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2014年2月19日 (水)

「第四百一話」

「それ以上、余計な事を言うんじゃない!」
「ん?まだ何も言ってないけど?」
「ああ、すまん。何か余計な事を言いそうな顔付きしてたから、つい。」
「余計な事なんか言わないさ。」
「そうか。なら、帰ってくれ。」
「何でだ。お前から呼び出されて、わざわざ大草原に来て、まだ何も始まってないってのに、なぜ俺を帰らせる。」
「これが何だか分かるか?」
「シートで隠されてる飛行機の事か?」
「なんて情緒のない奴なんだ、お前は!」
「だったら、なぜもっと上手くシートで覆わない!」
「ふっふっふっふっふっ!」
「何だ急に?変な蟹でも食べたのか?」
「変な蟹って何だよ!僕はな。遂にやったんだよ!飛行機を完成させたんだよ!このシートに覆われてるモノが一体何なのか!キミに分かるか?」
「サプライズ下手くそか!だから、飛行機だろ?」
「見よ!」
「おお!ってならないぞ?出会った時から既にそんな格好の奴に、案の定なモノを見せ付けられても。」
「赤い飛行機だ!」
「青い飛行機だろ。どう言う緊張だよ。」
「僕はな!この飛行機で、世界初の!地球初の!有人動力飛行に成功する!」
「世界初も地球初も同じだし、有人動力飛行は5年ぐらい前に、どっかの兄弟が成功させたとかって記事を読んだぞ?それもお前とな。」
「世界初!一人っ子での有人動力飛行に成功する!」
「そんな区分けが成立するなら、ほぼ毎日、何かのジャンルで世界初だよ!」
「おい!」
「何で詰め寄るんだよ。」
「友人が遂に飛行機を作った事にまず感動するのが友人ってもんだろ!」
「感動はしてるよ。スゲェなとも思ってるよ。けど何か素直にそれらを前面に出せないのは、お前のせいだろ。」
「感動してるなら、それでよし!」
「いや、いらないよ?ハンカチ。」
「見ての通り、このドルフィン号は二人乗りだ。」
「ネーミングセンス!?飛行機に付ける名前じゃないだろ!」
「僕は、イルカが大好きなんだよ!」
「分かったよ。いいよ。いい、お前が作った飛行機なんだから、お前の好きな名前を付ければいいよ。」
「ありがとう。」
「だから別に必要ないけど、ハンカチ。」
「二人乗りって事は、もう言わずとも分かるだろ?」
「俺も乗るって事なのか?」
「そうさ!僕は、友人であるキミと共にこの大空で鳥になりたいんだ!その感動を共に分かち合いたいんだ!」
「ハンカチ何枚渡して来る気なんだよ!確かに、友としてその気持ちは嬉しいよ。けど、大丈夫なのか?」
「大丈夫にも程があるだろ!」
「どんな言い回しだよ!」
「僕が後ろに乗って操縦する!キミが前に乗って操縦する!どこに不安要素があるって言うんだ!」
「もうその両方共に操縦席ってとこが不安でたまらない!」
「なら、操縦は僕に任せてくれ。」
「何かの拍子に触っちゃいけないモノに触っちゃったらどうすんだよ!」
「その時はその時!」
「その時はその時の確率が異様に高い飛行機に乗りたくないだろ!」
「触らなきゃいいだろっ!!」
「怒りだけで簡単に乗り越えられる問題じゃないだろ。」
「よし分かった!僕が前に乗るからキミは後ろに乗ればいい!」
「何の解決にもなってない!?」
「ジャンケンしよう!」
「何のジャンケン?」
「どっちが後ろの操縦席に乗るのかジャンケンだ!」
「いいよ、お前が後ろに乗りたいなら、乗ればいいだろ?別に俺は、そう言う事を言ってる訳じゃないしさ。」
「マジで?本当に僕が後ろでいいの?良かったぁ。本当に良かった。前の操縦席はフェイクだからな。」
「俺がジャンケンに勝利してたら、どうなってたんだよ!」
「死ぬとこだったよ。キミは、命の恩人だ。」
「お前が命を粗末にし過ぎなだけだろ。何なの?このいちいちハンカチを渡して来る風習?」
「それじゃあ!そろそろ?」
「いや、俺こんな普段着だけど大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫!むしろその格好の方が踊りやすいから。」
「踊らないだろ?」
「踊らないの!?」
「踊らないよ。」
「翼の上で踊らないの!?」
「俺、お前にそんな夢語った記憶がないが?」
「会う度に言ってなかったか?」
「だったとしたら、友として注意してくれ。叶える方を選ばないでくれ。」
「まあ、踊らないなら踊らないでいいよ。鳥になってくれ。」
「ああ、そうだな。大空からの景色を堪能させてもらうよ。」
「鷲か?」
「はあ?」
「鷹か?」
「何が?」
「コンドルか!」
「いや別にマジに鳥にならないよ?人間、大空へ行ったら鳥になっちゃうような刻み込まれ方、遺伝子にしてないから。」
「ジョークだよ!ジョーク!大空ジョークだよ!」
「何か、あれだな。あんまり面白くないな。」
「まあ、地面に足が着いてる状態で聞いてもな。」
「じゃあ、完全に言うタイミングおかしいだろ。」
「さあ、お遊びはここまでだ!乗ってくれ!」
「お遊びしてたのは、主にお前だろ?」
「いざ!大空へ!」
「ここまで来たら、おもいっきり楽しませてもらうからな!」
「当たり前だっ!!ああ、あと足元に蟹がいるけど気にするな!」
「気になるだろ!何なんだよ、蟹!」
「もしもの時は食料になる!!」
「えっ!何て!うるさくて聞こえないぞ!」
「これより僕らは、伝説になる。」
「おい!!この蟹は、何なんだよ!!」

第四百一話
「世界初の蟹との有人動力飛行」

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