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2015年12月

2015年12月 2日 (水)

「第四百九十四話」

 男は部屋の真ん中で座り込んで腕を組んで目を瞑り、何か重要な事を考えていた。男の人生に関する重要な事を。
「死のう。」
目を開けるなり、男は決意した。
「何でよ!」
そういって肩に手を当てながら、人生を決意した男の横に、女が座った。
「えっ!?」
「何で、死ぬの?」
「はい?」
「えっ?見た目はそうでもないけど、実は随分な老人なの!?」
「いや、耳が遠くて聞こえないとかじゃなくて、誰っ!?」
「逆に分からない?」
「分かる訳ないだろ!えっ?彼女?」
「そうそうそう!すぐ朝ご飯作るからね!って、馬鹿野郎!何でアタシが貴方の彼女なのよ!」
「新しい彼女の出来方なのかなって。」
「ある日突然、部屋の中に見ず知らずの女が彼女としている訳ないでしょ?斬新過ぎるでしょ!」
「泥棒?」
「そうそうそう!何を盗んでやろうかな?って、馬鹿野郎!家主に話し掛けちゃうおっちょこちょいな大泥棒がいる?」
「大泥棒とは言ってないけど、サンタクロース?」
「そうそうそう!今日は何をプレゼントしてやろうかな?って、馬鹿野郎!こう見えて随分な老人か!アタシは!どっからどう見ても死神でしょ!」
「どっからどう見たらこんな美人が死神に見えるんだよ!」
「こんな、何?」
「えっ?」
「こんな、の後に何て言ったの?」
「こんな美人が。」
「よく言われる。」
「面倒臭いな。えっ?死神!?」
「どうぞよろしく!」
「何で!?」
「何が?」
「だから、何で死神がこんなとこにいるんだって!」
「だって貴方、今さっき死のうって、変な顔で言ってたじゃない。」
「生まれ付きだ!失礼な死神だな。ん?と言う事は、僕をあっちの世界に連れて行くって事か?」
「朝から下ネタですか?ドン引き!」
「あっちってワードで下ネタ連想するアンタの方がよっぽどドン引きだ!つまり、僕を地獄に連れて行くって事なんだろ?」
「そうそうそう!今日はどこの地獄に連れて行ってやろうかしら?って、馬鹿野郎!地獄に連れて行く死神がいるかよ!」
「はあ?」
「いや、こっちが、はあ?」
「何で、そっちが、はあ?なんだよ!」
「いやいやいや、はあ?」
「ずーっと続けるつもりか!この果てしなき無駄な、はあ?の時間を!」
「アタシ達、死神は地獄になんか連れて行きませんよ?」
「死神は、地獄に連れて行くもんだろ!」
「死神が、死神は地獄に連れて行きませんよって言ってるんだから間違いないでしょ!パン屋が、つぶあんだよって言ったら、つぶあんでしょ!」
「比較する例えの内容の 重さが違うだろ!」
「あのですね?死神はですね?人の命を奪いに来る存在ではないですよ?」
「なら、アンタはここに何をしに、のこのこやって来たんだ。」
「のこのこは来てませんよ。そそそって来たんですよ。」
「別に音を聞いてんじゃないんだよ!」
「そそそそそ、だったかな?すいません。その辺、覚えてません。」
「だから!別にその辺はどうだっていいんだって!あの世に連れて行かないんなら、死神が何でここにいるのかを教えてくれよ!」
「むしろその逆だからです!」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・はあ?」
「いやこっちが、はあ?だよ!むしろその逆って?」
「だーかーらー!確かに死神は、あの世に連れて行く存在でした!」
「過去形?」
「そうなるでしょ!」
「何で僕が分からず屋扱いされなきゃならないんだか納得いかないが、その死神の存在意義がいつからか変化したって訳か?」
「正解!50死神!」
「どんな単位だよ!貯まると何が貰えるんだよ!」
