« 2014年10月 | トップページ | 2014年12月 »

2014年11月

2014年11月 5日 (水)

「第四百三十八話」

「ゴリラのパワーをなめるな!」
「いや別にゴリラのパワーなめてないよ。」
「いや、お前ゴリラのパワーなめてる。」
「なめてないよ。」
「なめてないよって言ってる時点で、その段階でゴリラのパワーなめてる。」
「どうすりゃいいんだよ!」
「ゴリラのパワーなめてる目をしてる。」
「そんな目してないだろ。」
「親父にそっくり!」
「そりゃあ!親子なんだから似てるだろ!似てて当然だろ!DNA的な問題だろ!何か?俺達親子はゴリラのパワーなめてる目をしてるのか!」
「長い。」
「長いって?長いって何?」
「とにかくお前ら一族はゴリラのパワーをなめてる!」
「なめてるんだとしたら、俺だけにしてくれ。」
「やっと認めたよ。ここまで言わなきゃ認めないんだからな。」
「まあ、認めてないけどな。じゃあ聞くけど、俺はどうゴリラのパワーをなめてんだ?握力スゲェなって思ってるよ?」
「そう言うところがなめてるって言ってんだ!」
「どう言うところだよ!」
「所詮は、握力スゲェなぁって事ぐらいだろ?」
「大体の人がそうだろ!」
「他人を巻き込むな!」
「巻き込んじゃないよ!じゃあ、教えてくれよ。ゴリラのパワーをさ!」
「お前、ゴリラがこう来たらどうする?こう来たらー!」
「何でゴリラが翼を羽ばたかせながら空から襲い掛かって来るんだよ!」
「だからゴリラのパワーなめてるっつってんだ!何でゴリラが翼を羽ばたかせながら空から襲い掛かって来るんだよ、じゃない!」
「そんなアホみたいな顔して言ってないだろ。」
「何でゴリラが翼を羽ばたかせながら空から襲い掛かって来るんだよって、ゴリラが空から翼を羽ばたかせながら襲い掛かって来るからだろ!」
「どんな怒られ方されてんだ、俺は?無いだろ!」
「何が!」
「そもそもがゴリラに翼が無いだろ!」
「いやちょっと待て!お前、ゴリラに翼が無いとこ見た事あんのか!」
「何回もあるよ!」
「だから!それはゴリラが本来のパワーを出して無いバージョンだろ!」
「バージョンって何だよ!ゴリラは、パワー出すと翼が出るのか!」
「当たり前だろ!」
「いや有り得ないだろ!」
「お前、ゴリラがこう来たらどうする?こう来たら-!」
「何でゴリラが早撃ちガンマンなんだよ!」
「早撃ちガンマンじゃないだろ!ゴリラのパワーだろ!」
「どう考えても早撃ちガンマンだろ!」
「ゴリラのパワーだっつってんだろ!」
「ゴリラ似のガンマンじゃなくて?」
「ゴリラ似のガンマンじゃねぇよ!」
「ゲンコツって、めちゃくちゃ怒られてんじゃん俺!?いやいやいや、銃じゃん!」
「銃ですよ!何ですか!銃がどうかしましたか!」
「え?その銃はどっから来たの?」
「ガンショップだろ!銃なんだから!」
「じゃあ、何か?ゴリラがわざわざガンショップに銃を買いに行ってるって事か?」
「そんな事は!当たり前の事!」
「おかしいおかしい!」
「何にもおかしい事なんか言ってませんけど?」
「さっきから何でちょいちょい学級委員みたくなんだよ!」
「ガンショップに銃を買いに行く、そして早撃ちする。それ、ゴリラのパワー!」
「何で原住民っぽく喋るんだよ!」
「こう来たらどうする?こう来たらー!」
「何でゴリラの胸が開いてミサイルが発射されんだよ!」
「ゴリラのパワーだよ!」
「ゴリラのパワーの一言で片付けられる事言ってないからな!もうそれは博士から改造手術施されてるじゃん!」
「お前さぁ?」
「何で急に肩組むんだよ。」
「博士がニヤニヤしながらゴリラに改造手術して胸からミサイル出るようにしてるとこ見た事ありますか?」
「いやだから、そもそもゴリラが胸からミサイル出してるとこを見た事ないから!」
「あれ!」
「あれって何だよ!あれって!」
「でも俺の話を聞いて、ああ今まで自分はゴリラのパワーなめてたなぁって、思ったろ?」
「それが本当の話だったらな。」
「うんうん。」
「いや、うんうん、じゃなくて、嘘だろ?」
「じゃあ、お前さぁ?ゴリラがこんな風に来たらどうする?こんな風にー!」
「何を運転してんだよ!」
「でっかいトラックだよ!でっかい!でっかいトラックでお前をお前の車ごと谷に突き落とそうとしてるんだよ!」
「どんなシチュエーションだよ!きっかけが分からないよ!ゴリラをそこまで怒らしちゃった俺のきっかけが!」
「ジャングルで、お前が口から吐き捨てたガムを踏んじゃったとかじゃないの?」
「シチュエーションのシチュエーションがめちゃくちゃだろ!」
「じゃあ、満員電車でお前が足踏んだとかじゃないの?」
「いやだから!」
「小学生の頃、お前がいじめてたんじゃないの?」
「それはあくまできっかけの説明で!そっから俺がでかいトラック運転してるゴリラに谷に突き落とされるに直結しないだろ!」
「するだろ!」
「しないだろ!ジャングルはいいとして、その他はゴリラがこっち側に来ちゃってんだろ!」
「そんな事を言ってるからお前はゴリラのパワーなめてんだ!来てますよ!ゴリラは我々のすぐそばまで来ちゃってますよ!」
「温暖化じゃねぇんだよ!」
「温暖化ですよ。もはやゴリラは、温暖化ですよ。」
「絶対違うだろ!」
「ゴリラ化ですよ。」
「何で温暖化に寄せちゃうんだよ!」
「人類総ゴリラ化ですよ。」
「なら平和だ。」
「ああ、平和だ。それがゴリラのパワーですよ。」
「どれが?」
「じゃあ、お前!ゴリラがこう来たらどうする?」
「まだ続けるのかよ!」
「こう来たらー!」

