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2014年8月13日 (水)

「第四百二十六話」

「おい!鬼!絶対にその手に持ってる女性を握り殺したり喰い殺したり壁に投げ付けて殺したりするなよ!」
「グヘヘヘヘヘヘヘ!人間ごときがワシに命令とは、笑止!」
「いいな!絶対に殺すな!」
「はあ?この女をどうしようが、ワシの自由だろうが!」
「自由じゃないだろうが!その女性が、お前に何をした!お前とは、無関係だろうが!」
「笑止!笑止笑止笑止!人間とは、ワシら鬼にとったら単なる食料!時に酒の肴!」
「だからその人間をスナック菓子感覚で扱うのをやめろと言ってるんだ!」
「グヘヘヘヘヘヘヘ!だったら人間、スナック菓子が今のお前のように訴え掛けて来たら、お前はスナック菓子を食べるのをやめるのか?笑止!」
「スナック菓子は、そもそも食べる用に作られたもんだろうが!」
「だろ?」
「人間は違うだろうが!鬼が食べる用に一生懸命生きてる訳じゃないだろうが!だから、だから絶対にその女性を食べるなよ!素直に私の言う事を聞いて、こっちに渡すんだ!さあ!」
「海の魚を喰らい!山のキノコを喰らい!大地の生物を喰らい!何を戯言を抜かすか!人間よ!ワシら鬼が人間を喰らう事は自然の摂理!同種族が目の前で弄ばれたからと頭に血が上り戯言とは、笑止!」
「う、うるさい!」
「笑止!笑止笑止!」
「黙れ!鬼ごときが人間を見下すような発言をするな!」
「笑止!」
「やめろよ!いいな!絶っっっっ対にやめろ!」
「人間は、元より鬼よりも下だろ!」
「ダメだ!その女性は放せ!今すぐ解放しろ!」
「笑止!」
「タダでとは言わない!その女性を渡すなら、代わりにこれをやろう!」
「バナナ?」
「これを単なるバナナと侮るな!このバナナはな!このバナナはな!メチャ美味いバナナだ!どうだ?好条件過ぎるだろ!好条件過ぎて自慢のツノがアレだろ!さあ!さあさあさあ!バナナが欲しければ今すぐ女性をあっ!」
「うまっ!」

第四百二十六話
「鬼課」

「で?キミは、そのまま帰って来たと言うのか?」
「はい。」
「未来ある女性を見殺しにして帰って来たと言うのか!」
「見殺しって・・・・・・課長。言い方があるじゃないですか。私は、決して未来ある女性を見殺しになどしていません!」
「いいか?町の住民達の声は、もっと厳しいぞ!要するに何事も結果が全てなんだ!」
「・・・・・・分かってます。」
「今月に入ってから鬼絡みの通報が何件あるか分かってるのか!」
「64件。」
「67件だ!そのうち鬼に喰い殺されたのが59件!今日の女性を入れたら60件か。未来ある人間が殺されたとなったら、役所の職員のあることないこと週刊誌に書かれたり、報道されたり、またマスコミに叩かれるぞ!キミだって先週叩かれたばかりだろ。」
「はい。むしろ鬼側に人間を横流ししてるって叩かれました。」
「私も既に3回も浮気している事になっているよ!子供が小学校でイジメに遭っている職員もいる!離婚した職員やストレスで病気になる職員だっている!前任の課長は、心の病で今は施設だ!どうにかしないとそのうちここはゴースト役場になってしまう!」
「ですが課長!」
「何だ!愚痴を言う暇があるなら一体でも鬼退治して来たらどうなんだ!」
「したいですよ!私だって人間を苦しめる鬼を許せませんよ!」
「だったら今すぐ女性を喰い殺した鬼を退治して来たらどうなんだ!」
「したいですよ!この手であの鬼を退治したいですよ!」
「だったらこんなとこで油売ってないで行動に移したらどうなんだ!」
「これはもう何回も言ってる事なんですが、どうして役所の人間なんですか!警察じゃなくて何で役所が鬼退治しなきゃならないんですか!」
「これはもう何回も言い返していると思うがな。警察ってのは、対人間犯罪の機関なんだ!鬼は管轄外なんだ!だから我々各役所が地域住民の安全を守らなきゃならないんだ!」
「いくら鬼は管轄外って言っても!警察には、鬼を退治出来るだけの十分な武器があるじゃないですか!こっちには、このメチャ美味いバナナしか支給されてないんですよ!メチャ美味いバナナで!どうやって鬼退治出来るんですか!」
「とにかく警察は、鬼絡みの事件には、介入出来ない。それはもう何かよく分からないが難しい政治的な話だ!それとメチャ美味いバナナは、とにかく学者達が研究に研究を重ねて導き出した鬼の弱点だ!」
「その学者達をここへ呼んで下さいよ!メチャ美味いバナナが鬼の弱点な訳がない!」
「呼べる訳がないだろ!」
「実際の現場も見ないで!机の上で出した答えです!メチャ美味いバナナが鬼の弱点だったら!今月の鬼に喰われた被害は0件なはずです!」
「キミは私にどうしろと言うんだ!」
「本気で役所の職員に鬼退治を任せるなら!こんなメチャ美味いバナナじゃなくて!メチャ銃火器を支給して下さいって事ですよ!」
「メチャ無理を言うなキミは!そんな事を上に提案してみろ!私だけではない!キミの首も飛ぶぞ!」
「自然の摂理ですか!」
「何を言っているんだね?」
「結局は、鬼が言うように!人間は、鬼に喰われる運命って事ですか!運命には、逆らえないって事ですか!私はあと、何人の未来ある人間が目の前で鬼に喰われる現場を目の当たりにすればいいんですか!私はあと、何回鬼に笑止笑止と言われればいいんですか!」
「メチャ美味いバナナがあるだろ!」
「メチャ美味いバナナ絶対弱点じゃないだろうが!」
「メチャ頭のいいメチャ学者達がメチャ研究して!メチャ導き出したメチャ答えだぞ!」
「だからメチャなんだ!」
「上司に向かってなんだ!その口の利き方は!」
「上司がなんだ!」
「メチャクビになりたいのか!」
「クビが怖くて上司にメチャ意見が出来るか!」

「トゥルルルルルルルルルル!」

「はい。こちら未来ある地域住民を鬼の魔の手からお守りする、鬼課。・・・・・・何ですと!?鬼が少年を!?分かりました!すぐに職員を向かわせます!」
「・・・・・・・・・。」
「話はあとだ!三丁目のクリーニング屋の隣の花屋に向かってくれ!」
「・・・・・・・・・。」
「何してる!早くしないと未来ある少年が鬼に喰われてしまうかもしれないぞ!」
「・・・・・・分かりました。」
「おい!」
「何ですか?」
「メチャ美味いバナナを忘れてるぞ?」
「いるかっ!!」

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