「何も貰えませんよ。」
「じゃあ、ポイント丸ごといらないよ!」
「はい、注目!いいですか?地球の人口が増える=あの世の人口も増える!分かりますよね?で、あの世の人口が増えると、いろいろと弊害が起こる!よって死神は、ある時期からあの世へ連れて行く仕事ではなく!この世に留める仕事となったのです!」
「人の家の壁をホワイトボード代わりに使うのやめないか?しかも電話しながらの落書き程度に使うなら尚更。」
「と言う訳で、死なれたらあの世の人口が増えるから、死なないで下さいご主人様、です。」
「何で急にメイド?」
「死神ジョークです。」
「はあ?」
「はあ?」
「こんなに短時間で、はあ?のやりとりしたの初だよ!」
「よかったですね!」
「いいか悪いかは分からない!つまり、僕に死なれたら困るんだろ?」
「そうです。」
「でも、死ぬよ。」
「ええー!こんなに説得してるのにー!」
「してないだろ!死神の現状を説明しただけだろ!」
「何となくですけど?さっきより死ぬ気が失せません?」
「全然。」
「シヌキウセールしたんだけどな?」
「虫扱いか!」
「ところで、何で死にたいかをまだ詳しく伺ってないんですけど?どうして、死にたいんですか?」
「上手く行かないからだよ。」
「上手く行かない?何がですか?」
「人生がだよ。」
「ちょっと待って下さい。そんな事で死のうとしてるんですか?」
「そんな事でって何だよ!」
「人生が上手く行かないって、誰もが皆、人生なんか上手く行ってないでしょ!」
「行ってるだろ!偉人とか成功者は人生が上手く行ってるじゃないか!」
「行ってませんよ!偉人も成功者も!」
「輝かしい人生だろ!」
「それは客観的に見たらです!偉人や成功者の良い人生の部分を繋ぎ合わせて見てるからです!偉人や成功者だって、貴方のように日々人生が上手く行かないって悩んでるんです!急にある日突然、偉人や成功者になった訳じゃないんです!偉人や成功者から見ても貴方の人生が羨ましいって思う部分があるはずです!」
「僕にそんな他人に、ましてや偉人や成功者に羨ましいって思われる人生の部分なんかないさ。」
「美人の死神に出会ったじゃないですか!」
「どの角度で自画自賛放り込んで来てんだよ!」
「死神ジョークです。」
「死神ジョークムズいからやめてくれ!」
「とにかくですよ?別に愛する者を失った訳でもお医者さんに余命宣告された訳でも借金まみれで怖い人に脅されてる訳でもないんですよね?」
「ああ。」
「だったら!これからですよ!人間なんて何度でも人生やり直せるんですから!軌道修正しましょうよ!ねっ?あの時、死ななくて良かったー!って日が来ますって!」
「本当に、そんな日が来るのか?」
「保障は出来ません。けど!」
「けど?」
「貴方はまだまだこの先何十年も生きれるんです!」
「寿命が分かるのか?」
「これでも死神ですよ?バンバン見えちゃいますよ!吐き気がするほど!」
「吐き気がするのか!?そうか。まだまだ生きれるのか。僕は・・・。」
「辛い事や悲しい事もあるかもですけど、楽しい事も愉快痛快な事も待ち受けてるはずです!」
「そうかもしれないな。死ぬにはまだ、早いかもしれないな。」
「と言う事は?」
「死ぬのはやめるよ。」
「やったー!」
「誰にも話さずに、一人で悩みを抱え過ぎて煮詰まってたのかもしれないな?」
「そうですよ!一人で抱え込むのはダメダメ!」
「因みに明日も死にたいって考えたら、アンタが来てくれるのか?」
「はあ?」
「ジョークだよ。ジョーク!」
「ふふっ。」
「はははははは!」
「それじゃあ、良い人生を!」
「ありがとう。」
そう言って差し出された女の手を男が握ると、女は笑みを浮かべながら消えた。
「さてと、腹が減ったな。」
そう言うと男はキッチンへ向かって歩き出した。

