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2016年5月

2016年5月 4日 (水)

「第五百十六話」

 俺は、友人といつも下らない会話をする喫茶店に、その友人に呼ばれて、今日も下らない会話を共に喜怒哀楽していた。そして、友人が唐突、下らない話題に奇天烈を放り込んで来た。
「お前の裏技を教えてくれよ。」
「な、何?」
「お前の裏技を教えてくれよ。」
「俺の裏技って何だよ。」
「お前の裏技を教えてくれよ。」
「こえーよ!何で同じ台詞しか言わねーんだよ!」
「頭ん中、うんこだな!」
「どう言う状態だよ!」
「頭ん中が糞詰まりって事だよ!」
「独特な表現過ぎだろ!」
「ゲームとかであるだろ?裏技ってさ。」
「特定の操作をすると無敵になるとか、パスワードを入力すると金が増えるとか、そう言うのか?」
「知ってんじゃん!裏技!」
「そう言う意味の裏技は知ってるよ!でも、俺の裏技を教えてくれって意味がとにかく分かんねーんだよ!」
「同じだよ。」
「同じって何だよ!」
「同じだよ。」
「だから、同じって何だよ!」
「同じだよ。」
「だから、こえーよ!無表情で同じ台詞とか、とにかくこえーよ!」
「だから、特定の操作をすると無敵になるとか、パスワードを入力すると金が増えるとか、そう言う事だよ。」
「そう言う事だよって、だからその意味が分かんねーんだよ!」
「そんなキレられてもだよ。」
「そこまでキレてないだろ?」
「とにかく何でもいいから、お前の裏技を教えてくれよ。」
「ねーよ!」
「ねーの!?」
「ねーよ!ある訳がないだろ!特定の操作すると無敵になるとか、パスワード入力すると金が増えるとか、ゲームだろ!」
「じゃあ、それはゲームだとしてだよ!お前の右目と左の鼻の穴を同時に強く押すと、背中から翼が生える、とかは!」
「ただただ、俺の右目と左の鼻の穴が負傷するだけだ!」
「失礼して。」
「失礼してじゃねーよ!やろうとすんなよ!」
「ケチ!」
「ケチ!?これをケチのカテゴリーに入れるなら!お前はどうなんだよ!お前は!」
「俺は俺!地球は地球!」
「哲学風に返すなよ!じゃあ!お前の口に拳を入れたら背中から翼が生えるかもしれねーから、やってもいいか?」
「ケチ!」
「何でこの流れで俺がケチなんだよ!ただただ悪口かよ!」
「失礼して。」
「だから!失礼してじゃねーよ!こんな訳の分からない事で右目と左の鼻の穴を負傷したくねーから!だったら、お前の口に拳を入れさせろって!」
「お前なぁ?冷静になって考えてもみろよ。」
「何をだよ!」
「俺の口の中に拳を入れて、俺の背中から翼が生える訳がないだろ?」
「お前がな!お前がまず冷静になれよ!」
「俺はいつだって冷静だよ。明日、地球が滅亡するって言われても冷静だよ。」
「現象はとてつもないけど、経験した事ないからイメージしにくい事を比較に出されてもだ!」
「失礼して。」
「だから!失礼してじゃねーよ!失礼してじゃねーんだよ!お前さぁ?友達の右目と左の鼻の穴を負傷させてもいいのか?」
「背中から翼が生えるかもしれないんだぞ!」
「その代償がデカ過ぎなんだよ!」
「左耳を削ぎ落とすとか言ってる訳じゃないんだぞ?」
「同じレベルだ!」
「右目と左の鼻の穴に、親指をグイグイ押し込むだけだぞ?」
「だけって何だよ!だけって!左耳を削ぎ落とすよりかタチ悪いだろ!でなぁ?もう何かアレだよ!それって完全にそうしたら背中から翼が生える体で話を進めてるけども!もしもそれで背中から翼が生えなかったらどーすんだよ!」
「そん時は、俺がここ奢るよ。」
「そん時は、俺がここ奢るよ。肩ポンポン、ウインク、親指を立てる、じゃねーよ!アイスコーヒーで、俺は右目と左の鼻の穴を負傷かよ!たったアイスコーヒー1杯で!」
「追加で注文していいよ。」
「そーゆー事を言ってるんじゃねーだろ!この店のメニュー全て注文したとてだ!」
「失礼して。」
「失礼してじゃねーんだって!失礼したがるな!」
「勿体振らずに、失礼させてくれよ!」
「勿体振ってる訳じゃねーよ!最後には何だかんだでやってもいー訳じゃねーんだよ!絶対に失礼されなくねーの!」
「頼む!一生のお願い!」
「頼む!一生のお願い!頭下げて両手頭の上でスリスリじゃねーよ!」
「ケチ!」
「だから!ケチじゃねーよ!ケチじゃ!だったら、お前の口に拳を入れさせろよ!拳を入れさせろって言うか!肘まで入れさせろ!肘まで!」
「アッハッハッハッハッハッ!」
「拍手しながら大笑いすんな!」
「アッハッハッハッハッハッ!」
「その大物がするみたいな大笑いでのゆっくりな拍手やめろ!」
「いいぜ!」
「いいぜかよ!いいぜ!肩ポンポン、ウインク、親指を立てる、なのかよ!」
「ただし条件がある!」
「条件?」
「同時だ!」
「同時!?」
「そう!俺は、お前の右目と左の鼻の穴に親指をグイグイ押し込む!お前は俺の口の中に肘まで入れる!」
「アッハッハッハッハッハッ!」
「アッハッハッハッハッハッ!」
「アッハッハッハッハッハッ!」
「アッハッハッハッハッハッ!」

