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2017年3月22日 (水)

「第五百六十二話」

「ピンポーン!」
「ガチャッ!」
「おう!」
「おう!入れ入れ!悪かったな。こんな雪の日にわざわざ呼び出したりしちゃってさ。入れ入れ!」
「いや、別にいいけど、しかし寒いな。」
「だと思って、用意しといたよ。」
「何これ?」
「マグマ汁!これ飲んで温まってくれ!」
「トマトジュースだろ?」
「マグマ汁だよ!」
「マグマ汁って何だよ。だとしたら、何でコップが平気なんだよ!」
「四の五の言わずに飲め飲め。」
「トマトジュースじゃん!」
「よし!体が温まったところで本題に入ろうか。」
「キンキンのトマトジュース飲んで温まるかよ!本題ってのは?」
「来週、アイツの結婚式だろ?」
「そうだな。」
「そこで、僕達は友人代表のスピーチするだろ?スピーチ!」
「その打ち合わせか?でも、スピーチなら打ち合わせは前日でもいんじゃないか?もしくは、当日でもいんじゃないか?最悪、打ち合わせなんかいらないんじゃないか?って、言ってなかったか?」
「スピーチ、やめようと思う。」
「はあ!?今さら何言ってんだよ!」
「スピーチやめて、マジックしようと思う!」
「マジック!?んまあ、確かにアイツからは、自由に何やってもいいって言われてるけどさ。」
「思ったんだよ!スピーチじゃ、つまらないってさ!」
「スピーチの言い出しっぺ、お前だからな。何かした方がいんじゃないかって言った俺に対して、めちゃくちゃキレて面倒臭いって言い放ったのお前だからな。」
「昨日、偶然テレビでマジックと言うモノを観て、思ったんだよ。これをやれば結婚式がさらに盛り上がるってさ!」
「まあ、確かにスピーチよりもマジックの方が盛り上がるは盛り上がるだろうけどさ。」
「だろ!まあ、マグマ汁飲みながら、続きを聞いてくれ。」
「マグマ汁いらないよ。」
「ハワイ産の最高級マグマなのにか!?」
「がっつりトマト味でしたけど?で、マジックやるって言っても何のマジックすんだよ。」
「もちろん!胴体切断マジックに決まってるだろ!」
「胴体切断マジック!?随分と難易度が高くないか?」
「つまり、それだけ結婚式が盛り上がるって事だろ?」
「んまあ、そりゃあそうだけどさ。え?そもそもだけど出来んの?」
「出来るって?」
「マジックだよ。マジック!」
「これを見よ!」
「チェーンソー!?」
「胴体切断のマジックを思い付いて、すぐに購入した!」
「チェーンソーを!?」
「やるなら派手な方がいいと思ったからさ!」
「そうかもしれないけど、マジックだろ?胴体切断マジックでチェーンソー使ってるとこ見た事ないけど?昨日のテレビではチェーンソーだったのか?」
「いや、こんな鉄の刃だった。」
「横になって箱に入ってってヤツだろ?」
「そうそう。よく知ってるな!」
「一番オーソドックスな胴体切断マジックだからな。」
「でも、こっちの方が派手だろ?」
「派手だけをピックアップするならな。」
「お前がスピーチしてる時に、僕がチェーンソーで胴体切断するから!こりゃあ、みんな驚くぞ!」
「待て待て待て!そりゃあ、みんな驚くよ!戦慄だよ!スピーチしてる人をいきなりチェーンソーで真っ二つにしちゃうんだからさ!しかも縦にな!縦に!」
「楽しみだな!」
「公開処刑じゃん!」
「マジックだよ!」
「胴体切断マジックってのは、胴体切断して、くっついてこそだぞ!縦にチェーンソーで真っ二つにされて、どうやって元に戻るんだよ!タネと仕掛けは!」
「タネと仕掛け?いやだって、マジシャンがタネも仕掛けもありませんって宣言してたけど?」
「鵜呑みもいいとこだろ!何で友人の結婚式に出席して、俺はチェーンソーで真っ二つにされて死ななきゃならないんだよ!」
「やってみなきゃ分からないだろ!」
「何をやってみなきゃ分からないんだよ!」
「僕にマジックの才能があるかもしれないじゃないか!」
