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2015年8月19日 (水)

「第四百七十九話」

「何なんだこれは!」
「だから、さっきから何度も言ってるだろ?お前の家に来る途中で迷子になってたんだよ。」
「迷子になってた少女を普通!そのまま友人宅に連れて来るか?」
「だって、可哀想だろ?」
「だったら、俺の家じゃなくて!警察に連れて行けばいいだろ!」
「あの公園からだったら警察よりお前の家の方が近かったからさ。」
「どう言う理屈だよ!」
「だってお前、公園で急に腹が痛くなってウンチしたくなったら、遠くの警察署より、近くの友人宅だろ?」
「どう言う理屈だよ!公園で急に腹が痛くなってウンコしたくなったら、公園のトイレですればいいだろ!おい、いいか?お前は、迷子の少女を可哀想だからって俺の家に連れて来たかもしれないけどな!分かってるのか?これ、誘拐だぞ!」
「僕は誘拐なんかしてない!」
「お前にはその気がなくても、これってそう言うシチュエーションだろ!」
「だったらお前は!少女を置き去りにしとけばよかったって言うのかよ!」
「そうは言ってないだろ?警察に連れて行けばよかったって言ってるだろ?」
「警察は信用出来ない!」
「はあ?」
「奴等とグルかもしれない!」
「映画の観過ぎだろ!この少女は何だ?国の重要機密でも知っちゃったのか?」
「その可能性はゼロじゃないだろ?」
「限りなくゼロに近いゼロだ!だったらその可能性で話を進めるけどな!仮に少女が国の重要機密を知っちゃっててだぞ?だいぶ俺達の立場もヤバいだろ!」
「相当ヤバいよ。」
「だったら連れて来るな!」
「お前、放って置けるか?そんな少女を一人公園に放って置けるか?僕には出来ない!例え自分達の立場がヤバくなっても僕には出来ない!」
「お前なぁ?国と戦うには、俺達はあまりにも無力なんだぞ?」
「そうかもしれない!僕等は無力かもしれない!それでも!公園にあのままにしといたら!少女はすぐに奴等に捕まって!殺されてた!僕等は無力かもしれないけど!それでも!一分でも一秒でも少女の命を助けたかった!」
「お、おいちょっと待て。」
「結局、僕等も少女も捕まって殺されるかもしれない!でも、殺されない可能性だってゼロじゃない!もしかしたら全員無事なハッピーエンドになる可能性だってあるだろ!」
「ストップストップストップ!現実世界に戻って来い!」
「ただいま。」
「おかえり。あのな?少女が国の重要機密を知っちゃってる可能性はゼロじゃないかもしれないけど、限りなくゼロだ。それ以上にもっと可能性が高いのがるだろ?」
「実は今、僕等が知らないだけで、世界は大量のゾンビウイルスに感染してて、この少女にはそのゾンビウイルスに対しての免疫があるって話?」
「どうしてそうやって限りなくゼロの可能性から言ってくんだよ!え?次は何だ?少女は未来から来たタイムトラベラーか?地球を征服に来た宇宙人か?そうじゃないだろ?研究施設から逃げ出して来た超能力少女か?違うだろ?公園で迷子になってただけの少女だろ!」
「僕、お前が校長のハイスクールには、絶対娘を入学させたくないね!」
「俺は、校長にならないから安心してくれ。」
「お前が運転手のタクシーにも娘を乗せたくないね!」
「タクシーの運転手にもならないよ。」
「お前が神父の教会にも娘を通わせたくないね!」
「神父にもならないよ。そして、まず!娘が出来てから言ってくれ!」
「母親を捜そう!」
「はあ?俺達でか?」
「そうだよ!お前は、このまま誘拐犯の濡れ衣を着せられたままでいいのか?僕達で真母親を捜して無実を証明しよう!」
「誘拐犯の濡れ衣はまだ!誰にも着せられてない!」
「着せられてないのか!?」
「着せられてないだろ!」
「僕はてっきり、お前に着せられたのかと思ってたよ。」
「俺が?あれは、このままだと誤解されるぞって話だ。」
「何だよ。それならそうと早く言ってくれよな。ああ、よかった。」
「何で冷蔵庫からビールを取り出してんだ?」
「安心したら喉が渇いたんだよ。お前も飲むだろ?とりあえず乾杯しよう!」
「何一つ状況が変わってないのに乾杯なんか出来る訳ないだろ!あのな?これだけは口にしないって思ってたんだけどな。」
「無理無理無理!僕は、お前の事を親友だって思ってるけど!それ以上は思ってない!だいたい、同性同士で結婚しても子供は出来ないだろ?僕は娘が欲しいんだ!おいちょっと待て!もしかしてこの少女を僕達の娘にしよってのか!それはマズいよ!かなりマズい!」
「何でこのタイミングで俺がお前にプロポーズしなきゃならないんだよ!いろんな角度から妄想を膨らませるのやめろよな!」
「じゃあ、何だよ。」
「今、真夜中だぞ?」
「そうだよ。」
「真夜中に公園で少女が一人って、おかしくないか?」
「そうか?こんな時代だし、何があってもおかしくないだろ。」
「何でもかんでも時代のせいにすんな!いいか?いつの時代だって、だいたい真夜中にいる少女は決まってるんだよ。」
「決まってるって何だよ。」
「幽霊だ。」
「お前、幽霊なんか信じてんのか!」
「むしろ逆に、幽霊を信じてないお前にびっくりだよ!」
「仮に少女が幽霊だったとしてもだよ?公園に一人ってのは、あまりにも可哀想だよ。」
「何なんだよお前のその平等な優しさ!」
「人として当然だろ。」
「どっかの大統領になって世界を平和にしてくれよ!」
「努力してみる!」
「だがまず、お前に言いたいのは!幽霊だとしたら俺の家に連れて来るんじゃねぇ!自分の家に連れて行けっ!」
「お前、恐いのか?」
「恐いよ!恐いに決まってるだろ!もうな!少女がずーっと無表情で無言な時点でメチャメチャ恐いよ!」
「だったら、幽霊かどうか本人に聞いてみればいいよ。」
「幽霊だったらどうするんだよ!」
「それはそれで、そん時また考えればいいよ。」
「いいか?幽霊じゃなかったら、今すぐ警察に連れて行くからな!」
「分かったよ。」
「・・・キミはそのう?幽霊?」
「違うよ。」
「ほら違ったじゃないか。」
「信じた訳じゃないが、よし、じゃあ約束通り警察に連れて行くからな。」
「まあ、それが無難か。」
「警察はダメ!」
「え?」
「え?」
「警察は信用出来ない。きっと国の重要機密を知っちゃったアタシを殺すわ!」

第四百七十九話
「ありのままのメアリー」

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