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2015年9月23日 (水)

「第四百八十四話」

「ん?何だ?このスイッチ?」

第四百八十四話
「THE SWITCH」

男がトイレに入り、扉を閉め、下半身を露出し、便座に座り、扉に目をやると、そこには平凡なスイッチがあった。
「いやそんな事より今はもっと大事な、やるべき事が俺にはある!」
そう言って男は、踏ん張った。血管がはち切れんばかりに踏ん張った。そしてそれは、一気に放出された。男の顔は、爽快感とロマンに満ち溢れていた。
「さてと、このスイッチは一体何なんだ?」
最適な温度と水圧のウォシュレットに包まれながら、男はスイッチと対峙していた。
「押してみるか?」
トイレットペーパーでケツを拭きながら男は呟いた。
「と言うか冷静に考えてみると、何で一人暮らしのトイレの扉に?もしかしてあれか?不思議ワールドに誘われてるのか?」
ベルトを締めなから男は言った。
「押したら、死ぬとか?」
死にはしない。
「どっかの重要なスイッチと繋がってて、この世が大変な事になるとか?」
そんな事はない。
「まあ、どっちにしろ物がスイッチなんだから、押さなきゃ何も起こらないんだろう。このまま無視するのが一番だ。」
そう言って男はトイレから出て行った。ある意味、男の言う事は正解だ。何かを起こす為にわざわざスイッチにしているのだから、押さなければ何も起こらないのが、スイッチ。単純な話であるが、人間はそこまで完璧な生き物でもない。
「何だこれはー!!」
トイレから出た男の目に飛び込んで来たのは、スイッチだらけの光景だった。押さなければ何も起こらないのがスイッチだが、押させる為に作ったのもまた、スイッチ。
「どう言う事だ?」
男はトイレに戻り、便座に座り、頭を抱えていた。
「うわぁ!?」
不意にウォシュレットを作動させてしまった男は、驚いて飛び上がった。
「あっ
!?」
そして、扉のスイッチを押してしまった。
「お、おい?押しちゃったぞ?どうなるんだ?一体何が起こるんだ?」
答えは何も起こらない。だが、男は骨になるまでこのトイレから出る事はない。押させる為のスイッチだが、必ずしも何かが起こるとは限らない。
「だ、誰か、助けてくれー!!」

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