「ああ言う事が才能で出来るからマジシャンしてんじゃねぇから!テクニックだよ!テクニック!そしてむしろ、お前の理論でいくとマジックの才能があるかもなのは真っ二つにされて自力で元に戻らなきゃな俺だろ!」
「自分を信じて!」
「信じられるか!」
「人には必ず眠ってる才能があるんだ!」
「だとしたら大博打だな!」
「もしかしたら、お前にはヘソで茶を沸かす才能が眠ってるかもしれないじゃないか!」
「だったらだったで!ヘソで茶を沸かすよ!何でチェーンソーで真っ二つにされてんだ俺は!縦に!」
「ぶっつけ本番で不安なら、ちょっと今から練習するか!」
「一緒!ぶっつけ本番だろうが練習だろうが、結果は一緒!式場が血の海になるか、お前の部屋が血の海になるかの違い!」
「大違いだな!」
「俺が死ぬのは一緒!」
「首が一回転とかしないのか?」
「痛い痛い痛い!するかよ!」
「お前、何も出来ないのかよ!」
「チェーンソーで真っ二つと首一回転で言われたくない言葉だよ!お前だって出来ないだろ!」
「その二つは無理だけど、小指で鼻をほじったり、小指で耳をほじったりは、出来る!」
「それなら俺も出来るよ!ほら!ほら!」
「あ、じゃあ、それをやるか!」
「何してんだよ俺達は!友人代表でみんなの前で俺達二人は何してんだよ!」
「僕がお前の鼻をほじるから、お前が僕の耳をほじってくれよ!」
「それを見せられて、みんなはどんなリアクションすればいいんだよ!」
「スタンディングオベーション!」
「何で拍手喝采?」
「そりゃあ、お互いの穴の中から鳩が出て来るからじゃないか!」
「物理的に不可能だろ!こんな小さな穴から鳩が出て来るの!いやもう、マジックなんて無理なんだから、普通に今まで通りのスピーチでいいじゃん!」
「盛り上がらないだろ?」
「別に盛り上げなくていいんだよ。俺達が主役じゃないんだから!」
「じゃあ、主役の二人をチェーンソーで真っ二つにしよう!」
「蜘蛛の子を散らすように、みんな式場から出て行くだけだよ!あっという間に式場は特殊部隊に包囲されてるだけだよ!」
「消失マジックってのも昨日観たんだよ!」
「消失マジックだ?」
「お前がスピーチしてる時に、僕が頭からこの何でも溶ける液体をかける!」
「だから元に戻れないっつってんだろ!何で俺をこの世から消そうとすんだよ!もっと小物類でいいだろ?」
「じゃあ、前の席の紳士から腕時計を借りて、この何でも溶ける液体をかける。」
「怒られちゃう!ただただ怒られちゃう!で、さっきからのそれは単なるトマトジュース!なっ?場の空気が最悪になるだけだから、無難にスピーチにしとこうぜ!」
「瞬間移動のマジックも観たんだよ!」
「だんだんその昨日のマジシャンに俺は腹立って来たね!」
「これはイケる!これは、胴体切断マジックや消失マジックよりも遙かに簡単!」
「そうでもないだろ?」
「お前の双子の弟を使えば簡単!」
「俺が双子じゃないんだから無理だろ!」
「双子になれよ。」
「どんな無理難題だよ!お父さんとお母さんに土下座して頼み込んでも無理だよ!」
「よし!やっぱり今からこのチェーンソーで!」
「バカなの!」
「いやでも、せっかく買ったんだから使わないとさ。」
「その時が来たらでいいだろ!無理から使う代物じゃないから!チェーンソーって!」
「あっ!じゃあ、ケーキ入刀の時!」
「ケーキまみれだよ!もうスピーチでいいし!当日、絶対にチェーンソーを持って行くなよ!」
「はいはい、フリね!フリ!」
「フリじゃねぇよ!」
「じゃあ、あれか!俺だけチェーンソー持ってるのが羨ましいんだ!」
「何でそうなるんだよ!」
「結局、そうなんだろ?そう言う事なんだろ?」
「どんな結論付けなんだよ!羨ましくねぇよ!」
「結局お前は、そう言うとこがあるんだよなぁ。結局なんだよ。結局。」
「結局結局うっせ!」
「よし!今からお前のチェーンソーを買いに行こう!」
「だから何でそうなる?」

第五百六十二話
「結局、二人でチェーンソーを使ってスピーチをしました」

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