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2016年1月13日 (水)

「第五百話」

第五百話の一
「オアシスを作る男」

 私は、冒険家。今は、砂漠を冒険している。しばらくすると、不思議な光景に出会した。年老いた男性がジョウロで花に水をやるように、砂漠に水をやっている。
「何をしているんですか?」
「オアシスを作っているんじゃ。」
「オアシス?」
私は、この年老いた男性は、きっと頭の病気なんだろうと思った。だが、面白そうだったのでもう少し話に付き合う事にした。
「アンタ、何者じゃ?」
「私は、冒険家です。」
「それは、ご苦労様じゃ。」
「なぜ、オアシスを?」
「こんな砂だらけの場所を冒険して、面白いのか?」
「え?はい、面白いです。」
「この砂漠に財宝などありゃせんぞ?」
何だ?この違和感は?
「いやいや、財宝なんか探してませんよ。」
「そうか。」
「あのう?」
「何じゃ?」
「なぜ、オアシスを作っているんですか?」
「面白い質問じゃ!」
「ありがとうございます。」
「じゃがな。とてもつまらん質問でもある。」
「え?」
このとてつもない違和感の正体は一体何なんだ?
「考えてもみなさい。この砂漠にオアシスが無かったとしたら?一大事じゃろ?」
「ええ、まあ、それはそうですけど。」
「お前さんだって、困るじゃろ?砂漠で迷って水が無かったら!」
「ええ、まあ、それはそうですけどね。」
「わしだって、砂漠で迷って水が無かったら一大事じゃ!」
「はい、そうなんですが。」
この恐ろしい程の違和感は何だ?
「だから、オアシスを作るんじゃ。」
「オアシスは、どれぐらいで完成するんですか?」
「そうじゃなぁ?そればっかりは、わしにも分からんよ。」
「分からない?」
「一分後かもしれんし、一週間後かもしれん。一年後かもしれんし、十年後かもしれん。五十年後かもしれんし、百年後かもしれん。自然が相手なんじゃ。いつになるかは、誰も分からんよ。」
「・・・・・・・・・。」
分かったぞ!違和感の正体が!年老いた男性が持つジョウロからは、さっきからずっと水が流れ出でいる!
「お前さん、冒険家だと言ったな?」
「はい。」
「まだまだ世界には知らない事があるもんじゃろ?」
「はい。」

第五百話の二
「金のタマゴ」

「コケのコッコー!」
いつもと違うニワトリの鳴き声を聞き、僕は庭に飛び出した。小屋を覗いてみるとそこには、金のタマゴがあった。
「お義父さん!お義父さん!」
こう言う時は、お義父さんを呼ぶに限る!
「どうしたんだ!朝から騒々しい。」
「来て下さいお義父さん!そして、見て下さいお義父さん!」
「何だ何だ?来たぞ?見たぞ?って、金のタマゴだー!!」
「どうですか?お義父さん?」
「金のタマゴだー!!」
「そうなんですよお義父さん。」
「金のタマゴだー!!」
「ビックリですよね?お義父さん!」
「き、金のタマゴだー!!」
「金のタマゴです!お義父さん!」
「ききききき金ののののタマタマタマタマタマゴだー!!」
「お義父さん?」
「・・・・・・・・・。」
「お義父さん?」
やっぱり、こう言う時は、心臓に持病をかかえるお義父さんを呼ぶに限る。驚きのあまり死んだ。これで莫大な遺産は僕のモノだ。

第五百話の三
「欠陥」

「キミが死ぬ夢を見た。」
「あらそう。」
「だから僕はキミを助けに来た。」
「あそう。それは、わざわざどうもありがとう。」
「おい!真面目に僕の話を聞け!キミは死ぬんだぞ!」
「あのね?死ぬ訳ないでしょ?」
「死ぬんだ!」
「そりゃあ?人間いつかは死ぬわよ。」
「そのいつかが今日なんだよ!」
「馬鹿じゃないの?」
「いいか?信じてもらえないかもしれないけど!僕には、人の死ぬ瞬間が夢で見れるんだ!予知夢ってヤツだ!」
「予知夢?誰が信じるの?そんな気持ち悪い話。」
「おい!本当なんだ!キミは死ぬんだよ!」
「このアタシが死ぬ?有り得ないわ!それだけは絶対に有り得ない!」
「有り得るんだよ!僕の予知夢は絶対なんだよ!何度も何度も目の前で人が死ぬのを経験してるんだ!」
「いい?アタシは!例えこの地球が大爆発したって死なないの!アタシのストーカーなら帰ってくれる?何を言われようが扉を開ける気はないの。さようなら。」
「ストーカーなんかじゃない!いいか?例え地球が大爆発してもキミは死なないかもしれない!」
「当たり前じゃない!」
「でも!キミは死ぬんだよ!今日、死ぬんだ!」
「いいえ!この究極のシェルターにいる限り、アタシは絶対に死なない!隕石が衝突したって、マグマの中に落とされたって、病気になったって、アタシは死なない!アタシは、寿命を全う出来る。」
「とりあえずもう喋るな!でないとキミの窒息死が早まる!」

第五百話の四
「歯磨きマン」

「クソ!ロープがなかなか切れない!このままだと悪い奴らが仕掛けた爆弾で、この建物ごと吹っ飛ばされちまう!」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「ん?何の音だ?」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「だんだんこっちに近づいて来る!まさか!?悪い奴らが戻って来たのか!?」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「クソ!」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャ!」
「だ、誰だ!」
「歯磨きマン!」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「歯磨きマン?」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「正義の味方なのか?」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「そうだ!」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「よかった!」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「早く助けてくれ!」
「シャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「助けろよ!」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・シャコシャコシャコシャコシャコシャコ!」
「おいっ!」

第五百話の五
「完成!タイムマシーン」

 
気付くと私は、似た世界にいた。とても似た世界だった。ただ一つの違う点を除いては、まるで同じ世界だった。
「私は、ただの椅子を作る為に人生を費やしたと言うのか?」
私が迷い込んだこの世界には、時間の概念が存在していなかった。

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