第四百九十四話
「人類滅亡兵器を作る男」

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2015年12月 9日 (水)

「第四百九十五話」

 ある国の王様の鼻から、立派な鼻毛が飛び出していました。

「王様!」
それを発見した一番仲良しの大臣が王様に言いました。
「立派な鼻毛が飛び出しています!」
「うむ。」
大臣は、死刑になりました。

第四百九十五話
「王様の鼻毛」

「あのう?先生?一言宜しいですか?」
「宜しくないって言ったって言うんだろ?」
「はい。」
「何だ。」
「何ですかこの作品!」
「失礼だなキミは!毎回毎回、私の作品に対して!これは新作童話だろ!それしかないだろ!」
「それを承知で伺ってるんですよ!」
「何だよ。一体何が気に食わないって言うんだよ。」
「童話と言うのはですよ?直接的ではなく間接的に何か教訓を読み手に与えるモノなんですよ。」
「与えてるだろ!逆に与え過ぎちゃってんじゃないかって、大丈夫なのかなって、私は心配してるぐらいだよ!」
「鼻毛出てるの教えたら殺されたって話のどこにどんな教訓があるんですか!」
「鼻毛出てるの教えたら殺されるって部分にだよ!」
「どう言う事ですか?」
「あのさ?鼻毛出てるって言われたら恥ずかしいだろ?」
「恥ずかしいですよ。」
「だからだよ。」
「いやいやいやいや!全く説明になってませんよ!確かに恥ずかしいですけど、教えてくれたんですよ?」
「教えなくていいだろ!」
「教えてくれなかったら、自分で気付くまでずっと鼻毛出っぱなしなんですよ?朝から出てるのに気付かなかったら、夜まで気付かないかもしれないんですよ?」
「気付ける時に気付けばいいじゃないか!何をそんな鼻毛ぐらいの事で焦って気付こうとしなきゃならないんだ!」
「鼻毛ぐらいの事でって!その鼻毛ぐらいの事で、王様は一番仲良しの大臣を死刑にしちゃったじゃないですか!」
「だからさ!鼻毛ぐらいの事で、鼻毛出てるとかって、あえて言う必要はないって事だよ!それを口に出して鼻毛出てるとか言うから恥ずかしくなるんだよ!」
「一番仲良しの大臣は、大勢の前で大声で言ったんですか?」
「二人っきりの時に耳元で囁いたんだよ。」
「何で殺されなきゃならないんですか!めちゃくちゃ王様に配慮してるのに!」
「いいか?大勢の前で大声で言っても!二人っきりの時に耳元で囁いても!鼻毛出てるって言った段階で同じ事なんだよ!鼻毛出てるに大きいも小さいもないんだよ!鼻から鼻毛は出てるんだよ!」
「一番仲良しの大臣は、親切心で教えたんですよ?今ここで、自分が王様に鼻毛出てる事を教えれば、鼻毛出てる姿を誰にも見られない。そう言う気持ちで教えたんだと思いますけど?どうなんでしょう!」
「その通りだよ。一番仲良しの大臣は、被害を最小限にする為、自分が食い止めようと王様に鼻毛出てる事を伝えたんだよ。」
「だったら!」
「だがな!鼻毛出てるのを教える方にしてみたら、そこには親切やら勇気やら正義やらの気持ちがあるのかもしれないけど!教えられた方にしてみたら、人生最大の屈辱でしかないんだよ!教える事が正義ならな!この世界からとっくに戦争なんてモノはなくなってる!」