第四百三十八話
「他の動物に置き換えて何度も読み返そう」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年11月12日 (水)

「第四百三十九話」

 中途半端な時間で客は私1人だったが、雰囲気のある私好みのレストランだった。私はまず、シェフの気まぐれサラダを注文した。そして、シェフの気まぐれサラダがテーブルに運ばれて来てからしばらくして私は、シェフを自分のテーブルへ呼んだ。
「お待たせしました。シェフです。」
「このシェフの気まぐれサラダを作ったシェフですか?」
「そのシェフの気まぐれサラダを作ったシェフです。」
「石!」
「はい?」
「だから、石!」
「はい?」
「いや分かるだろ!」
「分かりません。」
「バカか!」
「シェフです。」
「知ってるよ!シェフで尚且つバカかって話しだよ!」
「シェフですが、バカではありません。」
「バカだろ!」
「なぜですか?」
「石!」
「はい?」
「だから!私が石って言って、はい?って答えてる事がバカかって言ってんだ!シェフで尚且つバカかって言ってんだ!」
「心の病ですか?」
「お前がだ!」
「確かにみんな、心に病を抱えてるのかもしれません。そう考えると、僕も心の病なのかもしれません。」
「そんな哲学的な心の病じゃなくてだ!シェフの気まぐれサラダで石を出す思考回路の問題だ!」
「石?」
「そうだよ!石だよ!私はね。度肝を抜かれたよ!あ、度肝って本当に抜かれるんだなって実感したよ!最初はさ。まさかなって、まさかこれがなって思ったよ。これから出て来るシェフの気まぐれサラダに使用するのかなって、この石を使うのかなって思ったよ。でも、全然出て来ない。シェフの気まぐれサラダ全然出て来ない。だから聞いたよ。ウェイターを呼んで、石を手に持って聞いたよ。もしかしてこれが、シェフの気まぐれサラダですか?ってね。」
「そしたら、ウェイターはこう答えた。いいえ、お客様、それは鏡です、と。」
「何で人の話に勝手に割り込んで来て勝手にジョークみたいにまとめるんだ!ウェイターは、シェフの気まぐれサラダだと答えたんだ!だから私は、シェフをここへ呼んでくれと頼んだ!」
「ごゆっくりシェフの気まぐれサラダを堪能して下さい。」
「なぜ厨房へ帰ろうとする!」
「シェフですから。」
「いや違う!この状況でなぜ厨房へ帰る事が出来るんだ!」
「シェフですから。」
「何なんだよ!」
「シェフです。」
「シェフの気まぐれサラダで石出すシェフがどこにいるんだ!」
「お客様?それは石ではございません。」
「石だろ!石以外の何物でもないだろ!」
「私をテーブルへ呼ぶ前に、こうは考えていただけなかったのでしょうか?もしかしたらこれは、石に見えるかもしれないけど、凄く斬新な、物凄く斬新なシェフの気まぐれサラダなのかもしれない。シェフをテーブルへ呼ぶ前に一度、口へ運んでみよう、と。」
「テーブルの上の歯が貴様には見えないのか!」
「失礼致しました!すぐに片付けさせます!」
「誰かの歯じゃなくて!私の歯だ!」
「お客様の中に歯医者様がいるか聞きましょうか?」
「いたとして歯医者がレストランで何が出来る?」
「励ますぐらいは出来るんじゃないでしょうか?」
「なら別に歯医者じゃなくてもいいだろ!」
「歯医者様しか出来ない励まし方の角度があるかもしれないじゃないですか!」
「励まし方の角度って何だ!そもそも客がいないだろ!いいか!今は歯の事はどうだっていいんだ!私はシェフの気まぐれサラダについてだけ話がしたいんだ!」
「ありがとうございます。」
「誉めるか!何で誉められると思ったんだよ!何で歯が取れてるのに私が誉めると思ったんだよ!」
「お客様?」
「何だよ!」
「ごゆっくりどうぞ。」
「だから何で厨房へ帰ろうとする!」
「僕もシェフとして忙しいんです。」
「他にもシェフがいるだろ!いやむしろ他のシェフに任せるべきだ!」
「他のシェフには任せる訳にはいきません!」
「え何で?」
「シェフの気まぐれマジックショーは僕にしか出来ないからです!」
「え何の話?」
「シェフの気まぐれマジックショーの話です!」
「シェフの気まぐれマジックショーって何!」
「シェフが気まぐれでやるマジックショーの事です。」
「シェフが気まぐれでやるマジックショーの話どうだっていいだろ!」
「何て事を言うんですか!僕はこのシェフの気まぐれマジックショーに命かけてるんですよ!」
「ならシェフ辞めろ!」
「お客様?現実とは厳しいものです。」
「何を語り出したんだ?」
「マジシャンは、あくまで小さい頃からの夢です。憧れの職業です。」
「シェフは?」
「天職です。」
「石!」
「はい?」
「シェフの気まぐれサラダで石出すヤツの天職がシェフな訳がないだろ!」
「今日の気まぐれマジックショーでは、僕が瞬間移動します!」
「あっそ!」
「空中に浮きます!」
「あっそ!」
「箱の中のトランプの数字を見事言い当てます!」
「そっちが天職だろ!気まぐれでマジックショーやってないでデビューすればいいだろ!」
「ありがとうございます。」
「深々とお辞儀してないで、石の問題を解決しろ!」
「お客様?」
「何だよ!」
「石ではありません。」
「石だろ!誰がどう見たって石だろ!」
「シェフの気まぐれサラダでございます。」
「じゃあ、このシェフの気まぐれサラダを貴様の額におもいっきり投げ付けてやろうか!」
「それはお客様の中にお医者様がいるか聞かなければならなくなるので、お止め下さい。」

