だったら事前に言っといてよ。そしたら上げといたのに。」
「じゃあ、もう1回やり直しの方向で。」
「前代未聞ね。」
「行くぞ?」
「オーケー。」
「たっだいま~!ハニ~!」
「おっ帰りなさ~いダーリン!ダーリンおっ帰りなさ~い!」
「おいおい、ハニー?随分とご機嫌だな!何かいい事でもあったのか?」
「いい事?何言ってるの、ダーリン?いい事ありっぱなしに決まってるじゃない!」
「ななな何だって!?ぱなしだっててて!?」
「だって今日は、クリスマスなのよ!」
「そう!今日は、クリスマス!だからハニー?」
「何、ダーリン?」
「ク・リ・ス・マ・ス!プレ~ゼント!」
「ワオッ!本当に!」
「当たり前だろ!今日はクリスマスなんだからほら、開けてごらんよ!きっとハニーにお似合いだよ!」
「ありがとうダーリン!愛してる!」
「俺も愛してるよ!ハニー!」

第三百九十三話
「カパッ!」

「座って!」
「何だよ。急にどうしたんだよ。」
「いいから座って!」
「あんなにテンション上がってた人間が、こうもテンション下げられるかねぇ?ええ?」
「いやテンションは、アナタに合わせて上げて上げてただけだし!そもそもアタシを今のテンションに突き落とした原因は、これだし!」
「クリスマスプレゼント?」
「クリスマスプレゼント!?これがクリスマスプレゼントだって言うの?」
「そんな感じの箱に入って、そんな感じの包み紙に、そんな感じのリボンが付いてるだろ?」
「そんな感じのリボンが付た、そんな感じの包み紙の中の、そんな感じの箱に入ってる、落ち葉じゃん!えっ?嘘でしょ?落ち葉、妻にクリスマスプレゼントしちゃう夫がいる?いやいや、そんなはずはない!そんな訳があるはずがない!これは、何かなのよ!よく分からないけど!きっと、これは何かなのよ!クリスマスプレゼントに相応しい、何かなのよ!そう自分に言い聞かせながら、手にして、見てみたけど!落ち葉じゃん!やっぱり単なる落ち葉じゃん!」
「ごめん!」
「いや謝られてもでしょ。あの数分間の玄関でのやり取りは何だったの?アタシのテンションは何だったの?てか、よく落ち葉でテンションあそこまで上げれたね?」
「1枚で!」
「数の問題じゃない!数でアタシはイライラしてるんじゃない!いやむしろ、こんなの山盛りプレゼントされてもでしょ!だってそれは、単なるゴミだから!ゴミの山に過ぎないから!」
「色の問題か?もし気に入らないなら、違う色のを拾って来るから!」
「どうしてアタシが落ち葉の色で怒らなきゃならないのよ!もっと赤みがかった方が良かったわ。とか言うと思う?何だろう?そのクリスマスプレゼント的なモノを?拾って来る?って発想からして?おかしいなって思わないんだろうか?」
「実はな。忘れてたんだよ。今日がクリスマスって事をさ。で、帰り道でサンタさんの姿を見てな。って、別にそれは本物サンタさんじゃなくて、そう言うクリスマスを盛り上げようと扮装して」
「いる?そのサンタクロースに対する説明、いる?」
「ごめん。で、そこで初めて今日がクリスマスって事に気付いたんだ。それで、あっやべぇ!かみさんにクリスマスプレゼント買ってねぇや!どやされちまう!って思ったんだ。」
「どやすか!心の人格おかしいでしょ。で?」
「で、とりあえず何かって思ってたら、足元の落ち葉が目に入ったんだ。」
「いやいやいや、他にも沢山、目に入ったでしょ!思い浮かんだでしょ!」
「で、落ち葉を取り出して、これだ!って思ったんだ。」
「マジの意味の目に入っただったの!?いやいやいや、それでもそれをこれだって思わないでしょ、普通!」
「啓示だって!」
「大袈裟でしょ!」
「これしかない!って思ったんだ。」
「バカなの?クリスマス忘れててプレゼント買ってないからって、いくら何でも手短に片付け過ぎでしょ!」
「で、梱包してくれそうな店を小1時間ぐらい掛けて探して、さっきに至る。」
「時間あるじゃん!そこそこ時間あったんじゃん!その小1時間でクリスマスプレゼント買えたじゃん!つか、むしろあのそんな感じの箱と包み紙とリボンの方がクリスマスプレゼントじゃん!」
「じゃあ、それで!」
「いらね!マジいらね!」
「世の中にはさぁ。クリスマスプレゼントが貰えない人だって沢山、そりゃもう沢っ山!いるんだぞ?」
「そう言う角度から訴えて来た訳だ。落ち葉でも貰えるだけ幸せ的な?」
「うむ。」
「中身じゃない!気持ちだよ!的な?」
「うむ。」
「でもね?」
「ん?」
「その沢山いるクリスマスプレゼントを貰えない人に、その沢山いるクリスマスプレゼントを上げれない人も!落ち葉、チョイスしないわよ!」
「深い話?」
「浅い話よ!メチャクチャ浅い話よ!」
「でも、知らないだけでこの落ち葉が実は凄く価値のある落ち葉かもしれないぞ?」
「そんな訳ないじゃん。」
「落ち葉コレクターが喉から手が出るほどに欲しがる激レア落ち葉かもしれないぞ?」
「えっ?凄くバカなの?」
「スゲェ珍しい!いや新種の虫の卵がくっついてるかもだろ!」
「話変わっちゃってんじゃん!落ち葉コレクター関係無いじゃん!昆虫学者的な方向じゃん!」
「経てな。」
「経て?」
「落ち葉コレクターを経て、昆虫学者に行き着いて、不治の病の特効薬へ辿り着く計算だ!」
「卵なんかないけど?」
「ガッデム!!」
「・・・・・・・・・寝るね。」
「サンタさん、来るといいな!」
「普通は、クリスマスの朝までに来てるんだけどね。朝起きて、部屋中落ち葉だらけになってたら、その落ち葉の山で焼き夫にするからね!」
「そそそそそそんな事するはずないだろ!?」
「・・・・・・・・・おやすみ。」
「おっやすみ~!」
「いやそのテンション!絶好やる気でしょ!」

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