「アーハッハッハッハッハッハ!」
「アーハッハッハッハッハッハ!」

「アッハッハッハッハッハッ!ラーメンでも食いに行くか!」
「アッハッハッハッハッハッ!そうだな!お前の奢りでな!」
「何で?」

第五百十六話
「銅像」

「ねぇ?おじーちゃん?これ、なあに?」
「ん?これかい?これはのぅ?人間の背中から翼が生えた瞬間を記念して作られた銅像じゃよ。」
「エグいね。」
エグいのぅ。」

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2016年5月11日 (水)

「第五百十七話」

 私は、健康に気遣い会社からわざわざ遠回りをし、一時間以上掛けて出来るだけ歩いて自宅に帰るようにしている。まあ、健康に気遣いなどと言いながらも単に満員電車に乗って帰りたくないと言う理由もある。電車で帰れば歩いて帰るよりも半分以下の時間で済むのだから、私は余程、満員電車が嫌いなのか、それとも歩くのが好きなのか。ともあれ、歩いているといろいろと頭の中で考えが整理出来るのも事実だ。だからきっと、わざわざ遠回りをしてでも歩くこの時間は、私にとって思っている以上に貴重で重要な時間なのだろう。と、こんな事を頭の中で巡らしている間に、気付くとそろそろいつものバス停だ。それは、ある日たまたま気付いた出来事だった。それ以来、このバス停を通る度に注意していたが、今日もやはりこの時間、このバスから降りて来る乗客は全員笑顔だった。

