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2016年11月

2016年11月 2日 (水)

「第五百四十二話」

「先生、今日はどんなお料理を作ってもらえるんですか?」
「今日ね。この番組が放送されて丁度今回で542回って事を記念して、人類史上初の食材を使った人類史上初の料理を作ります!」
「その法則でいくと毎回が丁度の記念日になっちゃいますね。」
「毎回が丁度の記念日です!」
「・・・はい。それで、先生が言っていた人類史上初の食材とは?」
「人類史上初、それはまだ人類が到達した事のない領域!そうそれは!まだ人類が食した事のない未知!」
「大丈夫なんですか?人類史上初には、人類史上初なりの理由があるのではないでしょうか?」
「毒!と言う事か!それはつまり、毒!と言う事か!」
「毒、だけではありませんが、大丈夫なんですよね?人類史上初?」
「大丈夫です!」
「なぜ、そこまで断言出来てしまうのか不思議でならないですが、それでは先生、早速その人類史上初の食材を紹介して下さい。」
「分かりました!先生!」
「いや私も先生になっちゃうと、先生と先生の掛け合いで、かなりややこしくなってしまうので、そこは先生だけが先生で、お願いします。」
「うむ。番組放送祝542回の食材は、これです!」
「ピーマン?」
「ピーマン?」
「ピーマン?ですよね?」
「ピーマン?」
「ピーマン?なんですか?今回の食材は?」
「ピーマンではありません!人類史上初の食材にはまだ!名前など存在しない!」
「ああ、これではないんですね。紛らわしい出し方しないで下さいよ。それで、本当の今回の食材を発表して下さい。」
「いやだからこれ!」
「ピーマン?」
「ピーマン?」
「ピーマン?なんですか?」
「いやだから、ピーマンピーマン言うなよ!人類史上初の食材だって紹介してんだから!名前など存在しないって言ってんだから!勝手に名付け親にならないでくれよ!」
「はい?いやでも先生!」
「いやだから!ピーマンだよ!ピーマンだけど、ピーマンを人類史上初の食材って事に今回はすんの!そう言う設定で料理すんの!」
「先生!それは、途轍もなく面倒臭いって作業ですね!」
「面倒臭い作業のその先に、幸福と言う料理がある!大昔、この国を支配していた王様の言葉です。」
「聞いた事ないですよ。」
「ではでは、気を取り直して、今日はこの人類史上初の食材を使った人類史上初の料理を作りたいと思います。」
「人類史上初の食材を一体どうやって人類史上初の料理にするつもりですか?」
「これは、人類史上初の食材を使った人類史上初の料理を作る人類史上初の調理になります!なので、細心の注意を払います!」
「はあ。」
「そんな気の抜けた返事をしていたら!やられますよ!」
「何にですか?」
「だから!そんな腑抜けな返事をしていたら!この人類史上初の食材に逆に食されちゃうぜ!って言ってんだ!」
「ピーマンですよね?」
「ピーマンではない!」
「ピーマンではないは、違うでしょ!」
「謎の食材だ!もしかしたら、宇宙の野菜かもしれない!」
「野菜って言っちゃってんじゃないですか!」
「カッコ仮だよ!カッコ仮!いいですか!祝542回なんですから、結構な気合い入れなさい!」
「わ、分かりましたよ。」
「では、細心の注意を払って調理したいと思います!」
「お願いします!しかし、先生?一体どうやって人類史上初の食材を調理して料理にするんですか?」
「まず、丸かじりします!」
「丸かじり!?」
「丸かじりして、この人類史上初の食材が、どんなものなのかを自らの舌で確認します。」
「はあ。」
「気合い!」
「お願いします!」
「お願いされた!」
「かじった!」
「苦い!凄く苦い!だから、小さなお子様には嫌われるかも!」
「でしょうね。」
「あと、種があるから気を付けて!」
「えっ!?私も丸かじりするんですか!?」
「当たり前じゃないか!一人より二人!より多くの確認が必要だろ!それが人類史上初の食材を料理するって事だろ!」
「・・・じゃあ、いきます。」
「お願いします!」
「とても苦いです。」
「小さなお子様は?小さなお子様には、どうなんだ?」
「小さなお子様には、嫌われるかもしれません。」
「よし!」
「これは一体何の時間なんですか?」
「人類史上初の食材を食すと言う、勇気と希望の時間だ!我々は、英雄となった!」
「そうなんですか?」
「おめでとう!」
「あ、ありがとうごさいます。」
「きっと本当にピーマンを初めて食した時もこんな感じだったんだろ!」
「絶対違うと思いますし、このタイミングでピーマンって言っちゃってるし、えっ、もうピーマンって言ってもいいんですか?」
「ダメだよ!名前など存在しないって言ってるだろ!」
「なら、徹底して先生も設定を守って下さいよ!」
「ルールには、時に例外も必要!」
「ご都合主義にも程があるでしょ!それで、この人類史上初の食材で、今日は何を作ってもらえるんですか?」
「肉詰めピーマンを作りたいと思います。」
「えっ?今までの努力は?」
「今までの努力?走り込みとかか?」
「陸上部じゃないだから!そうじゃなくて、ピーマンってワードを言わないって謎のルールブックに乗っ取った謎の努力ですよ!」
「そんなルールブックは!破り捨ててしまえ!」
「ウソでしょ!?」
「私は、この世でウソが一番嫌いだ!」
「どの口が言ってるんですか?」
「このおちょぼ口がな!」
「おちょぼ口じゃないじゃないですか!今回は、肉詰めピーマンを作ってもらえるんですね。」
「そうです!」
「用意していただくのは、ピーマンとこの虹色の肉ですね。に、虹色の肉!?」
「そうです。」
「はい?先生!何なんですか!?この虹色の肉は!?」
「トリケラトプスのもも肉です。」
「何でピーマンに焦点絞った?」