「なぜそうなるのかそれは!これがシェフの気まぐれサラダじゃなくて!石だからだろ!」

「確かにそれは、石かもしれません。」
「石って言ってんじゃん!」
「ですが、お客様!このレストランでは、それは紛れもなくシェフの気まぐれサラダです。」
「気まぐれ過ぎだろ!気まぐれにも程があるだろ!せめて食べられるモノを出せ!」
「僕を石を食べてる人をテレビで見た事があります!」
「それは奇抜な人だろ!絶対に真似しないで下さいパターンのヤツだろ!なあ?何でもいいじゃん。何だっていいじゃん。シェフの気まぐれサラダなんだからさ。厨房にある食材でちゃちゃっと作ればいいじゃん。何で石?」
「お言葉を返すようですがお客様?」
「何だよ!」
「厨房には、石しかございません。」
「何なんだよこのレストランは!」

第四百三十九話
「シェフの気まぐれレストラン」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年11月19日 (水)

「第四百四十話」

 人類は、滅亡した。
「滅亡したな。」
「滅亡しましたね。」
地球は、これでもかってぐらい原形をとどめていなかった。僕は、滅亡した地球の今ではもはやどこだったか分からない場所で、おじさんと二人、生き残った。
「急にだったな。」
「急にでしたね。」
「あれだな?滅亡するする言ってる時にはしないで、もうしないんじゃないかって時に、するな。」
「しますね。」
「滅亡ってのは、あれかな?忘れた頃にするのかね?」
「忘れた頃にするのかもしれないですね。」
地球が呆気なく滅亡してから、一体どれだけの月日が流れているんだろう?時間も分からなければ、朝なのか夜なのかも分からない。何よりもおじさんに助けられた時、僕がどれぐらい気を失っていたのか、分からない。そして今日、おじさんの献身的な看病でやっと起き上がって会話が出来るようになった。あれから自己感覚で言うと一週間だろうか?
「ドーン!って急にだもんな。」
「ドーン!ってなったんですか?」
「なったなった!ドーン!って!物凄くドーン!って!」
「そうだったんですか。」
「覚えてないのか?」
「全然思い出せません。」
「そうか。」
「はい。」
「ドーン!って大きな音がしたと思ったら、次の瞬間にはもう、滅亡だ。」
「ドーン!の原因は何なんですか?」
「さあな?俺は専門家じゃないからそこんとこ詳しく分からないが、たぶん地球が大爆発したんじゃないか?」
「地球が大爆発!?」
「ああ、でなきゃ滅亡なんてしないだろ。今の時代、どんな隕石だろうが事前に破壊出来るんだから、今の時代?前の時代か。」
「前の時代・・・。」
僕は、おじさんの言葉に妙に納得した。時代って節目が明確にあるんだとしたら、きっとそれは本当の意味で今なんだろう、と。
「どうした?」
「いえ、何でもないです。」
「落ち込む気持ちは分かる。」
「落ち込む・・・。」
