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2016年7月

2016年7月 6日 (水)

「第五百二十五話」

「シェフ!大変です!」
「誰ですか!?」
「街に!怪獣が出現しました!」
「だから、誰ですか!?」
「すいません!申し遅れました!私は、こう言う者です。」
「国の人!?」
「はい!私は、国の人、です!」
「いや、どんな肩書きだよ!国の人って!そんな括りなら、俺も国の人だよ!みんな国の人だよ!」
「シェフ!申し訳ないですが、貴方のその妄想話にお付き合いしている無駄な時間は御座いません!」
「お前、言葉は丁寧だけど、なかなか酷い事を言うな!何だよ!何なんだよ!街に怪獣が出現したからって、国の人が俺に何の用なんだよ!」
「このブレスレットを付けて下さい!」
「はあ?何で?」
「このヒーローブレスレットを利き手に付けて下さい!」
「そこを詳しく聞きたかったんじゃないんだよ!」
「シェフ!いいや、シェフマン!このまま無抵抗に何の罪もない街の人々が怪獣に踏み潰されたり、怪獣に食べられたり、怪獣が暴れて倒したビルの下敷きになってもいいんですか!」
「いいかよくないかで答えるなら、よくないよ!」
「では、このブレスレットを付けて下さい!行け!シェフマン!」
「ちょちょちょ、ん?俺?俺が戦うのか?その怪獣と?」
「シェフマンが戦わずして、一体この緑の地球を怪獣の魔の手から誰が守るって言うんですか!」
「いや、今まで数々の怪獣の魔の手から緑の地球を守って来た感じで言われても、初めてだしさ。」
「何事にも初めてはあります!」
「国の人がいきなり現れて、怪獣と戦えって、何のトレーニングもなしに出来る訳がないだろ!」
「ヒーローには、負けると分かっていても戦わねばならない時があるんです!シェフマン!」
「シェフマン言うな!え?負けるの?」
「負けますよ。初戦があんな怪獣だったら、まず負けますよ。」
「スゲェ初めての事だらけが巻き起こってて、その勢いに押されてここまで話してアレなんだけどさ!どゆこと?」
「ヒーロー法をご存知ないんですか?」
「怪獣が街に出現する事すら知らなかったからな!」
「時間がないので簡単に説明しますが、ヒーロー法とは、怪獣が出現した地域の住民からランダムでヒーローを選び、怪獣と戦って緑の地球を守ってもらう法律です!」
「そんな無茶苦茶な法律があってたまるかよ!俺はな!シェフだ!単なるシェフだ!」
「いいえ、貴方はシェフマンです!もしかして、名前が気に入らないとかですか?たまにそう言うヒーローがいるんですよね。でしたら、ご自分でお決め下さい!」
「そう言う問題じゃねぇよ!怪獣と戦うなんて嫌だって言ってんだよ!」
「多くの一般市民の命がこの間も犠牲になってるんですよ!」
「それは気の毒だけどさ!俺だって死ぬかもしれないんだろ?」
「まず間違いなく絶対死にます!」
「まず間違いなく絶対死ぬ戦いに誰が行くんだよ!」
「えいっ!」
「お、おい!?何すんだ!外れない!外れないぞ!ブレスレットを外せよ!」
「一度付けたブレスレットは、一度怪獣と戦闘しなければ外せません!そして、一時間以内に戦闘に勝利しなければ、爆発します!」
「何だと!?ふざけんな!おい!」
「行け!シェフマン(仮)!」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・俺、左利きだぞ?」
「どうりで変身しないと思いました。」
「どうすんだよ。」
「・・・行け!シェフ!」
「フライパンでどう戦えって言うんだよ!」

第五百二十五話
「利き手シールばか売れの巻」

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2016年7月13日 (水)

