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2015年4月29日 (水)

「第四百六十三話」

「子供はその先の悲しみを想像できないから勇気がある。大人はその先の悲しみを想像できるから優しさがある。」
「そんな独自の哲学なんかどーでもいいから!さっさと船を出しなさい!」
夜の侵入者は、寝ている私と夫を電撃で目覚めさすと同時に気絶させた。目を覚ますと夜の侵入者はまだ気絶している夫をロープでグルグル巻きのミノムシ状態にした。夜の侵入者は、楽しそうに銃口を夫に向けながら、夫より先に目を覚ました私がこれから何をすべきなのかを語り出した。夜の侵入者は、夫婦愛を確かめる為にこんなバカげたゲームを仕掛けたようだ。先に目を覚ました方に後から目を覚ます方が殺されたくなければ自分の指定したモノを夜明け前までに持って戻って来い。そのまま逃げるのも警察に駆け込むのも自由。その夜の侵入者が夫を助ける為に私に指定したモノは、深海に眠る本当に存在してるのかどうかも分からない地球のへそと言う秘宝だった。私は家を飛び出し向かって来る原付バイクの運転手に跳び蹴りをかまして原付バイクにまたがって、とりあえず深海だから港へ走らせた。
「待ってなさいよ!絶対に存在するかどうかも分からない秘宝を持って帰るから!」
と赤信号で止まる度に叫びながら港に着くと、丁度いい具合に船が停泊していて丁度いい具合に月明かりに照らされながら船長が黄昏れていたので私は私をラッキーガールだと歓喜に沸きまくっていた。
「子供はその先の悲しみを想像できないから勇気がある。大人はその先の悲しみを想像できるから優しさがある。」
「そんな独自の哲学なんかどーでもいいから、さっさと船を出しなさい!」
「船を出したいなら奥さん。どうか私の上から原付バイクごとどいてはくれないだろうか?」
「あ、ごめんなさい!勢い余って轢いてた!?本当にごめんなさい!」
「大丈夫。よくある事かもしれないですから。」
「寛大ね!さすが豪華客船の船長!」
「の隣の小さな船の船長ですけどね。それで?なぜこんな夜中の夜中に船に乗りたいのですかな?」
「いろいろ信じられない出来事が巻き起こってるの!詳しくは説明できないんどけどそこは察して!」
「うむ、察しましょう。」
「ありがとう!で、なぜこんな夜中の夜中に船に乗りたいかって言うと!」
「まさか奥さん?存在するかどうかも分からない秘宝、地球のへそを探しに行くのではなかろうね?」
「そうよ!さすが豪華客船の隣の小さな船の船長!」
「船乗りの間では有名過ぎる話ですよ。あまりにも有名過ぎて今では逆にもう誰も口にしない話です。」
「やっぱり存在するのね!存在するかどうかも分からない秘宝は!」
「いやいやいや、奥さん?存在するかどうかも分からない秘宝だから、存在するかどうかも分からない秘宝と呼ばれているのです。」
「とにかく!船を出して!」
「地球のへそを探しに行くのは構わないが、私はその前にまずは病院に行きたいのだがいいかい?」
「ダメよ!そんな時間ないのよ!夜明け前までには家に帰らなきゃならないの!それに今日は結婚記念日だし海の上にいる場合じゃないのよ!」
「それはそれは、おめでとう。」
「ありがとう。」
「なるほど、それで旦那さんに地球のへそをサプライズのプレゼントにしようって訳なのだね?」
「もうなんかそう言う解釈でも何でもいいから早く船を出して!」
「分かった。船を出そう。」
「ありがとう!」
なんかこう言う感じで話すと手抜きみたいに思われるかもしれないけど、船に乗って宝探しの途中、海賊と戦ったり、地図に載ってない怪しい島で化け物と戦ったり、その時知り合った博士がくれた発明品で存在するかどうかも分からない秘宝を発見して、海賊とまた戦ったり、宴で盛り上がってる最中にうっかり怪盗に盗まれた存在するかどうかも分からない秘宝を取り戻したり、お姫様を助けたり、その結婚式に参加して涙したり、海賊と戦ったり、なんだかんだ3ヶ月ぐらい経った頃、それぞれがそれぞれの運命に還る最後の晩餐と涙の別れをした後、あの時知り合った博士がくれた時間を戻す禁断の発明品で結婚記念日の夜中の夜中の原付バイクで豪華客船の隣の小さな船の船長を轢く前に戻して、私はUターンして家に戻って来た。
「ただいまー!秘宝、あったよ!」

第四百六十三話
「だから書いてみた妻側」

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