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2014年3月26日 (水)

「第四百六話」

「寒い・・・・・・。」
「ねぇ?」
「ん?寒い寒い。」
「起きて来てから、何回寒いって言うつもり?」
「何回って、特に回数は決めてないよ。今朝はやたらと寒いから、寒いってついつい言っちゃうだけだよ。寒い寒い寒い。」
「分かってるのよ。今朝が寒いなんて、この地域の人達は、みんな分かってんのよ。」
「何をそんなにカリカリしてんだよ。あー寒い。」
「いや、寒い寒いって意味も無く連呼される事がイライラすんのよ。じゃあ何?アナタは、空気吸ってる空気吸ってるって連呼すんの?瞬きしてる瞬きしてるって連呼すんの?」
「そんな事連呼する訳がないだろ。」
「だったら寒い寒いって連呼するのやめてよ。」
「分かったよ。あー寒い寒い。」
「分かってないじゃん!」
「分かってるよ。分かってるけど、ついつい言っちゃうんだよ。ついつい言っちゃうだろ?寒い朝は、寒い寒いってついつい言っちゃうだろ?」
「言っちゃうわよ!」
「そう言うもんだろ?」
「言っちゃうけど、アナタみたいにずーっと言っちゃってる人はいないわよ!何?病気?寒い寒い病?」
「それで、お前が納得するなら、それでいいや。あー寒い。」
「じゃあ!今すぐ病院に行って来てよ!寒い科の先生に診てもらって、悪性寒い摘出手術してもらってよ!」
「悪性寒いってなんだよ。」
「あのね?寒い寒いって言われる妻の気持ちにもなってみてよ。いい?例えば今、アナタが死んだら、旦那の生前最後の言葉が、寒いかもしれないのよ?」
「どう言う心配だよ!それに、生前最後の言葉が寒いって、意外と多いんじゃないか?生前最後の言葉トップ10には入るんじゃないか?」
「何よ!その不謹慎な調べ!あのね?生前最後の言葉が寒いなら、まだマシかもしれないけど、アナタみたいに、寒い寒いって連呼してたら、寒いのさむ、って部分で事切れるかもしれないのよ?」
「まあ、確率的にはあるかもしれないな。」
「そしたら、それを聞いたアタシは、サム?サムって誰?サムって誰なの?一体アナタはどんな事件に巻き込まれてしまったの!って、その後のアタシの人生は、サムに悩まされる事になるのよ?いいの?それでいい訳?愛する妻が、寒いって言い切れなかったがための勘違いで、その後の人生をサム探しに費やしてもアナタは平気なの!」
「死ぬ間際まで寒い寒いって連呼してたのに、何で急にサムって謎の人物を登場させちゃうんだよ!普通に考えたら、寒いって言おうとしてたに決まってるだろ!で、何で俺は事件に巻き込まれちゃったんだ?」
「それは、人は常に何かしらの事件に巻き込まれているからよ。」
「名探偵の決め台詞的な感じに言っても、全くなってないからな。」
「ブー!名刑事でしたー!」
「どっちでもいいよ!あー寒い。」
「燃やせば?」
「何を?」
「いやもう、そんなに寒いならガソリンかぶって火を点ければいいじゃん!」
「死ぬだろ!」
「いやもう、死んだっていいじゃん。こんなに寒い寒いって連呼するぐらいの極寒から解放されるなら、死んだっていいじゃん!死ぬなんてなんだい!だよ!」
「ライターを渡すなよ!ライターを!」
「いやもう、大丈夫だって!家ごと派手にやっちゃってよ!ブワァーっと!はい!燃えろ!燃えろ!」
「拍手で近付きながら燃えろコールやめい!まさか寒いを連呼で、自殺を強要されるにまでに至るとは思わなかったよ。」
「人生は常に予想外!」
「そのちょいちょい決め台詞調なんなんだ?」
「つか、そんなに寒いんだったら、運動でもして来れば?休日なんだしさ。」
「お前、外はもっと寒いんだぞ?」
「いや、最初は寒いかもしれないけど、運動してれば暖かくなるでしょ?」
「暖かくなる前に凍死したらどーすんだよ!」
「するかよ!外どんな気温よ!エベレストかよ!窓の外を見てみなさいよ!みんな動いてるじゃない!」
「運動は、嫌だ。疲れるから。あれだぞ?運動から帰って来たら、寒いは連呼しなくなるかもしれないけど、今度は疲れたを連呼するぞ?いいのか?それでもいいのか?」
「そん時は、口の中に肉まん詰め込むからいいわよ。」
「何で疲れて帰って来た旦那にそんな仕打ちすんだよ!」
「旦那だからよ!」
「旦那なのにか!」
「旦那だからこそ!」
「いや意味が分からない。てか、口の中がデロデロになるだろ!数日間ブルーだろ!」
「誰が熱々の肉まん詰め込むっつった?」
「カチカチの肉まん詰め込んだらまた寒くなるだろ!何の為の運動だ!それに勢いよくカチカチ詰め込まれたら前歯が折れちゃうかもしれないだろ!」
「そこは折れちゃわないように上手くやるわよ。アタシを誰だと思ってんの?」
「誰!?」
「アナタの奥さんよ!」
「恐ろしく答えになってないっ!」
「むしろ逆にお風呂場で冷水を頭からかぶるってのはどう?」
「却下!」
「じゃあ、グツグツ煮えたぎった鍋に顔面押し込んで上げるわよ。」
「却下!」
「分かった!寒さを忘れるぐらいの痛みを与えればいいんだ!ちょっと右目をおもいっきりグーで殴らせて!」
「却下!何でそんな全てが荒々しいんだよ!寒い朝に寒いって連呼しただけで代償がデカ過ぎるだろ!」
「この全てを実行してもなお、アタシのイライラはおさまらないわ!」
「そんなかよ!寒い朝に寒いって連呼、そんなにかよ!罪深き過ぎるだろ!」
「ねぇ?起きてから1時間経たない間に、寒いって何回言ったか知ってる?」
「いや、そんなの数えてないよ。」
「アタシもよ!」
「だったら投げ掛けるな!」
「うっせっ!」
「情緒!?」
「分かった!」
「大丈夫なやつか?」
「おもいきって皮膚全部剥いじゃえばいんじゃない?」
「一周回って辿り着く大人の考えか!何で人体模型みたいになって今後の人生を生きて行かなきゃならないんだよ!」
「素敵!」
「どこがだ!だいたい、旦那が起きて来て寒いって言ってんだから、抱きしめてくれるとか、温かいコーヒー出すとか、してくれないんだよ。」
「今、何て言った?」
「温かいコーヒー出すとか。」
「その前。」
「抱きしめてくれるとか。」
「もっと前。」
「え?もっと前!?だいたい、旦那が起きて来て寒いって言ってんだから?」
「もっと前!」
「どれ!」
「普通に考えたら、寒いって言おうとしてたに決まってるだろ!の前!」
「結構な前だな!聞くタイミングおかしいだろ!」
「いいから!」
「死ぬ間際まで寒い寒いって連呼してたのに、何で急にサムって謎の人物を登場させちゃうんだよ!だよ。」
「サムって、誰!」
「お前発信だ!」
「サマンサって誰なのよ!」
「何で浮気発覚みたくなっちゃってんだよ!」

第四百六話
「修羅場はいつも突然に」

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