「第五百二十六話」

 俺は、仕事で昨日の夜から何も口にしていなかった。
「モーニングをたのむ。」
だから、真っ直ぐに家に帰らず、カフェでこのどうしようもない空腹をどうにかする事にした。
「お待たせしました。」
テーブルには、コーヒーとトーストとスクランブルエッグとベーコン、ありきたりなモーニングが運ばれて来た。美味いか不味いかは、問題じゃない。空腹をどうにか出来ればそれでいい。
「全く、この世界はどうなっちまったのかね!」
カウンター席の老人が新聞を読みながらこの世界を嘆いていた。スクランブルエッグにケチャップと塩をかけ、フォークでかき混ぜながら俺は、ふと老人が何に嘆いているのか記事に目をやった。
「ん?アンタもそう思うだろ?」
後ろからの俺の視線に気付いたのか、老人は椅子を回転させ、俺にこの世界について尋ねた。
「世界はいつだって、どうかなっちまってるよ。」
スクランブルエッグをかき混ぜながら、俺は答えた。老人は、何が気に障ったのか、黙って俺をしばらく見ると、再び椅子を回転させて、また人間がゾンビに襲われた記事を読み始めた。俺は、トーストを手に持ち、フォークでスクランブルエッグをすくった。
「きゃああああああ!!」
その時だった。女性店員の悲鳴が店内に響いた。俺は、その悲鳴のする方へと視線を向けた。
「きゃああああああ!!」
すると、客の男性がゾンビになっていた。ああ、ツイてない。俺は、そう思うと同時に、席を立ち、ショットガンを手に、女性店員の元へ向かい、ゾンビを始末した。席に戻り、トーストを手に持ち、フォークでスクランブルエッグをすくって口に運んだ俺を、老人は無言で見ていた。
「先程は、ありがとうございました。」
女性店員は、感謝の言葉を口にすると、代金をタダにしてくれると言うので、俺はありがたくその厚意を受ける事にした。カフェを出た俺は、ある事に気付いた。
「今日は、結婚記念日か。」
俺は、目に入ったケーキ屋で、妻にケーキでも買って帰ろうと、店に入った。
「いらっしゃいませ。」
シンプルな物から変化球まで、種類豊富なケーキ屋だったが、俺が選んだのは、シンプルなケーキだった。
「これを二つもらえるか?」
「かしこまりました。」
俺が変化球を嫌いなのではなく、妻が嫌う。ここで、妻の機嫌を損ねてまで、自分の好みを選ぶほど、俺もバカじゃない。
「きゃああああああ!!」
すると、俺が注文したケーキを箱に入れてる女性店員が悲鳴を上げた。その視線の先に目をやると、パティシエがゾンビになっていた。
「きゃああああああ!!」
俺は、ショットガンを構え、女性店員に襲い掛かろうとするパティシエのゾンビの頭を吹っ飛ばした。
「あ、ありがとうございました。」
結局俺は、このケーキ屋でも代金を支払わずに済んだ。電車の中で三体、近所で二体のゾンビを始末して、ようやく家に辿り着き、チャイムを鳴らすと、家の中からゾンビになった妻が出て来た。
「ダーン!!」
俺は、ゾンビになった妻の頭をショットガンで吹っ飛ばした。
「全く、この世界はいつだってどうかなっちまってるよ。」
次の日の朝、深い眠りから覚めた俺は、眠気覚ましのシャワーを浴びようとバスルームに向かい、自分がゾンビになりかけてるのを知った。
「ダーン!!」

第五百二十六話
「とあるゾンビハンターの一日」

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2016年7月20日 (水)

