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2014年4月30日 (水)

「第四百十一話」

奇妙な朝だった。そう、まるで夜みたいな朝。
「夜だよ!」
「誰だ!?お前!?」
「夜の番人さ。」
「夜の番人?」
「夜がちゃんと、夜であるように、夜を管理するのさ。」
「出来てないだろ!夜の管理!朝が夜になっちゃってんじゃないか!」
「いいや、今は夜。」
「時計を見てみろ!今は午前8時!朝だ!」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「夜さ。」
「何か変な間があった!何かちょっと変な間があったぞ!」
「時計が間違ってるのさ。」
「間違わない時計だ!どうでもいいから早く夜を終わりにしてくれ!」
「はい!」
「何だよ。その手は?」
「お金ちょーだい!」
「はあ?」
「夜を終わりにして欲しいなら、それなりのね?分かるでしょ?」
「分かんないだろ!何で私が夜を終わらす為に、お金を払わなきゃならないんだ!」
「それはね?夜の順番が回って来たからなんだよ。」
「じゃあ何か?朝が来るのは、毎日毎日、どこかで誰かが、お金を払ってるからだって言うのか!」
「正解!」
「だとしたらだ!こんな一般市民のところに来ないで!国の政府的な機関に行けばいいだろ!」
「人類皆平等!の精神でやってます。」
「だとしたらだ!人類から同額徴収すべきだろ!」
「バカですね。」
「貴様がだ!」
「地球の人類が今、何人いるのかご存知?」
「ご存知な訳がないだろ!」
「そりゃもう!いーっぱい!そんないーっぱいの人類一人一人から徴収してたら、夜が明けちゃうよ!」
「何をニヤニヤしてるんだ!別に何一つ面白い事なんか巻き起こっていからな!」
「堅物だなぁ。とにかく!そんな一人一人から徴収なんて面倒臭いやり方じゃなく!こうして一人から徴収の方がスマートでしょ?」
「迷惑だ!」
「迷惑なのは、こうしてアナタが駄々こねて夜代を支払わないで夜が明けないその他の人類だ!いい?ここの夜が終わらないって事は、他では夜が来ないって事で、一方で朝が終わらないって事なんだよ?」
「納得いくか!」
「運が悪かったって思うんじゃなくて、名誉な事だって思って、さあ契約書にサインして!」
「何か貰えるのか?ここで、人類の為に夜を終わらせるお金を払ったら、私は何か貰えるのか?」
「貰える訳がないでしょ。」
「どうして!?」
「逆にどうして!?」
「お金を払うんだぞ!」
「そうですよ。でも、アナタも今まで、何も知らずに、夜代を払って夜を終わらしていた先人達の恩恵を受けてたんですよ?なぜ、アナタにだけ何か上げなきゃならないんですか?なぜ、アナタだけ特別扱いしなきゃならないんですか?」
「・・・・・・・・・。」
「駄々こねて、わがままで、身勝手なアナタに!どーしてそん」
「もう分かった!!もういい!!払う!!」
「まいど!」
「サインすればいいんだな。」
「ここね。ここにサインして、それからお金を支払ってくれれば、それでオールオッケー!」「今、ここでか?」
「もちろん!」
「契約書には、一度夜代を支払えば、今後一生支払う事はないと書かれてるが、それは本当だな?」
「夜ノ番人ウソツカナイ!」
「・・・・・・・・・ほらサインしたぞ。」
「じゃあ、契約書に書かれてるお金ちょーだい!」
「ちょっと待て、今持って来る!」
「りょーかい!ワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワク!」
「ほら!」
「ワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクワク確かに!」
「どんな数え方だ!さっさと夜を終わらせろ!」
「この場では無理!なので、僕が帰ったあと、しばらくしたら、夜が終わります。」
「だったら!さっさと帰れー!」
「あひゃー!」
「真面目に帰れ!」
夜の番人がふざけながら出て行き、しばらく待ったが、相変わらず奇妙な朝だった。

第四百十一話
「夜夜詐欺」

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