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2014年10月29日 (水)

「第四百三十七話」

「この写真を見なさい。」
「教授?これは?」
「何だと思うかね?」
「犬種は分かりませんが、小型犬ですか?」
「マンモスだ。」
「ウソですよね?」
「ウソじゃない。マンモスだ。」
「どう頑張って見たって小型犬ですよね?」
「小型犬に見えるかもしれないが、やはりマンモスだ。」
「小型犬にしか見えませんよ。」
「うむ。」
「いや、うむじゃなくて!これがマンモスなら、街のペットショップはマンモスだらけですよ!」
「マンモスだらけだな。いや実際、マンモスだらけだ。」
「はい?教授?大丈夫ですか?」
「長年進化の分野を研究して来て分かった事実がある。」
「唐突に何ですか?」
「長年進化の分野を研究し続けて昨夜分かった事実だ!」
「何ですか?」
「小型犬がマンモスだと言う事実だ!」
「これだったんですか!?信念も熱意も感じられない、やっつけの単なる思い付きとしか私には思えません!」
「マンモスはな。絶滅などしていなかった。小型犬に進化し、時代を今も生きている。」
「斬新過ぎですよ!」
「そうだな。マンモスは実に斬新な進化方法を見付けたな。だがしかし!その斬新な進化により!犬に紛れ込む事により!絶滅の危機を免れた!」
「すいません。その斬新な進化を真に受けると、つまり中型犬と大型犬は犬で、小型犬だけがマンモスと言う事なんですか?」
「そうですよ。」
「そんなバカな進化がありますか!」
「生物の進化とは、そんなバカなの連続です。一方では不合理に見えても一方では実に合理的、時に我々の想像の遥か上を行く、それが進化の正体です。」
「いや教授。何もそんな進化全体の大きな話をしている訳ではなくて、マンモスが小型犬に進化したウソの話をしているんですよ。」
「この斬新進化は、進化の歴史を大きく変える!マンモスだけではなく!進化全体に関わる話なんだ!キミは、恐竜が絶滅していないって話を知っているな?」
「知りませんよ!そんなウソ!」
「知らないの!?」
「こっちがビックリてすよ!」
「そんな事も知らないで進化の研究に携わってんの!?」
「だから、ビックリはこっちですよって!つまり教授は、恐竜もマンモス同様に斬新な進化をして今も生き続けていると仰りたいんですね!」
「そうですよ。」
「なら、恐竜は一体何に進化したと言うんですか!」
「部長だ。」
「部長だ、って何ですか?」
「だから、部長だよ。」
「だから、部長って何ですか?」
「主に会社に生息してるだろ。」
「生息って言うか、会社内でのみ通用する役職ですよね?」
「あれは、恐竜が進化した姿だ。」
「新入社員が積み上げた功績の証だ!」
「違うよ!そじゃないよ!」
「言っちゃいますけど部長は人間ですよね!教授は!恐竜は人間に進化したって言うんですか!」
「違うよ。恐竜は部長に紛れ込む事により、絶滅の危機を免れたって事だよ。」
「恐竜から部長の間は何だったんですか!」
「無いよ。そんな時代。」
「じゃあ、最近まで恐竜が恐竜の姿で存在してたって事になるじゃないですか!」
「何で?」
「部長の歴史が浅いからだ!」
「おいおいおい、進化の研究に携わる者なら、太古の昔から部長が存在していたとは考えられないのか?」
「頑張っても無理です!」
「人類がやっと部長に追いついたとは、考えられないのか?」
「いやもう、そうなると部長って何なんですか?ってなりますよ?」
「だから!恐竜の斬新な進化だと言ってるだろ!部長部長と私は言ってるが、それはあくまでこの時代に合わせた呼び名であって!恐竜が進化した当時の呼び名は知らないよ!どっかの部長に聞いてくれよ!」
「知り合いに部長がいますが、彼は人間ですよ?」
「全部の部長が恐竜だとは言ってないだろ?二割は、新入社員が積み上げた功績の証だよ!」
「多っ!?恐竜の比率多っ!?」
「だってどうしたってそうだろ?そうなっちゃうだろ?」
「ならないでしょ!」
「とにかく!マンモスは小型犬で部長は恐竜なんだよ!」
「とにかくの部分があまりにも不鮮明過ぎる!単なる駄々っ子じゃないですか!」
「駄々っ子?つまり私は、ペガサスと言う事か?」
「現象が想像上の生き物の進化って何なんですか!」
「想像上の生き物?キミは、ペガサスが想像上の生き物だと言うのか?」
「神話の世界でのお話ですよね?」
「神話の世界の話に登場するから想像上の生き物とは、安直にも程がある!だったら、人間も神話の話に登場するから想像上の生き物ってか?」
「それは単なる屁理屈でしょうが!なら、ペガサスが進化した姿が駄々っ子だとしたら!ユニコーンが進化した姿は一体何なんですか!」
「ユニコーンは想像上の生き物だろ。」
「何でだよ!何でペガサスが実在してユニコーンは想像上の生き物に部類されるんですか!」
「角が生えてる馬が実在する訳がないだろ。」
「翼が生えてる馬も同じぐらい実在する訳がないじゃないですか!」
「ペガサスは、駄々っ子に紛れ込む事により、絶滅の危機を免れたんだ!」
「小型犬、マンモスの段階でその斬新な進化論が信憑性ゼロなのに、恐竜ペガサスで病院送りですよ。」
「じゃあ、時計は何が進化した姿だ?」
「何で急に楽しいクイズ形式みたいな展開になったんです?まず、時計が何かの進化した姿だなんて考えた事もないですし!何かが時計に進化するとも考えた事ないです!」
「ブッブー!」
「不正解でも全く悔しくないです。」
「時計は、ケセランパサランが進化した姿でしたー!」
「遂に謎の生物まで持ち出しちゃったよ!?」
「ではこれからは、少しだけ未来の話をしよう。」
「どう言う意味ですか?」
「ゴリラは何に進化すると思うかね。」
「しませんよ!ゴリラはゴリラですよ。」
「ゴリラはな。タイムマシーンに進化する!」
「そんな訳がない!しかも近い将来って!二つの意味で、そんな訳がない!」
「盲点だったろ?」
「ゴリラにそんな片鱗を見出した事ありませんよ!」
「これらの長年の進化の研究の果てに辿り着いた昨夜の大発見のこの斬新進化を私の集大成として論文で発表するつもりだ。」
「やめて下さい!そんな事をしでかしたら!教授の名は地に落ちますよ!しかも教授の展開する根拠もない話に誰も肯定しませんよ!」
「勇気の問題だ。」
「はあ?勇気でどうにかなる問題じゃないですよ!」
「確かに私の偉大な斬新進化に賛同する者は少ないかもしれない。」
「一人もいませんよ!そんな思い付きに賛同する者は!まず実証や検証のしようがないでしょうが!」
「だがどうだ?それはつまり一方で誰も否定出来ないと言う事だ。」
「それはまさに屁理屈ど真ん中だっ!!」

第四百三十七話
「進化論の進化」

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