第五百四十二話
「トリケラトプスのもも肉詰めピーマン」

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2016年11月 9日 (水)

「第五百四十三話」

「博士?」
「じょ、助手!?いつの間に!?」
「その強盗に出会ったぐらいな驚愕リアクションは、おかしいでしょ!助手なんですから、ここ最近はずっと博士の傍にいたでしょ!って、そんな事を言いたいんじゃないんです、僕は!」
「では、何が言いたいんだね?」
「博士は、それこそここ何日間も研究室に籠もって、一体何を作ってるんですか?ここ何日間も傍でサポートしてますが、僕にはそれが何なのか全く分かりません。」
「見て分からないか?」
「ええ、もはや見ても分からないから、ええーい、この際このタイミングで聞いてしまえと思ったんです。」
「では、キミにはこれが一体何に見える?」
「はい、ゴミの塊にしか見えません。」
「戦争反対!」
「はい?」
「そうだな。ゴミの塊にしか見えないな。」
「そうなんですか!?」
「え?そうだけど?」
「え?つまり博士は、ここ何日間も研究室に籠もって、ゴミの塊を作ってたんですか?」
「え?そうだけど?」
「え?何で?何かを作ろうとして結果的にゴミの塊になったのではなく、どうして、あえて最初からゴミの塊なんかを作ってるんですか?」
「いいか?これは、ただのゴミの塊ではない!!」
「うっさ!?」
「このゴミの塊はな!!」
「いや、うっさいですってば!」
「このゴミの塊はな。」
「それぐらいでお願いしますよ。」
「このゴミの塊はな!!」
「うっさ!?え?何で?どうしてまた、ボリュームアップ!?」
「このゴミの塊はな。」
「この会話がゴミの塊ですよ!」
「このゴミの塊はな!!」
「え?それでもまだ続けてる!?」
「戦争反対!」
「はい?」
「絶対に燃えないゴミの塊だ!!」
「だからうっさ!?え?絶対に燃えないゴミの塊?」
「コーヒーを淹れてもらえるか?」
「いやいやいやいやいや!まだ何も解決していない!だから、コーヒーはまだ、おかしいでしょ!」
「ワシはな。定期的にコーヒーを飲まないと死んでしまう病なんだよ。長年助手をしてるキミなら分かるだろ?」
「長年助手をしていて博士から初めてコーヒーを淹れてくれって言われたから分かりません。」
「戦争反対!」
「それ何なんですか!さっきっから、ちょくちょくぶっ込んで来るそれ、何なんですか!明らかに会話に関係ありませんよね?」
「いいか?こうやってたまに戦争反対と反戦運動してるとな。のちに良い事が舞い込んで来る。」
「マンツーマンの会話の中で運動したってダメでしょ!もっと公の場で大々的にやらなきゃ、単なるおかしな人止まりですよ!」
「戦争反対!」
「だから!」
「なぜ、ワシが絶対に燃えないゴミを開発したのかと言うとな。」
「ほら、会話が成立しない。博士の反戦運動は邪魔なんですよ!」
「おい!ブラックジョークにも程があるぞ!」
「僕を悪者にするのは、おかしいでしょ!」
「では、そろそろコーヒーを淹れてもらえるか?」
「何一つ前進してないのに!?さっきのコーヒーを淹れてもらえるか?の下りから、何一つ変化してないのに!?」