「なぜ焦点を物凄く大きくするんですか!ああ、そうか。教えてくれてありがとう。って言って鼻毛を処理すればいいじゃないですか!王様は!」
「じゃあな?じゃあな?じゃあな?キミはな?自分のお母さんをバカにされたら怒るだろ?怒っちゃうだろ?」
「怒りますよ。」
「じゃあな?じゃあな?じゃあな?更にお母さんを物凄くバカにされたら、そのバカにした相手を殴るだろ?殴っちゃうだろ?」
「もしかしたら、そうするかもしれないですね。」
「そんなお母さんを殺されたら、殺した相手を殺したいだろ?」
「そうですね。」
「なっ?」
「いや、これは母親の話じゃなくて鼻毛の話じゃないですか!なっ?じゃないですよ!」
「鼻毛もお母さんも同じだ!」
「絶対違いますよ!どうやったらそう言う考えに至るんですか!」
「鼻毛はお母さんからの贈り物だろ!鼻毛がなかったら鼻の中が大変な事になるだろ!」
「もうそれは人体の構造じゃないですか!鼻毛が母親からの贈り物なら、人体全てが当てはまるじゃないですか!」
「頭がハゲたとか、太ったとか、メガネ掛けてるとか、そう言う容姿の部分は、自己責任だろ?伸びて言われて恥ずかしいのは、絶対的に鼻毛だけだろ!」
「ですから!そうかもしれませんけど、それを言われたからって死刑はおかしいじゃないですか!って話ですよ!」
「だって考えてもみろ!この一番仲良しの大臣を生かしといたら、この先もどこかの誰かの鼻毛が出てたら、鼻毛出てるって教えるかもしれないんだぞ?コイツはな!そう言うヤツなんだよ!生かしといたらこの先、何人の人間がしなくてもいい恥ずかしい思いをする事か!そう考えて王様は、苦渋の決断をせざるを得なかったんだ!」
「何かあったんですか?」
「何が?」
「いやだって、ここまで鼻毛に執着する童話を書くって事はですよ?過去に先生は鼻毛出てる事を教えられて物凄く恥ずかしい思いをしたんじゃないか、と。」
「ないよ。」
「ないんですか!?ないのに、こんな作品を!」
「だって別に推理小説書く作家が全員殺人犯って訳じゃないだろ?」
「まあ、そうですけど、あんなにも熱く語れるモノなのか、と。」
「まあ、あれだな?この作品は、今の世の中に対して苦言を呈したみたいな感じだな。」
「どの辺がですか?」
「目に見える情報が真実だと思うな!と言う事だよ。」
「何を言ってるんですか?鼻毛は鼻毛じゃないですか。疑いようがないですよ。」
「むちゃくちゃ長いケツ毛かもしれないだろ!」
「どうやってそんな疑い方をすればいいんですか!」
「キミも一番仲良しの大臣に鼻からむちゃくちゃ長いケツ毛が出てる事を教えられたら恥ずかしいだろ!」
「まず一番仲良しの大臣がいませんし、ケツ毛が鼻から出るなんて有り得ないじゃないですか!」
「宇宙人やタイムマシーンと同じ事か。」
「それよりも遙かに可能性が低いですよ!」
「タイムマシーンに乗った宇宙人が鼻からケツ毛出してたらどうするんだ!」
「もうギブアップです!もういいです!もうお腹いっぱいです!分かりました!先生が、どんな教訓をこの王様の鼻毛で言いたかったのかは理解しました!ありがとうございました!」
「おい!どこへ行く!」
「どこって、会社に持ち帰って編集長と話し合うんですよ。」
「なら、この作品も持ち帰りなさい。」
「何ですか?」
「王様の目やに」

