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2015年12月 9日 (水)

「第四百九十五話」

 ある国の王様の鼻から、立派な鼻毛が飛び出していました。

「王様!」
それを発見した一番仲良しの大臣が王様に言いました。
「立派な鼻毛が飛び出しています!」
「うむ。」
大臣は、死刑になりました。

第四百九十五話
「王様の鼻毛」

「あのう?先生?一言宜しいですか?」
「宜しくないって言ったって言うんだろ?」
「はい。」
「何だ。」
「何ですかこの作品!」
「失礼だなキミは!毎回毎回、私の作品に対して!これは新作童話だろ!それしかないだろ!」
「それを承知で伺ってるんですよ!」
「何だよ。一体何が気に食わないって言うんだよ。」
「童話と言うのはですよ?直接的ではなく間接的に何か教訓を読み手に与えるモノなんですよ。」
「与えてるだろ!逆に与え過ぎちゃってんじゃないかって、大丈夫なのかなって、私は心配してるぐらいだよ!」
「鼻毛出てるの教えたら殺されたって話のどこにどんな教訓があるんですか!」
「鼻毛出てるの教えたら殺されるって部分にだよ!」
「どう言う事ですか?」
「あのさ?鼻毛出てるって言われたら恥ずかしいだろ?」
「恥ずかしいですよ。」
「だからだよ。」
「いやいやいやいや!全く説明になってませんよ!確かに恥ずかしいですけど、教えてくれたんですよ?」
「教えなくていいだろ!」
「教えてくれなかったら、自分で気付くまでずっと鼻毛出っぱなしなんですよ?朝から出てるのに気付かなかったら、夜まで気付かないかもしれないんですよ?」
「気付ける時に気付けばいいじゃないか!何をそんな鼻毛ぐらいの事で焦って気付こうとしなきゃならないんだ!」
「鼻毛ぐらいの事でって!その鼻毛ぐらいの事で、王様は一番仲良しの大臣を死刑にしちゃったじゃないですか!」
「だからさ!鼻毛ぐらいの事で、鼻毛出てるとかって、あえて言う必要はないって事だよ!それを口に出して鼻毛出てるとか言うから恥ずかしくなるんだよ!」
「一番仲良しの大臣は、大勢の前で大声で言ったんですか?」
「二人っきりの時に耳元で囁いたんだよ。」
「何で殺されなきゃならないんですか!めちゃくちゃ王様に配慮してるのに!」
「いいか?大勢の前で大声で言っても!二人っきりの時に耳元で囁いても!鼻毛出てるって言った段階で同じ事なんだよ!鼻毛出てるに大きいも小さいもないんだよ!鼻から鼻毛は出てるんだよ!」
「一番仲良しの大臣は、親切心で教えたんですよ?今ここで、自分が王様に鼻毛出てる事を教えれば、鼻毛出てる姿を誰にも見られない。そう言う気持ちで教えたんだと思いますけど?どうなんでしょう!」
「その通りだよ。一番仲良しの大臣は、被害を最小限にする為、自分が食い止めようと王様に鼻毛出てる事を伝えたんだよ。」
「だったら!」
「だがな!鼻毛出てるのを教える方にしてみたら、そこには親切やら勇気やら正義やらの気持ちがあるのかもしれないけど!教えられた方にしてみたら、人生最大の屈辱でしかないんだよ!教える事が正義ならな!この世界からとっくに戦争なんてモノはなくなってる!」
「なぜ焦点を物凄く大きくするんですか!ああ、そうか。教えてくれてありがとう。って言って鼻毛を処理すればいいじゃないですか!王様は!」
「じゃあな?じゃあな?じゃあな?キミはな?自分のお母さんをバカにされたら怒るだろ?怒っちゃうだろ?」
「怒りますよ。」
「じゃあな?じゃあな?じゃあな?更にお母さんを物凄くバカにされたら、そのバカにした相手を殴るだろ?殴っちゃうだろ?」
「もしかしたら、そうするかもしれないですね。」
「そんなお母さんを殺されたら、殺した相手を殺したいだろ?」
「そうですね。」
「なっ?」
「いや、これは母親の話じゃなくて鼻毛の話じゃないですか!なっ?じゃないですよ!」
「鼻毛もお母さんも同じだ!」
「絶対違いますよ!どうやったらそう言う考えに至るんですか!」
「鼻毛はお母さんからの贈り物だろ!鼻毛がなかったら鼻の中が大変な事になるだろ!」
「もうそれは人体の構造じゃないですか!鼻毛が母親からの贈り物なら、人体全てが当てはまるじゃないですか!」
「頭がハゲたとか、太ったとか、メガネ掛けてるとか、そう言う容姿の部分は、自己責任だろ?伸びて言われて恥ずかしいのは、絶対的に鼻毛だけだろ!」
「ですから!そうかもしれませんけど、それを言われたからって死刑はおかしいじゃないですか!って話ですよ!」
「だって考えてもみろ!この一番仲良しの大臣を生かしといたら、この先もどこかの誰かの鼻毛が出てたら、鼻毛出てるって教えるかもしれないんだぞ?コイツはな!そう言うヤツなんだよ!生かしといたらこの先、何人の人間がしなくてもいい恥ずかしい思いをする事か!そう考えて王様は、苦渋の決断をせざるを得なかったんだ!」
「何かあったんですか?」
「何が?」
「いやだって、ここまで鼻毛に執着する童話を書くって事はですよ?過去に先生は鼻毛出てる事を教えられて物凄く恥ずかしい思いをしたんじゃないか、と。」
「ないよ。」
「ないんですか!?ないのに、こんな作品を!」
「だって別に推理小説書く作家が全員殺人犯って訳じゃないだろ?」
「まあ、そうですけど、あんなにも熱く語れるモノなのか、と。」
「まあ、あれだな?この作品は、今の世の中に対して苦言を呈したみたいな感じだな。」
「どの辺がですか?」
「目に見える情報が真実だと思うな!と言う事だよ。」
「何を言ってるんですか?鼻毛は鼻毛じゃないですか。疑いようがないですよ。」
「むちゃくちゃ長いケツ毛かもしれないだろ!」
「どうやってそんな疑い方をすればいいんですか!」
「キミも一番仲良しの大臣に鼻からむちゃくちゃ長いケツ毛が出てる事を教えられたら恥ずかしいだろ!」
「まず一番仲良しの大臣がいませんし、ケツ毛が鼻から出るなんて有り得ないじゃないですか!」
「宇宙人やタイムマシーンと同じ事か。」
「それよりも遙かに可能性が低いですよ!」
「タイムマシーンに乗った宇宙人が鼻からケツ毛出してたらどうするんだ!」
「もうギブアップです!もういいです!もうお腹いっぱいです!分かりました!先生が、どんな教訓をこの王様の鼻毛で言いたかったのかは理解しました!ありがとうございました!」
「おい!どこへ行く!」
「どこって、会社に持ち帰って編集長と話し合うんですよ。」
「なら、この作品も持ち帰りなさい。」
「何ですか?」
「王様の目やに」

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