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2017年2月 8日 (水)

「第五百五十六話」

「ジャングルってのはな。危険だ。だから、細心の注意を払え。」
「分かりました、隊長。」
「いや、お前分かってない。」

「分かってますよ。」
「いや、お前分かってないよ。」
「分かってますよ。」
「お前の分かってるは、どうせ凡人の分かってるレベルだろ?」
「そんな事ありません!」
「そんな事はある!目を見れば分かる!」
「隊長!私は、ちゃんとジャングルの危険を分かってます!」
「よし、そこまで言うんだったらテストしよう。」
「望むところです。お願いします。」
「ジャングルに足を踏み入れる前で良かったよ。これがジャングル内だったらって思うと、ゾッとするよ。よしなら、テスト開始だ!」
「はい!」
「お前がジャングルを歩いている。そしたら、突然ゴリラが目の前に現れた。どうする?」
「目の前にゴリラですか?その場合は、対ゴリラ銃で撃退します。」
「ほらな?」
「ほらな?って、正解ではないんですか?」
「それが凡人レベルだって言ってんだ!」
「しかし、対ゴリラ銃はジャングル探検隊に本部から支給されたモノですよ?これが正解ではないと言うなら、何が正解だって言うんですか!」
「いいか?ゴリラは、敵じゃない。だから、むやみに対ゴリラ銃で撃退すればいいってもんじゃない!」
「しかし、対ゴリラ銃を使用しなかったら、我々が殺されてしまいますよ?」
「殺さないよ!敵じゃないって言ってんじゃん!ゴリラは!もう、その考えがヤバいんだよ!」
「だったら、目の前にゴリラが現れたら、隊長ならどうするんです?どうするのが一番いいんですか!」
「スッと手を出して、握手だよ。」
「潰れちゃうよ!ゴリラと握手なんかしたら手が潰れちゃう!それこそ絶対にやってはダメな行動ではありませんか!」
「あのな?ゴリラが、どうして突然目の前に現れたかを想像してみろよ。友達が欲しいからに決まってるだろ!広いジャングルで寂しいからだろ!」
「そんなパターン分かりませんよ!」
「そう言うの分かってやれよ!そう言うの分からないんだったら、ジャングル探検隊やめちまえよ!」
「いやしかし、だとしてもそこでゴリラと握手なんかしたら、その先の探険に支障がありますよ!」
「その為の対ゴリラ握手用グローブがあるんだろ?」
「何で対ゴリラ握手用グローブなんか持ってるんですか!?」
「ジャングルの危険を分かってるからだ!友達になりたいゴリラに銃を向けたら、それこそ逆上して殺されるだろ!これで分かっただろ?自分の危機感の甘さってヤツが!お前は、基地に残って事務でもしてろ。」
「待って下さい!もう一問テストして下さい!」
「何?」
「お願いします!」
「俺もゴリラじゃない。大の男が頭を下げて懇願してる姿を見せられたら、もう一回テストしない訳にはいかないな。」
「ありがとうございます!」
「いいから、頭を上げろ。」
「はい!」
「では、テストを開始する!」
「お願いします!」
「お前がジャングルの水場で休憩をしていると、見た事もない植物が目の前にある事に気付いた。さて、どうする?」
「それは簡単な問題です。見た事もない植物を発見したら、この対見た事もない植物検査キットを使います。」
「やはり使うと思っていたよ。」
「ありがとうございます。」
「感謝の言葉を述べてどうする!不正解だ!」
「不正解!?いや、しかし見た事もない植物を見たらまずは、この見た事もない植物検査キットを使用しろと、ジャングル探検隊本部から支給されてるではありませんか!」
「見た事もない植物が、本当に見た事もない植物かどうかをまずは調べるのが当たり前だろ!」
「ええ、それは分かってます!ジャングルで見た事もない植物は、とても危険だと教えられてますから!なので、まずは見た事もない植物図鑑で、その見た事もない植物が本当に見た事もない植物なのかを調べたうえでの見た事もない植物検査キットを使用します。」
「さすがだな。」
「ありがとうございます!」
「だから、誉めてねぇよ!さすがだなってのは、さすが凡人レベルのジャングル危機管理能力だなって意味だよ!」
「ちょっと待って下さい!隊長!今のは、ジャングル探検隊学校で教わった見た事もない植物への対処法です!」
「ジャングル探検隊学校で教わった事が全てだと思うな!」
「いやむしろ、ジャングル探検第一歩を踏み出そうとしてる時に、こんなにも隊長に叱られるんなら、全て教えて欲しかったです!」
「見た事もない植物検査キットに頼ってたら、お前、死ぬぞ?」
「全ての見た事もない植物に対応してるこの見た事もない植物検査キットを使用して死ぬ訳がないじゃありませんか!」
「それだよ!いいか?おい!いいか?見た事もない植物検査キットは、あくまで見た事もない植物に対して万能だ。」
「ええ、ですから!」
「見た事ある植物には無用の産物だ!」
「それはそうです。見た事もない植物検査キットなので、見た事ある植物には、効果ありません。あのう?すいません。ここまで聞いても隊長が何を仰りたいのかが分かりません。」
「だから頭っから、俺はお前がジャングルの危険を分かってないって言ってんだ!いいか?その見た事もない植物が、猛毒見た事もない植物モドキだとしたら、お前は即死だ!いいや、お前だけじゃない!隊は全滅だ!」
「猛毒見た事もない植物モドキ!?そんな植物の話は聞かされてません!」
「だから!学校で教わった事が全てだと思うなと言ってるだろ!自分で調べろ!ここは、未開のジャングルだぞ?何が起きても不思議じゃない!猛毒見た事もない植物モドキが生息しててもおかしくない!なぜその考えに至らない!」
「お言葉を返すようですが、隊長は、そんな存在するかどうだか分からない想像上の植物への対策が出来てるって言うのですか?」
「当たり前だろ!」
「嘘だー!」
「これだ。」
「ゴーグル?」
「対見た事もない植物が見た事もない植物モドキなのかチェックゴーグルだ!」
「チェックゴーグル!?」
「略すな!」
「対見た事もない植物が見た事もない植物モドキなのかチェックゴーグル!?」
「そうだ!このゴーグルがあれば隊を全滅させる事はない!」
「もっと略した!?隊長のジャングルに対しての危機管理能力は分かりました。私が凡人レベルだって言うのも分かりました。」
「そうだな。」
「ですが、隊長!そんな一つ一つの危険に、ましてや想像上の危険に対処する道具をリュックに詰め込む事は出来ませんよ!リュックパンパンレベルじゃありません!」
「そうだな。」
「そうですよ!」
「だから、行けないって事だよ。」
「はい?」
「それだけ未開のジャングルには、危険がてんこ盛りって訳だから、行けないって事だよ。」
「行けないって!行かないんですか!?」
「行かないとは言ってない。行けないってって言ってるんだよ。」
「行くんですか?」
「そんな時の為のこれだよ!」
「嘘でしょ!?」

第五百五十六話
「対未開のジャングル偽造報告書作成機」

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