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2015年12月16日 (水)

「第四百九十六話」

「まずは、スープから。」
「まずは、サラダから。」
「何を!?隣の客!」
「こっちこそ何を!」
「まずは、スープからが基本だろ!」
「まずは、サラダからが基本に決まってるだろ!」
「何ページにそんな基本が書いてあったんだ!」
「259ページだ!」
「そんな後ろの方に基本が書いてあるか!」
「書いてあるもんは書いてあるんだからしょうがないだろ!」
「捨てちまえ!そんな本!」
「何で隣の客に言われて捨てなきゃならないんだ!だいたい、そっちは何ページに書いてあったんだ!」
「258ページだ!」
「たかが1ページ違いだろ!」
「されど1ページ違いだろ!」
「1ページだぞ!1ページ!」
「1ページに笑い!1ページに泣く!」
「何でスポーツみたいな解釈になってんだよ!1ページ!」
「1ページはスポーツだ!」
「本だ!」
「ほぼスポーツだ!」
「話にならないな!」
「こっちの台詞だ!」
「そんな大声出すヤツとは話にならない!」
「どちらかと言えば、そっちの方が声大きいからな!」
「この世にまだ、小声を知らないヤツがいるとはな!」
「知ってるわい!」
「肉が冷めるわ!」
「こっちの台詞だ!」
「午後の会議に遅れるわ!」
「こっちの台詞だ!」
「嫁に怒られるわ!」
「こっちの台詞だ!」
「病気になるわ!」
「こっちの台詞だ!」
「こっちの台詞だしか言えないのか!」
「こっちの台詞をそっちが先に言うから他に言いようがないだろ!」
「じゃあ、どーぞ!」
「いえ、どーぞ!」
「いやいや、どーぞ!」
「いえいえ、どーぞ!」
「いやいやいや、どーぞ!」
「いえいえいえ、どーぞ!」
「どーぞ!どーぞ!」
「どーぞ!どーぞ!どーぞ!」
「そうですか?」
「どーぞ!」
「嫁に怒られるわ!」
「こっちの台詞だ!」
「私にも!こっちの台詞だを言わせろ!クソ!何がなんでも私に、こっちの台詞だを言わせないつもりだな!言ってやるぞ!こっちの台詞だを!絶対に言ってやるからな!こっちの台詞だを必ず!」
「めちゃくちゃ言ってるだろ!」
「こう言う感じで言ったってな!全然こっちの台詞だ感なしだろ!」
「どんな執着だよ!」
「こっちの台詞だを正式に使えてる人間には分かるまい!」
「論点がズレズレだろ!」
「いいか?隣の客!この世は自由だ。」
「何の話だ?」
「この世は、自由過ぎるぐらい自由だ。」
「だから、何の話だ?」
「むしろ自由過ぎて、逆に不自由なくらいだ。」
「何が言いたいんだ?」
「何をしたっていいって事を言いたいんだ。」
「いや、何が言いたいのか全く分からない。」
「だから!結局は、世の中いろいろと自由だけど、まずは、スープからってのは自由にねじ曲げちゃいけないって事を最終的に言うから聞けよ!途中でゴチャゴチャ言うなよ!隣の客!」
「いやもう、何だかんだで言いたい事を聞いちゃったから、それに至るまでの話はいいよ。まずは、サラダからだしさ。」
「えーと、何をしたっていいって事を言いたいんだ。」
「いや、話さなくてもいいよ。」
「人を殺すのも自由。」
「いや違うだろ。」
「人の物を盗むのも自由。」
「いや違うだろ。」
「会議中に寝るのも自由。」
「急にランクが下がったけど、それも違うだろ。」
「裸で街を歩くのも自由。」
「自由じゃないだろ。」
「何が言いたいのかって言うとだ!ダメだと言われてる事も結局は自由に出来てしまうって事だ!やっちゃいけないって事も結局は自由に出来てしまうって事だ!でもな?そんなやろうと思えば自由に何でもかんでも出来てしまう世の中でもな?まずは、スープからのルールだけは破っちゃならんっ!!」
「さっき何となく話の最後を聞いちゃったから、その迫力は無駄の何ものでもないけど?それに、まずは、サラダだ!」
「この隣の客だけは、こんだけ言っても分かんないのか!」
「こんだけ言ったって言っても、とてつもなく訳の分からない事を言ってただけだろ!」
「まずは、サラダから食べてみろ?死ぬぞ!」
「生きてるだろ!ずーっと、まずは、サラダからでこうして生きてるだろ!」
「いや、死ぬ!」
「何十年も生きてるよ!」
「絶対に死ぬ!」
「絶対に生きてるのが分からないのか?」
「人間はいつか必ず死ぬ!人間とはそう言う生き物だ!」
「何の話にすり替えてんだ!」
「人間とはいつか必ず死ぬ生き物って話にすり替えたんだ!」
「堂々とすり替えを認める!」
「私はな。まずは、スープからの人間である前に、堂々とすり替えを認める人間なのです!」
「会話しにくいったらありゃしないもんだ!」
「ありがとうございます!」
「いつ誉めた!」
「さてと、いろいろと分かってもらえたとこで、食べますか!」
「何も分からせてないからな!」
「まずは、スープから。」
「まずは、サラダから!」
「何を!?隣の客!」
「こっちこそ何を!」
「まずは、スープからが基本だろ!」
「まずは、サラダからが基本に決まってるだろ!」
「何ページにそんな基本が書いてあったんだ!」
「またそこから始める気か!」
「どこからだって始めるさ!私は、どこからだって始める人間だからな!」
「どんな人間なんだか分からん!」
「スープだ!」
「サラダだ!」
「まずは、肉からね。」
「「えっ!?」」

第四百九十六話
「ステーキハウスリバティ」

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2015年12月23日 (水)

