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2016年12月21日 (水)

「第五百四十九話」

 俺達は、仲良し3人組で、いつものように登山を満喫していた。だが、仲良し3人組の1人が足を滑らし、崖から転落して死んだ。それは、完全なる事故だった。登山をする者ならば、隣り合わせの常に覚悟している現実だった。残された俺とコイツは今、死んだ友人の葬儀に参列していた。幼い頃からいつも同じ時間を共有していた仲良し3人組の1人を失い、俺達は悲しみのどん底に突き落とされている、はずだった。
「ちょっと来い!!」
「いてててて!」
「いいから来い!」
「痛ぇな!」
「お前ってヤツは!」
「何だよ!」
「何だよじゃないだろ!」
「いや、何だよだろ!」
「ふざけんなよ!」
「何がだよ!」
「お前、ずっと笑ってただろ!」
「笑ってねぇよ!」
「いや、ここに来てからずっと笑ってた!いいや、俺が車で迎えに行って家から出て来る時から笑ってた!と言うか、きっとその前からずっと笑ってるだろ!昨日の夜も今日の事を思って笑って寝ただろ!」
「はあ?笑ってねぇよ!」
「お前、分かってんのか!これは、アイツの葬儀なんだぞ!」
「分かってるよ!」
「アイツの両親や兄弟や嫁や子供がいるんだぞ!」
「分かってるよ!」
「ここに参列してる全員が悲しみのどん底に突き落とされてんだぞ!」
「ぷっ!」
「何で笑ってんだよ!」
「今のは、お前が悪いだろ!」
「はあ?何で俺が悪いんだよ!」
「だって、突き落とすとか、お前が突き落とすとかアイツが転落した時の事を思い出すような事を言うからだろ!」
「笑うな!お前なぁ?葬儀中に笑ってるって、凄く不謹慎なのが分からないのか?」
「分かってるよ!だけど、仕方ないだろ!アイツの葬儀だからこそ、アイツの顔が浮かぶんだよ!アイツの顔が浮かんで浮かんで仕方ないんだよ!特にアイツがあの日、崖から転落した時のあの顔がさ!」
「だから笑うな!お前!そのニヤニヤした顔どうにかしろよ!」
「どうにかしてぇよ!でも、どうにもなんねぇんだよ!スゲェ悲しくて悲しくて仕方ないけど!どうしても最期のアイツの顔が浮かんじゃうんだよ!」
「気持ちは分かるけどよ。この場は堪えろ!」
「無理だ!」
「即答かよ!少しは何とかしようって努力しろよ!」
「無理だろ!お前だって本当は、腹抱えて大笑いしたいんだろ?俺は、したい!棺の中のアイツの顔見て、そのギャップで腹抱えて大笑いしたい!」
「どの状況で爆弾発言してんだよ!お前は!」
「なあ?」
「何だよ。」
「なあ?これって俺が悪いのか?」
「明らかに、お前が悪いに決まってるだろ。」
「本当に悪いのは、俺じゃなくて、崖から転落して死んだアイツの方だろ?」
「そんな訳ないだろ!」
「あのな?俺は俺で、あの日から悲しみのどん底の中の抱腹絶倒の中を葛藤してパニック寸前なんだよ!ぶっ壊れそうなんだよ!」
「気持ちは、分かるが何とかこの場だけでも切り抜けてくれ。俺だってもう、口の中が血だらけなんだ。」
「お前・・・。」

第五百四十九話
「凄い面白い顔で崖から転落死」

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コメント

ふと昔のお気に入りリストが出てきて、それを頼りに何年かぶりに訪れてみました
ずーっと続けていらっしゃったのですね
脱帽しました
「まだやっていたのか」なんて失礼なことを言っているのは重々承知ですが、本当に感動したので・・・
そして相変わらず面白かったです
昔の作品だったと思いますが、無人島(?)で一人ぼっちの男が海を相手に妄想爆発させる話がとても好きでした
内容が違ってたらごめんなさい
また読んでみたいですが、これだけの作品数だと探すのは難しそうですね
これからもぜひ続けていただきたいです

投稿: | 2016年12月22日 (木) 03時30分

訪問ありがとうございます。
まだやっていたのです(笑)そして、これからもマイペースに書き続けていきますので、また何かのきっかけで読んでいただけたら嬉しいです!
無人島の話・・・確かに探しにくいですよね。きっと第七十六話の事だと思います。僕も探すのに一苦労でした(笑)
コメントありがとうございました。

投稿: PYN | 2016年12月28日 (水) 21時16分

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