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2015年3月 4日 (水)

「第四百五十五話」

「これを目の中に入れて下さい。」
「先生、これはナスですか?」
「それは、ナスです。」
「ナスを目の中に入れてどうするんですか?」
「ナスを目の中に入れると言う事は即ち貴方の病気が完治すると言う事です。」
「僕の病気って、風邪ですよね?」
「風邪ですね。」
「ナスを目の中に入れると完治するんですか?」
「ナスを目の中に入れると完治します。」
「本当にナスを目の中に入れると完治するんですか?」
「本当にナスを目の中に入れると完治します。」
「でもナスを目の中に入れなくても完治する方法はいくらでもありますよね?」
「でもナスを目の中に入れなくても完治する方法はいくらでもありますよ。」
「ナスを目の中に入れなくても完治する方法がいくらでもあるのに、何でナスを目の中に入れて完治させようとするんですか?」
「ナスを目の中に入れて完治させたいからです。」
「ナスを目の中に入れるって、とどのつまりナスのナス汁を搾って目の中に入れるって事ですか?」
「ナスを目の中に入れるって言うのは、ナスのナス汁を搾って目の中に入れるって事ではなくて、ナスをグリグリ押し込むって事です。」
「目が潰れるじゃないですか!」
「でも風邪は完治します!」
「顔、近くないですか?」
「完治するからです。」
「完治とこの顔の距離は関係なくないですか?」
「関係ないです。サッカーやりません?」
「風邪引いてるのに?」
「コンコン!」
「誰か来ましたよ?」
「先生の診療室なんですから、何で患者の僕に問い掛けるんですか。」
「きっと看護師が首から上のない人が来たって入って来ますよ。」
「そう言うの先に言っちゃっていいんですか?」
「ちょっと看護師の相手しなきゃなんでサッカー待って下さいね。」
「何で話がサッカーする方向に進んでるんですか!」
「どーぞ!」
「失礼します!」
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
「先生!首から上のない人が来ました!」
「デュラハンかよ!」
「デュラハン?何ですか?デュラハンって?とにかく!自分の頭を手に持った首から上のない人が来たんです!」
「デュラハンかよ!」
「デュラハンって?」
「キミは、看護師なのにデュラハンを知らないのか?」
「看護師って、そのデュラハンって言うのを知らなきゃダメなんですか?」
「知らなきゃとかって問題じゃなくて、試験に出たろ!」
「そんな問題出ませんでしたけど?」

「時代か?」
「時代とかそんなんじゃなくて!時代とかどうでもよくって!首から上のない人が来てるんですってば!」
「馬に乗ってないか?」
「馬に乗ってませんよ!馬に乗ってたら完全にデュラハンじゃないですか!そしたらアタシも首から上のない人が来てるんですじゃなくてデュラハンが来てるんですって言いますよ!」
「デュラハン知ってんじゃないか!」
「知ってますよ!知ってましたけど、ここは知らないフリをしといた方が話がスムーズかと思ってそうしてたんですよ!」
「厄介だな。」
「厄介ですよ!頭を手に持った首から上のない人が来たんですから!これ以上の厄介はないですよ!」
「デュラハンの事じゃなくて、キミの事だよ。」
「何でアタシが厄介なんですか!」
「知ってるのに知らないフリをするからだよ。知ってるのに知らないフリする奴ってのはな。大概、相手よりも知識が豊富なんだよ。で、散々話を聞いといて心の中で相手が自分よりも知識が貧乏な事を笑ってんだよ。」
「みんながみんな、そんな陰険じゃありません!」
「よし!サッカーやるぞ!」
「やりませんよ!サッカー部でもないのに何でサッカーしないといけないんですか!捕まりますよ?死刑ですよ?ギロチンですよ?デュラハンですよ?」
「サッカー部じゃないからってサッカーしてデュラハンって、どんな国だこの国は!」
「この国は、先生が考えてる以上に厄介な国です。」
「帰国しようかなぁ?」
「先生はこの国の人じゃなかったんですか!?物凄いこの国顔っぽい顔してるのに!?」
「この国の人だよ!」
「じゃあ!帰国の使い方おかしいでしょ!」
「難しいんだな。帰国の使い方って。」
「帰国の使い方難しいって思った事ありません!そんな帰国とかサッカーとかどうでもよくって!首から上のない人が来てて!どうすればいいんですかって話ですよ!」
「どうして欲しいって言ってるんだ!手に持った頭は!」
「特に聞いてませんけど、やっぱり付けて欲しいんじゃないですか?元通りにして欲しいんじゃないですか?」
「何で聞いてないんだよ!まずは患者さんがどうして欲しいのかを聞くのが看護師だろ!」
「気持ち悪くて聞けませんよ!」
「仕事しろよ!」
「してますよ!してるからここに居るんじゃないですか!」
「居るからって仕事してるに直結しないだろ!ただ居るだけで給料貰えるなら私も明日から患者さんの相手しないで、ここに居るだけにするよ!読書してるよ!」
「はあ!?もういいです!他の先生に助け求めますから!失礼しました!」
「バン!」
「お大事にだろ!患者さんが居るんだから!すいません。捨て台詞のなってない看護師で。」
「いや、別に捨て台詞に重点置いてませんでしたから。」
「そうですか。」
「いいんですか?」
「何がですか?」
「いやだって、首から上のない人が来てるんですよね?行かなくていいんですか?」
「いいんですよ。どうせ嘘なんですから。」
「いやいやいや、こう言う場所でああ言う嘘付かないでしょ!」
「こう言う場所だからこそ、ああ言う嘘を付く連中がたまに来るんですよ。」
「今の誰だったんですか!?」
「看護師もどきです。」
「看護師もどきって何ですか!?」
「看護師もどきってのは医療用語で、一般的に言うとニセ看護師ですかね。」
「一般的にも言いませんよ!いや、それ以前に看護師もどきが蔓延ってる総合病院って、どうなんでしょうか?」
「そこ、気になります?」
「そこ、気になりますよ!」
「病院としても色々と対策してるんですけどね。看護師もどきホイホイとか、殺看護師もどき剤とか、看護師もどき駆除の業者にもお願いしてるんですけどね。なんせ、1人見付けると30人は居るって言いますからね。」
「ゴキブリ的な!?」
「まあ、世間一般で言うと家庭のゴキブリ事情と同じですね。ちゃんと働いてくれれば文句ないんですけどね。」
「働かないでしょ。看護師じゃなくて、看護師もどきなんですから!」
「次来たら無視しましょう。」
「ガッツリ絡んでましたけど、出来るんですか?」
「大丈夫!医者はその為の訓練を90日やりますから!」
「だとしたら成果ゼロじゃないですか!」
「ハハッ!」
「誉めてませんよ?」
「では改めて、サッカーやりましょうか!」
「だから、やりませんよ!」
「何で!?」
「どこの風邪引いた人間が病院にサッカーやりに来るんですか!薬を貰いに来たんですよ!風邪を治す為の薬を!」
「処方したじゃありませんか。」
「ナスだ!これはナス!しかも目の中にグリグリ押し込む用の!」
「コンコン!」
「また誰か来ましたよ?」
「だから何で患者に委ねるんですか!」
「きっとピッツァですよ。」
「いやだからそう言うの先に言っちゃっていいんですか?いや何でデリバリー!?まだ診療が終わってないのに腹ごしらえ!?」
「腹が減ってはサッカー出来ぬと言うじゃありませんか。」
「言いませんよ!しませんし!」
「あ!そのナス、トッピングに使いますか!」
「食べませんよピッツァ!」

第四百五十五話
「このあとナスは作者が美味しくいただきました」

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