「第四百九十七話」

 俺は、妙な世界に足を踏み入れてしまったのだろうか?
「そろそろだな。」
午後23時30分。間もなくこの人通りのない工事現場の夜道に男がやって来る。
「今日こそは・・・。」
そして男は、倒れて来るクレーン車の下敷きとなって死ぬ。なぜ俺にそんな未来予知が出来るかって?違う。これは未来予知じゃなくて、俺が今日を繰り返しているだけだ。あの日、男がクレーン車の下敷きとなって死ぬのを目撃してから何百回と今日を繰り返し、何百回と男を助けようとした。きっと、男を助けないと明日が来ないからだ。だが、いつも結果は同じだった。必ず男は、死んでしまう。気が変になりそうにもなったが、どうせ気が変になるなら気が変になる前に俺は、あの分からず屋の男をぶん殴らないと気も変になれやしない。あんなに何百回も忠告したのに、あんなに何百回もいろいろと手を尽くしたのに、なのに何百回も死にやがって!どうせ何をしたって男を助けない限り俺に明日が来ないなら、一度ぐらい怒り任せに男をおもいっきりぶん殴ったって罰は当たらないだろう。だいたい、既に罰が当たってるみたいな状態なんだ。今日は、殴ってやる!
「おい!」
「ん?」
「いつもいつも初めましてみたいな顔で俺を見やがって!」
「酔っ払いか?」
「俺は、酔っ払ってなんかいない!」
「そうか。なら、通してくれるか?今日は仕事で疲れて、もう家に帰って眠りたいんだ。」
「家に帰らなくたって、すぐに眠れるさ!」
「何を怒ってるんだ?私がキミに何かしたのか?」
「俺に何かしたんじゃなくて!俺の言う事を聞かないからだよ!」
俺は、ありったけの何百回分の怒りを込めて男に殴り掛かった。
「それは、こっちの台詞だ。」
「え?」
だが、逆に俺は男に殴られた。痛い。物凄く痛い。どう言う事だ?何が起きているんだ?こんな展開は、初めてだ。
「なぜ、お前は何百回も邪魔をするんだ!」
そう言うと地面に倒れる俺の腕を掴み、男は俺を立ち上がらせた。
「何言ってんだ!人が目の前で死ぬのを見過ごせるか!え!?何百回も邪魔をするって、まさか!?アンタも繰り返してんのか!」
「そうだ。」
「だったら!何で何百回も同じ結末になるんだよ!」
「それが今日だからだ。」
「何!?」
「たぶん、私はキミよりも先に今日を繰り返してる。」
「何だって!?」
「そこで気付いたんだよ。今日を変える者に明日は来ない。」
「どう言う事だよ。」
「私が今日を受け入れた時、キミが今日を受け入れるのを拒否した。だから、今日が繰り返されてる。」
「お、おい!?ちょっと待ってくよ。それじゃあ!」
「そう、明日は誰にも来てない。」
「バカな!?」
「いいか?だから、今日がまた繰り返した時、キミは一番最初の今日を過ごすんだ。私を助けよう思うな。私を助けようと思いたいなら、日付が明日に変わってからにしてくれ。これ以上、クレーン車の下敷きになって死ぬのは嫌だからな。」
そう言うと男は、笑みを浮かべて俺の横を通り過ぎて行った。そして、間もなく男はクレーン車の下敷きとなって死んだ。そして、また今日が始まる。

第四百九十七話
「死ねない男」

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2015年12月30日 (水)

