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2014年12月 3日 (水)

「第四百四十二話」

「世の中、不公平だよな。」
「何で?」
「だってそうだろ?雑誌で話題のイチゴのショートケーキが美味しいカフェに夫婦で来て、2人でその話題のケーキを頼んだのに、テーブルに運ばれて来た話題のケーキは、お前の方が大きくて、俺の方が小さい。こんな不公平があるか?」
「何を言い出すのかと思ったら、小っちゃい男ね。確かにケーキはアタシの方が大きいかもしれないけど、よく見て!ねぇ!よく見て!」
「見てるよ何だよ!」
「上に乗っかってるイチゴは、アナタの方が大きいじゃない!イチゴ好きのアタシからしてみたら、この事態の方が不公平極まりないわよ!」
「凄く小っちゃい女だな。」
「アナタにだけには言われたくないわよ!」
「この場合、イチゴはどうでもいいだろ?」
「イチゴのショートケーキでしょ!ここは、イチゴのショートケーキが美味しい話題のカフェでしょ!」
「おい、オレは今からぶっちゃけるぞ?」
「わざわざ宣言しなくたっていいわよ。」
「イチゴのショートケーキが美味しいイチゴのショートケーキが美味しいって言うけど、ケーキだろ?」
「どう言うぶっちゃけ?」
「だから、ケーキが美味しけりゃあ、それに合わせるフルーツなんて、何だっていい訳だろ?キウイだろうが、パイナップルだろうが、ブドウだろうがさ。」
「ぶっちゃけたわね。よくぞ現場で堂々と追い返されるレベルのぶっちゃけしたわね。」
「だから事前に宣言したろ?いいか?所詮は、ケーキなんだよ。何々ケーキって言うけど、大事なのはケーキなんだよ。だってオマエ、何々ご飯とか言って、ご飯がクソ不味かったら台無しだろ?」
「まあ、言いたい事は分かるわよ。ベースが大事だって事でしょ?」
「だってオマエ、何々スパゲッティって言って、パスタがクソ不味かったら台無しだろ?」
「いやだから、言いたい事は分かったってば!」
「だってオマエ、何々ラーメンって言って麺が入ってなかった台無しだろ?」
「最後のは単なる店主のおっちょこちょいじゃない!分かったわよ!言いたい事は分かったって!」
「じゃあ、この不公平を公平にしようじゃないか!」
「ええ、いいわよ?そうしましょ!」
「オマエのケーキの上に乗っかってるイチゴをくれ!」
「何でよ!よりにも寄ってどうしてそのチョイスなのよ!明らかにおかしいでしょ!」
「いいか?今このテーブルには、不公平が渦巻いてるんだよ。」
「大袈裟でしょ。」
「オレは、ケーキが小さいと言う不公平、オマエは、イチゴが小さいと言う不公平。不公平の渦を打ち消すには、不公平同士をぶつけ合うしかないんだよ。」
「どうしてよ!アタシがケーキ部分を同じ大きさになるように上げて、アナタがイチゴ部分を同じ大きさになるようにくれればいいじゃない!」
「事態はそんな単純な事じゃないんだよ。」
「単純でしょ!至極単純でしょ!」
「この国の政治と一緒だよ。」
「絶対違う!」
「じゃあ!」
「じゃあ!じゃないわよ!アタシのイチゴを奪おうとしないでよ!」
「オマエのケーキの上に乗ってるかもしれないけど、それはもう事実上オレのイチゴなんだよ。」
「んな訳ないでしょ!これはまだ!アタシのイチゴよ!」
「いや、オレのイチゴだ。」
「アタシのよ!だから!ケーキの部分とイチゴの部分を均等にすればいいだけの話でしょ!」
「その考えは嫌いだ!」
「意味が分からない!嫌いとか好きとかの問題じゃなくて、この方法が一番でしょ!」
「その方法じゃ何も解決しない!」
「するでしょ!物凄く解決しまくるてしょ!どう考えてもこれしかないでしょ!」
「だから!何度も言わせるなよ!不公平同士をぶつけ合うしか不公平を打ち消せないんだよ!」
「不公平を打ち消せたとしてもアタシには嫌悪感が残るわよ!」
「オレだってそうだよ!」
「だったら!部分交換したらいいじゃない!」
「オレだって出来ればそうしたいよ!」
「じゃあ!したらいいじゃない!」
「でも出来ないだろ!」
「何で出来ないの!」
「オマエは、これから先の夫婦生活をこのままこの不公平感を残留物として死ぬまで心に置いて過ごしていくつもりか!」
「何を言ってるの?」
「そう言う事なんだよ不公平ってのは!」
「じゃあ!」
「じゃあ!じゃあないだろ!何過ち犯そうとしてんだよ!死ぬぞ!」
「何で不公平を公平にしようとケーキ部分をフォークで分けようとして死ぬのよ!」
「オレは不公平で死ぬ人間を沢山見て来た!」
「それはそう言う国のそう言う争いの中での話でしょ!ここはカフェよ!雑誌で話題のイチゴのショートケーキがあるカフェよ!」
「いや違う!」
「違わない!」
「今やこのテーブル上は戦場だ!」
「そこまて言うなら分かった!なら取って置きの解決方法がもう一つあるわ!」
「何だって!?いや、オレは騙されないぞ?ある訳がない!」
「あるわ!」
「どんな解決方法なんだよ!」
「いい?もう1つずつイチゴのショートケーキを注文するの。」
「オマエそれはなかなかの危険なギャンブルだぞ?」
「でももう、それしか解決方法はないじゃない!」
「いいか?もしも次に来たイチゴのショートが公平だったらどうするんだ?それじゃあ、今の不公平の溝は埋まらないぞ?それに、次に来たイチゴのショートまでもが不公平って可能性だってあるんだぞ?そしたら不公平の溝は深まるばかりだぞ?」
「公平になるまで注文し続ければいいのよ!」
「な、何だって!?」
「こうなったら!それしかないじゃない!そうするしかないじゃない!」
「・・・確かにそうかもしれないが、あまりにも危険過ぎやしないか?もしも店にあるイチゴのショートケーキを全て注文しても不公平を打ち消せなかったらどうするんだ?」
「その時はその時よ!」
「なっ!?」
「不公平を打ち消したいんでしょ!」
「ああ。」
「だったら覚悟を決めて!」
「本気なのか?」
「本気よ!だから覚悟を決めて!」
「・・・分かった。」
「じゃあ、やるわよ!」
「ああ。」
「すいませーん!」

第四百四十二話
「取り替えればいいじゃん」

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