「何が聞きたいんだよ!」
「何で喧嘩腰なんですか!?いや、聞きたい事は、さっきから伝えてるじゃないですか!」
「だから!こうして、反戦運動してると、何か賞をもらえると思ってだな。」
「それじゃない!そっちの志の方じゃなくて、この絶対に燃えないゴミの方!」
「キミは、分からないのか?それこそ長年助手をしていて、この開発の偉業を理解してないのか?」
「正直、これに関しても全く理解不能ですね。」
「単純に凄くない?」
「ん?そこもっと具体的にお願いします。」
「いやだから、単純に凄くない?」
「ええ、ですからそこをもっと具体的に掘り下げてお願いします。その凄さの詳細をです。」
「さてと、コーヒーを淹れてもらえるか?」
「コーヒーを淹れたら、詳細を話してくれるんですね!」
「ワシはな。定期的にコーヒーを飲まないと死んでしまう病と同時に、コーヒーを飲んだら一週間は眠ってしまう病も患っているのだよ。」
「じゃあ、絶対にこのタイミングで淹れないよ!」
「ケチ!!」
「うっさ!?ケチ、うっさ!?」
「ドスケベ!!」
「うっさ!?ドスケベ、うっさ!?いや、ケチも違うけど、ドスケベはもっと違うでしょ!」
「変態教師!!」
「うっさ!?変態教師、うっさ!?いやいやいや、誰が変態教師ですか!どう言う時間軸ですか?」
「10月15日、9時29分の時間軸でお送りしているけど?」
「じゃあ、二人が同じ時間軸に存在してるなら、僕を変態教師扱いは、おかしいでしょ!」
「悪口に時間軸は、関係ない!」
「悪口のクオリティーを逸脱し過ぎてて、単に会話の成立しないおかしな老人ですよ?」
「誰が老人だよ!」
「博士がだよ!立派な老人でしょうが!」
「照れるなぁ?」
「誉めてませんよ。」
「誉めろ!」
「そんなエッジの効き過ぎたキレ方しないで下さい!それから、マジで何なんですか!この何日間も研究室に籠もって開発した絶対に燃えないゴミの塊は!」
「戦争反対!」
「戦争反対!」
「いやだからな。単純に、絶対に燃えないゴミの塊って、凄くないか?絶対に燃えないんだぞ?」
「その絶対にって、どのぐらい絶対になんですか?」
「いや、絶対には、絶対にだろ。」
「つまり、どんな事をしても燃えないって事ですか?」
「分かりやすく言うと、この地球が全焼してもこのゴミだけは、宇宙ゴミとして漂ってるだろうな。」
「いやそれは果たして、分かりやすくなんでしょうか?」
「それぐらい絶対になんだよ!」
「どれぐらいかピンと来ませんが、絶対に燃えないなら凄いです。」
「コーヒーを」
「淹れないよ!まだ!」
「コーヒー淹れない病?」
「コーヒー淹れない病ではないです!つまり、この絶対に燃えないゴミの塊の技術を応用すれば、絶対に燃えない様々なモノが作れると言う事ですね?例えば、絶対に燃えない家とか、絶対に燃えない紙とか、だとしたら博士!それこそこの発明で賞がもらえますよ!」
「ゴミの塊で賞をもらえるとは、ウハウハだな!」
「いや、ゴミの塊のままではどう考えても無理でしょ。ゴミの塊として疎まれて終わりです。この技術を応用しないと!」
「それは、無理!」
「何でですか!」
「ゴミの塊となって初めて絶対に燃えない存在となるからであーる!」
「本物のゴミじゃん!!」
「うっさ!?」