「第四百九十八話」

 僕は、寝る前に右膝の方が好きだって事を左膝に告げた。朝、目が覚めると左膝がいなくなってた。

第四百九十八話
「僕の左膝」
 なんだかんだで僕は今、森にいる。いなくなった左膝を捜すなら森と言う偉人の言葉を信じたからじゃない。なんだかんだ、だ。しばらく左膝を捜す事を忘れて森の泉の花畑で蝶々と戯れてると、お婆さんかお爺さんか分からない年配が姿を現した。もしかしたら、こんな場所にいる、あんな年配だったら左膝の事を何か知ってるかもしれないって思い込んで、尋ねる事にした。
「あのう?年配!」
「どんな声の掛け方だ!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」
「お爺さんだったかぁ!」
「大体、お爺さんだろ!こんな感じでこんな場所にいるのお爺さんだろ!で?どうした?道にでも迷ったか?」
「左膝を捜してるんです!」
「ん?何?」
「左膝を捜してるんです!!」
「うるさっ!あのな?いつも思うんだけどな?老人が、何?的なリアクションした時に、耳が遠いんだと思って、耳の近くに寄って大声っておかしいだろ!その場でさっきよりも大声にするか、さっきの音量で耳元のどっちかだろ!両方やってどうすんだ!耳壊れるわい!人が何かを語ってる時に珍しい蝶々を追い掛けるんじゃない!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」
「知りません?僕の左膝?」
「ちょっと整理させてくれ。まず、左膝が無いのに、どうやって森まで歩いて来たんだ?」
「えっ!?」
「何でそんなリアクション出来る!?左膝を捜してると言う事はだ。青年のパンツの下に左膝は今、存在しないと言う事になるんだぞ?」
「そうですよ。」
「なななななな無い!?何で左膝無いんだよ!」
「寝る前に右膝の方が好きだって左膝に言ったら、朝いなくなってたんです。」
「どう言う事!?」
「僕が知りたいですよ!!」
「耳っ!?」
「で、なんだかんだで森にいます。」
「不思議だらけだな!青年!」
「いやいやいやいやいや、お爺さんも存分に不思議だらけですよ。」
「わしの何が不思議だらけなんだ?森の長老が森にいて、何が不思議だらけなんだ?」
「そこが不思議だらけだなー!」
僕は、森の長老の身ぐるみ剥がすと、森を後にした。
「ヤッホー!」
なんだかんだで僕は今、山にいる。いなくなった左膝を捜すなら山と言う偉人の言葉を思い出したからじゃない。なんだかんだ、だ。しばらく左膝を捜す事を忘れて山のカールの花畑で蝶々と戯れてると、お婆さんかお爺さんか分からない年配が姿を現した。もしかしたら、こんな場所にいる、あんな年配だったら左膝の事を何か知ってるかもしれないって思い込んで、尋ねる事にした。
「あのう?年配!」
「どんな声の掛け方だ!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」
「またお爺さんだったかぁ!」
「またって何だ!大体、お爺さんだろ!こんな感じでこんな場所にいるのお爺さんだろ!で?どうした?道にでも迷ったか?」
「左膝を捜してるんです!」
「ん?何?」
「左膝を捜してるんです!!」
「うるさっ!あのな?いつも思うんだけどな?老人が、何?的なリアクションした時に、耳が遠いんだと思って、耳の近くに寄って大声っておかしいだろ!その場でさっきよりも大声にするか、さっきの音量で耳元のどっちかだろ!両方やってどうすんだ!耳壊れるわい!人が何かを語ってる時に珍しい蝶々を追い掛けるんじゃない!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」
「知りません?僕の左膝?」
「ちょっと整理させてくれ。まず、左膝が無いのに、どうやって山まで歩いて来たんだ?」
「えっ!?」
「何でそんなリアクション出来る!?左膝を捜してると言う事はだ。青年のパンツの下に左膝は今、存在しないと言う事になるんだぞ?」
「そうですよ。」
「なななななな無い!?何で左膝無いんだよ!」
「寝る前に右膝の方が好きだって左膝に言ったら、朝いなくなってたんです。」
「どう言う事!?」
「僕が知りたいですよ!!」
「耳っ!?」
「で、なんだかんだで山にいます。」
「不思議だらけだな!青年!」
「いやいやいやいやいや、お爺さんも存分に不思議だらけですよ。」
「わしの何が不思議だらけなんだ?山の長老が山にいて、何が不思議だらけなんだ?」
「そこが不思議だらけだなー!」
僕は、山の長老の身ぐるみ剥がすと、山を後にした。
「暑っ!」
