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2014年8月 6日 (水)

「第四百二十五話」

「何をしてるんだ!」
「何をされてるのか?それは自分が1番よく分かってるんじゃないのか?」
「こんな廃ビルの8階辺りに連れて来て、ドラム缶の中にロープでグルグル巻きにされて入れられて、コンクリート流し込まれて、今は首から上だけ出てる状態で、何をしてるんだ!」
「そこまで分かってたら普通は分かるだろう!」
「殺すのか?私を殺すのか?」
「サプライズのバースデーって訳にはいかないだろ。」
「なぜだ!」
「なぜだ?こんなサプライズのバースデーがあってたまるか!」
「違う!なぜ私を殺す!キミと私に接点はないはずだ!」
「ああ、もちろん接点なんかない。これは、単なる俺の趣味だ。」
「趣味?趣味って?」
「俺は、廃ビルの8階辺りに人を連れて来て、ロープでグルグル巻きにして、ドラム缶の中に入れて、コンクリートを流し込んで殺すのが趣味なんだ。」
「一体全体どんな趣味なんだ!?」
「悪く思わないでくれ。」
「思うだろう!思わない人間がいるなら私は、そいつをぶん殴ってやりたいね!」
「おじさんには、俺の個人的な趣味に付き合わせて本当に悪いと思ってる。」
「はい?誰がおじさんだ!私は、単なる老け顔だ!きっと、お前とたいして歳は変わらないぞ!このハゲかけた頭は、私が一生懸命に生きた証だ!!」
「・・・・・・そうか。」
「そうだ!」
「・・・・・・じゃあ、そろそろ。」
「じゃあそろそろ何だ!」
「死んでもらおう。」
「だから、ちょっと待ちなさいよ。な?意味が分からないだろ?とってもだろ?それはもう、とってもだろ?とっても意味が分からないだろうがっ!!」
「意味は、あってないようなもんだ。なぜならこれは、趣味の領域の話だからな。俺の自己満足ってヤツで、アンタにとっては意味なんてないだろうな。」
「ならば1つ提案がある!」
「何だ?」
「私は、お前の趣味に付き合って殺されよう。」
「ありがとう。」
「だが!お前にも私の趣味に付き合ってもらう!ギブ&テイクだ!」
「ギブ&テイク?」
「ああ!だってそうだろ!考えてもみろ!私は理不尽に趣味に付き合わされているんだ!お前だって理不尽に私の趣味に付き合うべきだろ!」
「断ったら?」
「断るのか!?断るとかって選択肢ありなのか!?私には、お前の趣味に付き合う選択肢がないのにか!?」
「聞いただけだろ?」
「だけが通用する状況ではないだろうが!」
「で?アンタの趣味って?」
「私の趣味は、生きる事だ!」
「はあ?」
「どんな状況下であろうが!生きて生きて生きまくる!それが私の趣味だ!さあ!どうした!私の趣味に付き合ってくれるんだろ!」
「いや、どんな趣味だよ。」
「お前にだけは、言絶対に言われたくない!」
「と言うか、そんなのが趣味として認められると思ってんのか?」
「当たり前だろ!大の大人が言ってるんだ!認められないでどうする!」
「生きるなんてのは、人間なら当たり前の事だろ?呼吸をするとか瞬きをするとかを心臓を動かすとか趣味にするヤツなんかいないだろ?お前の趣味は、オートマチック過ぎて趣味の領域じゃない。と言うか、俺の趣味にどうにか対抗して今作っただけの事だろ?」
「それはなにか?私が殺されたくない一心で苦し紛れに嘘を付いてるとでも言いたいのか?」
「違うのか?」
「違う!」
「んまあ、違っても違ってなくても、そんなのはどっちでもいい。」
「どっちでもよくないだろ!」
「俺に、アンタの趣味に付き合う気がないって事だ。」
「なら、私もお前の趣味に付き合う気はない!」
「この状況で、よく言えるな。アンタに、俺の趣味に付き合うか付き合わないかの選択肢は、ないだろ?」
「あれ!」
「あれってなんだよ!もはや願望じゃねぇか!いいか?正義のヒーローでも来ない限り、どうにもならないんだよ。」
「正義のヒーローが来たら、どうにかなるのか?」
「そりゃあ、正義のヒーローが俺を倒して、アンタを救ってくれんだから、どうにかなるだろ。」
「お前が正義のヒーローを逆に倒してしまう可能性は、ないのか!」
「何で、あえてそんな可能性を考えるんだよ!」
「私は、とても用心深い人間だからだ!」
「説得力の欠片もないな。安心しろ。見ての通り俺は、普通の人間だ。正義のヒーローが来たら確実に倒される。」
「嘘ではないな?」
「ああ、嘘じゃない。俺には、アンタを救いに来た正義のヒーローを返り討ちに出来る特殊能力なんかない。」
「それを聞いて安心した。」
「何?ま、まさかお前!?実は俺に捕まったふりをして、何人もの人間を趣味に付き合わせて来た俺を倒しに来た正義のヒーロー!?」
「な訳がないだろ。考えてもみろ。私が仮に正義のヒーローだったとしたら、首から上だけになる前に、お前に正義の鉄槌を下している。」
「なら、何に安心したんだよ。」
「お前が正義のヒーローに負ける人間だって分かったからに決まっているだろ!」
「だからそれが何なんだ!それが分かったとこで何1つ状況は変わらないだろ!」
「それがそうとも限らないんだよ。」
「何だと!?何が変わらない!と言うか、そんなのはもうどうだっていい!無駄話はここまでだ!お前には今すぐ俺の趣味に付き合ってもらう!」
「ああ、とことんお前の趣味に付き合ってやろう!だが、お前にも私の新しい趣味にとことん付き合ってもらうぞ!」
「新しい趣味だと!?」
「そう!正義のヒーローに助けられると言う趣味だっ!!」
「・・・・・・・・・。」
「ざまあみろ!」
「・・・・・・じゃあな。」
「お、おい!?ちょっと待て!?やめろ!!やめろおおおおおおおおおおお!!んんんんん・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「趣味完了。」

第四百二十五話
「正義のヒーロー到着1、2分前」

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