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2014年5月21日 (水)

「第四百十四話」

オレは、春からこの研究所に入ったフレッシュマンだ。
「ロボットに乗るのは初めてか?」
「ああ。」
そして、コックピットの小さなモニターに映る老人が、この研究所で一番偉い博士だ。ロボットに乗るのが初めても何も、まさかこんなマンガやアニメみたいな世界が現実に存在しているだなんて思ってもみなかった。
「いいか?フレッシュマン!これが成功したら、お前は人類初のマンガやアニメに出て来るようなロボット操縦成功者だ!」
「ふわっとし過ぎだろ!人類初感が全く伝わって来ない!」
「がっはっはっはっはっ!フレッシュマンはそれぐらいの反骨心がないとな!わしの人選に狂いはなかった!がっはっはっはっはっ!」
フレッシュマンが反骨心を持ってたらダメだろ!博士的な人間は、変わり者が多いって聞いてたが、ここまでとはな。
「で?オレは一体何をしたらいいんだ?」
「心配するな、フレッシュマン!お前さんは、わしの指示通りにすればいいだけだ!簡単だろ?」
「分かった。」
「では!博士2号の」
「ちょっと待ってくれ。」
「お前は、わしをズッコケさせて殺す気か!なぜ、怒鳴りの途中に待ったするんだ!」
「すまん。だが、ちょっと気になる事があったからな。」
「何だ!さっさと言え!」
「このロボット、博士2号って名前なのか?」
「当たり前だ!」
「つまり、既に博士1号が存在してるって事なのか?」
「わしが博士1号だろうが!」
「いや、じゃあ、これは実質的に博士1号だろ!これに2号って名付けたら、アンタもロボットって事になるぞ?」
「がっはっはっはっはっ!さすが、フレッシュマン!細かい事に突っ掛かってくれるわい!つまり、わしの人選に狂いはなかったと言う事だな!がっはっはっはっはっ!」
「・・・・・・・・・。」
全く話が噛み合わない。さっさと終わらして、とっとと帰ろう。
「いいか?フレッシュマン!とにかくお前さんとは、話が噛み合わないからな。さっさと終わらして、とっとと帰るぞ!」
「同感の極みだ。」
「では!博士2号の公式実験を開始する!準備はいいか?フレッシュマン。」
「いつでもどーぞ。」
「では、まず!お前さんから向かって右側にある絶対に押して欲しいボタンを押して欲しい!」
「いや、ネーミングがおかしいだろ!」
「何がだ!」
「起動ボタンだろ?絶対に押して欲しいボタンじゃなくて、絶対に押すボタンだろ?」
「がっはっはっはっはっ!それでこそフレッシュマン!」
「何がだ?」
「甘い!非常に甘い!もちろん、わしの人選に狂いはなかったと言う事だ!がっはっはっはっはっ!」
いやもう、全く持って何が言いたいのか理解が出来ない。
「どう言う事だ!」
「絶対に押して欲しいボタン、その言葉の通りと言う事だ!」
「はあ?」
「つまりは、そのボタンを押すか押さないかは、パイロットであるお前さんに委ねると言う事だ!フッレシュマン!がっはっはっはっはっ!」
「何だと?じゃあ、オレがこのボタンを押さなかったら?」
「実験は、失敗だ!」
「何なんだよ!」
「さあ!フレッシュマン!どうする!」
「どうするって、ここまで来て押さないってバカはいないだろ!」
「がっはっはっはっはっ!それでこそフレッシュマン!根性が違うわい!がっはっはっはっはっ!わしの人選!」
なぜ、そんな人選を強調したがる?誰かと人選争いでもしてたのか?
「押したぞ。」
「よし!それで博士2号は、起動した!」
「起動ボタンだから、そりゃあ、するだろ。で、オレがボタンを押してる間に、モニターの向こうのアンタは、何で誰かの誕生日を全力で祝おうとしようとしてるような格好になってんだ?元々、ビケにメガネなのに、ビケにメガネのパーティーグッズは御法度だろ。」
「座席の左下を探ってみろ!」
「はあ?」
「早くしろ!時間がない!」
「何の時間だよ。ん?このバッグか?」
「開けろ!時間がない!」
「だから、何の時間だよ。はあ?ワイン?」
「年代物の曰く付きの赤ワインだぞ?がっはっはっはっはっ!」
「曰く付きって何だ!で、このトンガリ帽子は何なんだ?」
「お祝いと言ったら、そのトンガリ帽子だろ!」
「お祝いと言ったらな?そうじゃなくて、オレが言いたいのは、ロボットの操縦に何で、年代物の赤ワインとお祝いでお馴染みの帽子が必要なのかって事だ!」
「がっはっはっはっはっ!それでこそフレッシュマン!その口答え!いいぞ!がっはっはっはっはっ!人選は、わし!」
「何を口答えしたのか分からないし、この異次元空間の説明をしてくれ!」
「分からんのか?あからさまに、お祝いムードなんだから、お祝いに決まってるだろ!分かったら、早く準備をしろ!」
「いや、ちょっと待ってくれ!博士2号の公式実験の成功を祝うなら、研究室でいいだろ?別に遠く離れた場所にいる訳じゃなく、研究所の敷地内にいんだから。」
「すぐやりたいんだよ!」
「じゃあ、すぐやりたいのは、いいとしてだ。だったら、実験が成功したらにしたらどうなんだ?何で、絶対に押して欲しいボタンを押しただけで、こんな盛り上がりなんだよ!こんな感じで実験を進めてったら、終わり頃にはオレは泥酔状態だろ!」
「ぬははははははは!」
「何で大魔王みたいな笑いに切り替えた?」
「だからフレッシュマン!されどフレッシュマン!とどのつまりフレッシュマン!」
「何が言いたいんだ?」
「それでこそフレッシュマンだと言う事だ。」
「いや、そのフレッシュマン一点張りの説明で理解出来るヤツなんかいないだろ。」
「実験は、成功したと言う事だ!フレッシュマン!」
「何だと!?オレはまだ、絶対に押して欲しいボタンを押しただけだぞ?」
「だからこそだ!」
「お、おい。これは一体何の実験なんだ?このロボットは、一体何をしたんだ?」
「ふっふっふっ。まだ分からんのか?」
何だ?この今までとは違うモニターに映る博士の不適な笑みは?オレは一体何のボタンを押してしまったって言うんだ?何が起きる?いや、もうすでに何かが起きてる?何かとんでもない事が!?
「ん?何だ?」
「そろそろ気付いたか?フレッシュマン。」
「何のにおいだ?」
「がーっはっはっはっはっ!」
「これは!?」
「完成だ!」
「メロンパン!?」
「そうだ!」

第四百十四話
「メロンパン焼き機」

「才能の無駄遣いにも程があるだろ!」
「才能に無駄遣いなどない!!」

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