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2016年4月20日 (水)

「第五百十四話」

「動物アレルギー?」
「はい。」
「ペンギンの?」
「違います。」
「ライオンの?」
「違います。」
「カバの?」
「違います。」
「何の?」
「人間以外の全ての動物です。」
「何で?」
「何で?いや、何でと言われましても生まれつきなんです。」
「そうじゃなくて、何で動物園に就職したの?」
「ご迷惑でしたか?」
「ご迷惑でしたかってレベルの話じゃないよね?」
「ありがとうございます。」
「え?何の握手?」
「園長が、こんな私を採用して下さった事への感謝です。」
「知らなかったからね!知ってたら採用しなかったよ!」
「なぜですか!私がブスだからですか!そうなんですね!酷い!」
「いや、そんな事言ってないでしょう。ブスの下り一切無かったでしょう。それに、ブスじゃないでしょう。」
「ありがとうございます。」
「何の握手?」
「園長が私の事をブスじゃないと言って下さったからです。」
「自分の事をブスって、女友達の前では言わない方がいいと思いますよ?」
「どうしてですか?」
「なぜならそれは、キミが美人の部類だからですよ。」
「ごめんなさい、園長!」
「何の謝罪?」
「私、不倫は無理です!」
「口説いてないでしょう!単なる忠告ですよ。忠告!」
「あ!そうでしたか!アハハハ!」
「ガハハハハ!」
「アハハハハハハハハ!」
「ガハハハハハハハハ!」
「アハハハハハハハハ!」
「ガハハハハハハハハ!」
「アハハハハハハハハ!」
「ガハハハハハハハハ!」
「アハハハハハハハハ!」
「ガハハハハハハハハ!じゃなくて!呑気に園長室で笑い合ってる場合じゃなくて!パンダが来るって決まった日じゃないんだから!」
「す、すいません!すぐ、ペンギンの散歩に!」
「ちょっとちょっと!」
「あ!すいません!私が失神してる間に時間過ぎちゃいましたね。では、ライオンの飼育小屋の掃除に行ってきます!」
「ちょっとちょっと!」
「あ!すいません!私が失神してる間にライオンの飼育小屋の掃除の時間も過ぎちゃいましたね。では、カバの餌やりに行ってきます!」
「ちょっとちょっと!」
「あ!すいません!私が失神してる間にカバの餌やりの時間も過ぎちゃいましたね。では、前々から欲しかったバッグがセールで大幅値下げしてたんで買ってきます!」
「もうそれはかなりのちょっとちょっと!だよ!いいから!どこかへ行こうとしないでいいから、とりあえずここにいなさい。」
「え!?でも、他の皆さんは動物の飼育を一生懸命してお給料を貰ってるのに、私はこうして園長と世間話してるだけでお給料を貰うだなんて、無理です!」
「どうなったら、話がそんな風に捻れまくるんだ!」
「違うんですか?」
「違うに決まってる!話がこれ以上捻れる前に単刀直入に言わしてもらいますよ?」
「どうぞ。」
「キミには」
「ガーン!!」
「早い早い早い!ガーン!!が早い!キミには、しか言ってないでしょう。」
「お話の流れ的にきっと、ガーン的な内容だと思ったので!」
「まあ、そうなんですけどね。」
「ガーン!!」
「だから、早い早い早い!相鎚のように、ガーンって言われたら話せなくなるでしょう。」
「ガーン禁止令ですか?」
「ガーン禁止令ですよ。そもそも滅多にお目に掛かれないですよ。ガーンって言う人に。ん?何してるんですか?」
「ガーンって言わないように、息を止めてるんです!」
「いや、息を止めながら喋れてる時点で、ガーンも言えちゃうでしょう。だいたい、息を止めながら話を聞かれても真面目に聞いてない感じがするからやめましょう。」
「きききき聞いてまままます!」
「その息を止める方に神経が集中しちゃってるでしょう。顔を真っ赤にして、時折白目で、美人が台無しでしょう。」
「プハー!!ありがとうございます!」
「何の握手?」
「美人と言って下さったからです。」
「握手も息を止めるのも話が終わるまで禁止しましょう。」
「握手が全ての国だったら一大事ですね。」
「握手が全ての国だったら一大事です。でもここは、そう言う国じゃない単なる動物園の園長室の一室ですからね。」
「握手が全ての国だったら、この園長室はまさに!革命軍の本拠地ですね!」
「何でそんな楽しそうに話しているのか理解出来ませんが、もうそれは放って置いて、こちらの話を先に進めましょう。」
「どうぞ。」
「キミには、この動物園を辞めてもらいます。」
「分かりました。」
「理解してもらえて助かります。」
「では、私はラクダのコブのブラッシングに行ってきます!」
「何で、分かりましたって言った後に、よく分からない事を言うの?」
「園長、時計を見て下さい!もうすぐラクダのコブのブラッシングの時間です!」
「いやそうだけども!そうなんだけども!キミはクビですよって話なんですよ?」
「何で私がクビなんですか!この動物園の職員の皆さんの誰よりも!園長よりも動物を愛してる私が、どうしてクビなんですか!」
「でも、誰よりも失神するでしょう。」
「それは、動物アレルギーだからです!」
「いやだから!それそれ!」
「大丈夫です!」
「何が?」
「今度は、失神しても仕事をやり遂げます!」
「だから、何が大丈夫なの?失神した時点で仕事はやり遂げられないでしょう。」
「では、ゾウの水遊びに行ってきます!」
「ラクダのコブのブラッシングは!」
「あ!そうだ!すいません園長!ついつい話に夢中でうっかりしてました!」
「夢中ではないでしょう。全く話の内容を理解してないのだから!」
「とにかくこれからは失神しないように頑張ります!失神しない事に全神経を集中して動物の飼育を一生懸命頑張ります!」
「完全に動物の飼育の方が片手間になるでしょう。」
「園長!!」
「な、何です?」
「バッファローの赤ちゃんにミルクを上げてきます!」
「キミの動物に対する愛情は買いますよ!でも、この仕事は動物に対する愛情だけでは勤まらないのですよ!」
「どうしてですか!ここは動物園なのに!どうして動物に対する愛情だけでは勤まらないんですか!」
「失神するでしょう!」
「動物アレルギーなんです!」
「堂々巡りも甚だしいね!」

第五百十四話
「美人雇用の落とし穴」

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