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2017年3月 8日 (水)

「第五百六十話」

「王様!」
「ん?少し痩せたか」
「ええまあ、それよりも王様!城に侵入者が!」
「ヤバくないか?それって、かなりヤバくないか?」
「はい、ヤバいです!」
「私の命とか狙ってるんじゃないか?」
「おそらくは、狙っているかと!」
「ヤバくないか?それって、かなりヤバくないか?」
「はい、ヤバいです。」
「凄くヤバいよな?」
「はい、ヤバいです。」
「めちゃくちゃヤバいよな?」
「はい、ヤバいです。」
「え?何してんの?」
「何してると仰いますと?」
「いやだから、王様の命を狙ってる可能性大の侵入者が城にいるってのに、こんなにヤバい状況だってのに、大臣はここで一体何してんのって話だよ。」
「ああ!」
「ああ!って!ああ!って呑気に気が付いてる場合じゃなくない?」
「一刻も早く王様に現状をご報告しないと、と思いまして!」
「じゃあ、分かった。うん、分かった。現状は分かったから、一刻も早くその侵入者をどうにかしようよ。」
「どうにかします!」
「うん。」
「はい!」
「うん。」
「どうにかします!」

「うん。」
「はい!」
「はい!じゃなくて!元気いっぱいの、はい!じゃなくて!だから何してんの?何で王様の部屋に入り浸ってんの?」
「入り浸っている訳ではありません!王様の身に何かあったらいけないと思って、傍で護衛をと!」
「うん、それは分かるけど、その気持ちは分かるけど、一刻も早く侵入者を見つけ出して、とっちめる方が、王様の護衛より優先順位が上じゃない?」
「なるほど!」
「納得してないでさ。あからさまにグーをパーに叩き付けて納得してないでさ。行きなよ。迷路みたいな構造の城だけど、迷って侵入者が餓死するかもしれないけど、運よく偶然この部屋へ辿り着くって可能性だってあるんだしさ!」
「侵入者が餓死する方に、私の全財産!」
「そう言う事じゃなくて!金持ちの道楽じゃなくて!だから、何なの!何で行かないの!」
「行きますよ!」
「めちゃくちゃ!めちゃくちゃキレてんじゃん!何でめちゃくちゃキレてんだよ!」
「王様がワガママばっか言うからでしょうが!」
「いつ私がワガママを口にした!一体どのタイミングでワガママを口にした!」
「ん?って、最初に言いましたよね?」
「ん?って言うのが、ワガママだったら、たいていの事は、ワガママになっちゃうだろ!」
「でも!あのタイミングで、ん?は、ないです!」
「じゃあ、分かった。うん、分かったよ。初めからやり直そう。それで、私がワガママを口にしなかったら、侵入者をとっちめに行ってくれるな?」
「はい!」
「じゃあ、最初からやり直そうじゃないか。」
「王様!」
「何だ?」
「やはりワガママです!」
「さじ加減じゃん!もうそれって、大臣のさじ加減じゃん!行ってくれよ!さっさと侵入者をとっちめてくれよ!」
「槍で、とっちめればいいですか?」
「槍でも何でもいいから、早く行ってくれよ。頼むよ。」
「かしこまりました!」
「うん。」
「はい!」
「だから!元気いっぱいの、はい!って言っといて、何で行かないんだよ!」
「槍がありません!」
「槍でも何でもって言ってるだろ!」
「王様!」
「何だよ!」
「王様!」
「何だよ!」
「呼んだだけです!」
「恋人同士かよ!もういい!私が行く!」
「じゃあ、お供します!」
「何なんだよ!お前は!」
「大臣です!」
「胸張って誇らしげに、大臣です!じゃないだろ!」

第五百六十話
「餓死城」

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