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2017年5月24日 (水)

「第五百七十一話」

「腰が痛いんです。」
「では、鼻を削ぎ落としましょう。」
「はい。いやいやいやいや!はいじゃない!はいじゃないです!何か医者と患者との話の流れで、ついつい肯定的な返事をしちゃったけど!はいじゃないです!」
「落ち着いて下さい。鼻を削ぎ落とすと言っても、単純に鼻を削ぎ落とすだけですから。」
「結果、鼻を削ぎ落とされるのに、単純も複雑もないでしょ!先生!僕は、腰が痛いと訴えてるんですよ?何で鼻を削ぎ落としましょう?」
「それは、単純で明快です。鼻を削ぎ落とせば、腰の痛みなど、吹っ飛びます。」
「鼻も吹っ飛びます!先生!診察室に入って一分もしないで鼻を削ぎ落としましょうって、おかしくないですか?」
「おかしければ、鼻で笑えばいいじゃないですか。」
「笑えないジョーク言うのやめてもらえます?だいたいですよ?鼻を削ぎ落としたって、根本的な解決にはなってないじゃないですか?」
「もう少し詳しく。」
「詳しく説明しなきゃダメな案件?だから、鼻を削ぎ落として腰の痛みを忘れさせたとしても腰の痛みを治療してもらわないと、僕の鼻は削ぎ落とされ損ですよね!」
「それは違いますね。」
「違う!?何で違うんです!」
「鼻を削ぎ落として痛みが鼻に集中してる時に腰の治療をするので、貴方の鼻は決して削ぎ落とされ損ではありません。」
「うん!削ぎ落とされ損ですよね!それ、削ぎ落とされ損ですよね!先生のその説明でより削ぎ落とされ損感が増しましたよね!アップしちゃいましたよね!」
「政治家になろうかな。」
「変な衝動に駆られないで下さい!弁が立つ的な話じゃないんで、これは!」
「ちょっとお待ち下さい。」
「どこへ行くんですか?」
「鼻削ぎ落としマシーンを取りに行って来るんですよ。」
「取りに行かないで下さい!僕は、鼻を削ぎ落とす気はありませんから!なので、これからも取りに行く素振りを見せないで下さい!絶対に!それはもう絶対にです!」
「鼻を削ぎ落とす気がない!?」
「当たり前じゃないですか。」
「だったら、一体どこを削ぎ落とす気なんですか!?」
「どこも削ぎ落とす気なんか無いですよ!何でどっか削ぎ落とす事は決定事項なんですか!そうじゃなくて、痛みを別の場所に移動させるんじゃなくて、腰を治療して下さいよ!」
「じゃあ、鼻にボーリングのタマを落としましょうか。」
「落としましょうかじゃないでしょ!落としましょうかじゃ!そんなの鼻を目掛けてるかもしれないけど、結果的に顔面陥没でしょ!」
「五階位の高さから。」
「いやもう陥没どころか死ぬでしょ!ボーリングのタマがめり込んで死ぬでしょ!」
「めり込んだらめり込んだで、顔書きますよ。ボーリングのタマに。」
「なぜそんな雪だるま的な事になるんですか!死ぬでしょって話ですよ!」
「今の医療をなめないでもらいたい!」
「そんなボーリングのタマ男として生きて行く人生に医療の進歩を持ち出すなら、腰の治療のみをしてくれればいいでしょうが!」
「さて、患者さんが怒り出したところで、診察を始めましょうかね。」
「何でわざわざ患者を怒らせる必要があるんですか!」
「ちょっと!暴れないで下さい!診察が出来ないじゃないですか!?」
「暴れてませんよ。仮に暴れたくても腰が痛くて暴れられませんよ。」
「地球を滅ぼしたくても爆弾が作れないのと一緒ですね。」
「違います!先生、大きな声を出しただけでも響いて痛むんですよ。」
「じゃあ、声帯を引き千切ってやりましょう!」
「いやだから、何でそんなに残虐行為をしたがるんですか。」
「ちょっと触りますんで、痛かったら痛いと言って下さいね。」
「やっと診察に漕ぎ着けたよ。って、先生?」
「痛いですか?」
「痛くないですよ。先生?」
「痛いですか?」
「何してるんですか?」
「腰を診察してるんですよ。痛いですか?」
「痛い訳がないじゃないですか!」
「えっ?腰が痛いのウソ!?」
「僕の腰を診察して下さい!先生が先生の腰を触ってて、僕が痛いっておかしいでしょ!」
「おかしければ、鼻で笑えばいいじゃないですか。」
「また鼻に戻るんですか!?」
「正直、私はね。鼻はいらないって考えなのだよ。いる?鼻!」
「いりますよ!鼻!鼻無かったらニオイとか分からないじゃないですか!」
「鼻血とか鼻水とか鼻糞とかのデメリットしかないと思うんだよね?別にニオイが分からなくてもいくない?」
「鼻血とか鼻水とか鼻糞とか分かりますけど、ニオイで危険を察知する事だってあるじゃないですか。必要ですよ。鼻は。」
「いやそんなのおでこが光ようになればいいじゃん!」
「なら、おでこが光ようになったら、その鼻いらない説を学会にでもなんでも論文で発表すればいいじゃないですか!」
「目に入ったモノを口にする人っているじゃないですか。」
「目に入ったモノを口にする人の話、どうでもいいです。」
「そう言う人とドライブすると大変だよね。この前ね。」
「いや何で?何でこの状況でこのタイミングで先生のこの前の目に入ったモノを口に出す人とのドライブの話を聞かなきゃなんないんですか?腰が!腰が痛いんですよ!僕!」
「その時ね。その目に入ったモノを口に出す友人が言うんだよ。目に入ったモノを口に出す人とのドライブって、疲れるよねってさ。」
「え?え、え?何なんですか?僕はそれを聞かされてどう言う反応をすれば正解なんですか?自分が見えてないんですね的な?そんな風な事を言えばいいんですか?」
「だから先生、その友人に言ってやったんだ。」
「何でスタンダップコメディーみたいに展開してんですか?」
「そうだね。ってさ。」
「普通!それは、普通の会話をわざわざスタンダップコメディー風に話しただけ!いる?いるんですか?この時間!何なんですか?この時間!この時間で診察出来たんじゃないですか!」
「診察は、既に終わってます。」
「えっ?いやいやいやいや、何もしてないじゃないですか!?」
「この診察室は、高性能で最先端の技術で作られているのです。」
「いや、眼鏡掛けてないでしょ。」
「なので患者さんが診察室に入って来た時点で、全ての診察が完了しているのです。」
「だから、眼鏡。」
「この意味不明な時間は、その診察結果がこれに転送されて来るまでの待ち時間なのです。」
「この時間を意味不明にしてるのは、先生ですよね?だったら、最初からそう言って下さいよ。」
「では、診察結果を発表します。」
「はい。」
「余命49年3ヶ月と22日5時間17分と6秒!」
「で?」
「長生きです。良かったですね。」
「ええまあ、長生きですけど、それで?」
「終わりですよ。」
「腰の痛みは?」
「どうせ長生きするんですから、この場合のその腰の痛みは、別にいいじゃないですか。」
「よくない!!」

第五百七十一話
「どう長生きするか」

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