第五百十七話
「乗客が笑顔で降りて来るバス」

 そして私は、遂に好奇心が抑えらきれずに、あのバスに乗る決意をした。わざわざ電車を乗り継ぎ、時間を逆算し、あのバス停にあの時間に来るこのバスに出発地点から乗り込んだ。私は、車内が見渡せる一番後ろの席に座り、年甲斐もなくなぜだか無性にわくわくしていた。
「発車します。」
9人程の乗客を乗せ、バスは運転手のアナウンスと共に走り出した。いつもと違う街並み、きっと二度と出会う事もないだろう乗客達。しかし、しばらくバスに揺られていると心境に変化が生まれた。もしかしたら、きっと二度と出会う事もないだろう乗客達とまた出会う事になるかもしれない。それは窓の外に、私好みの輸入雑貨店を見付けたからだ。何度もこの街へ足を運ぶかもしれない。そんな発見や乗り降りする乗客達を見ながら、私はある事に気付いた。そう、あのバス停だけかと勝手に思い込んでいたが、どのバス停でも乗客は笑顔で降りて行くと言う事だ。なぜだ?車内は特に普通だ。笑顔になる事などない。私がそうであるように、他の乗客達も車内では笑顔を見せてはいない。むしろ、母親がぐずる赤ん坊を必死にあやしているぐらいだ。それを咳払いで懸念していた私と同じ年齢ぐらいの中年の男もバスを降りる時には笑顔だった。一体どう言う事なのだろう?私もあのバス停でこのバスを降りる時には、笑顔なのだろうか?
「発車します。」
確かに会話を楽しむ女子高生は、笑顔だ。だが、私のように、一人の乗客は、どうやって笑顔になると言うのだ?まさか、全員が笑顔で降りるから、自らも笑顔で降りていると言うのか?それは有り得ない。そんな事は、有り得る訳がない。
「バカな!?」
思わず声が出てしまった。ぐずる赤ん坊を必死にあやしていた母親は、バスを降りる時、無理矢理に赤ん坊の口を手で笑顔にして降りて行った。
「発車します。」
何がどうなっていると言うのだ?そこまでして、全員が笑顔でバスを降りるから自らも笑顔でバスを降りると言うルールに従う意味があるのか?
「次はCOSMIC四丁目、COSMIC四丁目。」
遂に私が降りる番がやって来た。私はボタンを押した。この状況になってもまだ実感がないし、私が笑顔でバスを降りる想像すらつかない。まさか、バスに乗ってこんなにも緊張で心臓がドキドキするとは考えもしなかった。そんな私の心理状態など関係なくバスは減速し、ゆっくりといつものあのバス停に止まり、ドアが開いた。汗が止まらない私は、ゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと歩いてドアに向かった。こんな状態で絶対に笑顔でバスを降りるのは不可能だ。
「何っ!?」
ドアの上の広告とドアとの間に、小さな文字でこう書かれていた。「笑顔でバスを降りないと殺す!」と。私は、ゆっくりと運転手の方を振り向いた。運転手の手にするサブマシンガンの赤いレーザーの照準は、私の額へとゆっくりと移動して行った。私は、引きつる笑顔を作り、運転手を見ながらバスを降りた。
「発車します。」
そしてバスは、運転手のアナウンスと共に走り去って行った。

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2016年5月18日 (水)

「第五百十八話」

健康体であり

 

経済的な問題もなく

 

家庭がある訳ではない

 

第五百十八話

「本当のとこの自由」

 

自らいつでも死を選択出来る

 

そして

 

夢と希望を持っている

 

 

 

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2016年5月25日 (水)

