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2015年11月18日 (水)

「第四百九十二話」

「ただいま。玄関の外まであるダンボールの山は何だ!?」
「ああ、お帰りなさい。また当たったわ。」
「あれは一体何が入ってんだよ!まさか、変な商売に引っ掛かったんじゃないだろうな!」
「アナタじゃあるまいし。」
「だったら、まさか変な商売を始めたんじゃないだろうな!」
「まさか、アナタじゃあるまいし。」
「俺は何なんだよ!」
「あのね?アナタは何も知らないから、そんな事を言ってられるのよ。きっとすぐにアタシに感謝する時が訪れるわよ!」
「ダンボールの中身は何なんだ!」
「いきなりダンボールの中身を言ってもアナタは、アタシを怒鳴り散らすだけだから、まずは順を追って説明するわね。」
「急な残業から帰って来たら、妻の訳の分からないダンボールの中身話かよ。明日も早いんだぞ?」
「平凡な毎日が、明日も続くと思わないで!」
「何で俺が怒鳴り散らされなきゃならないんだよ。一体何があったんだよ。」
「今日ね。昼間、友達と買い物に行ったの。」
「知ってるよ。と言うか、晩飯とかないのか?」
「ないわよ!」
「何でだよ!」
「だから!アタシの話を最後まで聞いたら、夕飯を作ってる場合じゃなかったんだって分かるわよ!そして最後にアナタは、アタシに感謝する事となる!」
「その何かを言い放つ時に漫画の主人公がする決めポーズみたいなの必要なのか?」
「お腹が減ってるならその辺にある缶詰でも適当に食べれば?」
「缶詰かよ!散々な日だな。」
「昼間、友達と買い物に行ったの。ランチ食べて、買い物に行こうと街をウロウロしてた訳よ。」
「ブラブラだろ?」
「そしたら、友達が発見したの!」
「何を?」
「有名な占い師よ!」
「占い師?」
「まあ、メディアとかでは取り上げられないけど、そっちの世界では超絶有名な占い師!」
「おいおいおい、やっぱりあのダンボールの中身は、変な商売に引っ掛かったんじゃないだろうな?」
「何でそうなるのよ!」
「だって、あのダンボールの中身は、その占い師が原因なんだろ?」
「よく分かったわね!アナタもしかして、エスパー!?」
「仮にもし俺がエスパーだとしたら、どんなタイミングで妻に打ち明けてんだよ。話の流れで汲み取っただけだよ。で、その占い師に何を吹き込まれたんだ?」
「こんなチャンスを逃したら一生後悔すると思って!友達と一緒に、そのそっちの世界では超絶有名な目からビーム出る占い師に占ってもらったの!」
「目からビーム出るのか!?」
「出るわよ。」
「目からビーム出るのか!?」
「そこ、引っ掛かるとこ?」
「引っ掛かるとしたら、ここだろ!」
「たまたま目からビーム出るってだけで、重要なのは占いが百発百中なとこなの!」
「出るのか?」
「出るわよ。」
「見たのか?」
「見てはないわよ。」
「じゃあ、出ないだろ。」
「物凄いSFなサングラス的なモノをしてたから出るでしょ!」
「何でそんな演出だけで信用すんだよ!むしろ胡散臭ささ満載だろ!」
「だから!目からビーム出ようが出まいが、そこはどうだっていい訳!そこは関係ないの!占い師なんだから占いが百発百中なら十分でしょ!本人が目からビーム出るって言ってんだから出るでいいじゃん!むしろ逆に目からビーム出ないのに、目からビーム出るなんて嘘を付く必要性があるの?って話よ!」
「んまあ、話がややこしくなるから目からビームはもうこれ以上、掘り下げないよ。それで?占い師に何て言われたんだ?」
「まずは、アタシ達が買おうと思ってたモノを全て言い当てられたの!」
「そんなの女性が買いそうなモノを列挙しただけだろ?」
「友達はその日、犬を買う予定だったのよ!その犬種も付けようとしてた名前まで当てたのよ!」
「それは、少し凄いな。」
「少し?アナタ、素直になりなさいよ!超絶凄いでしょ!それで、その占い師は、明日までにアタシ達に起こる主な出来事を占って紙に書いて手渡したの!」
「お前、そんな高名な占い師に占ってもらって、一体いくら支払ったんだよ。」
「タダよ!」
「バカな!?そんな百発百中の占い師がタダな訳があるか!」
「確かにふだんなら高級車並よ!でも今日はタダだったの!紙を手渡すとその場から居なくなったの!」
