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2016年3月 2日 (水)

「第五百七話」

「アタシは!アナタの夢を一緒に追い掛ける為に一緒にいるの!結婚したの!」
妻は、怒っていた。
「ねぇ!聞いてるの!」
「聞いてるよ。キミには感謝してるよ。こんな歳にもなって夢を追い掛けてる僕と変わらず一緒にいてくれてさ。」
「だったら書こうよ!小説書こうよ!」
「でも、今日は書く気分じゃないんだよ。」
「そう言う台詞は!文豪にでもなってからいいなよ!今はとにかく!一つでも多くの作品を書くのが大事でしょ!一つでも多くの武器を作っとかないと!戦いには勝てないんだよ!」
「分かってる。でもさ。文豪だろうが、文豪に夢を抱く男だろうが、小説を書く気分になれない日は、何にも書きたくないんだよ。」
「何それ!逃げじゃん!」
「逃げてる訳じゃないよ。」
「とりあえず、モグラの恋愛小説書いてみようよ!」
「とりあえずで書く題材じゃないだろ!いきなり何言い出すんだよ!」
「いい?何でもいいから、とりあえず書く事が大事なの!こう言うのは、インスピレーションが肝心なの!」
「モグラの恋愛小説なんか書き方すらも分かんないよ。いいかい?そもそも僕は、恋愛小説は苦手なんだよ。僕の得意とするのは、どんでん返しのある短編小説なんだよ。」
「そこなんじゃない?」
「そこ?」
「どんでん返しどんでん返しって、世の中そんなにどんでん返しなんか求めてないっつぅの!」
「物凄い斬新な発言をするんだな!?」
「簡単に言うと、どんでん返しって、犯人だとは思わなかった人が犯人とかって話でしょ?」
「凄く分かりやすい例えだけどね。」
「イライラするのよ!」
「はい?」
「そう言うの見ててイライラするの!ドラマや映画なんて犯人に終始ずっと果てしなくどこまでも矢印付けとけばいいのよ!」
「いやもうそれは、あえて見なければいいだけの話じゃ?」
「とりあえず、モグラの恋愛小説を書きましょう!」
「だから!どう書いたらいいのかさえも分からないんだよ!しかもだよ?誰をターゲットにしてんだよ!モグラの恋愛小説って!」
「女子モグラが、先生モグラに恋をする!学園モノよ!ラブコメよ!ラブコメ!」
「モグラである必要があるのか?」
「キリンでもカマキリでもランでもいいわよ!」
「人間でいいだろ!」
「やっと言ったわね!」
「はあ?」
「よし!じゃあ、人間のラブコメ!書いてみよう!」
「強引の向こう側だなぁ!ラブコメなんか書いた事ないから書けないよ!」
「あのね?人間も大昔は、火なんか扱った事なかったの。」
「何の話だ?」
「誰もに最初は必要不可欠って話!アナタには実は、ラブコメの才能が眠ってるかもしれないじゃない!」
「眠ってる才能の話をされてもなぁ。」
「ラブコメ!!」
「鼓膜が!?何やってんだよ!耳元でそんな大声出して鼓膜破れたらどうすんだよ!」
「眠ってるラブコメ才能が目を覚ますなら鼓膜の一つや二つなんだい!」
「眠ってればね!眠ってれば、そりゃあいいよ!でもさ!眠ってなかったら一大事だよ!」
「で?ラブコメ才能は、目を覚ました?」
「眠ってる才能が、こんな事で目を覚ましたら誰も苦労しないよ。」
「ちょっと、覚めたかどうか書いてみようよ!おっちょこちょい女子のドタバタ恋愛活劇!」
「コメの部分が強調され過ぎだよ!」
「美人になってやろうと整形したら、目が鼻になっちゃって鼻が三つになっちゃったの!」
「もうそれは一体誰がどんな風におっちょこちょいなのか分かんないよ!てか、ホラーだよ!」
「ホラー恋愛!」
「その何かいいアイディアが浮かんだ時のポージングやめてくんないかなぁ?」
「あまり開拓されてないジャンルだと思わない?」
「開拓されてないんじゃなくて、開拓しようがないから、誰も掘り進めないだけだと思うけど?」
「そこを掘り進めて行きましょうよ!大丈夫!アナタには、アタシがついてるから!」
「無駄な気がしてならないよ。」
「無駄って!暇なんだから無駄なんてないでしょ!だってそれは!暇が既に無駄なんだもの!」
「何で格言っぽい言い方で若干傷付けるんだよ。」
「人はね。傷付いた方が成長するって、小学校の保健の生生が言ってたよ。」
「傷付くの意味が違うし、そもそもが意味が分かんないよ。その保健の生生が言ってる事も!」
「ホラー恋愛だから、何かもうこの世のモノとは思えないほどの気持ち悪い生物が人間の女子に恋をするでいいね!」
「よくないだろ!」
「ホラーだよ?」
「ホラーだけども!この世のモノとは思えないほどの気持ち悪い生物ってアウトだろ!」
「見ただけでゲボだよ!」
「だから!そんなにホラーの部分を強調しまくってどうすんだよ!」
「ホラー恋愛だよ?」
「いやだから!ホラー恋愛、ホラー恋愛って言ってさ。ただただ単純にさ。ガチガチのホラーとガチガチの恋愛を混ぜたって、混じり合わないんだよ。混じり合う訳がないんだよ。だから、ホラーってジャンルと恋愛ってジャンルが、あるんだもの。」
「難しいのね。」
「それをやらせようとしてんだよ?」
「でも大丈夫!」
「何が?不安感しかないけど?」
「ブレンドしていい具合になればいいんでしょ?」
「言葉では簡単だよ。読者を引き込むのが難しいんだよ。」
「この世のモノとは思えないほどの気持ち悪い女子に恋をすればいいじゃん!見ただけでゲボだよ?」
「もう、ただただ気持ち悪い小説じゃん!何でホラー側を恋愛に寄せないで、恋愛側をホラー側に寄せちゃうんだよ!この世のモノとは思えないほどの気持ち悪いモノ達の恋愛小説なんか誰が読みたがるんだよ!」
「読んだだけでゲボだよ?」
「方々から叱られるよ!そんな小説書いたら!」
「ホラー恋愛、ムズい!」
「だから言っただろ。ムズいんだよ。ムズいから開拓の手が止まってるんだよ。」
「ホラコ!」
「次は、ホラーコメディ?」
「違うよ!ホラーラブコメディよ!」
「あのさ?何でもかんでも最終的にコメディにすればいいってもんでもないんだよ?」
「この世のモノとは思えないほどの気持ち悪い生物が、おっちょこちょい女子に恋をするドタバタ恋愛活劇!これもう!映画化まで漕ぎ着けたんじゃない!で、おっちょこちょい女子は名探偵だから、これってもう!シリーズ化まで辿り着いたんじゃない!」
「もういいよ!頭の中が大パニックだよ!だから、とりあえずモグラの恋愛小説書いてみるよ!」
「うん!」
妻は、笑顔だった。

第五百七話
「愛する人には笑顔を」

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