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2014年6月11日 (水)

「第四百十七話」

「何でモテないのかしら?ねぇ?先生?アタシ、何でモテないのかしら?何でなのかしら?もう!いやんなっちゃうわ!って、そんな事をカウンセリングの先生に言ってもよね!」

「どうやって生きてるんだよ!?」

第四百十七話
「左半分の女」

「どうやって生きてるって、あら?雅に生きてますよ?それはもう、雅にね。」
「いやよく分からないその生き方は!ボクが言いたいのは、そうじゃなくて!そう言う事じゃなくて!つまり物理的に!」
「はい?」
「え?化け物?」
「え!?化け物!?どこ!?どこに化け物!?アタシ、化け物とかゴリラとか苦手中の苦手なのよ!先生!苦手にも程があるのよ!先生、追い払ってちょうだい!って、ちょっと?先生?何でアタシをゲラウト?ちょっと?先生!?何故?何故のゲラウト?」
僕は、左半分の女をゲラウトした。
「苦手って・・・・・・どの口が言うんだよ。ゴリラって・・・・・・何だよ。」
だいたい右脳は左、左脳は右、じゃないのか?あの女、どう動いてんだ?革命的に動いてんのか?
「・・・・・・疲れてんのかな?」
カウンセラーがカウンセリングが必要なぐらい、幻覚的なモノが見えてしまう程に疲れるまで働くなんて、本末転倒だな。ああ、そうだ。次の休みには、湿地帯にでも行こう。湿地帯に行って、癒されよう。ああ、こうして目を閉じてると湿地帯がボクを
「先生!」
「出た!?」
「何で追い出すんですか!もしかして、アタシの美貌が恐ろし過ぎてですか?いやだもう!先生ったらぁ!」
「ちょっとすいません。」
「何?」
「いやちょっと。」
「何してるんです?」
「ホントにちょっと。」
「何なんです?何かの検査ですか?」
違う。今、ボクは確かに女の右を触ろうと手をジャッジャッジャッ!ってやってみたけど、無い。確率は低いがもしかしたら、ボクの方に問題があるんじゃないかって思ったんだ。右側が失調してしまってて、右半分の女を見えてないだけなのかってね。けど、違う。女は本当に左半分なんだ。左半分の女なんだ。
「虫でもいたの?」
「虫がいたんです。」
さあ!いよいよ参ったぞ、と。幻覚的なモノでもボクに問題がある訳でもなく、現実として目の前に左半分しかない女が存在する。例えるなら?そうだなぁ?サツマイモの天ぷらかと思ったらナスの天ぷらだったみたいなしてやられた感?みたいな?いや、違う。そんなもんじゃないぞ。そんな現実的なもんじゃないんだ、これは!
「先生?」
「・・・・・・すいません。で?」
「で?」
「いやだから、何なんですか?何か悩みがあるから来たんですよね?」
「何でそんなに投げやりなんですか?」
そりゃあ、投げやりにもなるだろ。何だか分からないんだから、何だか投げやりにもなるってもんだよ。たいして知り合いでもないヤツの結婚式に人数合わせで参加させられてる感があからさまに理解出来た時のアレだよ。もうウンコ漏れちゃってんのにトイレ探してる時のソレだよ。今日、一発目の患者が左半分の女だったって時のコレだよ。
「別に、投げやりじゃないですよ。」
「ああ、じゃあ!アタシの美貌に魅せられて、ポーっとしちゃってんだ!いやだも!先生ったら!」
「はあ・・・・・・。」
コレが殺意ってヤツなのか?だとしたら、殺意ってのは意外と冷めてるんだな。もっとこう、カッカッするもんだと思ってた。カッカッ、カッカッ、して、カッカッ、カッカッ、するものかと思ってよ。そもそも何なんだ?どう言う事なんだ?何で女は、左半分なんだ?剣豪に無謀にもケンカ売ったのか?マジシャンの嫁?でも、モテるどうこう言ってたから、マジシャンか?ある日突然、左右に意志が生まれてケンカして別れたのか?お前なんかとやってられるか!的な?それとも生まれつきなのか?まあアレだよね。これだけは確かだけどさ。ポーっとなんかなる訳がないよね。だって左半分の女を見てて、ただただ、ボクは今、ずーっと気持ち悪いだけなんだからね。
「でね?先生、アタシの悩みなんですけどね。」
「・・・・・・・・・。」
どうでもいいよ。お前の悩みなんてさ。そもそも悩みの塊じゃないか。カウンセラーとして情けない話かもしれないけど、ボクにこの女の心の病は治せない。まあでも?患者の脈打つ心が、こうしてマジで見えたのは初めてだけどね。まあ、見えてるのは心だけじゃないけどね。とにかく、ボクはお手上げだ。
「幻覚が見えるんです。」
「幻覚?」
「はい。」
何だよ幻覚って、己が幻覚みたいな存在のくせに?幻覚って何だよ。犬が自分の尻尾を追い掛けてる様よりも滑稽だな、おい。鼻くそホジホジしてて、鼻血出しちゃうよりも無様だな、おい。
「幻覚って?それは一体どんな幻覚なんですか?」
「人の右半分が見えるんです。」
おっと?これはこれは、やっぱりと言うか案の定と言うか、やってくれたな左半分の女。つまりはボクも?カウンセリングが必要だったってオチか!

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