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2014年11月26日 (水)

「第四百四十一話」

 お客様に呼び出されて俺は、一流ホテルのロビーにいた。
「見て!これが貴方のとこで買った電子レンジよ!」
若い女がテーブルの上に出した欠片は、辛うじて社名と型番で電子レンジが保たれてた。

「なぜ、こんな風に?」
「はあ?それは、貴方の会社が電子レンジに注意書きしてなかったからでしょ!」
俺の仕事ってのは、まあ、所謂クレーム処理ってヤツだ。さて、今回は一体どんな注意書きがしてなかったからなんだ?
「申し訳ございません。」
「いい?アタシがわざわざ貴方の会社がある街まで出向いたんだから、もちろんここの宿泊代も負担しなさいよね!」
「はい。」
下げられる頭は下げる。金で解決出来る事は金で解決する。お客様のクレームは全て受け入れる。それが、社長の方針だ。だから俺は、ただただその方針に従ってクレーム処理をするだけだ。
「交通費もよ!」
「分かってます。それで、一体この電子レンジは、どんなトラブルを?」
「どんなって!3000メートル級の山の頂上から落としたらこうなったのよ!」
「バン!」
バカが死んで治るかどうか分からないが、死ぬ価値はある。
「バン!バン!バン!」
俺は、テーブルの上の欠片を回収し、宿泊代を精算し、会社へ戻る事にした。

第四百四十一話
「注意書き」

「と、言う話でした、社長。」
「ご苦労だったな。」
「で、これが新たに、3000メートル級の山の頂上から落とさないで下さい、の注意書きを追加した電子レンジです。」
「ん。しかし、もう注意書きするスペースが無いな。」
「来年発売予定の電子レンジは、倍の大きさを検討中です。」
「ん。」

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