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2017年1月18日 (水)

「第五百五十三話」

「お隣のお爺ちゃん!?何してるんですか?」
「おお、隣の主婦じゃないか!こんなとこで会うなんて奇遇だな!」
「いや、お互い我が宅前なんだから、会うでしょ!これを奇遇と言うのなら、毎朝我が宅で目覚めて隣に旦那が居るのも奇遇になってしまうでしょ!」
「相変わらず、ガンガン来るな!マスメディアか!」
「お隣のお爺ちゃんが、毎度毎度そう言わせるような事を言って来るからでしょ!」
「そうか?」
「ところで、空に拳を突き上げて何をしてるんですか?」
「これが雨乞いに見えるか?」
「雨乞いなんて一言も言ってないじゃん!だいたい、雨が既に降ってるのに言う訳ないじゃん!」
「お前さんは、そう言う不思議ちゃんなとこがあるからな。」
「誰が不思議ちゃんだ!真っ当ちゃんだ!で、雨の中、傘も差さずに天空に拳を突き上げて何をしてるんですか?」
「超巨大隕石乞いじゃ!」
「超巨大隕石乞い!?超巨大隕石乞いって、何!?」
「決まってるだろ?雨乞いが雨を降らせる為の乞いだとしたら、超巨大隕石乞いってのは、超巨大隕石を降らせる為の乞いじゃい!」
「何でそんな真似を?単純に何でそんな真似をしてるの?」
「わしは、今年で90ぐらいになる。」
「ぐらいって。」
「だからな。もうそろそろ、いいかなって、な。」
「何が?何が、もうそろそろなの!何が、いいかななの!」
「死、じゃよ!」
「はい?」
「いやだから、この歳まで生きて来たけどさ。もうそろそろ、死ぬのもいいかもって話だよ。何か、特に今後にドラマチックな展開も無さそうだしな。」
「ドラマチックな展開って、そうそう無いでしょ。それで、超巨大隕石乞い?」
「ああ、それで超巨大隕石乞いじゃい!超巨大隕石よー!来ーい!」
「これまた単純な疑問なんだけど?」
「はい、隣の若作り主婦!」
「一言余計だ!その超巨大隕石ってどれぐらいの超巨大隕石?てか、超巨大隕石の時点で、それが乞いって来たら確実にこの街は地球上から消滅するよね?」
「まあ、超巨大隕石は、地球より大きいな。」
「ちょっと!今すぐやめなさいよ!中止よ!中止!雨天中止よ!」
「隣の主婦、わしはもう十分生きたんじゃよ。死なせてくれ。」
「死ぬなら勝手に家の中で孤独死してりゃあ、いいじゃん!何で隣のお爺ちゃんの死に全人類が付き合わなきゃならないの?」
「んまあ、ちょっと格好付けて、そろそろ死んでもいいとか言ったが、やはりいざ死ぬとなると恐いもんなんじゃ。だが、みんな一緒なら恐くない!」
「昔の王様かよ!どんな我が儘さを大爆発させてんのよ!許可とりなさいよ!だったら全人類の許可をとりなさい!そして、まずアタシは反対!!」
「貴重なご意見をありがとうございます。」
「頭下げるなら、その天空に突き上げる拳を下ろせ!!」
「それは出来ん!」
「え?バカなの?」
「お前がな。」
「何でアタシがバカ扱いされなきゃならないのよ!」
「だって、いいか?本気で、こんな事で超巨大隕石が乞いって来ると思ってんのか?こんな事でそんな事が出来るなら、とっくの昔にこの地球は消滅しとるわい!」
「じゃあ、今すぐやめなさいよ!」
「嫌だね!」
「子供かよ!」
「90ぐらいだ!」
「何その言い分!じゃあさ!仮にもし、超巨大隕石が乞いって来たら、どうすんのよ!責任取れんの?」
「その時は、わしの命で責任を取ろう!」
「その時、命で責任取られても取り返しがつかないのよ!ちょっとやめなさいよ!」
「痛い痛い痛い!!」
「何もしてないでしょ!」
「念力でわしの腕をへし折ろうとしだろ!」
「そんな力があるなら、普通の主婦なんかしてないわよ!」
「なら超巨大隕石じゃなくて、超巨大宇宙船乞いならいいか?」
「どの道、宇宙戦争になって地球が滅びるでしょ!だから何で隣のお爺ちゃんの道連れに全人類がならなきゃならないのよ!死ぬなら一人で死になさいよ!」
「嫌だね!」
「てか、そんな事してたらね!超巨大隕石だか超巨大宇宙船だかが乞いって来る前に風邪引いて死ぬわよ!」
「死ぬもんか!!」
「どうしたいのよ!!」
「あっ、雨止んだ。」
「本当だ。」

第五百五十三話
「虹」

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