そう、僕は今、おじさんの言葉で初めて自分が落ち込んでないって事に気付いた。いや、実際は落ち込んでないんじゃなくて、落ち込むのを忘れていたって表現した方がいいのかもしれない。地球が滅亡してから今まで、僕には落ち込む暇すらなかったんだ。
「俺はな、青年。」
「はい。」
「運命なんて言葉は、信用してない。」
「はい。」
「俺と青年が生き残ったのだって、運命だなんて思ってない。」
「はい。」
「たまたまだ。たまたま生き残った。それだけだ。それだけの事だ。」
「はい。」
「誰が生き残ったって、誰が死んだって、おかしくない状況だったんだ。なんせ滅亡だからな。」
「はい。」
「俺が青年を発見したのも、たまたまだ。」
「はい。」
「たまたま歩いてたら、たまたまそこに青年が倒れてた。たまたま近付いて行ったら、たまたま息をしてた。そして、たまたま助けた。」
「ありがとうございます。」
「何だよ急に!?突然どうした。」
「いえ、おじさんに助けてもらったのに、まだちゃんとお礼もしてなかったと思って。」
「よしてくれよ!きっと青年が俺の立場でも同じ事したろ?」
「それはそうですけど。」
「だったらこんな事でお礼なんかよしてくれ。俺だって青年が回復して、こうして会話してくれる事に感謝してんだ。」
「そんな、感謝だなんて。」
「だろ?だから、落ち込むのも感謝も無しだ。」
「はい。」
落ち込むのも感謝も無し、おじさんは笑って言った。これから一体どうなるのかも分からないのに、笑っていた。笑う事で何かを忘れようとしているのか、笑う事で何か大事なモノを忘れないようにしているのか、それともたまたまなのか、目の前のおじさんは笑っていた。でも、どんな意味があろうとも地球が滅亡してのに笑っていられるおじさんを僕は、尊敬していた。
「しっかし、青年!」
「はい?」
「滅亡するかねぇ!ええ?こうもあっさり滅亡ってするもんなのかねぇ!」
「しちゃいましたね。」
「しちゃったな!」
「しちゃいました。」
「滅亡しちゃったな!もう、見るからに滅亡だもんな!」
「滅亡ですね。」
「疑いようもないもんな!」
「ありませんね。」
「凄いな!」
「凄いですね。」
「いやあ!滅亡だな!」
「滅亡です。」
「で、あれだな?青年!」
「はい?」
「以外とこう、こっちもすんなりと受け入れられるもんだな!」
「ですね。」
「まあ、あくまでも思ってたよりもの話だけどな!」
僕とおじさんは、終始笑っていた。笑いながら、どうでもいいような事を話していた。おじさんと出逢わなければきっと、自殺していたかもしれない。だけどそれはきっと、この先も口に出す事は無いだろう。出したとしたらきっと、おじさんに怒られてしまうから。
「青年!青年!」
「はい。」
「滅亡って、めちゃくちゃ恐いな!」
「恐いですね。」
「で、滅亡って、めちゃくちゃ腹減るな!」
「減りますね。」
運命なんて言葉は、信用してない。おじさんはそう言った。それは、僕も同じだった。運命なんてモノは、信用していない。けど、運命なんてモノが存在するんだとしたら、神様みたいなモノが実在するんだとしたら、不謹慎かもしれないけど僕は、強く思った。