「第五百十九話」

 ある日ある時、突然倒壊した高級ホテル。その地下駐車場の瓦礫の残骸に埋め尽くされた中、奇跡的にぽっかりと空いた小さなスペース、そこに奇跡的に無傷の男女が座り込んでいた。
「ねぇ!格闘家!」
「大きな声を出すなよ。崩れて来たらどうすんだよ。」
「ねぇ、格闘家。」
「いんだよ無理に耳元で小さな声じゃなくてさ。普通でいいだろ?何だよ、アイドル。」
「何とかならないの?」
「はあ?何とかって、俺にどうしろって言うんだよ。」
「格闘家なんでしょ?チャンピオンなんでしょ?こんな瓦礫、その自慢の拳で粉砕しちゃってよ。」
「お前な。そんなの無理に決まってるだろ。外へ辿り着く前に、俺の拳の方が粉砕だよ。」
「ヤワね。」
「ああ?」
「ヤワね。」
「何で二回も言うんだよ。」
「大事な事だからよ。」
「大事じゃねぇよ。」
「ベルト返上すれば?」
「何でだよ!」
「アタシね。アンタが格闘家だって聞いた時、やったぁ!これで助かったって思ったの。しかも聞けばチャンピオンだって聞いた時、やったぁ!これで確実に生還出来たって思ったの。でも、どうやらそれは超絶ぬか喜びだったみたい。アタシのやったぁ!を返してよ!」
「どんな言い掛かりだよ!お前なぁ?格闘家と映画に出て来るようなヒーローを一緒にすんなよな。」
「ねぇ?本当に無理?」
「重機でも一苦労な瓦礫の山だぞ?どんな格闘家だって、どう考えても無理に決まってるだろ。」
「ねぇ?本当にどっかからビームとか出せないの?」
「お前なぁ?」
「腕が鋼鉄に変化したりしないの?」
「だからなぁ?」
「空飛べるんでしょ?」
「格闘家をなんだと思ってんだよ!」
「強い人。」
「ざっくりだなぁ。」
「ああ、どうせなら格闘家とじゃなくて、偉大なマジシャンとだったら良かったのになぁ!」
「暇潰しにマジックでも見せて貰おうってのか?」
「違うわよ。偉大なマジシャンだったら、外に瞬間移動出来るでしょ!」
「仕掛けが無かったら無理に決まってるだろ!」
「偉大なマジシャンって、ああ言う事が出来る人なんじゃないの?」
「純真無垢かよ!んな訳あるかよ!全てのマジックにトリックがあるんだよ。」
「超絶がっかりね!」
「なあ?アイドル。」
「何?」
「歌でも歌ってくれよ。」
「はあ?何で今、アタシが歌わなきゃいけない訳?」
「アイドルなんだろ?」
「アイドルよ?」
「暇潰しに歌ってくれよ。」
「どうしてトップアイドルのアタシが、ただただアンタの暇潰しの為だけに歌わなきゃならない訳?」
「じゃあ、ほら、声でこの瓦礫の山のど真ん中に穴を空けられるかもしれないだろ?」
「どんな能力よ!そんな能力があるんならトップアイドルなんかやってないで、NASAで働いてるわよ!NASAで!」
「安易な発想の働き口だなぁ。しっかし、そもそも何でホテルは、こんな状態になったんだ?」
「よく分からない。車から降りてエレベーターに向かってる歩いてて次の瞬間、気付いたらここにこうして、アンタと二人っきりだった。」
「災害か?それともホテルの欠陥か?もしくは、テロ?」
「こんなとこで原因なんか考えたって仕方ないじゃん。原因が究明出来たって、外に出られる訳じゃないんだしさ。きっと、大勢死んでるわよ。社長もマネージャーも・・・。」
「まだ全員死んだって決まった訳じゃないだろ?俺達みたいに生きてるかもしれないんだしさ。」
「あっ!?」
「何だよ。」
「今すぐ外に出られないって事はだよ!?」
「ああ、そうだよ。」
「アンタがウンコをしたくなった時、どうすんの!?」
「どんな心配事を思い付いてんだよ!奇跡的にこうして助かったとしても今すぐ外に出られないって事は、このままここで結局俺達も死んじまうって心配事しろよな!あとな!ウンコをしたくなった時は!ウンコするぞ!俺は!」
「最っっっっっ低っ!!」
「仕方ないだろ!ウンコをしたくなった時なんだから、ウンコするしかないだろ!お前だってウンコをしたくなった時は、ウンコするだろ!」
「アイドルは、ウンコしません。」
「気持ち悪ぃ!何だそれ!アイドルがウンコしないなんて、誰も思っちゃいねぇよ!」
「はあ???じゃあ、アンタはアイドルがウンコしてるとこ見た事ある訳?」