「いやちょっと待てよ。例え今回がタダだったとしてもだ。お前は、こんなチャンスを逃したらって、高級車並の金額を支払って占いをしてもらおうと思ってたって事か?」
「そこはご愛嬌よ!」
「ご愛嬌で高級車並の金額が口座から引き落とされてたまるか!」
「でね!ことごとく占いは当たり続けてるの!」
「高級車並の話をことごとく流すな!」
「アナタが急な残業で帰りが遅くなるのももちろんよ!」
「いやもう話が散らかり過ぎて何に集中していいんだか分からないよ!」
「アタシが犬のウンチを3回踏むとか、アタシがカラスにフンを3回落とされるとか、アタシが急な腹痛で入ったトイレのトイレットペーパーがないとか、アタシが道に落ちてるバナナの皮に3回滑るとか!」
「何て、おっちょこちょいな1日なんだ!」
「とにかくもう!当たりまくりなのよ!」
「当たりまくりなのは分かったよ。で、その話はどうやってあのダンボールの中身と繋がるんだ?」
「これを見よ!」
「例の占いが書かれた紙か?」
「イエス!」
「ハエが髪の毛にとまる。ウォシュレットの水の勢いがマックスになってる。買った雑誌が先週号。買ったキャベツの中に虫。リンゴは腐ってる。お気に入りの腕時計が壁にぶつかって壊れる。おい何だよこれ!悪い事しか書いてないじゃないか!」
「まあ、そう言う占い師だからね。」
「そりゃあ!メディアとかでは取り上げられないよ!てか、何で高級車並の金額を支払って、悪い事を占ってもらうんだよ!」
「そう言うアナタの知らない世界もあるのよ。」
「深く頷かな!と言うかだぞ?これって占ってもらってんたから回避出来るのは回避出来ただろ!」
「今日の午後11時を過ぎたら紙を見よって言われたの。」
「無料お試し期間で信用させて次に高級車並みの金額で占うつもりじゃないのか?ああ!良かった!タダで!」
「喜ぶのはまだ早いわ!最後を読んで!そこになぜ占い師が明日までに起こる事しか占わなかったかの答えが書かれてるから!」
「タダだからだろ?無料お試し期間的なやつだろ?いいか?百発百中だからって、次にその占い師と出会っても絶対に占ってもらうなよ!」
「いいから最後を見よ!」
「えっ!?」
「そう!地球は明日、大爆発して滅亡する!」
「嘘だろ?」
「これまでの占いが全て的中してんのに、嘘な訳ないじゃん!」
「おい!あのダンボールの中身は一体何なんだ!」
「酸素よ!」
「酸素!?」
「そう!全て酸素!いい?これでアタシ達は、宇宙に放り出されてもしばらくは生きられるのよ!」
「それは大爆発を生き残れたらの話だろ!と言うか、生き残れたとしても酸素だけで宇宙空間を生き残れる訳ないだろ!宇宙飛行士見た事あるだろ!」
「だから、大量の毛布も買ったわよ!」
「宇宙空間何だと思ってんだよ!と言うか、間もなく日付が変わるぞ?」
「そうね。」
「さあ、風呂入って寝るぞ。」
「えっ!?この状況で寝れる!?」
「地球が大爆発する訳がないだろ?」
「占いがハズレるって事?」
「占いがハズレるって事じゃなくて、お前は占い師に担がれたんだよ。こうやって慌てふためくお前を想像して、今頃その占い師はニヤニヤしながら眠りについてるよ。」
「占い師のジョークに翻弄されたって事!?」
「まあ、よく捉えたらそうかもな?」
「でも本当に明日、地球が大爆発して滅亡したら?」
「おい、冷静になって考えてみろよ。地球が大爆発するんだぞ?だとしてらそう言う感じの機関が、そう言う予兆に気付いてるだろ?明日、地球が滅びるって前日がこんなにも平和な訳がないだろ?」
「まあ、言われてみればそうね。」
「いいか?お前がすべき事は、明日の朝一でダンボールの中身の酸素と大量の毛布を返品する事だ。」
「あの占い師、今度会ったらぶっ飛ばしてやる!」
「それは無理だな。」
「何で!」
「だって、そう言う事を占えるんだろ?だから、お前は二度とその占い師には出会えない。」
「くっそーっ!」
「今日もきっと、いつも通りの平凡な毎日の続きだよ。」

「もう0時過ぎてるじゃない!あーヤダヤダ!寝よ!」
「なんて無駄な時間だったんだ!」
「目からビーム出す夢でも見よ!」
「夢で憂さ晴らしすんなよ!」
「あれ?今、揺れなかった?」
「気のせいだろ?」

第四百九十二話
「午前0時5分地球消滅」

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