第四百四十話
「美女がよかった」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年11月26日 (水)

「第四百四十一話」

 お客様に呼び出されて俺は、一流ホテルのロビーにいた。
「見て!これが貴方のとこで買った電子レンジよ!」
若い女がテーブルの上に出した欠片は、辛うじて社名と型番で電子レンジが保たれてた。

「なぜ、こんな風に?」
「はあ?それは、貴方の会社が電子レンジに注意書きしてなかったからでしょ!」
俺の仕事ってのは、まあ、所謂クレーム処理ってヤツだ。さて、今回は一体どんな注意書きがしてなかったからなんだ?
「申し訳ございません。」
「いい?アタシがわざわざ貴方の会社がある街まで出向いたんだから、もちろんここの宿泊代も負担しなさいよね!」
「はい。」
下げられる頭は下げる。金で解決出来る事は金で解決する。お客様のクレームは全て受け入れる。それが、社長の方針だ。だから俺は、ただただその方針に従ってクレーム処理をするだけだ。
「交通費もよ!」
「分かってます。それで、一体この電子レンジは、どんなトラブルを?」
「どんなって!3000メートル級の山の頂上から落としたらこうなったのよ!」
「バン!」
バカが死んで治るかどうか分からないが、死ぬ価値はある。
「バン!バン!バン!」
俺は、テーブルの上の欠片を回収し、宿泊代を精算し、会社へ戻る事にした。

第四百四十一話
「注意書き」

「と、言う話でした、社長。」
「ご苦労だったな。」
「で、これが新たに、3000メートル級の山の頂上から落とさないで下さい、の注意書きを追加した電子レンジです。」
「ん。しかし、もう注意書きするスペースが無いな。」
「来年発売予定の電子レンジは、倍の大きさを検討中です。」
「ん。」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年10月 | トップページ | 2014年12月 »