「第五百二十七話」

 とある会社の食堂です。
「ここ、いいか?」
そう言って、カレーライスが乗ったトレーをテーブルの上に置き、30代前半の女性の向かいの席に座る30代前半の男です。
「別に、いいけど?」
そう言って、カレーライスを口に運ぶ30代前半の女です。
「ちょっと、話があるんだ。」
「何?」
「話があるって言うか、聞きたい事があるんだ。」
「何?」
「聞きたい事があるって言うか、確認したい事があるんだ。」
「だから、何?」
「お前、俺の事、好きだろ!」
「ブゥゥゥゥゥ!!」
女は、真横のお偉いさんに口の中のカレーライスを吹いてしまいました。だけどそれは、男の突然の言葉に驚いた訳ではなく、会社で決められたそう言う時間だったからです。お偉いさんは、顔にかかったカレーライスを大事な書類で拭き取ると、食堂を後にしました。
「なあ?俺の事、好きだろ?好き、なんだろ?」
男の目は、自信満々でした。女は、カレーライスが乗ったトレーとカレーライスが乗ったトレーの間に置かれていたサバイバルナイフを手に取り、男の右目に突き刺しました。だけどそれは、女が精神錯乱して、食堂の社員を皆殺しにしようとしている訳ではなく、そう言う時間だったからです。
「いや、意味分かんないから。」
「絶対、好きだろ?」
そう言って男は、右目からサバイバルナイフを抜くと、女の左こめかみにそう言う時間だったから、そのままサバイバルナイフを突き刺しました。
「だから、意味分かんないから。」
「人を好きになるのに、分かる意味が必要か?」
「好きじゃないけど?この会話が意味分かんないって言ってんの。」
そう言うと女は、カレーライスを口に運びました。
「自分で気付いてないだけだろ?」
「ブゥゥゥゥゥ!!」
女は、そう言う時間だったから、真横のお偉いさんに口の中のカレーライスを吹き掛けました。お偉いさんは、それを大事な書類で拭き取ると、食堂を後にしました。
「あり得ないでしょ。好きを気付かないなんて。」
そう言うと女は、そう言う時間だったから、カレーライスの中からハサミを取り出し、それを綺麗に拭き取ると男の鼻の穴を一つにしました。
「あんなに俺の事を見てんのにか?」
「いや見てないから。」
「好きです視線で見てんのにか?」
「いや見てないから。見てたとしてら、それはアンタの真上の時計を見てただけだし、アンタの勘違いでしょ?」
そう言うと女は、こめかみのサバイバルナイフを抜き取り、そう言う時間だったから、男のほっぺたに突き刺しました。
「毎回毎回、あんなに両目でウインクして、好きですアピールしてんのにか?
「ブ
ゥゥゥゥゥ!!ブゥゥゥゥゥ!!」
女は、口の中のカレーライスを両真横のお偉いさん方に吹き掛けました。お偉いさん方は、それを大事な書類で拭き取ると、食堂を後にしました。それは、そう言う時間だったからです。
「瞬きじゃん!それは!」
「通常の二倍近く好きですってアピールだろ?」
「あのさ?アタシが違うって言ってんだから違うし、それでもあーだこーだ言うなら、はっきり今、言うよ。アタシは、アンタが嫌い!大嫌い!」
「照れの感情が物凄いからって、真逆の感情で抑えつける事ないんだぜ?」
「バン!」
そう言うと男は、背広の内側から銃を取り出し、そう言う時間だったから天井に発射した。
「ブゥゥゥゥゥ!!」
女は、そう言う時間だったから、口の中のカレーライスを真後ろのお偉いさんの後頭部に吹き掛け、それを大事な書類で拭き取ったお偉いさんは、食堂を後にしました。
「ねぇ?いい加減にしてくれない?大嫌いだって言ってるでしょ?」
「大好き?」
「大嫌い!」
「大好き?」
「大嫌い!」
「大好き?」
「大嫌い!気持ち悪いのよ!」
「気持ち、悪い?」
「そう!気持ち悪いし気色悪いし気分悪いわよ!だいたい人がランチを楽しんでるってのに何なの?気持ち悪いし気色悪いし気分悪い事を言い出して、何様?二度とアタシに話し掛けな」
男は、チェーンソーで女の首と胴体を切断しました。食堂にいた人間は、その光景を見るなり、一斉に食堂から逃げ出しました。なぜならそれは、そう言う時間ではなかったからです。この事件がきっかけとなり、叔父さんの会社は今、倒産寸前です。でも、姪ってだけの完全なコネクションで入った会社ですが、私はこの会社が大好きです。これから一体、どんな困難が待ち受けているか分かりませんが、必ず社員全員で乗り越えて会社を建て直してみせます。

第五百二十七話
「新しい朝の連続のドラマ小説」

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2016年7月27日 (水)

「第五百二十八話」

「お邪魔します。」
「また来たのかよ!」
「来るよ!来るでしょ!出版社と物書きの間柄って、そう言うもんでしょ!」
「お前さぁ?美人って取り柄しかないんだからさぁ?なっ?美人だって、ちやほやされて今まで生きて来たんだから、その流れに乗っかって、さっさと結婚しろよ!」
「いいじゃん!美人って取り柄、いいじゃん!持って生まれた才能の一つじゃん!だいたい、何で先生にアタシの結婚の心配されなきゃなんないんですか!」
「じゃあ、何をしに来たんだ?」
「仕事ですよ!仕事に決まってるじゃないですか!何でここに結婚相談に来るんですか!先生に、いい話を持って来たんですよ!」
「いい話?見合い話?」
「何でだ!仕事の話に決まってるじゃないですか!先生、スパイの小説を書きましょう!」
「何で?」