第五百四十三話
「ゴミの時間」

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2016年11月16日 (水)

「第五百四十四話」




「これで最後だ!」

「返り討ちにしてくれるわ!」

「地球は、僕が守る!」

「やれるものならやってみろ!」

「行くぞ!悪!」

「来い!正義!」

「笑うと負けよ!!」

「あっぷっ!!」

「「ぷっ!!」」




第五百四十四話
「ここに至るまでの死闘をどれだけ想像出来るかで作品の面白さが変化します」

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2016年11月23日 (水)

「第五百四十五話」

「明後日、頑張ります!」
「明日、頑張れ!」
「いや、明後日、頑張ります!」
「明日、頑張れよ!」
「無理です!明後日、頑張ります!」
「無理ですって何だ!無理って!」
「無理ですは無理ですです!それ以上でもそれ以下でもありません!」
「明後日からは、頑張れるんだろ?」
「はい!明後日からは、頑張れます!」
「じゃあ、明日からでも頑張れるだろ!」
「それは無理!」
「何で無理なんだよ!」
「無理は無理だから、無理だと言っているんです!」
「あれか?何か特別な用事でもあるのか?」
「特にありません!」
「じゃ、何で明日から頑張らないんだよ!」
「明日から頑張る理由が見付からないからです!」
「ちょっと待て!明日から頑張る理由が見付からない?」
「明後日から頑張る理由は見付けます!」
「もっぱら言ってる意味が分からないんだが、部活の顧問の先生が明日から頑張れって言ってるのが、明日から頑張る理由じゃないのか?」
「先生は、あくまでこの部活の顧問です!僕の人生の師ではありません!」
「お前、凄い事を言うな。じゃ、あれか?お前の人生の師が、明後日から頑張れって言うのか?」
「それは、明日になってみないと分かりません!」
「俺は、お前が何を言ってんのかが分かりません!」
「先生、いいですか?人生の師など、滅多に巡り会えません。この世界で、一体どれぐらいの人間が人生の師に巡り会っているでしょう?人生の師に巡り会わずに人生を終わる人間が殆どです。」
「ん?すまん。頑張って理解しようとはしてるんだが、全く何が言いたいのか分からない。」
「つまり僕が明日から頑張らないで明後日から頑張る理由がそこにあります!」
「理由、あんじゃん!もうちょっと、そこ詳しくいいか?」
「明日、僕は僕の人生の師を血眼になって捜します!」
「はあ?」
「人生のどのタイミングで、どんな風に巡り会うか分からない人生の師をあえて迎えに行くんです!」
「それで本当に巡り会えるのか?」
「分かりません!」
「分からないのかよ!」
「だってこれは、運命に抗う行為なんですよ!神がそれを許すかどうかは、神のみぞ知るってヤツです!」
「いや、話が壮大になってるとこ悪いんだがな。俺は、明日から部活に遅刻するなって、そう言ってるだけなんだぞ?明日から部活に遅刻しない為に、お前は運命に抗ってまで人生の師と巡り会わなきゃならないのか?」
「そうです!!」
「凄く断言!?」
「もしかしたら、そんな事をしてしまった僕は、この世から存在を抹消されるかもしれません!でもそれは仕方ありません!なぜなら、僕が人生に抗い!神の怒りに触れてしまったからなんですから!」
「号泣のとこ悪いんだがな。そもそも論なんだが、部活に遅刻しないって、人生の師と巡り会わなきゃ無理なのか?」
「無理です!!」
「無理じゃないだろ!他の部員は、人生の師と巡り会ってないのに遅刻してないだろ!何で、お前だけが人生の師と巡り会わなきゃ無理なんだよ!他の部員が出来てお前だけが出来ないって、おかしいだろ!」
「先生!それは間違いです!」
「間違い?間違ってないだろ!」
「僕以外の他の総勢50人の部員が遅刻しないのは、僕以外の他の部員が既に人生の師と巡り会っているからです!それは、部活の顧問であり監督でもある先生!貴方ですよ!」
「何だと!?」
「それでは、僕は明日、人生の師を血眼になって捜さなければならないので、明日は部活を休みます。失礼します。」
「おい!」
「はい?」
「ちょっと、寂しいな。」
「ええ、ちょっと、寂しいですね。」

