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2014年12月31日 (水)

「第四百四十六話」

「ん?」
「どうしました?」
「ここで今日、何かイベントでもあるのか?」
「ああ、毎年恒例の 大きな鼻糞をとるイベントがあるんですよ。だからもう、今日は村の奴らはテンション上がりっぱなしなんです。」
「大きな鼻糞をとるイベント?」
「そうです。」
「鼻糞ってのは、所謂あの鼻糞か?」
「ええ、この鼻糞です。他に鼻糞があるんですか?」
「わざわざ実演しないでいい!大きな鼻糞をとるイベントか、まだまだ私の知らない風習があったのだな。」
「今日、民俗学の先生がいらっしゃるって言うから、てっきりこのイベントを見に来るもんだと思ってました。」
「たまたまだよ。しかし、大きな鼻糞と言っても、限度があるだろ。」
「先生、さっき村の入口に大きな家ぐらいの丸いのあったでしょ。」
「ああ。」
「あれが今までで1番の鼻糞です。」
「バカな!?」
「3年前のモノです。みんな、あの記録を破る為に頑張ってるんです。」
「頑張る?何でみんな頑張ってるのだ?」
「そりゃあ!大きな鼻糞をとりたいからですよ!」
「あれか?外から来た私をからかってるのか?」
「偉い民俗学の先生をからかう訳ないじゃありませんか。なぜ、そう思われるんです?」
「物理的に有り得ないだろ!鼻の穴から家が出て来るって事なんだぞ!」
「難しい解釈をすればそうかもしれません。しかし、先生?じゃあ、あれは一体何だと言うんです?」
「大きな石の塊だろ?」
「あれは鼻の糞です!」
「あれが鼻糞な訳がない!」
「先生?何なら詳しく成分って奴を調べてもらっても構いません。手っ取り早く舐めてもらっても構いません。」
「舐めるか!」
「鼻糞か鼻糞じゃないかの判断は、舐めると1番早いんですけどね。」
「だから舐めるか!自分の鼻糞だって舐めた事ないのに、何が悲しくて他人の鼻糞を舐めなきゃならないんだ!」
「いやそれは、先生があれを鼻糞じゃないって言い出すからですよ。」
「誰だって鼻糞じゃないって言い出すサイズだろ!」
「そうですか?都会では、みんな小さな鼻糞なんですか?」
「いや、そもそも鼻糞は小さいもんだろ。」
「先生、鼻糞は大きいもんです。」
「巨人か?なら、この村には山ぐらいの大きな巨人がいるのか?」
「こりゃあ、ぶったまげた!まさか偉い民俗学の先生がそんな冗談を言うとは思いもしませんでした!大爆笑です!もしや先生?昨晩、布団に入られた時に考えました?」
「考えるか!巨人でもいない限りあの鼻糞の説明がつかんだろ!」
「何でですか!」
「何でですか?」
「ええ、何でですか!」
「おかしいだろ!」
「何がですか!何にもおかしい事なんてありません!」
「私はさっき、鼻の穴から家がと例えたが、そもそもが人間の大きさを越えた物体が、どうして人間の体から出て来る事があるんだ!」
「先生!」
「何だ!」
「それは、知らん!」
「な!?」
「そう言った難しい屁理屈は、よく知らん!」
「屁理屈じゃないだろ!」
「知らんけど、先生?出て来てしまったもんは、仕方ないじゃありませんか。実際にあれが鼻の穴から出て来てしまったんだから、鼻糞だって認めざるを得ないじゃありませんか。舐めたらちゃんとしょっぱいんです!ああ、だから元はあの倍の大きさですね。みんなが舐めるもんだから小っさくなってしまいました。」
「私は一体何の話を聞かされてるんだ?」
「鼻の糞の話ですよ。先生?先生が、どんなに驚こうが、あれを鼻糞だって頑なに認めようとしなくても、そんな事は一向に構いません。俺達は、別に先生や誰かに認めてもらいたくて大きな鼻糞をとるイベントをやってる訳じゃない。俺達は俺達でただただ楽しんでるだけです。」
「確かに部外者の私が、とやかく言う事ではないな。」
「そうだ!先生!」
「ん?」
「先生も参加なさってみては?」
「参加?参加ってまさか大きな鼻糞をとるイベントにか?」
「はい!」
「まあ、確かに民俗学者として、その土地の風習に習うのも大切だ。」
「じゃあ、先生のエントリーもしておきます!」
「ああ、ちょっと待った!その前に聞きたい事がある。」
「何ですか?」
「この村では昔から村を災害から守る為に年に1度、生け贄の儀式をしてると言うのは本当か?」
「先生?」
「何だ?」
「いつの時代の話ですか?生け贄の儀式なんか、やってる訳ないじゃありませんか。」
「本当は、大きな鼻糞をとるイベントではなく。生け贄の儀式なんじゃないか?」
「何を言い出すんです!俺達は、純粋に大きな鼻糞をとりたいだけです!」
「大きな鼻糞をとりたいだけって、何だ!?」

第四百四十六話
「大きな鼻糞をとるイベント」

イベントは盛大に行われ、今年も記録を更新する者は現れなかった。舞台上ではひょうきんな衣装に身を包んだ司会進行役が表彰式等を進行していた。
「今年の大きな鼻糞をとるイベントの最下位は!民俗学の先生!」
妥当な大きさだろ。そもそもが私以外の村人達が異常なのだ。だがなぜ、あんな大きな鼻糞がとれるのだ?この村の風土に何か原因があるのか?明日は、村の周辺を調べてみか。
「では!最下位の民俗学の先生には!生け贄になっていただきます!」
「えっ!?」

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