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2014年9月24日 (水)

「第四百三十二話」

「ちょっと待てー!!」
「どうしたのよ!?急に大声出して!ビックリするじゃない!」
「ビックリしてるのは、俺だ!」
「何でビックリしてるの?」
「まず!夜中にトイレに行こうと起き上がった時、部屋の天井が落ちて来た事にビックリで!その天井を支えてる自分の火事場の馬鹿力に次にビックリして、最後にお前にビックリだよ!」
「アタシ!?何でアタシ?」
「夫が必死で天井を支えてる横で、妻が呑気にブーメラン作ってる光景にビックリしない訳がないだろ!」
「何か、変な時間に目が覚めちゃって、眠れなくなっちゃったから、作りかけのブーメランでも作ろうかなってさ。」
「何だ作りかけのブーメランって!先住民か!お前は、俺が会社で働いてる時にブーメランなんか作ってたのか!」
「そうよ。悪い?」
「いや別に、お前がどんな趣味を持とうが口出しするつもりはないよ!」
「ありがと。」
「だが!この場合は、おかしいだろ!」
「だって、変な時間に目が覚めちゃって、眠れなくなっちゃったから。」
「変な時間に目が覚めちゃって!眠れなくなっちゃっても!その横で夫がプルプルしながら天井支えてるのにブーメランっておかしいと思わないのか!」
「ドリームキャッチャーなら良かった?」
「何だお前、先住民への憧れメガマックスか!」
「別にそんな事ないわよ。」
「そうじゃなくて!」
「シーッ!」
「何だよ。」
「今、一番集中して取り掛からなきゃならない場所に差し掛かったの!」
「ブーメランなんか今どうでもいいだろ!!」
「あのね?確かに、どうでもいいかもしれないけど、アタシは変な時間に目が覚めちゃって、眠れなくなっちゃったの!」
「だとしたら、もっと他にやらなきゃならない事が、目の前にあんだろって!」
「無いのよ!」
「無い訳が無いだろ!」
「無いのよ!」
「おいちょっと、マジで一旦ブーメラン作るその手を止めろ!そして、俺を見ろ!」
「何、急に?恥ずかしいよ。」
「馬鹿か!いいから、俺を見ろ!」
「はいはい。」
「どうだ?俺は今、どんな状況下だ?」
「天井を支えてる。」
「うん!」
「うん!」
「うん!」
「うん!」
「いや、うんじゃなくて!」
「ご苦労様。」
「いや、ご苦労様だけどご苦労様じゃなくて!」
「えっ?何?これはあまりにも寝起きには難問過ぎるクイズよ!」
「クイズなんか出題してない!寝起きでブーメラン作れるぐらい頭冴えてるだろ!」
「これはもう、何て言うの?ほら、何年も何年も作ってるから、感覚で覚えてるって言うの?目を瞑ってでも作れる域?」
「何だよその域!お前にいるのかその域!お前、何になりたいんだ?」
「フォトグラファー。」
「だったらそんな事してないで写真を撮れ!」
「そうね!ブーメランなんか作ってる場合じゃないわね!カメラ、どこだったかしら?」
「このタイミングでカメラを探すな-!」
「何で?このタイミングを与えてくれたのは、アナタよ?」
「そのタイミングは与えたかもしれない!がしかし!今はカメラを探すよりももっと他にやる事があんだろ!」
「朝御飯の支度?」
「助けを呼ぶ事だ!!」
「何で?」
「何で、は絶対におかしいだろ!いいか?助けを呼ばなきゃ!お前だって危険なんだぞ!このプルプルは、いつ限界が来てもおかしくないプルプルなんだぞ!天井に押し潰されるんだぞ!」
「ワオ!」
「この状況で、よくぞそんなリアクションが飛び出たな!」
「どうすればいいの!」
「だから!助けだよ!」
「レスキュー?」
「そうだよ!」
「レスキューね!」
「分かったんなら早くしてくれ!」
「その前に、ちょっと聞いてもいい?」
「何だよ!」
「どうしてそんなに激しくプルプルしてるの?」
「天井支える限界に来てるって言ってんだろうが!」
「ねえ?」
「何だよ!」
「そのプルプル、何かに活用出来るんじゃない?」
「何に出来るんだよ!てか、プルプルの活用法とかいんだよ!」
「ちょっと待って?」
「待たせるなー!」
「例えばそうね?そのプルプルで発電するとか?」
「どんだけのプルプルが必要だと思ってんだ!」
「だから!プルプル発電所を作るのよ!プルプルをかき集めるのよ!」
「何だよプルプル発電所って!何だよプルプルをかき集めるって!思い付きもいいとこだな!と言うか何で助けを呼ぶ気配を出さないんだよ!お前は! 」
「だって、そのプルプル勿体ないじゃない?」
「このプルプルはな!必死で俺とお前の命を守ってるプルプルなんだよ!勿体ないじゃなくて!既に十分な役割を果たしてるんだよ!だからもう!俺のプルプルに構うな!」
「分かった。」
「だからって、ブーメラン作りに戻るな!早く助けを呼べー!!」
「難しいわね。」
「何が難しいんだー!」
「助けて-。」
「お前な!ブーメラン作りメインに片手間でそんな棒読みで感情ゼロの小さな声で助けが来ると思うなよ!」
「だって、夜中よ?近所迷惑でしょ。」
「この状況で何で近所に気を遣わなきゃならないんだよ!俺に遣えよその気!そのブーメラン作りの手を止めろー!」
「はいはい。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・暇ね。」
「暇なもんか!」
「あれ?」
「どうした!?」
「何か眠くなって来たわ!」
「はあ?」
「おやすみなさい。」
「おい!」
「Zzzzzz。」
「おい!」
「Zzzzzz。」
「おーい!」
「・・・・・・何?」
「助けを呼ぶ気が無いなら手伝え!」
「はあ?無理よ!」
「いいから手伝え!」
「分かったわよ。全く、こんな力仕事を女性にやらすなんて、鬼ね!」
「鬼はお前だろ!」
「ねえ?」
「何だよ!」
「早くもプルプルして来たわ。」
「そうか。」
「見て!いい感じのプルプルよ!」
「うるさい!」
「痩せそうだわ!」
「集中しろ!」
「はいはい。」

第四百三十ニ話
「プルプル発電所秘話」

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