第五百四十五話
「なぜか今夜は飲みたい気分」

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2016年11月30日 (水)

「第五百四十六話」

 平凡で幸せなもうすぐ結婚生活4年目に突入する夫婦の休日の朝のリビングの様子である。
「ねぇ?」
「ん?」
「このカレンダーの丸印、何?結婚記念日の前の日のこの丸印。」
「ああ、それはお前を殺す日だよ。」
「なんだ、アタシを殺す日ね。って、アタシを殺す日って、何!?アタシを殺す日って、どゆこと!?」
「お前を殺す日は、お前を殺す日だよ。」
「比喩?」
「比喩じゃないよ。比喩だとしたらそれは、どんな比喩だよ。」
「結婚記念日の前にアタシを比喩殺して、新しく比喩生まれ変わったアタシとまた、新たに結婚生活を送ろうって言う、比喩?」
「どう言う難解な比喩だよ。だから、比喩じゃない。」
「そしたら、本当にアタシを殺すって事?」
「さっきからそうだって言ってるだろ?」
「さっきからそうだって言われてるけど、さっきから実感が無いわ。」
「そりゃそうだろ。まだ殺す日になってもなければ、実際に殺されてもいない訳なんだから、実感出来るはずもない。」
「比喩?」
「比喩、便利でオールマイティーな言葉じゃないからな!」
「どうしてアタシは、殺されなきゃならないの!そうよ!そこをもっと掘り下げてお伺いしたいわ!」
「支離滅裂だな。」
「支離滅裂、便利でオールマイティーな言葉じゃないからね!」
「今のは正しいタイミングで正しく使ったんだ!」
「アタシを殺して、別の女と一緒になろうって見え見えの魂胆ね!」
「別の女なんかいないよ。」
「アタシを殺して、多額の保険金を貰おうって見え見えの魂胆ね!」
「貰えてもたかが知れてる額だろ?」
「アタシを殺して、名探偵と華麗なる心理戦を繰り広げるつもりな見え見えの魂胆ね!」
「映画やドラマの観過ぎだ。」
「なら、どういった魂胆?」
「何となくだな。」
「なるほどなるほど、そこに物凄く深い大どんでん返しの理由があるのね。」
「無いよ。」
「無い!?妻を殺す驚愕の真実が隠されてない!?」
「映画の広告じゃないんだから、世の中そうそう大どんでん返しでもなければ、驚愕の真実が隠されてる訳でもない。」
「本当の本当に単に何となくでアタシを殺そうとしてるなら、アナタ、快楽殺人鬼って事よ?」
「そうか?」
「そうよ!だって、殺人によって快楽を得ようとしてるんだもの!」
「いや別にオレは、殺人によって快楽を得ようとなんかしてないよ。」
「無快楽殺人鬼って事!?」
「無快楽殺人鬼って言葉ないだろ?」
「アタシに何か不満でもあるの?」
「無いよ。」
「仕事で何か悩みでもあるの?」
「無いよ。」
「病気?もしかして病気なの?余命を宣告されたの!?」
「健康だよ。」
「なら、なぜアタシを殺そうとしてるのよ!」
「だから、何となくだよ。犬飼いたいとか、引っ越ししたいとか、旅行に行きたいとか、そんな感じの何となくだよ。」
「だとしたら、このカレンダーの丸印は、単なるカレンダーの丸印って事で、実行はされないって事ね!」
「いや、確実に実行する!カレンダーに丸印を付けるって事は、男にとったら相当の覚悟だからな。」
「初耳!」
「とは言ったものの、殺す事は決まっても、一体どうやって殺したらいいのか悩んでんだよ。何かいいアイディアないか?」
「前代未聞ね!殺そうとしてる相手に殺し方、聞く!?」