第五百二十八話
「2時間半後」

「先生?」
「何だよ!」
「な、何で喧嘩腰?」
「お前はいつもいつも俺の作品にケチを付けるからだよ!」
「それは、いつもいつも先生がこっちの発注した作品とは異なる作品を書き上げるからじゃないですか!」
「発注って、スパイの小説だろ?」
「スパイの小説ですよ?」
「スパイの小説だろ?」
「スパイの小説じゃないじゃん!」
「スパイの小説だろ!」
「スパイの小説じゃないじゃん!」
「スパイが出て来るだろ!」
「スパイ、出て来るけど、時代背景が原始時代じゃないですか!」
「斬新だろ?」
「だーかーらー!先生のその斬新、何か分からないですけど売りにしてるその斬新、いらないんですよ!」
「お前なぁ?俺から斬新を取ったら、単なる時代の流れに乗ったそれなりに売れるアイデアしか残らないだろ!」
「いいじゃん!それで、いいじゃん!単なる時代の流れに乗ったそれなりに売れる小説、いいじゃん!」
「気持ち悪い!」
「はい?」
「そう言うのは、そう言うのが得意な物書きが書けばいいんだよ。俺は、俺にしか書けない小説を書く!」
「立派な事を言ってる風に言わないで下さいよ!スパイの小説を発注したら、時代背景が原始時代のスパイの小説を提出してんですよ!」
「斬新だろ?」
「だから!斬新いらない!凄いハイテクな石斧って何なんですか!」
「ハイテクは、スパイに欠かせないだろ!必要不可欠だろ!盗聴出来たり盗撮出来たり銃になったり、乗り物になったりするんだよ!」
「むちゃくちゃじゃん!そもそもが武器だし、乗り物って、ハイテクの向こう側に行き過ぎでしょ!」
「おいおいおい!だいたい、スパイなんてむちゃくちゃだろ?」
「いやいやいや、そんなハイテクな石斧作れるのに、石斧って!」
「原始時代なんだから、仕方ないだろ!」
「そこのこだわり!原始時代じゃなくていいじゃん!って話ですよ!」
「そしたら、斬新じゃなくなっちゃうだろ?」
「斬新じゃなくていいじゃん!って話ですよ!」
「お前さぁ?これをそのまま現代にしたら、メカマンモスとか変だろ?」
「いやこの時代でも変だよ!何なんですか!メカマンモスって!」
「メカのマンモスだよ。」
「分かりますよ!」
「メカマンモスに乗って、マンモスの群れに紛れてスパイ活動すんだよ。分かるだろ?」
「いやだから!そんな技術力がどっから出て来るんですか!」
「スパイ小説で技術力を事細かに語るシーンとか無いだろ!そんな事を書いてたら、スパイ小説じゃなくて単なる取扱説明書になるだろ!みんな、スパイは摩訶不思議な道具を使うんだって前提で読むだろ!」
「アタシは、時代背景を問題視してんだ!」
「評論家ぶるな!」
「ぶってねーや!全読者を代表して、ツッコんでんだ!」
「アクションとラブと謎解きが入ってんだから、いいだろ!」
「アクションとラブと謎解きが入ってたんだ!?」
「お前、読解力が乏しいくせして、美人って取り柄しかないくせして、時代背景がどうとか食って掛かって来てたのかよ!」
「会話も全て原始時代だからストーリーがよく分かんないんだ!ここは、普通に書いて下さいよ!」
「リアリティーだよ。」
「こんなとこにリアリティーいらない!これは、単なる手抜きだ!」
「ブルドックって、下からの牙が凄いよな。」
「話をすり替える始めたら、終わりでしょ!」
「こんな感じ?」
「ヘッタクソな絵!?」
「いいか?この絵をヘッタクソって、感じるのは、絵の全体を見てるからだ。」
「何の話ですか?」
「だが、ここを見よ!よーく見よ!」
「下からの牙ですか?」
「そう!俺が伝えたかったのは、そこ!ブルドックの下からの牙感だ!絵がヘッタクソだろうが、この下からの牙感が伝わればそれでいい。」
「つまり何が言いたいんですか?」
「だから!ブルドックの下からの牙って凄いよなって話だよ!」
「まんまじゃないですか!何か作品と絡めて来るとかじゃないんですか!?だからあえて、ヘッタクソなブルドックの絵を見せたとかじゃないんですか!?」
「いや、これが俺の画力だ!以上!」
「いや、終われない終われない!終われないから!スパイの小説を書いて下さい!」
「分かったよ。変装シーンを書き足せばいいんだろ?」
「そう言う問題じゃない!!」

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