「見た事あったら俺は変態だろ!犯罪者だろ!」
「ああ、ウンコしたい。」
「したいんじゃねぇか!」
「ジョークよ。ジョークに決まってるでしょ?アイドルジョークよ。この場が殺伐としてるから、ジョークで超絶和ませようとしたのよ。」
「お前が原因で場の空気がおかしくなったんだろ!」
「10がMAXだったら、アンタは今、どんな感じ?」
「まだウンコの話し続けんのかよ!」
「重要な事じゃない!アタシは永遠に0だけど、アンタはそうは行かないじゃない?」
「今んとこは0だよ。」
「小便は?」
「お前、もっと言い方があんだろ?」
「あのね?こう言う緊急事態の時は、物事を正確に伝えなきゃダメなの!」
「0だよ。お前は?」
「アイドルは、小便しないもん!」
「アイドル感を出しながら言う言葉かよ。もう人間ってカテゴリーから外れ過ぎだろ。」
「モンブラン食べたい。」
「お前、自由かよ。」
「例えばさ。」
「何だよ。」
「例えばだよ?これが、アタシ達以外のホテルの人達がゾンビになって、アタシ達を襲って来るって状況だったら、格闘家も少しは役に立ったかもしんないけど、生き埋めだとまるで役に立たないわね。」
「お前もな!お前は、その例えの状況ですら役に立ってないけどな!」
「そんな事ないわよ!」
「非力のアイドルが、どうやってゾンビの大群と戦えるってんだよ。」
「アタシの歌を聞いたゾンビ達は、痺れて身動きが取れないのよ。」
「ゲームのやり過ぎだろ。そんな事が本当に出来るんだったら、俺に向けて歌ってくれよ。」
「ゾンビにしか効果ないの。」
「なら、一生使わない能力だし、何でその能力があるって判明したんだよ。」
「それに、アンタだけに向けて歌を歌うだなんて、ファンが許さないわ!」
「今は二人っきりなんだから関係ないだろ?」
「アイドルは、ファンと心と心で繋がってるから、アタシがどこで何をしてるか分かるのよ。」
「じゃあ、何で誰も助けに来ないんだよ。ファンに見捨てられてんじゃねぇか。」
「きっとみんな、死んだのね。」
「付いた嘘を残酷な一言で真実にねじ曲げてんじゃねぇよ!」
「ねぇ?アンタ、もしかして空腹に耐えきれなくなったら、アタシを食う気?」
「食うかよ!」
「アタシは、アンタ食うけどね。」
「何の宣戦布告だよ!」
「ジョークよ。ジョークに決まってるでしょ?アイドルジョークよ。この場が殺伐としてるから、またジョークで超絶和ませようとしたのよ。」
「どの辺がアイドルジョークなんだ?」
「それにしても暇ね。腕相撲でもしよっか!」
「お前、恐いもの知らずか。」
「ほらほら!トップアイドルと無料で握手出来るチャンスなんか滅多にないよ?」
そう言うと女は粉塵まみれの地面に寝っ転がった。
「金出してお前と握手したがる奴等の気持ちが分からん。」
そう言うと男も粉塵まみれの地面に寝っ転がった。
「変な気、おこさないでよ!」
「おこすかよ!」
「ヘイヘーイ!」
「一体何してんだ、俺は。」
「あと、絶対に勝たせてね。」
「絶対に勝たせてね、ウィンクじゃねぇよ。はいはいはいはい、分かりましたよ。」
「楽勝で勝つんじゃなくて、接戦を制したみたいな感じでお願いね。姪っ子とする感じ。」
「面倒臭ぇなぁ!」
そして、男が女の手を握ろうとした瞬間。
「ちょっと待った!」
「今度は何だよ。」
「見て!」
「何だよ。」
「これ、マンホールじゃない?」
「ああ、マンホールみたいだな。ここは、地下駐車場だからマンホールがあっても不思議じゃないだろ?」
「いや、そうじゃなくて!マンホール!マンホールよ!」
「ああ、そうか!ここから脱出出来るかもしれないな!」
「イエス!ああ、なんか初めてアンタが役に立つ時が来たわね。」
「お前が役に立つ時は、とうとうやって来なかったけどな!」
「ガンバレー!」
「それで役に立ってるつもりかよ!よし!開けるぞ!ぬおおおおおおおおおおおおお!!」
「やったぁ!」
「よし、俺が先に行く。」
「パンツ見ないでよ!」
「見るかよ!」
「絶対見ないでよ!」
「頼まれても見ねぇよ!」
男と女は下水道へと降りて行った。

第五百十九話
「アダムとイブ」

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