なんだかんだで僕は今、砂漠にいる。いなくなった左膝を捜すなら砂漠と言う偉人の言葉を思い付いたからじゃない。なんだかんだ、だ。しばらく左膝を捜す事を忘れて砂漠のオアシスの花畑で蝶々と戯れてると、お婆さんかお爺さんか分からない年配が姿を現した。もしかしたら、こんな場所にいる、あんな年配だったら左膝の事を何か知ってるかもしれないって思い込んで、尋ねる事にした。
「あのう?年配!」
「どんな声の掛け方だ!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」
「またまたお爺さんだったかぁ!」
「またまたって何だ!大体、お爺さんだろ!こんな感じでこんな場所にいるのお爺さんだろ!で?どうした?道にでも迷ったか?」
「左膝を捜してるんです!」
「ん?何?」
「左膝を捜してるんです!!」
「うるさっ!あのな?いつも思うんだけどな?老人が、何?的なリアクションした時に、耳が遠いんだと思って、耳の近くに寄って大声っておかしいだろ!その場でさっきよりも大声にするか、さっきの音量で耳元のどっちかだろ!両方やってどうすんだ!耳壊れるわい!人が何かを語ってる時に珍しい蝶々を追い掛けるんじゃない!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」
「知りません?僕の左膝?」
「ちょっと整理させてくれ。まず、左膝が無いのに、どうやってオアシスまで歩いて来たんだ?」
「えっ!?」
「何でそんなリアクション出来る!?左膝を捜してると言う事はだ。青年のパンツの下に左膝は今、存在しないと言う事になるんだぞ?」
「そうですよ。」
「なななななな無い!?何で左膝無いんだよ!」
「寝る前に右膝の方が好きだって左膝に言ったら、朝いなくなってたんです。」
「どう言う事!?」
「僕が知りたいですよ!!」
「耳っ!?」
「で、なんだかんだで砂漠にいます。」
「不思議だらけだな!青年!」
「いやいやいやいやいや、お爺さんも存分に不思議だらけですよ。」
「わしの何が不思議だらけなんだ?砂漠の長老が砂漠にいて、何が不思議だらけなんだ?」
「そこが不思議だらけだなー!」
僕は、砂漠の長老の身ぐるみ剥がすと、砂漠を後にした。
「疲れた。」
なんだかんだで僕は今、別の森にいる。いなくなった左膝を捜すなら別の森と言う偉人の言葉を信じたからじゃない。なんだかんだ、だ。しばらく左膝を捜す事を忘れて別の森の泉の花畑で蝶々と戯れてると、お婆さんかお爺さんか分からない年配が姿を現した。もしかしたら、こんな場所にいる、あんな年配だったら左膝の事を何か知ってるかもしれないって思い込んで、尋ねる事にした。
「あのう?年配!」
「どんな声の掛け方だ!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」
「別のお爺さんだったかぁ!」
「別のってなんだ!大体、お爺さんだろ!こんな感じでこんな場所にいるのお爺さんだろ!で?どうした?道にでも迷ったか?」
「左膝を捜してるんです!」
「ん?何?」
「左膝を捜してるんです!!」
「うるさっ!あのな?いつも思うんだけどな?老人が、何?的なリアクションした時に、耳が遠いんだと思って、耳の近くに寄って大声っておかしいだろ!その場でさっきよりも大声にするか、さっきの音量で耳元のどっちかだろ!両方やってどうすんだ!耳壊れるわい!人が何かを語ってる時に珍しい蝶々を追い掛けるんじゃない!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」
「知りません?僕の左膝?」
「ちょっと整理させてくれ。まず、左膝が無いのに、どうやって森まで歩いて来たんだ?」
「えっ!?」
「何でそんなリアクション出来る!?左膝を捜してると言う事はだ。青年のパンツの下に左膝は今、存在しないと言う事になるんだぞ?」
「そうですよ。」
「なななななな無い!?何で左膝無いんだよ!」
「寝る前に右膝の方が好きだって左膝に言ったら、朝いなくなってたんです。」
「どう言う事!?」
「僕が知りたいですよ!!」
「耳っ!?」
「で、なんだかんだで別の森にいます。」
「不思議だらけだな!青年!」
「いやいやいやいやいや、お爺さんも存分に不思議だらけですよ。」
「わしの何が不思議だらけなんだ?森の長老が森にいて、何が不思議だらけなんだ?」
「そこが不思議だらけだなー!」
僕は、別の森の長老の身ぐるみ剥がすと、別の森を後にして病院に行く事にした。
「次の方どうぞ!」
「お婆さん!」
「お爺さんだ!」

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