「出来るだけ、残忍なヤツがいいんだけどさ。」
「思い付く訳がないでしょ!自分を残忍に殺す殺し方なんて!」
「生きたまま何かするのがいいと思うんだけど、どうだ?」
「本当に殺し方決まってないんでしょうね?そこそこシチュエーションが固まってるような気がするんだけど、気のせい?」
「生きたまま耳を引っ張り続けるとか?」
「どのタイミングでアタシは死ぬんだ!永遠に怒られ続けるのかアタシは!こうやって!こうやって!」
「バカ!死ぬ気か!」
「死ぬか!こんなんで死んでたら、少子化まっしぐらだ!」
「生きたまま無視し続けるとか?」
「だから、それでアタシはどのタイミングで死ぬの!単なる夫婦仲が悪いだけじゃん!」
「お前は、凄い話し掛けて来ていいんだよ。」
「そんな一方的に無視し続けられたら、途中で離婚するわよ!」
「じゃあ、生き埋めだな。」
「じゃあ、じゃない!じゃあ、の後に言う言葉ではない!ガチガチにシチュエーション決まってんじゃん!ねぇ?アタシを殺した後の事は考えてんの?」
「後の事って?」
「アタシを殺すって、アタシがこの世から居なくなっちゃうって事なんだよ?もう二度と会えないんだよ?一緒に出掛けたり、一緒に笑ったり泣いたり出来ないんだよ?」
「そしたらオレは、一生掛けてお前と瓜二つの人間を捜す!」
「それは事故死とか病死の時に当てはまるパターンのヤツ!一生掛けてアタシと瓜二つの人間を捜すなら、何で丸印の日にアタシを殺したんだって話になるでしょうが!それに、アタシを殺してアタシと瓜二つの人間を捜すなんて出来ないわよ?」
「それはなぜだ!お前を殺したと同時に、オレの両足がもげるからか?」
「どう言う事!?生き埋めの後に山中から転げでも落ちたの?いやいや、両足がもげたとしても、そこは根性でカバー出来るでしょう!だから!アタシを殺したって事は、その時点で同時に警察が動き出すって事よ!」
「お前、実はどっかの国のお姫様なのか!?」
「だったらもっとど派手な結婚式挙げてるわよ!」
「なら、なぜ警察が動く!」
「警察は、そう言う時に動く組織だからよ!」
「厄介だな。」
「アナタの頭の中の方がよっぽど厄介よ!だから、バカな事は考えないで!」
「バカな事?目を瞑って右目と左目を入れ替えてみようかな?とか?」
「バカな事だけど!そうじゃなくて!」
「新築の家に泥だらけで帰って来ようとか?」
「大バカ野郎だけど!そうじゃなくて!アタシを殺すってバカな考えはやめてって事でしょ!」
「でも、もうカレンダーに丸印付けちゃったからな。」
「カレンダー丸印絶対主義者か!いい?こんな言葉がある!約束は破る為にある!」
「攻撃は最大の防御なり!」
「いや、言葉被せやめて!そう言うゲームしてんじゃないんだから!もういい!もうね!こんな丸印なんてね!こうして!こうして!上からバツ印付けてやればいいのよ!」
「お前!何て事するんだ!」
「自分の命がかかってんのよ!これぐらいするでしょ!」
「違う!そんな事したら、この世から11月4日が無くなっちゃうだろ!」
「アタシが殺されるなら、無くなっちゃえばいい!」
「誰かが困るぞ?」
「1日早く結婚記念日が出来るからいいじゃない!」
「なるほど!」
平凡で幸せなもうすぐ結婚生活4年目に突入する夫婦の休日の朝のリビングの様子であった。

第五百四十六話
「11月4日が無くなった日」

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