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2016年8月31日 (水)

「第五百三十三話」

「行かないでよーっ!!」
少年。
「どうしたんだ?少年。」
正義のヒーロー。
「え、誰!?」
「誰って、少年が悪に監禁されてる場所にいる部外者って言ったら、正義のヒーローしかいないだろ?」
「正義のヒーロー!?良かった!正義のヒーローは、一人じゃなかったんだ!」
「ん?何をぶつぶつ言ってんだ?」
「ううん!何でもないよ!僕を助けに来てくれたんでしょ!」
「ああ、そのつもりだった。」
「良かった!もう、悪い人達に明日までに殺されちゃうんじゃないかって、絶望してたんだ!ん?そのつもりだった?何で、だった?」
「少年!すまん!」
「何で謝るの?」
「俺は、正義のヒーローとして、自分が悔しい!悔しくて堪らない!」
「ちょっと、落ち着いてよ、正義のヒーロー!意味分かんないよ。一体どうしたの?どうしたのって言うか、話はとりあえず僕を悪のアジトから助け出してからにしない?」
「本当に、すまん!」
「え、だから謝ってる意味が全然分からないんだってば!」
「正義のヒーローとして昨日、確実に少年を助けるべきだった。だが、正義のヒーローにもそれぞれ諸事情ってもんがある。」
「うん。」
「必殺技や得意な乗り物、得意とする地形や環境、様々な分野に秀でた正義のヒーロー達が、それぞれに人助けをしてる。」
「うんうん。」
「少年、正義のヒーローってのは、大変なんだよ。」
「うんうんうん、分かったからさ!とりあえず助け出してよ!」
「本当に、すまん!心から、すまん!少年!」
「ちょっと待ってよ!どうして帰ろうとするの!?」
「俺には、少年の明日を見守る事しか出来ないんだ。」
「ん?んん?難しい話とかは後でいいからさ。」
「今日を生きる少年の姿を、その元気な姿を目に焼き付ける事しか出来ない。」
「いやもう、半分殺されてるみたいなもんだよ?早く助け出してよ!」
「大丈夫だ、少年!」
「え何が?どの辺が大丈夫なの?ねぇ?」
「明日は、必ずやって来る!そして、誰か俺じゃない別の正義のヒーローが必ず助け出す!」
「それ今やってくれればいいじゃん!正義のヒーローならさ!」
「すまん!」
「え、ちょっとーっ!!行かないでよーっ!!」
涙で滲む少年の眼差しの先には、よるのはじまりに向かって飛び去って行く正義のヒーローの姿が映っていた。

第五百三十三話
「昨日マン」

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